笑わないニコポ持ち   作:佐甲斐

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私立聖祥大附属小学校にて

 なのはちゃんと出会ってから約一年経過した。

 

 なのはちゃんがあの頃暗かったのは、お父さんが大きな事故にあい入院、いつ死んでしまうかも分からないほどの重体だったからだそうだ。更にそのことで家族みんながぴりぴりとして、なのはちゃんの眼から見て少し冷たい対応をさせられてしまったようだ。お父さんの入院による不安と家族間に走った小さな不和、それが彼女のあの雰囲気の理由だったのだ。

 

 僕にはかける言葉もやれることも無かったけど、一緒に遊ぶことで大分救われていたとなのはちゃんが言ってくれたのは、なんだかとても嬉しかった。親友みたいじゃね?と不謹慎に考えたのは秘密だ。

 

 まあそのお父さんも数ヶ月前に目覚めてリハビリも問題なくこなし無事退院。今では家族仲も良好だと言う。彼女も本来の明るい表情に戻り、出会ったばかりの頃はあまり笑わなかったなのはちゃんもいまでは大分笑う様になっている。

 

 そして現在、僕らは今小学校に通っている。というか今登校するため歩いている。はまあいいとして、僕らの通う学校、なんと私立だ。お受験があったよお受験が。前世ではテレビの向こう側の話だったから少し興奮してしまった。

 

 と、ここまではいいのだ。ここまで僕は友達を作り続けた。しかし私立という事で同じ学校に通う子は大分減ってしまった。この時期と言うのはよっぽど仲が良くない限り、違う学校に通う者とは疎遠になるものだ。下手をすればクラス分けの結果疎遠になるということも十分あり得る時期だからね。まあ本の知識だけど。

 

 前世では小学校の、中学年頃に友達たちは僕から離れ始めた。何が原因なのか分からなかったから、とにかくこの時期から気をつけて、注意深く動くしかない。

 

 対策を考えながら歩くと、知らぬ間に早歩きとなっていたらしい。普段より速く学バスの乗り場についた。

 

 うむ、考えていても全く思い浮かばない。数撃ちゃ当たる作戦、つまるところ片っ端から友達を作れば……いやさすがの僕でも不誠実だなと感じる。しかし気をつけなければならないのは、この僕の通う学校、私立聖祥大附属小学校はエスカレーター式であると言うことだ。中学、高校に新しい風があまり入らず、人間関係が継続されていくのだ。考えたら怖くなってきた。とにかくがんばらないと。

 

「健太くーん」

 

 この声は姿を見なくとも分かる。僕の中で勝手に親友と思っているなのはちゃんの声だ。

 

「おはようなのはちゃん」

 

 にっこり微笑みながら挨拶をする。笑顔で挨拶が大事となにかで見た気がするからだ。内心藁にもすがりたい心持ちなのである。

 

 なのはちゃんは走って来たためか頬が赤く上気しながらも、

 

「おはよう」

 

 と返してくれた。うん朝の挨拶は大事だね。朝ご飯並みに大事だよ。ちなみになのはちゃんの家は僕の家とは学バスの乗り場を挟んで反対になる。

 

「今日は速いんだね」

 

「ぼーと歩いていたら早歩きになっちゃってね」

 

 他愛ない世間話をしながら待つと、直にバスが来た。次々と生徒が乗っていく。今日も楽しい一日になると信じて。

 

・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

 その事件は昼休みに起きた。

 

 なのはちゃんと一緒に校舎と体育館をつなぐ渡り廊下に行った時だ。偶然人気の無い所に二人の少女が争う声が聞こえて来た。なのはちゃんと一緒に様子を見に行くと、同じクラスのつんけんしていて近寄りがたい金髪の女の子と、いつも静かに本を読んでいる髪の長い女の子、えーと、たしかつんけん少女がアリソン・バーニングで文学少女が辻村すずねだったかな?とにかくその二人が喧嘩をしている。バーニングさんが辻村さんがいつもつけているカチューシャを持っている事と、辻村さんが必死に奪い返そうとしていることから喧嘩の原因が伺える。

 

 とにかく止めさせないとかな、と思った僕が声をかけるより早く、

 

「やめて!」

 

 なのはちゃんが止めに入った。なのはちゃんは中々に正義感の強い子だからね。運動音痴と言う割には先に身体が動くし。

 

 その後バーニングさんとなのはちゃんが激しい舌戦を開戦し、僕はそれを少しびくついた思いをしながらも、辻村さんと協力して宥めた。いやはや、あれは小学一年生が出せる迫力じゃないよ。

 

 なんでも喧嘩の理由というのは、辻村さんのカチューシャを見てみたいから取ったら……という子供にありがちな理由であった。もう今は辻村さんとバーニングさんはもちろんなのはちゃんもごめんなさいをして、仲直りをしたようだ。今では3人で笑い合っている。少年漫画のような清々しさだ。正直憧れる。

 

「で、アンタ名前は?」

 

 バーニングさんが平時より幾分か和らいだ声で僕に問いかけて来た。ああ、忘れ去られたかと思ったけどよかった、意識の端位には気にしてもらえていたみたいだ。

 

「僕は藤木健太っていうんだ。よろしくね」

 

 同じクラスなんだから名前くらい覚えてよ、という思いを飲み込み、にこりと微笑む。

 

「そ、そう。アタシはアリサ・バニングスよ。よろしくお願いするわ」

 

「あ、私は月村すずかだよ」

 

 ……うん。まだ入学してそんなに経っていないからね。名前を覚えていないのもしょうがないよね。

 

 その後は時間が許す限り話をして、この昼休みの終了のチャイムが響く頃には大分仲良くなれたと思う。




主人公は良くも悪くも子供っぽい性格をイメージして書いているのですが、表現できていますでしょうか?

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