それは熱病のようだった。
なれた動作すら、体が思うように動いた気がしなかった。
動かない体とはうらはらに、気をゆるめるたびにどこかへ飛んでいきそうなほど、ふわふわ、ふらふら。
たった1つ、おねーちゃんのこと以外、すべてが頭からこぼれ落ちて行く。
そのおねーちゃんのことすら、鮮明な思考は許されない。
ただ刻まれた本能のように、なんの疑問も、大きな感情の起伏すら持たず。
あたしはおねーちゃんに惹かれて、
後先のことも、あたしの行動が示す意味も、おねーちゃんのことすらも考えずに、
命令を実行するだけのキカイのように、
おねーちゃんにキスをした。
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多くの人は、ひなのことを理解できないという。
不思議だと言う。
しかし日菜は、理解できないことばかりをしているのではない。
やりたいことをやろうとし、できることをやって、自分の価値観で何かをはかって、知らないことを疑問に思う。
日菜のことを理解できないと言う人は、大方『普通』とひなを比べているのだろう。
どうして、ひなのことを理解するためにわざわざ常識なんて持ち出したのだろう。
日菜は日菜。ただそれだけなのに。
だから、このキスにも日菜なりの理由がある。
きっと日菜にとって、ただキスをしたかった以上の意味を持たない。
熱い衝動。他のことが頭から抜け落ちて、迷惑なんて考えられないほどの絶大な愛。
たとえ日菜が自分自身のことを理解できていなかったとしても。
私だけは、
日菜を。
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ほっぺに。首に。キスをするたびにあつくなっていく。
おねちゃんの肌。柔らかい肉。
キスをするたびに赤い花が咲く。
「ー日菜」
撫でられるたびに、ぽかぽか暖かくなる。
呼ばれるたびに、どろどろに溶けていく。
その腕で抱かれると、心も、体も、想いも、混ざってしまいそうになる。
もし本当にこの想いが混ざっていたのなら。
おねーちゃんの想いも、コレなのかな。
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実のところ、氷河期以前の私は、日菜を愛してはいなかったのだろう。
好きな食べ物は、好きな歌は、好きな色は。
そんな「日菜が好き」だった。
おねーちゃんとして、妹が好きだった。
でも、今はもう違う。
何かに執着することが愛なら。
「日菜」
愛が、好きの至りなのなら。
私は今、日菜を愛している。
日菜を撫でる度に溢れる温もり。
日菜を呼ぶ度に理性が曖昧になる感覚。
この腕で抱きしめる度に、心も体も想いも、日菜に囚われてしまいそうになる。
日菜が私に吸い付く度に、赤い内出血の跡が残る。
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「ー重いわ、日菜」
おねーちゃんにのかってうとうとしていると、ころんってベッドの上に落とされる。
おねーちゃんは体を起こしてはだけたパジャマのボタンをとめはじめた。
そのままベッドから降りようとした。
「ー日菜?」
おねーちゃんに言われて気がついた。
いつのまにか、私の手は弱々しくお姉ちゃんお服を握っていた。
「…やだ」
離れたくなかった。
離れたら、どこかへ行ってしまいそうだった。
「ー大丈夫よ、日菜」
おねーちゃんは優しく微笑んで、私の手を撫でた。
さっき私が蹴って落とした布団をひろって戻ってきて
包み込むように、抱きとめてくれた。
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私の手の中で穏やかな寝息を立てている日菜。
いつも、おねーちゃんと呼んでくれる日菜。
私が日菜よりも多く得たものは、5分間の時間とわずかばかりの身長くらいだろうか。
もし日菜が先に生まれていたら。
私の真似をすることなくいきていたら。
いったいどれだけのものを手に入れていたのだろう。
日菜の吐息が布越しに温もりを伝えてくる。
食べてしまいたいくらいに可愛らしい私の妹。
1番長くの時間を重ねてきた私達。そろそろ一線を超えて恋人にでもなりそうな勢いだ。
倫理観と言うものもあるが、今の時代、愛は自由になってきている。
私はこれからも、日菜に姉として寄り添えるだろうか。
もしかしたら、日菜も私もこれからいろいろなことを経験して、姉妹としての価値観も、恋人もどきとしての関係性も、変わる時が来るかもしれない。
でも、どれだけ時を重ねたって、
もう2度と、この温もりだけは傷つけないと誓った。
短め
次はりさゆきっぽい
眺め
りさゆき幼女ちゃんの設定がシリアスに歪んでてまずい
せっかくのネタ話枠がなくなってしまう
蛇足
1話目に書きそうなキャラ挙げたけど現状書きそうなのは
Roselia
日菜ちゃんイヴちゃん
モカちゃんひまりちゃん
花音ちゃんミッシェル
あたりです