///始まりの都市///
コンクリートジャングルが平野一面に聳え、その蒼天の下雄大で壮大な景色に息をのむ。
現代日本。
この国で、世界を徐々にむしばんでいく現象が発生し始めた。
2020年。オリンピックという重要な国際行事がある今年。都市にて、謎の広告が出回っていた。
その広告を受け取る少年が一人。
彼の名前は、菅谷淳。どこにでもいそうな、高校生だ。
と言っても、らいねんで卒業してしまうわけだが。
「えーと何々ー?《警察官を募集中。年齢学歴如何を問いません》? こんなのだれがつられるんだよ」
裏には、つられる高月給の金額。さらにバイト感覚でもいいそうで、自給2000円という破格の待遇だ。
「んー。バイトは首になったし、行ってみるか。駄目なら、やめればいいし」
高校生で公立だが、今はあいにくのゴールデンウィーク。後に報告書を出せば、お咎めなしという待遇だ。
公立なので、こういうアルバイトの許可はなかなかない。
しかし感想文をつければ、大抵は許されるのだ。
「じゃ、昼行けばいいか」
菅谷は準備を整え、さっさと近場にある交番にチラシを持っていった。
彼は知らなかった。まさか、命を懸けるレベルの事案に巻き込まれるとは。
人気が少ない昼の交番。
更に拍車をかけるように、ここの警察官は若い人でなく、初老の人がいる。
「おっちゃん、これ」
「おお、菅谷君じゃないか。って、あーこれかー」
菅谷を知っている初老の警官。二人ともボランティアで知り合って、そのあと色々あって今の付き合いがある。
だから手渡されたチラシを見て、しぶる表情を見せた。
「まあ、俺から話をつけておく。面接もいらんだろ」
「ありがとう、おっちゃん」
菅谷はそのまま帰宅し、明日のために勉強することにした。
次の日、菅谷の部屋に警官バイト合格通知が届いた。
「お、来た来た! えーと、夜の22時に近くの届け出た交番に行くのか。オーライ。
そんじゃ、おっちゃんのところに行って、復習すっか」
菅谷は準備をして、交番に行く。
そこにはいつも通りの警官が二人いた。
彼はおっちゃん警官とお兄さん警官とあいさつを交わして、バイト内容の照らし合わせを行う。
今回のバイトの内容は、本当にアルバイトということで足りなくなった夜の巡回を行うというものだ。
駄弁るのだが、一気に夜まで飛ばそう。
さて、夜の22時。菅谷はおっちゃん警官と一緒に、本部へ同行した。
そこではいろんなところから集められたバイト達がいて、その中で説明を受けず銃器の扱いと法律に関してのみ
教えられた。
しかし不安が出てくる。それは一切として、任務内容が告知されないからだ。
おっちゃん警官も全くしらないようで、無口を貫いている。
菅谷は嫌な予感がした。
現在も冷や汗で、体温が上昇している最中。
夜の裏道にて、菅谷は河野という二十歳のバイト大学生と共に、ツーマンセルを組んで哨戒任務にあたっていた。
そんな時、女性と男性の悲鳴が聞こえた。
「河野!行くぞ!」
「応よ、菅谷!」
菅谷は河野に対して、目上の対応をしていた。
しかし河野はいちいち、『さん』とか『ですます』を言うと、伝えたいことが二・三文字遅れてしまうので、ため口または箇条口調で言うようにお互い認識しようということになった。
河野は年下からのため口に、いらついているようだが仕事なので効率を優先した。
そのけっか、自身の首を絞めることになる。
「ひぃっ、なんだこれ!?」
「だれか、助けて!!」
(そういえば、ニュースというか2チャンネルで、スライムがどーの言ってたな)
今現在二人組のカップルは、ごみの塊に襲われている。
それを見て菅谷は、最近のニュースやトピックで流されているスライムだったりUMAに関して、
ちゃんとした確証を持てた。
「スライムというか、非科学的な何かか!ならば、どこかにコアがあるはずだな」
「群衆体だった場合、まずくないっすか?」
「その場合だったら、銃弾を解体して火薬を打ち付け燃やすしかない」
というわけで菅谷が二人組のカップルを救助して、そのまま退却する。
すぐに表に出るためだ。
そして河野は三人を守りながら後退する。
ガンッガンッ
リボルバーのセーフティロックを外して、正確に打ち抜いていく河野。
これにより、敵のゴミスライムはドロドロに朽ち果てた。
「最近ぶっそうですから、怖いもの見たさで裏路地に入らないでくださいね」
「すみません、ありがとうございました…」
「無事ならいいよ。さあ、早く帰るんだ」
カップルは無事に表にでて、帰っていった。
河野はここにいない。不思議に思って菅谷は、裏路地に再度入っていく。
念のためリボルバーを射撃準備に移行して、彼を探しに行く。
すると河野が複数のごみや鳥のような何かと対戦していた。
菅谷は河野の隣に立つ。
「助けに来ました。すぐに逃げよう!」
「ああ。しかし、こいつらはほっとけない!既に無線とGPSで、場所を送っている。
増援が来るまで少し耐えておこう」
「オーケー!!」
菅谷は河野と共に、動き回って敵を打ち抜いていく。
徐々に残弾数が心許なくなってきた。
「撤退しよう!これ以上はまずい!」
「よし……逃げるか!」
「シュア!」
逃げた。
表に出て、しばらく道を行っているとパトカーが近くに止まる。
「あ、応援ですか!? 助かります!」
「バカ!近づくな、こっちこい!」
菅谷がパトカーに近寄った時、河野が彼の襟を掴んで近くの物陰に隠れた。
その瞬間、射撃音が聞こえた。
「目撃者だ。殺す」
身なりは警官だ。しかし、どうみても警官ではない。
「どういうわけだ?」
「まずいですよね?」
「ああ、まずい」
「裏から逃げよう」
「その案、乗った!」
すぐに裏路地に入って、薬と力と欲が蔓延する世界を潜り抜けて逃走を図る。
途中で武器を拾って、湧いてくる不思議な生物を駆除した。
あり得ないと思う位、不思議な生物がたくさんいた。
その中で、赤い珠のようなものを発見する。
「これは?」
「現地に到着したとき、腕輪を貰ったよな」
「ん?うん」
今日哨戒現場に来るとき、おっちゃん警官から不思議な腕輪を貰った二人。
それの中腹にはカバーがあって、それを外すと何かくぼみが8つある。
小さな球が入りそうな感じがする。
そこでその赤い珠を拾って、腕輪に近づけさせた。
なんとなくだった。
そんななんとなくが、正解を導いた。
河野の腕輪に、赤い珠が設置された。
「おお!」
「能力とかいう物が可視化されたんだが?」
「すげえ……」
お互いに周囲の敵を撃破して、赤い珠を拾っては腕輪に装着すると能力一覧が出現して
その赤い珠が強化されていった。
『赤い珠』+17:集めて+20にすると、本業を手に入れる。
「よくわからん。だが、この武器を使って、遠近で戦っていこう」
「だね。本部は頼れない」
「つーか。警察に頼れない」
途中裏道で、ゾンビらしきものに襲われるが、この物欲MAXな二人に恐怖感は植え付けられなかった。
これにより珠が集まる。
『赤い珠』+20:本業入手。
<本業を入手しました。ステータス一覧が解放されます>
【本業―B『警官』:基本装備の銃弾が減らない。仲間や敵がいるほど能力に+補正。(腕輪で補正変化)
装備:警官一式・ノーブルリング
装着護符:――――】
「これは・・・」
「非科学的で、ありえない。でも、何か起こってるよね、確実に」
「ああ。これは…俺たちはまずい状況にいるのかもしれないな」
そんな二人に、ごみスライムとゾンビ・・・新たにネズミが加わった。
「朝まで耐えきれるかな?」
「オーケー、耐えきってやるよ!」
「その意気だ。行くぞ!」
二人は警官の補正により、視野が広がる。これによって、後方からの不意打ちへの対処ができやすくなった。
ガンッガンッ
無限に射撃できるリボルバーのおかげで、敵の掃討をこなしていく。
ゴミ箱やほかの分岐点、物陰からの強襲でも怯んだりしたが危なげなく撃破。
「すこし気を緩めないと、続かないな」
「集中は結局乱れますからね」
「ああ。ところで、こんなものも拾ったんだが?」
それは黄色い珠と貰った腕輪と違う色のものだった。
「黄色?俺は青の拾ったんだけど」
「ほほう?」
河野は拾ったやつを装備してみようと提案し、さらに色の違う腕輪を河野は菅谷に手渡してはめてるように言う。
腕輪を交換した菅谷は、さっそく青い珠をはめ込んでみる。
すると赤い珠の隣に、装着した奴が配備される。
「ちょっといじくってみるか」
いじると、その珠はそれぞれ倍率とレア度が書かれていて、一覧から発動するスキルを選べられるようだ。
しかし選ぶと二度と変更が効かず、一度廃棄して別の奴を入手しなければスキルを再度選考できないとのこと。
『黄色い珠』:ちょっと珍しい珠。普通のスキルを発生する。効果が低い。
『青い珠』:かなり珍しい珠。少し強いスキルを発生する。効果が少し高い。
「何を選んだんだ?」
「俺?俺は『集中力』を選んだよ。河野は?」
「俺は『能力向上』だな。もう少し検証しよう」
【本業――:――――
副業―B『警官』:銃器の銃弾がなくならず、威力上昇。仲間や敵がいるほど能力に+補正。(腕輪で補正変化)
装備:警官一式・エアロスロックリング
装着護符:『集中力・青』】
(なんだろう。頭がすっきりした感じがするし、集中しても目も肩も疲れない。オーレディー。最高だ)
二人が戦闘していくと、更に悲鳴が聞こえる。
それは聞いたことがある人物だ。
「おっちゃん!」
「おじさん、今行くぞ!」
「すまん、助けてくれ!」
そう、あのおっちゃん警官が取り押さえられていたのだ。
誰にって?
警官の姿をしたバケモノに決まっているじゃないか。
「離れろ!」
「オーライ!」
「分かった!」
河野がそういうと、皆退避行動をとる。
おっちゃんもすでに拘束から外れているので、すぐに敵から離れる。
するとその直後、河野の銃から禍々しい色の光線が射出され、周囲一帯の敵と物体を蒸発させた。
「げっ」
「これはまずいっ」
「オー、なんてこった。これは逃げよう」
「逃げられると思っているのか?」
いきなりの声。
後ろからかけられたので、全員前進しながら後方を振り向く。
その姿は警官の装備を身にまとっただけのチンピラのようだった。
「さて…取引をしよう。ここらはすでに抑え、包囲してある。
よって…死にたくなければ、その腕輪を渡すんだな」
「そうか。ならば、それに見合った対価を要求する」
おっちゃん警官が、睨みを利かせ相手に譲歩をもたらせる。
すると相手は少し笑って、「肝が据わった奴らだ」とつぶやき情報を与えてくれることになった。
先に情報を伝える事になる。
「そうだな。お前らにゃ関係ねぇ事だが、聞かせといてやる」
チンピラは一人の人間をよこして、説明を始めた。
事は二週間前、謎の歪な鍵が裏路地で見つかった。
別に変哲もないものだったが、警官ではなくどこかの社員が持つとブラックホールが発生。
そこから得体のしれない者が出現した。
それは周囲を襲い、老若男女を排除し始めた。
だが周囲にいた俺たちヤクザは、仲間とシマを守るため殲滅した。
その時出てきたのが、リングとジュエルだ。
その効果はお前たちも味わっただろう?
そしてその異体とブラックホールは、周辺に異変をまき散らした。
異変は周囲の物体を異物に代え、それは表ではなく誰もいないまたは異世界の裏路地に広がった。
表世界は俺たちや警察が駆除した。
今も徐々に裏世界と表世界を侵食しつつある。
「というわけだ。俺たちはシマを守るため、戦力となるリングを貰いに来た。
そうだな…二度とかかわらないなら、命だけは助けてやろう」
「その言葉に偽りはないな?」
「ああ。俺たちは漢だ。約束は守る」
そういって警官三人は、腕に装着した初期化されているリングを渡した。
「ちっ、しけてやがんな」
そういって、三人を表世界へ突き出した。
「じゃあな。二度とかかわるなよ」
本当に返してくれた三人。
しかしヤクザ系は、ろくな話を聞かないので闇討ちを警戒して本部まで帰還する。
「何かあったか?」
「はっ、実はですね…」
報告を三人で行うと、護衛を付けられることになった。
ヤクザ系であるのと、今回の目的である異世界の異物の排除が容易ではなくなったことについて。
色々と面倒になったためである。