バンドリ短編   作:天城修慧/雨晴恋歌

5 / 27
諸事情あって移動


追いかけて (さよひな+オリキャラ)

 

 

 

 

私、氷川 夕理には、2人の姉がいた。

 

いつも私のことを、ゆり、ゆりちゃんと優しい声で読んでくれた。

 

事あるごとに私を気にかけてくれていた。

 

紗夜姉さんは、Roseliaというバンドでギターをやっていた。

 

日菜姉さんは、Pastel*Palettesというアイドルグループでギターを弾いていた。

 

私の大好きな姉さん達。

 

私が姉さん達を追わなくなったのはいつからだったっけ。

 

姉さん達が99点、100点を取ったテストで、私はどれだけ勉強したって85点。

 

スポーツだってどれだけ頑張っても姉さん達には及ばなかった。

 

スタイルも良くてカッコいい紗夜姉さん。ふわふわ可愛い日菜姉さん。

 

私は何もかも平凡の域を出ることはなかった。

 

いつ、私は姉さんに届かないことを知ったのだろう。

 

いつだって私は姉さん達に届かなかった。

 

 

____________________

 

 

姉さん達は、私を下に見ていたわけじゃない。

 

姉としての範疇では、妹の私を気にかけてくれていた。

 

その関係も、私が高校生になった頃から変わった。

 

きっと、姉さん達が姉妹の関係以上に仲良くなって、お互いを気にかけることに精一杯だったから。

 

きっと、今まで私を気にかけていた分もお互いを想いたかったから。

 

私には姉さん達の関係に割って入ることはできなかった。

 

私は姉さん達に並ぶことができなかった。

 

____________________

 

 

姉さん達を恨んでいるわけじゃない。

 

もちろん大好きだった。

 

大好きだったから、置いていかれたくなかった。

 

大好きだったから、届かないのが、並べないのが嫌だった。

 

「…姉さん」

 

紗夜姉さんの部屋の床に広がる真っ赤な海。

 

床の上でその海を広げながら、安らかに眠っている姉さん達。

 

どうしてこうしようと思ったのかはわからない。

 

どうして現世を手放してしまったのかはわからない。

 

でも、姉さん達は幸せそうだった。

 

きっと2人で幸せになったのだろう。

 

 

私も幸せになりたかった。

 

大好きな姉さん達に置いていかれたくなかった。

 

血だまりの上を、姉さん達へ近づいていく。

 

 

私が姉さん達を追うのは、幾年ぶりだろうか。

 

紗夜姉さんが握りしめたままの包丁を、手の中から拾い上げる。

 

姉さん達にならって喉を裂くことに決めた。

 

とても怖かった。でも、追いつけたら姉さん達は褒めてくれると思うから。

 

 

 

 

私は姉さん達を追いかけて、姉さん達がいるはずの場所へと旅立った。

 

きっと、優しく迎えてくれると信じて。

 

 

 

____________________




妹を出す意義はそんなになかった
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。