勇者たちをイチャイチャさせたい!   作:紅氷(しょうが味)

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story7-3『■■祐樹は■■である』

勇者たちのお役目は順調に進んでいっている。

 

お互いがお互いに歩み寄り、人類の脅威に立ち向かうその様はまさしく『勇者』であると伺える。

──けれどどうしてか心の中の■が消え去らないのだ。

 

原因が何なのか分からない。

その答えと■の正体を知りたいと思うけれど、同時にこれを知ってしまう時は果たして自分はどうなってしまっているのだろうか。

それが不安で怖くてたまらない。

 

────嗚呼、誰か自分に■を示して欲しい。

 

 

 

 

 

 

◇◇

 

 

 

 

「──うっはぁ!! 見てみなよみんな”海”だぞっ!」

 

 

トンネルを抜けて少し強めの日差しが差し掛かり、車内にいる僕は顔をしかめた。声のした方——バックミラーで後ろの様子を眺める。

背後で元気にはしゃぐ銀がまるであの海と同じように目をキラキラと輝かせていた。

 

「もう三ノ輪さん。車内では静かにしないとだめですよ」

「ぶー! 固いこと言うなよ須美ー。せっかくの海なんだぞーテンション上げてこーぜー」

「遊びに来たんじゃないのよ。これからの戦闘をより円滑に、確実に進めていくための訓練をしに此処に来たんでしょ? むしろ気を引き締めていかないといけないわ」

「ちぇー解ってるよそんなこと。いいもんねー園子と一緒にアゲアゲでいくから──」

「………すやぁ」

「こ、こやつ寝ておるぞ!?」

「昨夜は夜更かししたみたいよ。連日の疲れもあるだろうしそっとしておいてあげましょ」

「…むぅ」

 

流石に園子を起こすのは気が引けたのか銀は大人しく座ったようだ。

少し可哀そうになってきたので、僕は代わりにチョコ菓子を彼女に差し出す。

 

「ほれ。〇ッキー食べて機嫌直せよ銀」

「──あむ。別に機嫌悪くなってないっすよー高嶋さん」

「はは。なんだかんだ言って須美も園子も内心は楽しみにしてただろうから、訓練は別として遊びの時間も作ってくれるってさ……先生が」

「わ、私は別に楽しみにしてません祐樹さん!」

「すぴー」

「マジっすか! いえーい!」

「──高嶋君。それは君たち次第だということをお忘れなく」

「分かってますって安芸先生。先生も〇ッキーいります?」

「……いただきます」

「須美も食べるか?」

「はい、ありがとうございます」

 

運転席でハンドルを握る安芸先生が横目で見てくるが、お構いなくチョコ菓子を差し出すと口を開けてきたので僕はそこに〇ッキーを食べさせた。

無言のままポリポリと食べ進める先生の姿は小動物を彷彿とさせる食べっぷりだ。

 

今回向かうのは『大赦』の管理する旅館。合宿と銘打った僕たち勇者組の慰安旅行も含まれている。

日々の特訓やバーテックスとの戦いで心身ともに疲れた僕たちに労いを込めた休暇のようなものらしい。付添人として安芸先生が任命され、こうして車を出してもらっていた。

 

『おぉ!』

 

しばらく車を走らせていよいよ目的の場所が見えてくると自分自身も彼女たちと一緒に騒ぎ合う。

皆なんだかんだ言って楽しみだったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

到着した旅館を見て今度は須美の目がキラキラと輝いていた。

どうやら彼女好みの風貌と佇まいらしく車内での対応が嘘のようだと言わんばかりに銀と寝起きの園子の手を引っ張って館内へと足を運んでいった。

あまりの変わりように安芸先生と顔を見合わせて小さく笑い合うほど。

 

チェックインを済ませて案内された部屋はこのメンバー全員が入っても更にあまるほどの一室。ここは銀、須美、園子の三人が使用することになっている。

僕と先生はもちろん彼女たちとは別部屋となっている。

今はこの部屋でみんな集合している状態だ。

 

「えーせっかくだからみんな部屋一緒にしましょーよー」

「銀。流石に男女混合ってのはダメだよ。顔は出しに来るからそれで勘弁してくれ」

「そうよ三ノ輪さん! 流石に殿方となんて……ましてや祐樹さんとなんて私は恥ずかしいわ! ね、乃木さんもそうよね?」

「わたしはゆっきーとならどっちでもいいよ~♪」

「よくないです!」

 

須美の剣幕に圧され銀は納得するほかなかった。

反面、園子はほわほわしていた。大丈夫だろうか?

 

「まあそれはそれとしてー……来て早々なんで『勉強』しなきゃいけないんですかー安芸先生!」

 

机に突っ伏してテキストを見る銀は文句垂れていた。対面に座る安芸先生は表情を崩さず眼鏡のズレを直しながら答える。

 

「お役目もそうですが学生の本分は勉学。将来のためにもきちんと学ぶべきところは学ぶことですよ三ノ輪さん」

「まあ後の自由時間のためにもここは我慢するこった銀。須美も園子もちゃんと勉強してるんだから」

「先生も高嶋さんも鬼だー。てか、須美は分かるんだけど横でうたた寝している園子はどうなんすかー?」

「乃木さんは既に問題は解き終わってますよ」

「マジで!!? いつのまに……」

 

驚く銀を他所に須美は黙々とテキストの問題を解いていっている。

ちらりと彼女を方の状況を見てみる。

 

「何かわからないことがあったら言ってね須美…って見る限りだと平気そうだけど」

「ありがとうございます。はい、この辺は予習したところなので問題ないですね」

「流石、僕も負けないようにしないと」

「真面目だなぁみんな」

 

彼女たちの通う神樹館は中々偏差値は高い方だ。うかうかしてると将来抜かされかねないので僕も真摯に打ち込むとする。

 

「三ノ輪さん。手が止まってますよ」

「はぁーい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

午前は勉学に費やし、昼食のうどんを食べた後に僕たちは浜辺に足を運んでいた。

安芸先生を対面に僕たち四人は勇者服に身を包み横に並んでいる。

 

「それじゃあ午後はそれぞれがトレーニングメニューに沿って行ってもらいます」

「うっし! ようやく身体が動かせるー!」

「三ノ輪さん、先生の話は最後まで聞かなきゃだめよ」

 

両手で握りこぶしを作りながらうずうずしている銀にそれを宥める須美。

僕の横に居る園子はぐっすり眠れたのかニコニコとご機嫌みたいだ。

 

「その前に一つ、決めておかなければならないことがあります」

「……チームのリーダーですか?」

「その通りです高嶋君。各自のポジションは薄々理解してきていると思うけど、全体の指揮をとる司令塔がいたほうがより綿密にお役目を全うできるのもまた事実」

「リーダーかぁ……アタシは頭使うより突貫した方が性に合ってると思うしここは委員長ポジの須美さんがいいかと思いますっ!」

 

先生の言葉の後にすかさず手を上げて須美を指名した。

須美は少し驚いていた様子だったが、すぐにもとの表情に戻る。

 

「だそうだけどどう鷲尾さん?」

「──私はやれと言われれば異論はありませんが……でも今回は辞退したいと思います。代わりに私は乃木さんを指名したいと思います」

「……あなたなりに考えがあるのね。乃木さんはどうかしら?」

「ほへ? わたしがリーダー?」

 

まさか振られると思わなかったのかのほほんとした緩い返事が返ってくる。

 

「わたしはー向いてないよ~ゆっきーとかいいんじゃないかなぁ? 年長者ですしー、先輩ですしー?」

「…いや、僕も園子がいいと思う。初戦を含めてこの前の戦闘もキミが的確な指示をしてくれたおかげで無事に生きて帰ってこれたんだ。恥ずかしい話だけど、果たして僕が同じようなことをできたかどうか……」

「ゆっきー……」

「祐樹さんの意見に同意します。ここぞという時の乃木さんの観察眼、思い切りの良さは戦場においてとても大事な要素です。引き受けてはもらえないでしょうか?」

「わっしーまで……んー」

 

困ったような表情を浮かべる園子。まだもう一押し必要なようだ。

どうしようかと考えていると、不意に園子に肩を組んで銀が歩み寄った。

 

「確かにそーだよな! 園子、勇者はこんじょーだぞ! ババっと引き受けてドーンと指示してくれればいいんだよー」

「ミノさん……うんっ! 勇者はこんじょーだよね! じゃあ乃木さんちの園子さんはリーダーやりまーす!」

「──決まったみたいね」

「あーそんな感じで引き受けてくれるんだな」

「そ、そうですね……私には何を言っているのやらって感じですけど」

 

感化されたものがあるのか二人はワイワイと小躍りし始めた。僕と須美は苦笑を浮かべるしかないけどまあ、無事に決まったようでなによりだ。

話がまとまったところで先生は手を叩いて整列させる。

 

「さて、ではさっそくですが二人一組を作ってもらいます。鷲尾さんと乃木さん。そして高嶋君と三ノ輪さんの二組になってください」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

既にお天道様も頂点を過ぎ、カンカン照りの日差しが砂浜に降り注いでその地からはじりじりと熱を発していた。

それぞれが二組に分かれた勇者たちは安芸先生に指示されたメニューに沿って訓練に励んでいる。

 

「ふ、ふぅ……っ! 乃木、さん次いくわよ!」

「あいあいさー……はぁ、はっ………!」

 

砂地を蹴り前衛に園子、後衛に須美が眼前に目掛けて走り出す。

ざっと距離は百メートルほどの長さだが額には大粒の汗を浮かべている様子で息も絶え絶えだ。

 

そんな中、 両サイドに設置された機器からボールが射出される。

射出されるタイミング、位置は安芸先生の手元にあるリモコンによって操作されて中々に読みづらい。

それらを前衛にいる園子が槍を傘状に変化させて防いでいく。

後ろにいる須美は園子が防ぎ漏らしたボールに矢を射かけてフォローしていく。

 

「…っ!!? しまっ……」

「わっしー!」

「はい鷲尾さん撃墜。最初からやり直しよ」

「はぁ、はぁ……ごめんなさい乃木さん。避けるタイミングを見誤ってしまったわ」

「ふぅ…あは、いいってことよ〜! わたしこそフォローし遅れちゃったしおあいこってことで」

 

ボールに一人でも当たったらその時点でやり直し。

二人が元のスタート地点に戻るまでに機器の設置箇所を変更させて動きに慣れさせないように先生も動いている。

 

側から見てもスパルタの如し、だ。

けれど命のやり取りをしているために甘くするわけにもいかず、離れたところで一休みしていた僕と銀は苦笑を浮かべるしかなかった。

 

「安芸先生も気合入ってるね……てか、次の交代で僕たちもやるんだよねアレ」

「うわ、園子顔面でボール受けちゃったぞ。大丈夫…そうだな、あはは…」

『こら、そこの二人。サボってるとペナルティとして倍のセットにするわよ』

『……っ!?』

 

拡声器で言われて僕と銀は急いで配置につく。

その両腕両足には無骨な鉄物が巻かれている。

更には僕の手には木刀を、銀の両手には使用武器の重量に合わせた棍棒を装備していてこれらを用いて試合形式の打ち合いをするのだが…。

 

「戦績はこれで私の二勝一敗。負けた方が巻いてる重りを倍につける…」

「一勝二敗…あぁ重い………勝っても一本重りを追加させるからどちらも手を抜けないなこりゃ。足場も砂で最悪だし」

 

重り一本は十数キロ。もはや普通ではまともに動けない数をつけてしまってはいるが、勇者としての力のおかげかその枠には収まらずにいられた。

だけど、それも一定数の数を重ねていくといずれ限界が訪れてくる。体力的にも。

ましてや僕の得意手は徒手空拳であって剣術はからっきしだ。明らかに不利でしかないが泣き言は言ってられない。

 

『三ノ輪さんはパワーはあるみたいだけど戦闘持久力がイマイチだから、まずはそこを重点に上げていきなさい。高嶋君は不利な戦況下でも対応できるようにあらゆる場面を想定して動くこと。相手の一つ一つの動作をきちんと見極めてお互い勝ちにいきなさい』

「はいっ!」

「せ、せんせー厳しい…押忍ッ!」

 

お互い構えて対峙する。試合も既に四戦目、そろそろ腕を上げているのがキツくなってきた。

それは向こうの銀も同様で、薄ら笑みを浮かべている。

 

「高嶋さん! そろそろ交代の時間っぽいですし、何か賭けてやりません?」

「…いいね。なにを賭ける?」

「んーそうっすねー…あっ! じゃあお互い言うことをなんでも聞く権利なんてのはどうですか?」

「なるほど。でも回数制限はしといたほうがいいかな。一つ、命令できるでいい?」

「言いましたねー! じゃ、マジで勝ちにいきます……よッッ!!」

 

まるで重りなぞ意に介さずといった調子の軽やかなスピードで突っ込んでくる彼女に僕は根性あるなぁなんて考えてしまう。

僕よりも歳下なのにね……ってそれじゃあ彼女に失礼だ。

同じ戦場に立っている以上はそんなことは関係ない。遅れをとらないように僕もしっかりとやらないといけない。

 

拳の時によくやる力を流す手法を剣に取り入れる。そうすることで銀の重い一撃を同様に対処することが可能になった。

 

「うわっと!? やりますね高嶋さん! ……はぁ、はぁ」

「ぜぇ……ぜぇ。キミの馬鹿力を受けるこっちの身にもなってくれ。けっこう神経使うんだぞ」

「本気じゃないとお互い訓練にならないです……よぉぉ!!」

「うおぁ!? あぶな────っ!?」

 

突発の横薙ぎに身体を反らして対処していくが、しかしここでやってしまったと痛感する。

この後にバク転でもして態勢を整えようと考えていたが、疲労と両足の重りの存在を忘れてしまったせいで今の体勢を保てなくなってしまう。

そんな状態の僕の上に振りぬいた銀が……

 

「ごふ!?」

「うわっぷ?!」

 

危ないと思った僕は銀の身体を抱きしめて砂浜に倒れこんでしまった。

素の状態ならまだしも、重りがある状態では威力というか衝撃が凄い。

地面は砂とはいえ変な態勢でもみくちゃに転んでしまったら彼女が怪我でもしかねないのでこうするしかなかった。

 

「ぎ、銀……怪我はない?」

「は、はいありがとうございます高嶋さ────っ!!?」

「……? どうした、銀?」

 

口をぱくぱくしてどうしたんだろうか。

……あ。

 

「──ご、ごめん! でもこうしないとお互い怪我しちゃうと思って!」

「ひゃ!? あ、アタシこそすんません!」

 

二人して顔が赤くなってしまう。…いや、僕のこれは疲労のせいで赤いんだ。うん。

 

「い、いやー高嶋さんって結構身体大きいですよねー……こうしてると落ち着くというか。アハハ」

「きゅ、急にどうした? そ、そりゃあ銀に比べたら背は大きいけど……」

「そういうことじゃないですよ……もー、案外鈍感なんすね高嶋さん」

「えぇ?」

 

じりじりと焼かれる砂上でお互いの額から汗が流れる。

銀の顔を見ると視線をあちらこちらと泳がせて両頬も熱のせいか否か真っ赤になっていた。

 

少しの沈黙の後、口を開いたのは銀だった。

 

「──この場合。勝負はどうなるんすかね?」

「そりゃまあ……引き分け?」

「っすよねー。じゃあ罰ゲームもお互いにってことでどうっすか?」

「…まさか今ここで命令される感じ?」

「いえいえ。ここぞという時のためにとっておきます! 有効期限はなしですよ?」

「じゃあ僕も今は保留にしておくよ」

 

これといってすぐに思いつくものもないから彼女に合わせるとしよう。

いつまでも寝転がっているわけにもいかないので僕は銀を抱えたまま起き上がり両手の重りを外していく。ああ、腕が軽い。

…そういえば周りが静かな気がするけど?

 

振り返ってみると、そこにはにやにやと悶えている園子と、僕たち二人を冷徹な瞳で見下ろしている須美がいた。

 

「あぁ~♪ このシチュエーションばっちぐーだよお二人さん! 後で是非ネタにさせてもらうからねー!」

「祐樹さん、最低です」

「そ、園子! 須美も待って! これは誤解だぞ!?」

「なんで須美は僕にそんな冷たい目で──ひっ!? なんでもないです!」

「…やれやれ」

 

後ろで呆れている安芸先生がいるが須美の圧に僕と銀は縮こまるしかできなかった。

この後はローテーションで訓練をやったり、メンバーを変えたりと更に特訓は苛烈を締めていく。

というかマジできつい……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『はぁ~~♪』

 

 

三人の声がハモり夜の空気に溶けていく。

身体に染みわたる熱に日中の疲労もどこへやら……そう思ってしまうぐらい心地が良かった。

 

私、須美、園子の三人で今は温泉の────露天風呂に足を運んでいた。

 

「ふいぃ……生き返るわー」

「三ノ輪さん、そんな中年男性みたいな声をださなくてもいいんじゃないかしら?」

「わたしはまだまだピチピチの小学生じゃい!」

 

須美がまたもや呆れ顔でわたしを見てくるが、今の気持ちよさにそれも許してやろうかと思う。

訓練が終わってその日の夜。食事の前の汗を流していた。

 

「あぁー…でもミノさんの言う通り疲れが抜けてくよ~。お風呂はいいねぇ」

「乃木さん……ま、まあそれは否定しませんが。……ふぅ」

「須美は気を張りすぎだってば。もうちょっと園子みたいにのほほんとして見るのもいいんじゃないか?」

「……その状態の私は私じゃない気がするわ」

 

須美は考えてみたが納得いかない様子。まあ普段の須美を見れば確かにキャラじゃないような気もするが…。

 

「ええーいいじゃん! わたしは見てみたいなぁ」

「かもんかもんわっしー!」

「い、嫌よ!」

 

自分の身体を抱いてすすっと離れていく須美。けど逃がさんとわたしと園子は両サイドに回り込む。

 

「それにしても……ねぇ、園子さんや」

「んだんだ♪ そのメガロポリスはいけないねぇ~」

「ひゃ!? な、なにするのよ二人とも……っ! やぁ!?」

 

バシャバシャと水しぶきを上げながら須美に纏わりついて、そのたわわに実ったアレを堪能する。

同性から見てもそれはもう凄いの一言に尽きた。

 

「っ!? お、おぉ……これはこれは! 同い年とは思えないボリュームッ!」

「浮いてる…浮いてるよミノさん!」

「ひ、人の胸で遊ばないで二人とも!!」

 

ひとしきり堪能させてもらうと、ぜえぜえ息を切らした須美と満足気な顔をしたわたしと園子が出来上がっていた。

あまり弄りすぎると須美も拗ねてしまうのでほどほどに。園子もそれは分かっているようで、今度こそゆっくりと湯につかっていた。

 

 

 

「……お役目は順調に進んでるよな?」

 

知らぬうちに口から言葉が漏れてしまった。

わたしの言葉を聞いた二人は空を見上げていた視線をこちらに向けてくる。

 

「ええ。最初はどうなるかと思ったけど今はこのチームで良かったと思ってるわ」

「わたしもー! みんな大好き!」

「はは。私も大好きだぞ!」

 

須美の言ったように最初は不安もあった。けれどこうして日々を過ごしていくうちに不安を超えていつしか仲間を信頼し、安心するまでに至った。それはとても誇らしいことだ。

 

「ゆっきーにも感謝しないとね~」

「そうね。祐樹さんには沢山助けられているし……こうして自然に馴染めてるのもあの人のお陰なのかもしれないわ」

「最初はわっしー怖かったんだもんね~。懐かしいなぁ」

「も、もう! それは言わないでよ」

「……むう」

 

そういえば二人は大赦の集まりで高嶋さんと知り合いだった。アタシはサボってたせいで関わりだしたのは最近だけども。

なんとなく悔しい気持ちになる。

 

「そういえばミノさん。訓練中にゆっきーと何話してたのー?」

「あ、それ私も気になってたわ。どうなの三ノ輪さん?」

「へ? あー……それは」

 

日中の出来事を訊かれて温泉の熱とは別の熱が頰を染める。

 

「な、なんでもないぞ? 別にこれといってなにも」

「あら? そうなの」

「てっきりゆっきーがミノさんに愛を囁いてたのかと思ったよ〜」

「そんなわけないだろっ!?」

 

約束事はしたけれど、それ以上は何もない。本当だ。

そういえば命令権はどんなことをお願いしようか? それに……高嶋さんはアタシに何を命令するのだろうか。

 

命令だ……銀。僕のお嫁さんになってくれ。

 

「────っ!」

 

バシャ、と湯に顔をつけて冷静にさせる。

今自分は何を想像した?

 

「あらー? あららー。わっしーミノさんの顔が赤くなってやいませんかね?」

「あらほんとうに。これは──ねぇ?」

「な、なんだよ二人とも……わ、ちょ!!?」

 

キラン、と目を光らせた二人が先ほどやったようにアタシに襲い掛かってくる。

この後は安芸先生が来るまでいいように遊ばれてしまうことになってしまった。

 

 

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