漫画家と主夫高校生のD×D   作:カチカチチーズ

15 / 62
えー、前回クソみたいなミスをやらかした鴎です。
悲しいね。
大変だね。
ところで紫式部出ないんだけど?どうして?ねえ、どうして?


十五頁

 

 

 

 

「ああぁぁぁぁあ……クソミスった……死にたい」

 

「おいおいおい、指揮官死ぬなよ。まだ二亜も死んでないんだからさ」

 

 

 そんな声が頭上より落ちてくる。

 気遣いなどではない。単純な冗談でしかない言葉だが今の俺には少し耳に痛い言葉である。

 故に俺はその言葉を弾く様にフードを被り直す。

 先の戦い。教会から派遣されてきた聖剣使いである紫藤イリナとゼノヴィアを相手にしたあの戦闘で俺は結局の所、特に何か得るものがあったわけでもなくただ単純にあちら側にこちらの戦力の一部という情報を与えてしまった。

 そんなもはや馬鹿丸出しとしか言えないようなやらかしをしてしまった俺は、M16と深夜ラーメンをした後こうしてコカビエルの拠点に戻ってこのようにうでうでしている。

 まったくもって馬鹿らしい。

 一体何年傭兵をやっているんだ、という話だ。

 思い返すだけでも死にたくなってくる。辛い。でだ、そんなクソ雑魚ナメクジな俺は現在M16の太ももを枕に嘆いてるわけだ。膝枕だよ、羨ましいか?羨ましいだろ?嫉妬で泣け。

 

 

「そりゃあ確かに情報だけ与えたのは不味いな。でもまあ、どうとでもなる情報だろ?指揮官」

 

「ン……いや、まあ、Aegis三……じゃなくて四か。それに雀蜂が二体……確かにこれぐらいどうとでもなるが……それでもなぁ……」

 

 

 あのやらかしは傭兵としてどうなんだ?って奴だし……。

 と、そんな俺の心内でも読んだかM16は俺の頭に手を置いてまるで犬かSOPを撫でるかのようにわしゃわしゃと俺の頭を撫で散らかす。

 特に止める理由もない為、膝枕のままM16の手を受け入れる。わしゃわしゃとしているがしかし、煩わしさは一切なく姉らしさのような優しさを感じる……二亜やアルテミシアとはまた違う感覚だ。そもそも今世前世含めて俺は一度も姉というものがいない、ちなみに下も上もいない一人っ子なわけだが……いや、話がズレた。

 

 なんともまあ、クソみたいな醜態もといやらかしをしてしまった俺はクソ雑魚メンタルで胃がキリキリしてるなう。

 まあ、さっきも言ったがそんな俺をM16が慰めてくれてるんだが……アレだな。簡単には治らんな。はぁー、クソ雑魚メンタルですわぁ。

 

 

「指揮官指揮官、まだ仕事残ってるんだからそろそろ、な?」

 

「…………二亜とアルテミシアと酒池肉林したい」

 

「ダメだ、指揮官のクソ雑魚メンタルがイカれてる……」

 

 

 上からなんとも呆れたような声音が聞こえるが無視。俺のクソ雑魚メンタルはもうとっくにぼどぼどなんだよ。

 はぁ……。こちとら、メンタル雑魚くて胃が弱いんだよ。

 だから、俺はもうこのまま寝落ちしようとして────────

 

 

「ン」

 

 

 繋がっている無線からの連絡に目を開いた。

 

 

「…………クソったれ」

 

 

 寝転がった体勢のまま身じろぎして、俺はM16の足元らへんに転がっている死銃のマスクを拾い上げる。

 ……拾い上げたはいいが胃がキリキリすんだが…………

 

 

「どした、指揮官」

 

「Dinergateから無線。聖剣使いが赤いのと接触だとよ」

 

「……?それ昨日も会ってなかったか?」

 

 

 それとは別。

 そんなふうに呟きながら体勢というか身体の向きを変える。さっきまでは外向き……ああ、つまるところM16の反対側に顔を向けていたが現在はM16側に顔を向けている。

 まあ、そうするとどうなるのかというと、まんまM16のお腹を見ることになる。あ、なんかフローラルな香りするわ。やっぱりM16も女なんやな……

 

 

「……な、なぁ、指揮官」

 

「ン……?」

 

「いや、その、な?ちょちょっと腹がむず痒くなるから向き直してくれないか?」

 

 

 可愛いかよ。M16姐さん大丈夫か?

 あ、ちなみにだが向きは変えるつもりはない。スプリングフィールドは喜んでこのまま寝させてくれたぞ。あ、これは絶対に二亜とアルテミシアには言ってはいけない。

 アルテミシアはともかく二亜は露骨に不貞腐れる。

 

 ああ、でだ。

 話は戻るが。

 

 

「とりあえず、こっちからはしばらく出ない。俺のクソ雑魚メンタル的にも外に出たくない……」

 

「お、おう……」

 

「まあ、あっちから来たんなら……しゃあなしだよなぁ…………」

 

 

 軽くため息をついて俺は少し頭の位置をズラす。具体的に言うとM16の太ももから少しM16に近づいてほとんどスカートら辺に頭を置く。

 M16が何やら一瞬戸惑っているがそんなことは無視無視。

 

 ちなみにだが、こういう風に膝枕をさせてくれる人形は以外に少ない。

 というのも、単純に俺の禁手(バランス・ブレイカー)で製造した名付き戦術人形(ネームド・ドール)の内、I.O.P系列の人形は元々種類も多く膝枕をさせてくれるような人形ばかりじゃあないからだ。

 先程も述べたが膝枕させてくれるのはスプリングフィールドやAR-15にAK-12、ナガンM1895とかROとか。後は機嫌がいいとWAもやらせてくれる。

 え?UMP姉妹?あいつらはSOPMODと同じく俺にさせる側だから。おう、Five-seveNお前もお前で俺にやらせようとするな。

 鉄血系列に関してはノーコメント。

 

 

「ああ、そうだ」

 

「ん?どうした指揮官」

 

「工房に連絡を。一応念のために、Manticoreの用意を」

 

 

 あくまで念の為だけどな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「‥‥話はわかったよ」

 

 

 街のファミレスにて木場祐斗は嘆息しながらコーヒーに口をつけた。

 グレモリー眷属が『騎士』木場祐斗は同じグレモリー眷属である兵頭一誠からの連絡を受けてこのファミレスへと足を運んでいた。

 少し不機嫌さ、棘を感じさせる声音の木場祐斗の対面には白いローブを纏った二人組、教会から派遣された聖剣使いである紫藤イリナとゼノヴィアがいる。

 

 

「正直言うと、エクスカリバー使いに破壊を承認されるのは遺憾だけどね」

 

「ずいぶんな言いようだな。そちらが『はぐれ』だったら、問答無用で斬り捨てているところだ」

 

 

 そんなふうに棘がふんだんに盛り込まれた言葉を吐きながら睨みあう木場とゼノヴィア。そんな二人に外野であり木場を呼び寄せた兵頭一誠はその首筋に冷や汗を垂らす。

 だが、二人にはそんな兵頭一誠の心内など察することは出来ない。そして、それは他の外野にも言えることで.......

 

 

「やはり、『聖剣計画』のことで恨みを持っているのね?エクスカリバーと――教会に」

 

 

 この状況に油を注ぎかねない紫藤イリナの問いに木場はその目を細めながら、やはり棘のある冷たい声音で肯定した。

 

 

「でもね、木場くん。あの計画のおかげで聖剣使いの研究は飛躍的に伸びたわ。だからこそ、私やゼノヴィアみたいに聖剣と呼応できる使い手が誕生したの」

 

「だが、計画失敗と断じて被験者のほぼ全員を始末するのが許されるとおもっているのか?」

 

 

 まるで諭すような声音で話す紫藤イリナに木場は憎悪の眼差しと共に紫藤イリナの言葉を切り捨てる。

 なるほど確かに教会という神に仕える信徒が行うには処分という行為はあまりに残酷で非人道的極まりないものであろうがしかし、もしもここに鴎がいたならば彼は笑うだろう。

 今更過ぎる、と。十字軍しかり、魔女狩りしかり、神の名のもとにといくらでも正当化するのが宗教なのだ、と。鴎は笑うだろう。

 さて、木場の言葉に紫藤イリナは困ったようでそんな彼女にゼノヴィアが助け舟を差し出した。

 

 

「その事件は、私たちの間でも最大限に嫌悪されたものだ。処分を決定した当時の責任者は信仰に問題があるとされて異端の烙印を押された。いまでは堕天使側の住人さ」

 

「堕天使側に?その者の名は?」

 

 

 ゼノヴィアの話に興味が惹かれたのか木場はその話の続きを訊く。

 

 

「――バルパー・ガリレイ。『皆殺しの大司教』と呼ばれた男だ」

 

「……堕天使を追えば、いつかそのバルパー・ガリレイにたどり着くのかな」

 

 

 ゼノヴィアの口から語られた仇敵の正体に木場はその瞳に強い決意のようなものを浮かべる。エクスカリバー以外にもう一つ明確な目標が判明したからだろう。

 そして、だからだろう。木場は口を開く。

 

 

「僕も情報を提供したほうがいいようだね。先日、エクスカリバーを持った者に襲撃された。その際に神父を一人殺害していたよ。やられたのはそちらの者だろうね」

 

「「「!」」」

 

 

 それはつい先日に木場が体験した話。

 

 

「相手はフリード・セルゼン。この名に覚えは?」

 

 

 一振りの聖剣を携えた少年神父。その名前に教会組もグレモリー眷属も驚愕した。

 兵頭一誠はとりわけだ。思い出されるのつい先日のこと。彼が悪魔へ転生することとなった一件のこと。

 そして、ゼノヴィアは紫藤イリナと共にその目を細める。

 

 

「なるほど、奴か」

 

「フリード・セルゼン。元ヴァチカン法王庁直属のエクソシスト。十三歳でエクソシストとなった天才。悪魔や魔獣を次々と滅していく功績は大きかったわ」

 

「だが奴はあまりにもやりすぎた。同胞すらも手にかけたのだからね。フリードには信仰心なんてものは最初から無かった。あったのはバケモノへの敵対意識と殺意。そして、異常なまでの戦闘執着。異端にかけられるのも時間の問題だった」

 

 

 二人が語るフリード・セルゼンの人物像に兵頭一誠らは苦々しい表情を見せる。

 そこまで語ってゼノヴィアは口を閉じ、目を閉じて――――

 

 

「しかし、フリードか。まさか、ここに来て奴もいるのか……あの時の処理班が始末できなかったツケを私たちが払うことになるとはね。そして、一つこちらから忠告だ」

 

死銃(デス・ガン)。あの葬儀屋…ああ、いや、傭兵があちら側にいるぞ」

 

 

 そう言葉を締めくくり、ゼノヴィアは立ち上がりそのままテーブルの上に連絡先の書かれたメモ用紙を置いてファミレスを後にする。

 そんなゼノヴィアの後ろを追うように紫藤イリナも立ち上がり、

 

 

「あ、イッセーくん。イッセーくんのケータイ番号はおばさまからいただいてるから!それじゃあ、またね!」

 

 

 そう言い残して彼女もファミレスを後にした。

 さながら、嵐が過ぎ去ったような感覚だけが後に残った。

 

 

 

 

 

 

 

 そして、一体の働き蟻がひっそりとファミレスより姿を消した。

 

  

 




あー、M16姐さんに膝枕してもらいたいんじゃあ〜
スプリングフィールドでも可。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。