バンドリ短編   作:天城修慧/雨晴恋歌

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この話に、何かを好きな人を否定する意図はないです


今回のオリキャラ

白金 矽(けい)

妹。高1。絵描き。


7/10 続編のためちょい修正


お姉ちゃん (燐子×オリ♀)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーきて、…おきて」

 

 

とんとんとん、と肩を叩かれる。

 

「…おきて、けい、」

 

幸せな声に包まれながら、後5分、と身をよじった。

 

「起きなきゃ遅刻しちゃう…」

 

今度は小さく揺すられた。

 

手の感覚を脳に刻みながら目を開いた。

 

 

「…おはよう、お姉ちゃん」

 

大好きな、お姉ちゃん

 

 

 

 

 

 

 

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バターを塗った狐色のトーストを齧る。

 

目の前で朝食をとっているお姉ちゃんを少しだけ見た。

 

口の中身を飲み込んでからマグカップのホットミルクを口に含む。

 

正面の、お姉ちゃんの豊かな膨らみをこっそり見た。

 

『お姉ちゃんの母乳から作ったバターを塗ったトーストかじりながらお姉ちゃんの母乳吸いたい』

 

そんなことを考えながらトーストをもう一口齧る。

 

でも、母乳が出るってことは、お姉ちゃんのお腹の中には…

 

それには少しだけ黒い感情が生まれてしまう。

 

早いこと女の子同士で赤ちゃん作れるようにならないかな。

 

トーストを齧る。

 

お姉ちゃんの、ホットミルクを嚥下する喉を見る。

 

『白い液体を口の端からこぼしながら、口の中身を必死に飲み込むお姉ちゃんが見たい』

 

早く女の子に生える薬開発されないかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

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曇り空の下、学校への道をお姉ちゃんとたどる。

 

冷たい冬の朝の風は、私のスカートの下の素足を撫でて通り過ぎていく。

 

ちらと隣に目を向けると、お姉ちゃんは寒そうに両手を擦り合わせていた。

 

「お姉ちゃん、大丈夫?」

 

「う、うん」

 

柔らかそうな唇の間から吐き出された白い息が、白い指先に絡みついて虚空へと消えていく。

 

 

「お姉ちゃん」

 

私はポケットの中から1組の手袋を取り出した。

 

お姉ちゃんには左手にはめてもらい、私は右手にそれをはめる。

 

余った左手でお姉ちゃんの右手を掬い取った。

 

それを上着のポケットの中にしまい込む。

 

「私の手、あったかいでしょ?」

 

冬の朝にだけ許される、少しだけの時間。

 

「…うん」

 

妹の私がお姉ちゃんと親密でいられる時間。

 

僅かばかりの恋人気分。

 

 

学校が近づくにつれ、徐々に人が増え始める。

 

「矽、もう、」

 

恥ずかしさからか、私の上着のポケットからお姉ちゃんの手が逃げようとする。

 

すがるように、その手を握りしめた。

 

「もうちょっと…このままでいよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

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4時間目の授業の終わりを告げるチャイムがなり、昼休みの時間になった。

 

私の机の上のノートには、朝からの授業の時間を使って描かれた『秋の空を寂しそうに見上げるお姉ちゃん』が鎮座している。

 

お昼ご飯を食べる時間も惜しく、ボールペンを持ってお姉ちゃんの服に色をつけ始める。

 

本当は水彩絵の具の淡い色が欲しいのだけれど、この前授業中にそれを使っていたら風紀委員の青い先輩に怒られてしまったので持ってきていない。

 

シャープペンシルで描かれた秋の木々。空と雲。

 

お姉ちゃんと、お姉ちゃんの手の上の紅葉にだけ色をつけて、ペンを置いた。

 

 

「矽ちゃん、今日の絵もすごいね」

 

 

背後から、集まってお弁当を食べていた女の子たちに声をかけられた。

 

にっこり笑ってから少しだけ彼女たちにノートを見せた。

 

ノートをかばんの奥底にしまうと、お弁当をかばんの中から取り出しイスをくるっと返す。

 

友達の明るい声に交ざりながら、急いでお弁当を食べ始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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お昼の後の授業ほど暇な時間は無い。

 

ストーブによって温もりと二酸化炭素が付与された空気を吸い込み、吐き出す。

 

絵に集中していた午前中とは違って、時の流れが遅い。

 

黒板に並んだ故人の名前をノートに書き写しながらぼんやりと思考をめぐらせる。

 

 

私はお姉ちゃんが好きだ。

 

もし、その人のことを考えるだけで幸せになれることが恋だとするなら。

 

私はお姉ちゃんに恋をしている。

 

お姉ちゃんが生きているだけで私は幸せになれる。全ての嫌なことを忘れられる。

 

まばたき。呼吸。夜眠ったり、朝起きて、何かを食べて、ピアノを弾いて、笑って、泣いて、

 

それだけで、私の生きる意味になる。

 

この想いがどのようにして芽生えたのかは覚えていない。

 

この想いだけはきっと捨てない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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お姉ちゃんの髪をつゆ(唾液)につけてすすりたい。

 

わかっている。わかっているとも。私の愛が歪んでいることくらい。

 

このインターネットが発展した世の中、世界中のキチが…変た……博識。博識な方々から、常人では思いつかないアイデアが流れ込んでくるのだ。

 

それをお姉ちゃんに向けて考えると、…こう、胸の奥から喉、脳の中心まであたたかくなるような感覚と高揚感が。

 

お姉ちゃんの◯◯を××××して、溢れた△を飲みたい。

 

もはや気狂いのレベルなのかもしれない。

 

お姉ちゃんが生きているだけで嬉しい。

 

お姉ちゃんが生きているというだけで興奮できる。

 

抱きしめたいな。

 

撫でて欲しいな。

 

それと同じくらい。

 

いけないコトを、したくなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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学校が終わって家に帰って数十分。

 

お姉ちゃんは、Roseliaの練習で遅くなると言っていたっけ。

 

窓から外を覗くと、天気予報では曇りのままだった空は小さな涙を零し始めている。

 

お風呂にお湯を張る準備をしてから、外へ駆け出して洗濯物を取り込んでいく。

 

 

 

 

 

 

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空はその色を変え続けた。

 

先程まで涙のカケラのようだった雨は、今はバケツを逆さにしたような大号泣になっていた。

 

雨音とともに風の鳴く音、雷鳴の鼓動が伝わってくる。

 

Roseliaの皆様は、お姉ちゃんは大丈夫だろうか。

 

この天気じゃ、朝お姉ちゃんに託してきた手袋も役に立つとは思えない。

 

折りたたみ傘なんてあってもなくても同じだろう。

 

バスタオルを数枚カゴに入れて、それを持って玄関に歩いていく。

 

カゴを抱えたまま、壁にもたれかかった。

 

 

背中を付けたまま、ずるりと座り込む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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着信も通知もないスマートフォンの画面を見て、もう一度窓の外を見た。

 

お姉ちゃんの濡れ透けが、などと考える気にはならない。

 

迎えに行きたい気分だった。

 

でも、私が行っても何もできないから。

 

だから虚空を見つめたまま待っている。

 

 

不意に、お姉ちゃんの足音が聞こえた気がした。

 

扉に駆け寄って、ゆっくりと押しあける。

 

帰ってきた、ずぶ濡れのお姉ちゃん。髪の先や服の裾から雫が滴っている。

 

「おかえり、お姉ちゃん」

 

バスタオルを持ってきた意味も忘れて、お姉ちゃんの冷たい体を抱きしめる。

 

お姉ちゃんは、驚いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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横殴りの雨に打たれて、水を吸ったタオルのようになっていたお姉ちゃんを抱きしめた私は、当然のように濡れた。

 

お姉ちゃんの水分を拭ったり濡れた制服の水気を絞って吊るしたりしていると、体は冷えるわけであって、

 

くしゃみをしたのがお姉ちゃんにまで届いたのか、浴室の中から声がかかった。

 

「け、矽も…入る?」

 

いやその、もう高校生だし辞退しようとしたんだけど、せっかくお姉ちゃんが誘ってくれたんだし、私とお姉ちゃんの着替えを用意するとすぐに体が勝手にいつのまにか湯船の中にいて、

 

もちもち、ふにふにしてる。

 

肉付きが良い。

 

 

なんとか頭の中身を外に出さないように頑張っていると、お姉ちゃんの手が伸びてきて、私の体を捕まえた。

 

「ー矽、大きくなったね」

 

「…私、お姉ちゃんと1年しか変わらないんだよ」

 

「それでも」

 

いったい何のご褒美なのだろう。

 

ぬくもりに包まれた。

 

「大きくなったね」

 

お姉ちゃんの体に触れている確かな喜び。

 

私の恋は間違っていない。

 

でも、同時に突きつけられる。

 

今の私は、お姉ちゃんに届いていない。

 

まだ、お姉ちゃんを見ているだけ。

 

お姉ちゃんの心には触れられない。

 

もっと、頑張らないと。

 

 

 

 

 

 

 

 

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夜の1半時を回った頃。矽の部屋の扉を開いた。

 

いつも通り、矽のかばんの底にしまわれているノートを取り出した。

 

1番新しいページには、『舞い散る紅葉の葉を受け止める私』が描かれていた。

 

満足するまで眺めてから、今度は矽の頭上の目覚まし時計のアラームのスイッチを切った。

 

これで、明日も私が起こしにこれる。

 

ゆっくり、矽の頭に触れた。

 

部屋の中に漂う絵の具や画材のにおいの中、かすかに香る矽のにおい。

 

甘い甘い、私を惑わせるもの。

 

湯船の中で触れた素肌を思い出しながら、矽のお腹を服の上から撫でる。

 

顔を寄せて矽の鼻頭に唇を落として、ポケットの中に入れていた今朝の手袋とメモを取り出す。

 

それを枕元に置いて、もう一度、今度は唇に。

 

「…大好きだよ、矽」

 

 

そして矽の部屋を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「ーきて、…おきて」

 

 

とんとんとん、と肩を叩かれる。

 

「…おきて、けい、」

 

幸せな声に包まれながら、後5分、と身をよじった。

 

「お、起きなきゃ遅刻しちゃう…」

 

今度は小さく揺すられた。

 

手の感覚を脳に刻みながら目を開いた。

 

 

「…おはよう、お姉ちゃん」

 

大好きな、お姉ちゃん

 

 

 




短め

次はきっとリサおかーさま。






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長め

次は多分リサおかーさま(ごめんね、私には友希那がいるんだ。…子供?それなら良いかも!)と幼女ちゃん(名前未定)(リサおかーさまが大好き)(結婚したい)と友希那おとーさま(リサを取られる訳には…)(でも悪い子じゃないわね)の話。





蛇足


今回の矽ちゃん。

設定改変前は恋子ちゃんになる予定だった子。
完結までもうちょいの燐子ちゃん×旧友の話と名前が似るので変更した子。

名前の由来はケイ素。

燐子ちゃん(リン)より一個前なのに妹?→は気にしてはいけない。


ケイ素って『珪素』なのでは?→元素 漢字 一覧 で調べて出てきたのが矽だったのじゃ。どうやら日本ではあまり使われない模様。


半導体だったりするケイ素。

矽ちゃんは「燐子ちゃんへの純粋な愛」とお姉ちゃんキチの危ない子」の中間のつもり




燐子ちゃんを『りんりん』と呼ぶ方が多いようですが、燐子ちゃん燐子ちゃんって書き続けた結果燐子ちゃんって呼んでしまうようになっちゃいました

漏洩

お姉ちゃんの眼球をぺろぺろして、溢れた涙を飲みたい。
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