俺は地震でフィギュアの海で息絶えた。
「やあ、おはよう」
おはようございます……。
「朦朧としてるとこすまないが、これから入国審査をするんだ。
覚醒してくれ」
パンッ
「ッ!?」
こ、ここはどこだ!?
俺は先ほど木造家屋二階のベッドで、フィギュアを真下から見て楽しんでいた!
白い通路。通路の流れに沿うように、天上の真ん中に白色LEDが並んでいる。
目の前には、壁沿いに設置されたカウンターの向こう側で、白い制服を着ている人がいる。
「混乱してるとこ悪いね。
これから君は、ここに入界するんだ」
「にゅうかい?」
「この世界に入る。転生ともいうかな」
転生!?
あの二次小説でみるように、総合的にチートで美少女またはイケメン侍らせて、
一生イベントが付きまとって血で血を洗う様な闘争と麻薬のような日々が、
主人公を待ち受けてるやつ!
ひゃっほう!この世界で、俺も必要とされるのか!
こりゃ、楽しみだ!
「楽しそうだね」
「そりゃもう! あのさ、記憶とかどうすんの!?」
「引継ぎとか。まあ、今から入界の手続きをするから、じっくりと話そうか」
っし!ある程度、融通をとおしてやるぞ!
「まずは生前の記憶。いる?いらない?」
「何者かっていうのを知りたいから、生後1年で記憶を取り戻すとか」
「わかった。それなら、こっちの世界の言語に対応できるね」
まさか、誕生してすぐさま記憶を取り戻せば、そっちの世界の言語を習得できなかったって
事か!?
よかった……地雷踏んでなくて。
ま、忠告はされると思いたいな。
「次に強さの設定だけど、リアル制・熟練度制・レベル制があるよ。
別に制度を設けてもいいけど、子細話してもらうね」
リアル制は、才能が生まれながらに設定されてて、努力しなければいけないリスキーさがある。
その代わり、突飛なことがなくて、現実世界のような実力社会とかになりやすい。
半面、努力しなくても、それなりに生きていける下地も多い社会構造になる。
熟練度制。これも才能が設定されているが、努力しても報われない不得意分野があるわけではない。
どの分野でもそれ相応に成長する。実力差があらわれにくいが、汎用性に溢れているので
戦闘におけるジャンル分派が数多。
結果、生きにくく死ににくい社会構造になりやすい。
レベル制。才能がなく、レベル上昇のポイントで才能を得られる。
またその才能を使用することで、レベルが上がっていくがその差は歴然。
努力しなければ、生きづらい世界になるがその分、特化が存在している。
特化した者に勝てる見込みは少ない。また、文化がほかの強さ設定の世界よりも、
大きく遅れていることがある。
「俺のような馬鹿でも生き残れる、レベル制がいいっす」
「じゃ、レベル制の表示条件は、どんなのがいいかな?
既存レベルの提示・ポイント解禁性・世界の発展により随時更新……の中で、選んでね」
既存レベルの提示は、全てのレベル上限が99と決まっている。
新たに何かあるわけじゃない。多くの既存ゲームに見られる。
ポイント解禁性は、レベル上昇時に得られるポイントでレベル上限や
他の条件を解放していく。覚醒・進化・退化・合併・神化と、いろいろある。
オンラインソーシャルゲームにみられる。
世界発展による随時更新は、世界のレベル平均や歴史の進み具合により
ジャンルを解放しレベルも解放される機能。
CIVやSPOREなど、時代やステージ解禁性のゲームによくみられる。
「それじゃ、解禁性を」
「はいわかりました」
そのあとも性格とか見た目とか決めていった。
「次に世界構成社会は、超古代文明3・古代109・中世230・近代32・現代10・未来2、と
ありますが追加はありますか?」
「じゃあ、ラピュタみたいなのつくれない?」
「あのジブリの?」
「そうそう」
「では、超古代文明に登録します」
超古代文明4・古代109・中世230・近代32・現代10・未来2になった。
「では最後に、転生特典を差し上げましょう」
実際くれるわけじゃなくて、ポイントから選ぶって感じだった。
「この1000ポイントを、基礎能力・才能・特殊能力・スキルから選んでください。
効果が高く、強く、あり得ないものほど要求ポイントが高いですよ」
そういわれて、中身を見てみたんだけど、色々ありすぎてこまっちゃう。
基礎能力は、運・体力・攻撃性・移動力・視力・聴力・反射速度。
才能は、レベルを上げる枠の解禁とレベル上昇。
特殊能力は才能にもない、特別な能力。例えば古武道や見切りといった技術。
才能にある鑑定の上位版、図鑑とか。他にも援護射撃という、自動攻撃もある。
スキルは、才能や特殊能力にもない、受動性のないもの。つまり、能動。
体当たり・居合切り・突進・電光石火とか。
また才能で電撃といった属性を保持しているなら、別のスキルもある。
「うーん。俺、このポイントで、新たな特殊能力使いたいっす」
「ほほう?」
それは俺が、フィギュア好きだからこそ出た言葉。
この世界にないであろうフィギュアは、ポイントでジャンルを解禁し国家通貨で購入する。
フィギュアは効能や容姿が良いほど、高い。
勿論フィギュアだけでなく、モデルガンや剥製もフィギュアという飾り物として購入できる。
それらフィギュアは、俺の意志で実体化し実用できる。
またフィギュアにもレベル制度があり、解禁されている上限は主人と同じである。
ただフィギュアそれぞれに、特殊な能力があり彼らを特色づける能力・スキル・才能である。
実体化している為、フィギュアだからといって弱いことはない。
努力で強くなれる。実体化したフィギュアは、こちらの意思でフィギュアに戻せる。
「ふむ。コストとリスク、対費用効果は十分ですね。
わかりました、ポイント500で作りましょう」
「え、いいんですか?」
「ええ。フィギュアと交配し、さらに強い個体をつくれるという機能がないので。
ただの実体化で、実物または現実に沿った存在であるということなら、
パワーバランスが崩れにくいと考えられます。
コストやそこらは、こちらで調整しておきますが、その際高すぎてフィギュアを使えず
すぐに路上で死なないよう500ポイントを残しておきます」
そんなわけで、俺はほぼ固定とされる運を最大の100振って、残りをスキルに使うことにした。
残り400。
そうそう、面白い特殊能力があった。
それは自動防衛圏。なんでも一定範囲内に敵が入って来ると、ミサイルや魔法などあらゆる手を
使って敵を排除し自分の空間をつくるというもの。
ポイントは250。
「え、こんなに安くていいのか?」
「世界に入りますと、特殊能力は一律滅茶苦茶コストを食います。
なので、安いんですよ。できるだけここで、生き残る術を手に入れていただければ
幸いです」
残り150。
「そういや、フィギュアの変換は、魔力の割合変化でいい?」
「それまたどうして」
「フィギュアをどうにかしたという証拠がほしいから。
領収書みたいな?」
「ふむ……検討します」
あちゃぁ、駄目かもしんない。
仕方ない、レベル上昇時のポイント二倍50p・各種会得コスト50%低下50p・
各種必要経験値50%低下50p……を取得。
もしもフィギュアの変換に、ポイントが使われるとしたら、という憶測の下選んだ。
フィギュアはアニメとかいろんなキャラもあるから、それの購入とか
最大変換数とか設定しないとオーバーウェポンになる。
だから、それを見据えたコストと費用効果を、考えた結果がこれになっただけ。
「できました。最終確認を」
「はい。こちらも、最終審査を通過しましたので、確認を」
☆ フィギュアに関して。
◆ フィギュアの購入には、お金を使う。
ジャンル解禁にポイント、効能の上下により支払い料金も前後する。
フィギュアの変換はポイントを使うが、元に戻すと使ったポイントが返ってくる。
◆ 実体化したフィギュアは、その世界と主人の影響を受ける。
フィギュアはどの種族にもならずフィギュアとなり、交配が不可能である。
つまり子孫を残せない。
また強さ設定・レベルの表示設定、上限は世界と主人を主軸にする。
ただ特殊なフィギュアであるため、四肢欠損や機械の故障・欠損は発生しない。
◆ フィギュアは個々に、それぞれの特色あるスキルを覚えている。
個人で思考し史実に忠実で、それを実行する。
また主人に対して好感度があり、上昇するほど個人主義を捨てる。
「どうですかな?」
「これでいいと思います。それで、このフィギュア化ですけど、
今後はどんな扱いで?」
「今後は750ptで提供させていただきます。
効果が効果ですので」
ですよねー。しってた。
「では、この通路をお進みください。道がなくなっても、その先は世界に通じています。
恐れず立ち向かってください」
「わかりました。では、行ってきます」
受付の人に会釈して、この白い通路の先へ歩く。
「ふ……クク……はは、フハハハハハ!!! 新しい世界が、俺を待っている!」
通路を進むのに、静かに歩いていけなんていわれていない。
よって、俺は世界へ勢い勇んで進む!
徐々に視界――いや、通路自体が白んでいって消えていく。
んな事知るか!
「うおおおおおお!!!」
そして俺はこの真っ白な空間に溶けていく感覚を覚えた。
――
「面白い人が入ってきたなあ。
あ、裕福か貧乏で始めるか聞いてなかった。
うーん。フィギュアの購入のリスクは高いから、裕福で始めさせてみようかな」
受付人は彼が消えていった通路の先を見て、人生を決定する。
――
1:能力と才能の確認と幼児期
「ッ!」
俺は気が付いた!
そして過去の記憶が、俺の記憶と合併して……。
俺の名前は、グレイス=ヒストリア。ヒストリア公爵の三男。
ヒストリアは役職名らしく、王様からもらった苗字。
本来の苗字は、長男が受け継いでいる。
ヒストリアはそのままの意味で歴史家。
歴史家というよりも、いろんなことを書く秘書官的位置。
この役職は次男が継ぐことになっていて、三男のオレは自由に羽ばたき
ヒストリア家の名声を高める事が求められている。
俺がいるこの国は、ディアーチェ。
石炭が多く発掘されており、品質は良好。
これを最恵国待遇でレートが悪い中、隣国ファシスト獣人国家と経済同盟中。
隣国は北と西に広がっている。
東に活火山、南東にカルデラがあって、更に奥に強靭な国家があるらしい。
南と南西には、エメラルドグリーンの海が広がっている。
一応こうだいな砂浜や断崖絶壁の岬がある。
二か月前、父親と共にここで魔物退治をしたらしい。
剣術方面で才能を発揮したらしく、大層気に入られ三男の役割に沿う形で支援金がある。
つまり、月給おこずかい。
値段を日本通貨レートに変更すれば……300万円。
林檎らしきもの3つパック詰めで、298円とするならこちらは1ラフ。
市場にあるのは南国の海と温帯気候で採れる新鮮な野菜や果物、そして魚に穀物。
年間雨量は2658mm。年間気温は摂氏17.1度。
専制君主国家。つまり、国王様のご機嫌ですべてが決まる。
貴族がのさぼっている原因の一つ。スラム街はあまり見当たらない。
そういう連中は、奴隷として狂犬国家に売られている。
そんな感じだあ。
ま、俺はそんな事ないと思うぜ。
これから親父と王の視線をかいくぐって、フィギュアの嫁と一緒に暮らすのだ!
……
「グレイス様、今日の調練お疲れさまでした」
「お疲れ様、すっげぇ楽しかったぜ」
恵まれた海産資源と地下資源で貿易された柔らかいタオル。
ごま油とか香水でつくられた石鹸を溶かしたお湯で洗われた其れ。
親父がよこした剣術指南のおっさんとの試合後、
そいつで汗を拭くのは至高の贅沢だと思う。
「グレイス様、血が……」
「これくらい俺がやっとくわ。それに、傷は男の勲章だ!
成長しているとおもってくれ!」
このメイド、名前をリシェルっていうんだけど、心配性なんだ。
俺が生まれた時からいる、若い女性で見た目と服装が相まって、
すんげえかわいい。
まだ俺は小さいから、ちょっとしたいたずらは受け入れてくれるけど、
やりすぎると親父や母さんにちくられる。
だから皆、スカートめくりと千年殺しは、節度をもってやろうな!
「わかりました。それで、グレイス様、一時間後ツバル教授によるお勉強でございます」
「っし! この国の風土を勉強して、もっと繁栄させるぞ!」
金のために!
俺はリシェルの脇を抜けて、温泉風呂にきて汚れと汗を落とす。
そして嫌で仕方ないけど、香水をつけていつの間にか用意されてた服を着用。
終わったら教務室へ直行!
そこでツバル教授と言う名の外交秘書に、勉強を教えてもらう。
最初は変にきつい匂いの香水のせいで集中できなかった勉強も、
リシェルに柔らかい匂いの香水を用意させて教授の教導がよりよいものになって
楽しいものになった。
ああ、大切にされてるんだなぁ。
俺は意識が覚醒してから親父と母さんの顔を、見たことがない。
だから二人は、俺の数少ない身内に等しい存在だ!
「ファシズム吹き荒れるのでしたら、なぜデモクラティックテロを起こさないのですか?」
「獣人国家が、相互監視社会だからだ」
完全に教師と生徒の関係。
そういう関係を望んだのは、俺だ。
変に気遣われるより、直球のほうがいい。
その方がわかりやすいし、先生の本音がわかる。
たまに耳を塞ぎたくなるような、えげつない話も出る。だが、数少ない裕福な家庭であるからこそ、
国内外の情報に精通しなければならない。
情報は武器である。
武器も道具も使いよう。使えなければ、ごみと同じなんだ。
俺はどちらも利用する。
そう、フィギュアと金のために!
あ、今思いついた。
先生との授業中に、俺のステータス、レベル制がどんなものになっているか見てみよう。
レベルは5。
ステータスとして、持久力・耐久力・忍耐力・瞬発力・魔力・運がある。
大体みてりゃわかると思うけど、持久力は体力というかスタミナ。
耐久力:肉体の防御力、これを超えられると骨折や打撲する。最悪、壊死する。
忍耐力:精神の耐久力。憑依・自己暗示など、精神に関する事由の脆弱性を示唆する。
瞬発力:筋肉の伸縮能力や脊髄反射速度を示す。
魔力:魔法に関する第五の物質の状態を使う為の力。
運:偶然と必然が交錯するとき、それは運命になる。
うーん、半分くらい説明が抽象的なのはなんでだろうな?
あ、これヘルプ機能で見てるんだわ。
ちなみに俺の能力を見たって、この世界だとステータスに表示されない技術と経験が
数値を超える事は証明されてるから見せない。
つまり一度試合した時、格下の能力を持つ相手に敗れたってこった。
俺はもう、びっくりしたね。それと同時に尊敬したよ。
だから俺は勉学に真剣になっているってのもあるかなぁ。
「そういえば、来月グレイスのお父さん外遊から戻って来るぞ」
「おお! それは重畳! 早速親父に甘えて、懐から余った外遊資金をせびってやる」
「金にはがめついな、お前」
「褒めんなよ、先生。それに、未来のための投資さ! なぁに、世界に俺と俺たちの国が、如何に魅力的か平和的にも物理的にも証明したるさかい!」
褒めてないんだがなぁ、と先生は頭の後ろを掻く。
モノクル白髪ツバル先生は、国学を俺に教唆して帰った。
「グレイス様、お食事です」
「お、飯か? 早いな」
「既に夕餉時刻は過ぎてますので」
いつの間にか規定時刻は経過していたらしい。
しょうがないね、政治が面白いからね。
「じゃ、皆で食べようよ」
「しかし……」
「ミシェルさんの双丘にダイブしちゃうぞ♪」
「わかりました、みんなで食べましょう」
そんなに嫌かな。
確かにミシェルさん好みの顔じゃないとしても、悪くはない容姿だと思うぞ?
というわけで、使用人の皆と一緒に食べました。
敬語まで使用可能で、悪口も言っていいことにした。
建前を捨てることで、労働環境に関して色々聞けるもんさね。
そのおかげか、老朽化した場所を更新したり、心霊スポットらしき場所を除霊することができた。
途中で教団の邪魔が入ったり、面倒なことがあったけれど恙無く終わりを迎えた。
俺の世界はこの屋敷周辺で終わっている。
別に今はいいと思う。まだ雛鳥なんだから。無駄に羽ばたいてエネルギーを浪費しても、
餌の取れない時もあるし巣から落ちてしまうこともある。
無駄な行動で、無意味に時を過ごしても俺にとって良くない事なんだ。
そういうこと。何も起きない限り、俺から動くことは控えることにしている。
つまらない?いや、雌伏の時さ。
いつか雄大に羽ばたくから、見ていてくれよ。