漫画家と主夫高校生のD×D   作:カチカチチーズ

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本作も今回でようやく話数が2桁に!
いやぁ、めでたい……約束に寝坊したけどなぁ……
2018年ももうすぐ終わりですが、その間にもう一話かけるかな?


聖剣闘争のガンナー
十頁


 

 

 

 

 

 

 

 美味しいコーヒーを淹れるにあたって、コーヒーの抽出方法には複数種類がある。

 大きく分けて四種類。ドリップ、サイフォン、プレス、エスプレッソ……他にも種類があるかもしれないがともかく四種類。香りや酸味、コクなど好みの味によって抽出器具やその方法が変わる。

 飲めれば大してどれも変わらないとか何とか二亜はほざくがやはり、そのちょっとした味の変化が絶妙にマッチするものがあるのだ。それを二亜に説いたところ、「あー、なるほどね。一つ属性が違ったりすると凄く性癖に来るよね!」とかなんとかお前、コーヒーと性癖を一緒にするなよ、スプリングフィールドとワーちゃんに謝れ。ついでにセクハラした事も謝れ。

 まあ、そんな事を宣った日は流石に俺も頭に来たので二亜のデザートをアルテミシアにあげたんだがな。

 

 さて、話は戻るが俺の好みの淹れ方は曰く世界で最もポピュラーで人気のあるらしいドリップ方式だ。

 まずは必要な器具を用意して、普通に水を沸かしていく。その間にコーヒーが冷めないようにするため、ドリッパーや抽出器具、コーヒーカップらをお湯の中───これは既に用意していたけど、コーヒーに使わないお湯───へと入れておくことで温めておく。

 次にパッケージからペーパーフィルターを一枚取り出してささっと折っておく、おっとそろそろ止めないと水が沸騰するな。

 お湯から引き上げ軽く拭いたドリッパーにペーパーフィルターを密着させるように入れて、沸騰する前に火を止めたお湯を用意する。抽出温度はだいたい90度弱だ、沸騰させない方がいい。

 そうして、直前に挽いておいたコーヒー粉をドリッパーにセットしたペーパーフィルターへと投入。この際、表面は平になるように……しかし、中央は気持ち窪ませるといい。

 

 

 さて、こうしてお湯もコーヒー粉も用意したらあとは淹れるだけ────ではなく、まず先に抽出をしなければならない。

 ポットからお湯をそっと置くように粉の中心に細く注ぎ込んでいく、この際にポットの先端が粉面から3センチほど上に来るようにするとコーヒー粉が飛ぶことが無い。

 そうして、しばし蒸らしの為に時間を置くとコーヒー粉は水分を含みふっくらと膨らむ。蒸らしが終われば、粉の中心からゆっくりと外側へのの字を書くようにお湯を細かく注いでいく───一番外へ行けば逆に中心へと戻らせていく。きちんと抽出量を確認しながらお湯を注ごう。

 コーヒーを人数分抽出し終えたら、フィルターを外して片付けて、温めておいたコーヒーカップを取り出しコーヒーを注ぐ。これにて完成。

 そして、冷蔵庫から先日作ったチーズケーキを取り出し皿へと乗っけてフォークと共にコーヒーカップを添えれば、週に一度の俺の楽しい楽しい放課後コーヒータイムの始まりなわけだ。

 

 

「いやぁ、この日の為だけに学生やってるようなもんだよなぁ……」

 

「ふふ、貴方らしい」

 

 

 コーヒーを啜り、チーズケーキを口へと運びながらにへらと笑えば、俺の対面に座る彼女は微笑む。

 二亜ではない、アルテミシアでもない、では誰だろうか。

 さながら銀世界の妖精が如き美しい銀雪の長髪の大半を後頭部で纏め瞼を閉じた学生服を身にまとった少女。

 スラリとした手足になかなか豊かな胸部装甲、日本人離れしたその容姿はロシア人のハーフ故だろうか。そんな彼女の名はドゥヴェーナッツァッチ・クルーガー────という設定だがまあ、ここでは名前ではなく彼女としておこう。

 

 

「それで?俺の家に来るなんて珍しい」

 

「そうかしら?……ええ、確かにそうね。でも、逆に聞くけれど―――私が来るのは嫌い?」

 

「まさか」

 

 

 彼女の悪戯めいた笑みに俺は苦笑しながら、チーズケーキを口に運ぶ。うん、まろやかで美味い。

 

 

「私が来たのは、フフ、9に45とイチャついてたからです」

 

「なに、ドヤ顔してんだよ。ちょっとよくわかんない」

 

 

 彼女は基本的に優秀だ。もし俺がターゲットになったらと考えれば悪寒が止まないレベルで彼女は優秀だ。

 だがまあ、何事にも完璧なんてもんがないように、自称完璧のHK416にもヒステリックな欠点があるように彼女にも欠点が存在しうる。

 それは、まあ、こんな風になんか変な所でポンコツなんだこいつ。

 

 

「ンで?本当の理由は?」

 

「もう……少しぐらい乗ってくれてもいいじゃないですか。―――三大勢力が何やらきな臭いわ」

 

「アイツらが臭いのはいつも通り―――とは、違うわけだ」

 

 

 俺の言葉に彼女は頷き、俺はフォークを手の中で軽く回す。

 そうしながら、俺は脳裏で現在の時系列を思い浮かべ、原作での出来事を想起する。はてさて、フェニックスはどうなったのやら……もしかしたら終わったのかもしれない。そうなると、次の出来事は────

 

 

「ハッ、三勢力揃ってのぶつかり合い……単なる小競り合いなんかじゃあない。時代が動く、その前日譚―――馬鹿じゃねえの」

 

 

 フォークをチーズケーキに突き刺して、俺は未来を吐き捨てる。

 そんな俺を見てもなお、彼女はその微笑みを絶やさずその閉じられた瞼、その向こう側から多くを見透かす冷たい視線が俺を穿く。

 だから、そんな視線に俺はいつも通り嗤って返す。

 

 

「神がいなくても世界は回る?当たり前だ、神がいない世界を俺は知っている。何をお前らが世界の在り方を決めているんだ反吐が出る」

 

「でも世界の在り方なんて、どうでもいいんでしょう?」

 

「まあ、それは当たり前な話だよ。基本的に俺は身内さえ無事なら悪魔が滅ぼうが大丈夫だしな」

 

 

 まあ、ともかく。極論、俺はなんだっていいのだ。二亜やアルテミシアが悪魔の魔の手に捉えられなければ悪魔が生きようが死のうが和平を結ぼうが結ばなかろうがどうだっていいのだ。

 でもまあ、万が一が嫌だから悪魔を殺しにいくのだが。

 はてさてはてさて、どうするかどうするか。主夫高校生らしくするには────

 

 

「貴方は貴方らしくすればいいのでは?」

 

「――――ハッ!それもそうだネ!ま、ひとまずは目先の事だよなぁ」

 

 

 ひとしきり笑った後、耳に突っ込んでいた無線機から通信が入って……

 

 

「ン、わかった」

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ベラルーシ────世界最北の内陸国。

 ロシア、ポーランドの間に挟まれた国であり、嘗てはソビエト社会主義共和国連邦────通称ソ連の一部であった国である。

 ソ連崩壊後は独立し共和制国家となった国で日本では白ロシアと呼ばれている。

 そんな世界最北の内陸国、その北部にある州ヴィーツェプスク。

 人口129万4700人のその州のとある一角に彼はいた。

 

 

 いつも通り、何も変わらない銀のFive-seveNを左手に、刺剣を右手に持って、その外套を血で濡らした死銃がいた。

 彼の足下に広がるのは何人もの武装した人間だったモノ。総じてその身体に刺突の痕を、銃弾の痕を、そしてその頭蓋が吹き飛ばされている。そんな肉塊を軽く蹴って、Five-seveNをリロードしつつその髑髏のマスクの赤い眼光が一点を睨む。

 

 

《……来たか》

 

「ふむ、相も変わらず容赦のない」

 

 

 そんな感嘆する声と共に死銃の前に姿を現すのは黒い衣服に身を包んだ黒髪の偉丈夫。死銃にとって警戒するべき知己の男。

 

 

《コカビエル》

 

 

 旧約聖書偽典『エノク書』にて名を記されし天使の一体であり200体もの同胞と共に人間の女と交わる誓いを立てた、神の子を見張る者に属する堕天使。彼の堕天使は人間に天体の兆、すなわち占星術を教えたという。

 そんな、堕天使の勢力の中でも幹部に位置する堕天使を前に死銃は動かない。

 動けないのではなく、動かない。本来ならば戦うべき相手を前に死銃はその手のFive-seveN、その銃口を向けることすらしない。だが、しかし

 

 

《(ダネル────構えろ)お前が、俺を呼ぶなど、珍しい話だ》

 

「そうか?ふむ、確かに依頼自体は仲介人を挟んでいたな……こうして呼び出すのは何時ぶりか」

 

 

 まるで友人のようにしかし、互いに踏み込まずに語る。

 もしも、どちらかがその力を相手に向けようものなら確実に殺し合いが起きるであろう───とりわけ、死銃ならばすぐさま指示を飛ばすだろう───中、先んじてコカビエルが口火を切った。

 

 

「仕事だ。受けても受けなくてもいい」

 

 

 仮に受けなくても、今日会った事を忘れるならば俺は何もしないし言わない。

 そんな、らしくない言葉を聞いて、死銃はそのマスクの下で訝しげな表情をしながら一歩前へ出る。

 

 

《聞くだけ聞かせろ》

 

「……貴様の事だ。既に知っているのだろうが、ここ最近俺たち三勢力……そのトップ共が何やら企てている。あの魔王など似合わん悪魔共やアザゼルの事だ……何を企てているのかなんとなく察せれる」

 

《ふむ》

 

 

 コカビエルの言葉に死銃は同意しつつ、その次の言葉を予想していく。

 内外共に戦争狂のレッテルを貼られ、堕天使勢力では鷹派の中でもとりわけなこの男が直接依頼を出すなどその内容は概ね一つしかないだろう。

 

 

「和平――――なるほど、理解は出来る。だが納得は出来ん」

 

「そもそもだ。これが戦争に勝った負けたの後に行うのならば俺とて何も言わん!だが、俺たちの戦争は中途半端に終わった……勝敗など何もついていない!何より、何より、俺たちは、堕天使は悪魔は天使は長命だぞ!?悪魔には初代などの嘗ての時代で戦っていた者らが未だに生きている、我々や天界はどうだ……いまだ嘗て同様現役でいるのだぞ!?つい少し前までやり合っていた相手といきなり仲良く出来る訳が無いだろォ!!」

 

 

 そう、コカビエルのその叫びは実に、実に正論であった。

 悪魔も堕天使も天使も嘗ての大戦に参加していた者が多く生き残っている。特に貴族悪魔などがそうだ、老害は政治から身を引いたとしてもその影響力を政界に残している。

 そんな現状で和平など馬鹿のすることでしかない。先の話を知っている死銃、鴎は思う。

 

 

《(アザゼルとしては同一の敵を前にすれば協力し合えると思っているのだろう。事実、先の戦争では二天龍という同一の敵に協力して戦ったからな……だが、今回に関しては外部からの敵ではなく身内から出てきた敵だろうが……)》

 

「だが、奴らはそれに対して何もしない……何もせずに和平などを結ぼうとしている。そこでだ、奴らが、アザゼルがそんな勝手な事をしようというのならば俺も好き勝手やらせてもらう」

 

 

 そこまで聞いて鴎は納得した。

 つまり、コカビエルはただ戦争をしたいわけではないのだ。

 アザゼルへ、自分たちのトップに対する文句を反抗心を、突きつけたいのだ。現実を考え欲しいのだ────だが、それも全て和平を促進させる材料にしかならない。

 

 

「死銃、Sterben。貴様の力を貸せ。俺は戦争を起こす、平和ボケした馬鹿共の頭を殴りつけ現実を見せねばならない。まずはその為の下火を作らねばならない、その為に貴様の力が必要なのだ」

 

《――――ハッ、そりゃなんとも》

 

 

 嗤う。笑う。哂う。

 馬鹿にする為に笑うのではない。

 死銃、宗像鴎は三勢力の人外が嫌いだ。

 悪魔が嫌いだ。子供の内に生きたままセメント漬けにしたい程度に嫌いだ。

 天使が嫌いだ。そもそも悪魔や堕天使に目をつけられ攫われ利用される人間、その原因の根本は死んだ奴らの親玉だからだ。

 堕天使が嫌いだ。神器を持つ存在を将来危険な存在になるかもしれないという理由で殺すから。

 だが、だがしかし。この三勢力の中で一番マトモなのは何処かといえばまあ、どんぐりの背比べ五十歩百歩であるが堕天使がまだマシだろう。無論、ダメ出しする場所は、叩けばホコリが玉で落ちてくるほどにはあるのだが。

 

 さて、そんな堕天使の中で、この男コカビエルはそれなりに信頼はしている男だ。

 初対面の時はともかく、転移封じの術式やら対魔用の物品などの一部はコカビエル経由で得ている程度に。この男、コカビエルは堕天使の中では基本的にマトモだ。

 人間を見下す様な言動をするがしかし、それは一種のツンデレと言えるようなもので、コカビエルにとって人間とは弱く守護せねばならない存在だ、だから弱い人間を戦場から追い出す。無論、強者ならば素直に認める。

 戦争さえ絡まなければ、ツンデレな所さえ微笑ましく思えばこのコカビエルという堕天使は本当にマトモなのだ。何処かの被虐趣味の堕天使とは大違いである。

 

 

「…………頼む」

 

《まあ、勝手に行かれて死んだという話を聴くのは後味が悪い。それに俺は傭兵だ、きちんと報酬さえ出されれば何も言わんさ》

 

「Sterben……感謝する」

 

 

 頭を下げるコカビエルに死銃はヒラヒラと刺剣を持った手を振る。

 それと同時に無線により待機させていた狙撃手を下がらせ、そのまま死体処理班を呼び寄せてコカビエルと共にこのテロリストの簡易拠点だった場所を後にした。

 

 

 




今回は原作3巻に首を突っ込むための前準備という感じです。
コカビエルならしっかりとした実力のある傭兵を雇うだろうなぁと考えての事です


ガチャピンさんは俺たちの真の仲間だ
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