笑わないニコポ持ち   作:佐甲斐

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後悔につながるプロローグ

 僕が幼なじみと共に登校をしていると突然目の前が真っ暗になって、気がついたら頭がおかしくなりそうなほどの真っ白い部屋にいた。その部屋で茫然自失としていると、「僕は神なるぞ」とか妙に得意げな雰囲気で言ってくる白ローブのおじさん——といってもローブのフードで顔の半分以上が見えない。まばらに生える顎髭と声で判断——が突然目の前に現れた。

 

「やあ、突然だけどきみ、転生してもらうよ」

 

 うん?いきなり目の前のこのおじさんは何を言っているんだ?転生?輪廻転生とかのあれのことかな。いや、僕仏教徒じゃないんだけど。無宗教の人間だ。加えてオカルトは創作としては好きだが、信じてはいない人種だ。

 

「いや解脱とか目指すものじゃないから、似て非なるものだよ」

 

 ビックリだ。僕は間違っても声を出してはいないんだけど、目の前の存在には筒抜けの様だ。うーん、だとすると夢の可能性が高くなるなあ。夢にしては意識がはっきりしているんだけど、まそういう夢もあるんだろうということだ。てかどこから夢だったんだろ。やっぱ朝起きる時からか。

 

「君もなかなか強情だね。信じてみようよ」

 

 いやあ、こんな話信じるのはよっぽどの純真な奴だけだって。普通にあり得ないもの、こんなこと。

 

「そうだねえ。じゃあ頬でも抓ってみれば、と言いたいけど今の君は意識体だけの存在だからね。身体の感覚とか無いから、余計夢みたいに思えて僕の言葉とか信じられないのも、無理は無いんだよねぇ」

 

 うん、それはいいけど早く眼を覚ましたいんだけどなあ。多分今日も幼なじみの××が登校のお誘いに来ると思うんだけど、夢の中で変なおじさんと話してたから寝坊して誘いを蹴るなんて、意味が分からないって怒られてしまうよ。いや、悲しむかな?

 

「いやあ、遅刻とかそういうの、今は関係ないんだけどなあ、まいいか。でさ、君の幼なじみって、どんな子なんだい?おじさんにおしえてくれよ」

 

 心優しい女の子だよ。学校で僕が独りでも話しかけて来てくれる、いい奴さ。

 

「あれ、きみ友達いないの?なんで?」

 

 なんでと言われても、出来なかったからとしか言えない。小学校低学年まではよかったんだけどなあ。中学年高学年とすすんで行くにつれ、話かけても怯えられて逃げられたり、無視されたりだよ。なにも悪い事した覚えは無いんだけどなあ。まあでもその中でも××だけは僕と友達でいてくれたんだ。『私だけはいつでも友達だよ』とか、『ずうっと私だけは一緒にいてあげる』とか。僕と一緒にいると友達いなくなるよとか言っても、『あなただけいればいいの』とか言って、いやあ、ボッチの僕にとっては嬉しかったなあ。彼女はもう親友だね。

 

「いやきみそれは……まあ当人が幸せならいいか。うん、君との話で君につけてみたい能力も決まったし」

 

 能力?

 

「そ、能力。転生したあとの生活を少しばかり楽しくさせるスパイスさ」

 

 ふーん。もうなんでもいいや。適当につけちゃってよ。僕もう眼覚ましたいし。

 

「ようし、きみは『ニコポ』だね。鈍感野郎というかなんかあれだったみたいだし、さらに幼なじみ病ませてるみたいだし。なかなか面白い見物になりそうだ」

 

 酷い事を言う。鈍感、はまあ同級生の変化に気づかなかったんだから仕方ないとはいえ、病ませてはないだろ、病ませては。で『ニコポ』ってなにさ。

 

「教えてもいいけど、それじゃ詰まらないし。自分で理解しなよ。と言いたいけど無理かな?まあ理解できなくてもそうだね、9歳頃には教えてあげるよ。…………もういいかな。よし、君が次に眼を覚ましたときは新しい世界に流れ着いているだろうね。精一杯生きて、僕を楽しませてくれよ」

 

 おじさんの言葉が終わる前に僕はまた目の前が真っ暗になっていった。はああ、ただの夢の筈なのになんか疲れたな。授業中寝ちゃいそうだ。まあ、起きてもこの夢を覚えていたら××との話の種くらいにはなりそうだ。

 

・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

 

 まあ結局、これは夢ではなかったのだけれど。このころの僕には、こんなファンタジーでメルヘンな事を信じられる様な、そんな柔軟すぎる頭はもっていなかった訳で。だから『ニコポ』とかいう忌々しい能力のことも、この時は詳しく知ろうともしなかったんだ。

 

 ああ、後悔先に立たずと言う言葉を噛み締め生きていく事になるとは、思っても見なかったなぁ。




オリ主を書きたかったんです。
ヤンデレの女の子書きたかったんです。
それだけのお話です。

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