「ふあぁあ」
なんだかとても眠い。放課後の魔法訓練がんばったからなあ。しかしまだ夜は始まったばかり。新しいバインド魔法の枠組みだけでも思いつくまでは眠れない。眠い眼をこすり僕は勉強机にかじりつく。でもなかなか思いつかない。結構試したし、ネタ切れの感は否めない。対人相手に試せるんだったらもっと捗るんだけどね。
ブラックハートと相談しなが構築していると、突然頭に声が響く。
『ボクの声が聞こえますか?声が聞こえるあなた、ボクに力を貸してください!』
切羽詰まり焦っていことが丸わかりな声だ。そしてこれは普段生活していれば聞く事ができない声。
「なんで念話が?」
念話とは初歩の初歩の魔法で、テレパシーの様な物らしい。ブラックハートがそう教えてくれた。今まで念話はブラックハートとしか使ったことがなかったので、突然響いた声に少しビクついてしまったのは内緒。
『近くに魔力反応を確認。念話を発した相手はそこにいると推測します。どうしますか、マスター』
「……行こうか」
しばし考えて、行く事に決定。もしかしたら僕の考えたバインドを試すチャンスがくるかもしれない。そうと決まれば行かないとね。ばれないようにそーっと窓から飛び出す。
・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・
「えーと、ああ、あれか」
ピンクの魔力光が、結界により外界から閉ざされた暗い町中で鮮やかに光輝いて見える。奇麗だなあ。僕の魔力光は黒色だから、かっこいいとは思うけど華やかではない。うーむ、ああいう色の方が戦闘とかでは映えるのだろうか?
近づいてみればあのピンクの魔力光を発していたのはなのはちゃんであった。聖祥の制服を元にしたのであろうバリアジャケットを身にまとっている。ああ、これが神様の言っていた事件とやらか。そう頭の中に思い浮かべ、なのはちゃんと対峙しているモノをみやる。
「て、なにあれ!?」
『密度の高い魔力の集合体かと』
あの黒いもやもやが?僕のようなにわか魔法使いでもわかるものすごい魔力量を放っているあれが巻き込まれる『事件』だとでもいうのか。だとすれば、なんとも危険な事か。とにかくこのままではなのはちゃんが確実に危ない。
「アッドバインド!」
黒いもやもやの上にアーチを描く様に半円のバインドを形成する。それをギロチンの様に黒いもやもやへと振り下ろす。黒いもやもやが突然のことに驚き、じたばたと陸にあげられた魚の様に暴れるが、その程度で振りほどけるものでは無い。巨木ですら折れるほどの力だからね!
「あれ、健太君!?なんでここにいるの!?」
「あ、あなたは誰なんですか!!?」
「いまはそれよりあれをどうにかするのが先でしょ!どうすればいいのさあれ!?」
なのはちゃんと喋るイタチみたいなのがこちらに気付き、驚きの声をあげているが、今はそれどころではないと思う。あれは絶対に放置してはいけないものだ。
「そ、そうだ!なのはさん!心を澄ませてください。そして心に思い浮かんだ呪文を唱えて!」
言われなのはちゃんは集中する様に眼を閉じる。あまりかっこうつかないから言葉に出さないけど速くして欲しい。あのもやもやの力がやはり魔力相当に強くて、結構辛いんだ。
数秒してなのはちゃんは眼を開く。そして彼女の呪文を紡ぐ。
「リリカル、マジカル!」
「封印すべきは悪しき器!」
「ジュエルシード、封印!」
うお、なのはちゃんのデバイスが変形しただと!?べ、べっつにうらやましくないよ!あの光の翼みたいなのに憧れてないから!ブラックハートがナンバーワンだから!!
「リリカルマジカル、ジュエルシードシリアル21!、封印!!」
彼女のデバイスからリボン状の魔力が放たれ、もやもやに突き刺さる。なのはちゃん、こんなこともできるのか…………。僕なんて魔力弾を一つ作るのにも苦労したのに。しかし、バインドを魔力弾に仕込むと簡単に作る事が出来た上に、複数作成も容易にできる様になった。なんというか、僕のバインド関連のこだわりはなんなのだ。
もやもやは断末魔の様な声を上げ、発光したと思ったらその姿を消した。もやもやの居た所にはなにやら宝石のようなものが転がっている。
なのはちゃんとイタチっぽいのと一緒にそれに近づいてみる。奇麗な青色をしていて、思わず触ってみたくなるような不思議な魅力を放っていた。
「レイジングハートで触れてください」
イタチの言葉のままに、なのはちゃんはレイジングハートと呼ばれたデバイスを宝石に近づけ、そしてレイジングハートが宝石を取り込む。
「これで一安心です。それで、あなたは?」
「そうそう、健太君なんでここにいるの!?」
イタチっぽいのとなのはちゃんが食らいつくように聴いてくる。けれど、今日は恐らくやめた方がいいだろう。だって、
「サイレンの音が聴こえて来たし、それはまた明日ということで。ほらなのはちゃん帰った帰った。イタチ君は……どうする?家来る?」
このイタチ君はどう考えても魔法関連だ。家に来てくれたら質問攻めにしてやろう。
「うちで飼っていいか聴いたんだけど……」
「そっか。じゃあなのはちゃん家の方がいいのかな?」
うーむ。こういうのは、事前に了承を得ている家の方がいいだろうからなあ。まあ質問なんて明日にでも出来るか。
話についていけてなかったイタチ君は、なのはちゃんの家にお世話になると分かったのか、なのはちゃんの方に向かい、お願いしますと頭を下げている。
「じゃあ気をつけて帰るんだよー」
自分でも間が抜けた声だなあと思うが、実際あのもやもやを抑えていたせいでかなり疲れて気が抜けているので、ここはしょうがないということにして欲しい。
「健太君もねー!」
「今日はありがとうございました」
あの二人も疲れている様だが、まだ多少元気はある様だ。でもまあ、明日寝坊しなけりゃいいんだけど。
今更ですけど、TV版を借りず、映画版を借りて置けば無印とA'S二本だけのレンタル料金だったんですよね。私はレンタル屋で何を考えていたのか、自分でも謎です。