男の人と話すのは実は少し不安だったけれど、それも時間が経つにつれて打ち解けていた。
そして次第にあなたを目で追うようになっていた。
あなたが笑うと、私も笑顔になる。
ぽわぽわした気持ちが胸いっぱいになるにつれて、この感情をしまっているのが苦しくなってきた。
だから私は────
story 1『勉強を教えて』
重い瞼が上がっていく。
ぼうっとおぼろげな視界のまま、自分の視界が天井に向いているのを理解する。
────ああ、眠ってしまったのか。
窓から差す日の光はオレンジ色に染まり時刻が夕方を示していることを知る。
それなりに長い時間を集中力に費やしてしまったのか、寝起きの頭は少し痛かった。
身体の機能が徐々に目覚めていくと同時に、頭痛とは別の違和感を腕に覚える。
首だけを動かしてその場所に視線を向けてみると、自分とは別の赤色の髪が鼻先をくすぐった。
その時にむず痒さを覚えるが、状況を把握すると共にグッ、と唇を少しだけ噛んで耐え忍んで見せる。
「……すぅ」
小さな寝息がほどよい心地よさとなって耳に聞こえてくる。
よかった、と。なんとか起こさずに済んだと内心ホッとするが、次に自身が抱いたものは単純な疑問であった。
────どうしてこんなことになっちゃっているんだろうか?
その日の出来事なので、浅い記憶を思い起こしていく。
ああそうだ。今日は故あって彼女と『勉強会』なるものを開いてみたのだ。
提案したのは彼女。それに乗っかったのは僕だ────
◇
切っ掛けはとある日の学校の帰り道。二人の会話の中での彼女の一言だった。
「あははー。実はちょっと色々用事があって来月の期末テストが危なくなっちゃって……」
困ったように内心を吐露する彼女に対し、自分は何か力になってやれないかと言葉を投げかける。
一瞬きょとんとする彼女だったがすぐにいつもの笑顔を表情に浮かべて横を歩く自分に視線を向けた。
「えっと、それじゃああの…もしよかったらなんですけど…………勉強……教えてくれませんか? なんて迷惑ですかね」
はにかむ笑顔の片隅に一末の不安。それは俗に言う『遠慮』のようなもので、今の自分と彼女の間には不要なものだった。
だから、何を今さらと自分も小さく笑って彼女を見る。
「もちろん。僕が力になれるならいつだって力になるよ……
一言、自分はそうやって答えてみせる。
それだけで片隅に影を差していた不安は取り除かれると。
ぱあ、と文字通り明るくなった彼女——友奈の表情は満開となった花のように咲いていくのだ。
「やったぁ! ──よかった~ちょっと不安だったけど勇気だしてみて正解だった……!」
最後の方は小声で話していたのでよく聞こえなかったが、彼女のガッツポーズ姿と笑顔がみれて大満足である。
そのあとも自分たちは他愛のない会話をしていく。
今日の学校での出来事。彼女の所属する『勇者部』という部活での出来事。
何があって、何をして、何を感じて、何を話したのか。
本当に些細な事でも、彼女の口から出てくるその言葉と身振り手振りの数々は、自分を飽きさせてはくれなかった。
彼女も彼女で、この時間を大切にしているということがひしひしと伝わってくる。
それは恐らく先ほど言っていた『用事』が関係しているのかもしれない。
自分はあえてそこには首を突っ込まないでいる。
それは『優しさ』故か否かは別に気にするところではないが、まぁ彼女が話さないならば僕は聞かないスタンスでいっているだけの話。
この自分と彼女の世界には、今は横に置いておいていいものなのかもしれないから。
「──祐くんは今日はどうだったんですかー?」
一通り話し終えると、友奈は自分に問いかけてくる。
祐くん、と。自分はそう彼女に呼ばれている。
学校もそれぞれ違う。学年も。
更には自分と彼女は二つほど歳がはなれているので向こうは『くん』あるいは『さん』呼びになっているのが今の状態だった。
中学生と高校生の男女。
色を付けずに答えるとこういうことだ。
「僕? そうだねー、今日は……」
攻守交代、みたいな感じで今度は自分が出来事を話していく。
彼女の華やかな日常に比べればいくらか寂しい感じの内容になってしまうのだが、それでもまったく無いわけではないので少しづつ話を広げていった。
「────……! ……、…………。」
『うんうんっ♪』
話し上手ならば聞き上手、とは友奈のことを言うのだろう。自分の話すことをまるでその場に居たかのような感覚で反応を返してくれるので、とても話していて気分がよくなる。
本来ならばその立場は自分でなければならないと思うのだが、ここは友奈の方が一枚も二枚も上手だった。
いつだったか、不躾に訊いてしまったことがあった。自分の話は面白いのだろうか、と。
すると彼女は、
『楽しいですよー! 私の知らない祐くんのことを知れて嬉しいです』
などどその時は臆面することなく言ってくるものだからたじろいでしまったことがある。
彼女も彼女で、そのセリフを口にしたところで正気に戻ったのかいつも血色のいい頬をさらに朱で染めていたのが記憶に新しい。
しばらく、お互いの近況を話しつつ歩くこと数十分、何事にも終わりがあるように二人のこの時間にも終わりが近づいてきた。
「…………今更だけど、僕の家でいいのかな?」
目的地は自分の自宅。友奈がそれとなく自宅でやろうアピールを自然にするものだから特にその時は違和感を覚えずにここまできたが、今になって妙な緊張感のようなものに襲われる。
隣に居る彼女に目を向けてみると、
「……は、はい。祐くんの家で勉強、したいです」
いつもの快活な彼女とは別の、しおらしい姿に目を奪われる。
この光景は目に毒だ、と口にはしないが内心で感想を述べつつ、自分は頷いて自宅の門をくぐる。
だって緊張してしまうのも仕方ない。
────だって、僕は……。
「お、お邪魔しまーす…」
どうぞ、と招き入れて友奈を家に入れる。二人の声以外は何も物音のない空間。それはつまり、この家にはそれ以外の人間がいないことを示していた。
これが意味するのは、単に家族の人間がこぞって外出してしまっているか、あるいは彼が一人で住んでいることなのか。
「……そんなに固くならないでいいよ。僕一人だし、寛いでいってよ」
「そ、そうですよね! ゆ、結城友奈全力で寛がせてもらいますッ!」
「はは。勉強しに来たんでしょ友奈は」
「……はっ!?」
答えは後者である。俗に言う『一人暮らし』。
なるべく平静を装いながら、彼女を部屋に案内する。
ワンルームの小さな部屋になるがここは我慢してもらうしかない。
学生鞄を両手で持ち、借りてきた猫のようにそろそろと歩く彼女の姿は本当に小動物のように見えて可愛く思う。
流れでこんなことになってしまったが、本来の目的は『勉強会』である。
部屋の中心に置いてあるテーブルに向かい合うように座ってもらい、自分は冷蔵庫からジュースを取り出しコップに注いで友奈に手渡す。
「ありがとうございます! いただきますー!」
こくこく、と喉が渇いていたのか彼女の飲みっぷりがいい。
自分も同じものを注ぎ、喉に流し込んでいく。
『──ぷはー!』
たまらず声が漏れると、お互いに小さな笑いが起こった。
「さっそくだけど……勉強って僕は友奈のやつを見ればいいの?」
「はいっ! 分からないところがあったら教えてください!」
了解、と自分もついでに課題をやっておくことにした。
二人でテキストを開くとそれだけでテーブルが一杯になってしまう。
とりあえず様子見で彼女の手元を覗いてみる。
「友奈は何の教科が苦手なのかな?」
「えっとー…数学がちょっと苦手で東郷さんにも教えてもらったりしてるんだけど、毎回だとなんだか申し訳なくて。あはは……」
「なるほどねぇ……それで僕にお呼びがかかったわけだ」
理由を聞いて納得する。
でもなぜだろうか。少しばかり残念だな、と思ってしまう自分がいた。
「えとまぁその…理由はそれだけでもないんですけど。本当はちょっとでも長く一緒に居たいなぁなんて……てへへ」
人差し指同士をツンツンと突きながら呟いている友奈。
最後の方はボソボソとしゃべっていたが、彼女の反応を見るに気恥ずかしいことを言っているに違いない。
あせあせとお互い視線を漂わせていると、唐突に視線が交わる。
『────。』
き、気まずい……。
「……えと、とりあえず続けようか」
「…………はい」
────いや、待って。そんな熱を持った眼差しで僕を見ないで。
気を紛らわせるように意識を勉学へと持っていく。幸いというか、この内容は学習してきたものなので喋りが途切れることはなかった。
自分が説明を始めると友奈も次第にこちらに集中し始めていく。
「ここはこうして、この式を──」
「うんうん。……へーそうだったんだぁ」
問題を解説していくと、それらをすんなりとモノにしていっている。これは凄い。
「そうすると、ここをこうして……どうですか?」
「うん正解。すごいね友奈、このまま教えていったらそのうち抜かされそうだよ」
「いくらなんでもそれは無理ですよ~! …それより祐くんも課題が残ってるんですよね? どうぞやっててください!! また解らないことがあったらお願いします」
「そう? じゃあその時は訊いてね」
「はいっ♪」
この調子だと友奈本人が危惧していたよりも大丈夫なのかもしれない。
お言葉に甘えて自分の課題に取り組む。
「…………、」
「ん~……ふふっ♪」
視線は自分のテキストに向いているが、どうも耳が拾う音が気になる。
それは対面に座る友奈の鼻歌交じりの声だったようだが、なぜそんなにも上機嫌なのだろうか。
一度気になりだすとそれは止まらない。目線だけを前に向けてみると——目があってしまった。
というか、視られていた。
「ゆ、友奈?」
「はい~♪ なんですか~?」
「いや、何か分からないところがあるのかなあと」
「いえいえ! 祐くんが教えてくれたおかげで順調ですよ」
「そ、そう?」
はい! と元気よく返事されてしまったらそれ以上は何も言えない。気にはなるが、ひとまずやっていこう。
それからしばらく、たまに問題の解説を頼まれるぐらいで特別詰まることもなく進んでいった。
「……ふぁー」
大方終わった頃に、自分の口から大きな欠伸が漏れてしまう。
「祐くん眠いんですかー?」
「ああ、ごめん! ちょっとね」
「学校もそうだけど、アルバイトも忙しそうですもんね」
「支障が出ない程度には気をつけてるんだけどねー。どうも日によってはこの時間帯になると眠くなっちゃうんだよ」
どうも家に着いて腰を落ち着けてしまうと眠くなりやすくなってしまうようだ。
そんな自分の反応を見た友奈は少し考えて、何かを思いついたのかニッコリと微笑んでいた。
「それなら祐くん。私がマッサージしますよー?」
「え? いや、それは流石に悪いよ」
「そんなこと言わないで遠慮なく私に任せてください! 結構得意なんですよマッサージ!」
「そ、そう…? ならお願いしようかな」
「お任せあれ! そしたら祐くん、横になってもらっていいですか?」
ポンポン、と友奈は横へ案内すると自分はそこへ体を寝かせることにした。
腕を組んでのうつ伏せの状態。
「それじゃあ、やっていきますね♪」
「よろしく~……んっ」
言葉とともに背中に友奈の小さな手が触れる。
這うようにゆっくり触られるその感覚に慣れないためか、むず痒さに小さな吐息が漏れた。
どうやら凝っている箇所を探しているようで、こり箇所を発見するとその手が少しばかり力が込められる。
「ここらへんですね! もし痛かったら言ってください」
「はーい。というか既に気持ちいいんだけどねー……おぉう」
「どーですかー? ここなんてこうするときもちーんですよー?」
甘く囁くように発せられる声と、背中から広がる快楽。
まさに天国とはこのことかと言わんばかりの実力に骨抜きにされそうだ。
というか既にされてる。それぐらい気持ちがいい。
やはりというか、すぐに睡魔が自分を襲ってきた。
「……ごめんゆーなー。気持ち良すぎて寝ちゃいそうだ」
「どーぞー♪ あっ、そしたら祐くん、仰向けになってください!」
「あおむけー? はーい……」
微睡みの中、友奈の指示に大人しく従う。
視線が上を向き、そこには友奈の顔が大部分を占めていた。
見上げる形となり、また違った視点での彼女を見ることが出来たが、いかんせん眠いので思考がまとまらない。
彼女にされるがままになっていた。
友奈は僕の頭をゆっくり持ち上げて、正座となった彼女はその状態で頭を下ろす。
「……なんか、やわらかー…?」
「ふふ……祐くんの寝顔可愛い♪ このまま顔のマッサージしちゃいますよ」
「…………。」
このコンボに耐えられる人間がいるだろうか、と。
後頭部から伝わるやわらかい熱と、前方から包まれる暖かい熱。
自分の意識を沈めるのには十分すぎるものだった。
◇
……そうだ。
自分は友奈にマッサージをされて意識を手放したのだった。
あの後はどうなったのかさっぱりだったが、彼女も疲れてしまったのだろうか。
だからといってこの状況の説明はつきそうにない。
さっきまで僕が膝枕されて、今は僕が腕枕をしている。
「……んん」
腕枕の調子が悪かったのか身じろぎしている。
正直、腕の痺れがあって動かしたいのだがこの重みを手放すのも憚れる。
時間が止まればいいのに、と思わずにはいられない。
「…友奈」
小声で彼女の名前を呼ぶ。
眉の辺りがピクピクと動いた。
「……もう夕方だぞー。起きないと……起きないと?」
不意に自分の奥の何かがざわつく。
それが何かは理解できなかったが、この感情にも似た衝動に自分の体は無意識に動く。
そっと、横で眠る彼女の頬をもう片方の手のひらに収める。
「……ん」
「あったかいな。それに柔らかい」
手に伝わる熱や感触はとても落ち着く。人差し指と親指で頬をかるくつまむとマシュマロでも触っているかのように錯覚させられる。
どうしてこんなにも違うのだろうか。
しかしここまでにしておかないといけない。まだ、友奈は起きていない。
これ以上はダメだ。
(……でも、いい加減に気持ちをハッキリとさせないと)
いや、それは言い訳だ。本当は判ってる。
彼女が僕に向けるその『熱』は他の人と違うことも、僕が彼女に向ける『熱』もまた他の人と違うことも。
お互いが本当は分かってるはずなのに、分からないようなフリをして寄り添っている。
この距離感もまた心地がいいのは事実だ。
事実なのだが、もう一歩先に進みたいのもまた気持ちとしてあった。
けれど、それと同じでほんの小さな影が僕たちを陰る。
────もしかしたら、今の距離すら破綻してしまうのではないか。
ありえないはずなのに、どうしてもこの一枚の壁がデカかった。
その壁はガラスのように透き通っていてお互いの姿が見えている状態なのに。
でも待っている。壁に手を這わして彼女は待っている。
ならばこの壁を砕くのは自分しかいない。
「友奈……僕は、君が──」
自分の顔を彼女の顔に近づけていく。
程よい心の距離感が、現実の二人の距離を引き寄せる。
少しずつ、ゆっくりと確実に。
お互いの吐息が顔にかかる距離まで顔が近づく。未だ彼女は目を瞑ったまま動かない。
心臓がバクバクとうるさい。
目と鼻の先にいる彼女に聴こえてしまうのではないかという程に騒がしい。
でも、言わなければ。伝えなければいけない。
それが待たせてしまった自分のケジメだ。
「僕は友奈のことが好きだ! ……んむっ!?」
「……んむ。ちゅ…」
あまりの出来事に思考が追いつかない。
二人の距離をゼロにしようとした矢先に、いつのまにか距離がゼロとなっていた。
唇に伝わる熱いぐらいの感触が、停止していた思考を現実に引き戻していった。
「んぅ……はぁ」
「………友奈。君はずっと起きてて」
閉じてしまった瞼を開けると、真っ赤に染まった友奈の顔が、目尻に薄い涙を溜めながらこちらを見つめているのを捉えた。
つう、と涙が頬を伝わって僕の腕にしずくが落ちる。
「私、本当に嬉しい。祐くんの気持ち、ちゃんと受け取れました」
「……ごめんね。友奈にたくさん待たせちゃった」
「ふふ、本当ですよ。自分の気持ちに気付いてからは私なりにアプローチをかけまくってたんですから!」
「──これも、ごめん。本当は気がついてた」
「ですよね。祐くんは分かってるはずなのに答えてくれない。もしかしたら嫌われちゃってるのかなぁって考えたりした日もあったんですよ?」
「……うん」
「でも今こうして祐くんに、祐くんから告白してくれて……私、今本当に幸せです」
友奈はそのまま抱きついてきた。
「……祐くんの身体、思ってたより大きいです」
「それは、どうも?」
「祐くんはぎゅってしてくれないんですか?」
言われて自分の胸の中に顔を埋めている彼女の身体に手を回す。
思っていたより、小さく感じるその身体を引き寄せるように抱きしめた。
「……ずっとこうしていたいな」
「うん。祐くんの匂いがいっぱい」
「あ、ごめん臭う?」
「ううん。落ち着く匂い。大好き──」
「っ!?」
その反応があまりにも可愛くて、愛おしくてたまらなかった。
友奈を少しだけ離して顔をこちらに近づける。
「ゆう、くん?」
「友奈。今度は僕からしてもいい?」
「……っ! うん。……んっ」
そして再び二人の距離はゼロになる。
優しく啄むような口づけ。反応を確かめるようにその行為は続く。
「……えへへ。手を繋いだりするより先にしちゃったね」
「なら今度はこうやって……手を握りながら」
「あっ、んん……!?」
指を絡めて繋ぐ『恋人繋ぎ』。
同時に唇を奪うと一瞬彼女は目を見開いたが、すぐにトロン、とふやけた顔になる。
握った手に力が入り、離さないようにと握り返す。
(……あー、やばい。歯止めが効かなくなりそう)
軽いキスをしていたが、次第にさらに求めていこうとしてしまう。
「ゆ、友奈そろそろ」
「ん……なんですかぁ祐くん」
やばい、と。友奈の顔が本格的に蕩け顔になってしまっている所で自分の理性が働いた。
唇を離し、いつの間にか銀の一本橋までも作ってしまったこの状況を見て危なかったと冷や汗をかく。
「外も暗くなってきたしそろそろ家に帰った方がいいよ」
「……や」
「え? うわッ!?」
言うや否や友奈は起き上がり自分に対して馬乗りをして動きを封じる。
こちらもまた考えていたよりも『力』があって驚く。
「いやです。せっかく両想いになったのに離れるんですか?」
「い、いや。でも時間が……」
「ちょっと待っててください──もしもしお母さん? うん、今日はお友達の家に泊まっていこうかなって思ってるんだけど…」
「ちょ、ちょっと友奈ちゃん?」
馬乗りのまま友奈は懐から携帯を取り出して実家に連絡を入れ始めた。
しれっと嘘が混じっているのを聞いて、彼女はそんなことするような子だったっけ? と疑問を抱いてしまう。
あれよこれよと思考していると、友奈は連絡を終えてこちらに意識を向ける。
その時の表情があまりにも『妖艶』で、小悪魔的な何かがあふれ出しているように思えた。
「大丈夫だそうですよ祐くん♪ じゃあ続きしてもいいですか?」
「…………、」
ああ、これは逃げられない。
せめて理性が崩壊しないように耐えるしかないと。
観念すると、僕は小さく頷いた。
そうすると友奈はいつも見せる満面の笑みを浮かべてから、
「大好きですよ祐くん!」
と、僕に言ったのだった────。
友奈ちゃんはカワイイ正義!
ということで、先輩後輩という立場を用いての展開。
その後の二人は────まあご想像におまかせします!←