漫画家と主夫高校生のD×D   作:カチカチチーズ

17 / 62
古戦場中だけど投稿☆
まあ、基本的にパソコン執筆しながらスマホグラブルだからなぁ。



十七頁

 

 

 咲き誇るありとあらゆる魔剣。

 『魔剣創造(ソード・バース)』に対して『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』の能力である倍加分を譲渡することであそこまでの数を創造して見せた。しかし、だからどうしたという話だ。

 いまだ木場祐斗の魔剣はフリード・セルゼンの聖剣には及ばない。

 

 

「クソがッ!」

 

 

 現にフリード・セルゼンは悪態をつきながらも伸びゆく魔剣を横なぎに破壊していく。だがそんなフリードに隙を見つけてか、木場祐斗は自身の駒の機能である速度強化によって自身の魔剣を足場にして移動することでフリード・セルゼンを撹乱しようとして―――魔剣が一振り放たれた。

 どうやら移動中に魔剣を抜いて投擲したようだ。しかも一振りではない、数瞬後からそれ以外にも四方八方から魔剣がフリード・セルゼンへと殺到していく。

 

 

「あひゃひゃひゃっ、大道芸かっつの!俺さまのエクスカリバーは『天閃の聖剣(エクスカリバー・ラビットリィ)』!速さだけなら、てめぇみたいな腐れ悪魔なんぞに負けるわけがねぇんだよぉッ!」

 

 

 そう、狂喜に彩られた表情のままにフリード・セルゼンは魔剣を一振り一振り砕いていく。さらにはだんだんとその剣速は加速していき、常人では決して見えない速度で魔剣を破壊していく。そうして遂には周囲の魔剣を破壊したフリード・セルゼンは木場祐斗へ向かって斬りかかる。

 それに対して当たり前に木場祐斗は持っていた魔剣でそれを防ごうとする。だが、やはりその魔剣も容易く破壊される。

 

 

「死・ね!」

 

 

 もはや回避は不可能。

 フリード・セルゼンの聖剣が木場祐斗へと迫り―――

 

 

「やらせるかよ!」

 

 

 そんな声と共にフリード・セルゼンの体勢が崩れた。

 その場の全員の視線が一人へと集中する。その人物は匙元士郎、彼の手甲より伸びていた触手が彼により引っ張られたのだ。

 それによって、触手が右足に巻かれているフリード・セルゼンの体勢が崩れたのだろう。続けて次の瞬間には触手が淡い光を放ち始め、フリード。セルゼンから匙元士郎へと流れ込むように動く。

 

 

「……こいつは!俺っちの力を吸収してるのかよ!?」

 

「へっ!どうだ、これが俺の神器!『黒い龍脈(アブソーブション・ライン)』だ!こいつに繋がれた以上、てめぇの力は俺の神器に吸収され続ける。そう、ぶっ倒れるまでなぁ!」

 

 

 『黒い龍脈』インド神話における邪龍ヴリトラの魂の欠片を宿した神器の一つであり、兵藤一誠の『赤龍帝の籠手』ほどではないが十分珍しい部類の神器。

 どうやら、宿主によらずかなり厄介な部類の神器であるようだ。先ほどから何度も試しているがフリード・セルゼンはその手の聖剣で神器の触手を切断できていない。

 と、何やら匙元士郎が木場祐斗に向って叫んでいる。それを聞き木場祐斗の表情は複雑なものになっていた。その理由は単純だろう。復讐相手のエクスカリバー、その使い手に自分一人で勝てなかったのだから。

 数瞬おいて、決心したか木場祐斗は魔剣を作り出して―――

 

 

「ほう、『魔剣創造』か?『武器製造(ウェポン・ワークス)』のようなガラクタと違い、使い手の技量次第では無類の力を発揮する神器だ」

 

 

 殺そう。

 魔剣をフリード・セルゼンへ向けようとしたタイミングでそのような世迷言をたれながら初老の男が現れた。

 バルパー・ガリレイ。木場祐斗にとって不倶戴天、復讐の矛先の一つ。

 現に木場祐斗は憎々しげにバルパー・ガリレイを睨んでいる。

 

 

「フリード。何をしている」

 

「じいさん!このわけわかめなトカゲくんのベロが邪魔で逃げられねぇんスよ!」

 

 

 だがしかし、そんな睨まれているバルパー・ガリレイは木場祐斗らのことなどお構いなしにフリード・セルゼンへとアドバイスを行っている。そしてフリード・セルゼンはそのアドバイス通りに匙元士郎の神器を難なく切断して見せた。

 このままでは悪魔らはフリード・セルゼンを逃がすこと間違いないだろう。このままならば――

 

 

「逃がさん」

 

 

 逃げようとしたフリード・セルゼンへと迫る者がいる。

 ―――ギャリリリッ

 そんな火花と金属音を散らしながらフリード・セルゼンとぶつかるのは灰色の聖剣。すなわち『破壊の聖剣』、教会から派遣された聖剣使いゼノヴィア。

 そして、彼女に追従して現れたのは紫藤イリナ。兵藤一誠に軽く挨拶をしながらバルパー・ガリレイへと迫る。

 

 

「フリード・セルゼン、バルパー・ガリレイ。反逆の徒め。神の名のもと、断罪してくれる!」

 

「ハッ!俺の前で憎ったらしい神の名を出すんじゃねぇや!このクソビッチが!」

 

 

 斬戟を繰り広げながら吠え合う二人だが、なにやらフリード・セルゼンが懐に手を入れ、何やら取り出して見せた。

 光球。さしずめ、閃光玉だろう。

 

 

「バルパーのじいさん!撤退だ!コカビエルの旦那に報告しにいくぜ!」

 

「致し方あるまい」

 

「あぁばよぉッ!!」

 

 

 フリード・セルゼンが光球を路面に叩きつければ、次の瞬間には目を覆う眩い閃光が辺りを包み込み、彼らの視力を奪う。

 視力が戻った時には既に遅く。フリード・セルゼンもバルパー・ガリレイもその姿を消していた。

 

 

「追うぞ、イリナ」

 

「うん!」

 

 

 ゼノヴィアと紫藤イリナが頷きあって、その場より駆け出し、

 

 

「僕も追わせてもらおう!逃がすか、バルパー・ガリレイ!」

 

 

 木場祐斗も二人の後を追って、駆けていった。後には兵藤一誠、塔城小猫、匙元士郎だけが残った。

 私もこの場に残る理由はもはやなく、そうそうにこの場を去る。

 AK-1ンン、ヴェーナに何か手土産でも買っていこうか……ああ、そういえば茶請けのクッキーが無くなっていたような……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それはそこにいた。

 髑髏の死面を付けた者がそこにいた。

 赤い眼光を滾らせながら、獲物が来るのを待っている。

 彼の名はSterben。人形たちの指揮者であり人外を殺す者。

 その視線の先にあるのは一体何か────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 走る。

 コカビエルの拠点へと侵入した三人の剣士。教会の聖剣使いが二人に貴族悪魔の眷属というなんとも異色な組み合わせであるがしかし、コカビエルが堕天使である事を考えればある程度納得が効くだろうか。

 だがまあ、実際の所は片や任務、片や復讐でしかないのだが。

 

 さて、コカビエルらの拠点へと侵入を果たした三人、この拠点そこまで広くないのだがその分些か複雑な造りになっている。

 具体的に言うのであれば唐突に分かれ道が現れる程度には────

 

 

「分かれ道………」

 

「ゼノヴィア!私は右に行くから左お願い!」

 

「わかった。もしもコカビエルと鉢合わせたら私が来るまで待ってろ」

 

 

 やはりと言うべきか、思い切りの良い聖剣使いの二人は互いを信頼しているのかこの分かれ道というものに対して即座に二手に分かれることを判断してみせた。

 無論、敵地で戦力の分散など下策でしかないのだが。それをするということはやはり、それなりに自信があるのだろう────たかが二人でコカビエルらから聖剣を奪取出来ると豪語する程に。

 そうして分かれた聖剣使い。着いてきていた木場祐斗は一瞬逡巡した後、ゼノヴィアが向かった道へと走っていった。

 

 

 選ばれたのは紫藤イリナ。

 ゼノヴィアらと分かれて、廊下を駆ける彼女に迷いはない。

 戦士特有の直感というものなのだろうか、いくつもの扉を無視して真っ直ぐ真っ直ぐ進んでいき、そうしてその前方に一つ扉を見つけた。

 礼儀正しく開けるなんて行為は行わない。

 そも、敵の拠点に礼儀を払う必要は別段存在しない。故に紫藤イリナはその扉に向けてその手の『擬態の聖剣』を叩きつけ、真正面から扉を粉砕する。

 そうした先に広がっているのはちょっとした小さいながらも開けた部屋。内部は袋小路、所々に斬撃の跡が見受けられる。恐らくは聖剣の運用実験でも行っていた部屋なのだろう。そこまで理解した紫藤イリナは袋小路という事もあり、元来た廊下を戻りゼノヴィアと合流しようと考えて、その聖剣を掲げた。

 

―――ギャリィンンッ

 

 そうすれば、次の瞬間に響くのは金属音。

 目を見開きながらも迎撃の構えをとる紫藤イリナ、彼女は構えながらとある事を思い出した彼女が所属するプロテスタントより略奪された聖剣の名を。

 

 

「『透明の聖剣(エクスカリバー・トランスペアランシー)』ッ」

 

 

 読んで字の如く、所有者すらも透明にできる能力を持った聖剣。

 その名を零したと同時に室内のどこからともなく声が響いた。

 

 

「見たことあるなぁ……誰だっけ?誰だっけ?―――ああ!局長の娘か!へぇへぇ」

 

 

 軽薄そうな声音に紫藤イリナは眉を顰める。

 

 

「トウジ局長はお元気?」

 

「パパを知ってるの?」

 

 

 だからそんな何某の口から自分の父親の名前が出たことを無視できなかった。

 

 

「知ってるも何も元部下だからねぇ……ちっちゃいころの君も知ってるよ。いやぁ、なかなかいい身体に育ったじゃあないの」

 

「っ……」

 

 

 舐め回すようなねっとりした視線と下卑た声音に紫藤イリナは自分の身体を抱いてこの部屋のどこかにいるコカビエルの配下である聖剣使いを睨む。

 この聖剣使いの言葉が真実であるならば元プロテスタントであるのだろう。明確な元同胞、そして父の元部下、なんと数奇なことだろうか故にこの聖剣使いは己が倒すそう心に決めて。

 

 

 

 

 

 ────瞬間、前方6メートル程で血がぶちまけられた。

 

 

「え」

 

 

《『いいですか?暴力をふるって良い相手は人外共と異教徒共だけです』》

 

 

 死が嗤った。

 

 

 




そう言えば、これはアレなんですが。
鴎の前世、通ってた幼稚園がカトリック系の教会の隣だったんですよ。ええ、幼稚園自体も教会よりなところで。具体的にはお遊戯会?で教祖誕生の話する程度には

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。