なので、小説の方を進めました。
UNDEADの方はええ、更新が遅れる=セバスが原因だと思ってください
そして、イリナファンの方々すいません。
《『いいですか?暴力を振るって良いのは人外共と異教徒共だけです』》
そんなセリフと共にそれは現れた。
聖剣使いと紫藤イリナの二人しかいないはずの部屋、聖剣使いのように『
黒い外套に髑髏の死面。背負うは棺桶、その手に握られているのは一振りの刺剣。
すなわち
嗤う嗤う嗤う。
「あなたが死銃……」
《そういう、お前は…紫藤イリナか》
髑髏の眼光を赤く滾らせながら、その手の刺剣を紫藤イリナへと向ける。
それに対して紫藤イリナもまたその手に握る聖剣を構えなおす。既に彼女の頭の中から先程の元プロテスタントであろう聖剣使いの事は失せていた。何せそんな事を考えていれば────目の前の男に負けるだろうから。
そんな彼女の心中を理解し、マスクの下で嗤って
「────ッッ!?」
唐突に紫藤イリナの後方からいくつもの銃弾が襲撃する。
ギリギリの所で回避してみせるがそんな注意を逸らす行動は命取りとなるのは間違いない。
《そこだ》
「くっ……!」
回避先へと放たれた刺突を『擬態の聖剣』らしく刀身の形状を広くする事で受け止め、そのまま刀身を滑らせるように鍔迫り合いへと持ち込んでいく。
なるほどただの剣士で一対一ならばそれで良いのだろう、だがしかしだ。
《付き合うつもりは、無い》
再び銃撃が紫藤イリナを襲う。死銃共々だ。
「嘘っ!?……カハッ」
そのままでは食らうと判断したのだろう。鍔迫り合いを解いてそのまま転がる様に横へ回避しようとして、そこに死銃の蹴りが叩き込まれその勢いままに壁へと転がっていく。
それによりその場に留まった死銃へと銃弾が殺到するが刹那、死銃の目の前に現れた防弾シールドによって阻まれる。
《何時から、一対一だと思っていた。ここは、敵地でオレは傭兵だ》
「っぅぅ……」
その手で刺剣をペンを回すように回しながら、その視線は扉の外、廊下の方へと向けられている。
暗めな廊下より現れるのは何時もの前開きパーカーを脱いで黄色のベルクル付きワイシャツの上に防弾ベストを着込んだM16。その表情は真剣そのもの。
「よう、指揮官。待たせたな」
《
「ああ、問題ないな」
そんな風に会話しながら死銃は血溜り、『透明の聖剣』を渡されていた聖剣使いの遺体から聖剣を回収し、取り出した大型のガンケースに捩じ込んで部屋の片隅へと滑らせる。
そうしてやっとその視線は起き上がった少女へと向けられた。
《立つか》
「……当たり前、でしょ……」
《なるほど。ならば、砕こう。その意思を》
降ろしていた刺剣を握る手を上げて、死銃は嗤う。それはまるでオーケストラの指揮者が指揮棒を掲げるかの様でM16もまたその手の自身と同じ名前のアサルトライフルを構える。
最初から一対一なんてものはない。
戦士の誇り?そんなものは狗にでも食わせておけばいい。ここにいるのは傭兵とその銃だ。
いや、そう見ればこれはある意味一対一の戦いなのかもしれないが────
最初に飛び出したのは紫藤イリナだ。
聖剣の刀身をやや厚みのある形状へと変化させて、まるで跳ね馬の如く戦士としての身体能力を活かした突撃。
それに対して死銃は棒立ちのままでその前にM16がアサルトライフルを構えて陣取る。
避けない。迎え撃つ。
そんな気概が感じられ、だから紫藤イリナはそのまま突っ込む。
「いい度胸してるな……!」
引き金が引かれ銃弾が迫るが紫藤イリナは冷静にそれを対処する。
瞬間的に刀身を元のサイズに戻し軽くなった聖剣で銃弾を弾いていく。なんという早業か────だが、やはり少女。甘い。
M16の股下より紫藤イリナとM16のちょうど真ん中ら辺へと飛び込んでくるものが一つ。
黒くやや手のひらサイズを逸脱する円筒型に近いもの。
それがなんなのか紫藤イリナはすぐには理解出来なかった。
「これって……ッ!!」
「流石、容赦ない」
XM84。従来のそれより些かグレードダウンした仕様に改造されてはいるがしかし、ソレだけでも充分効果はある。
円筒型より発せられるのは、閃光。
つまりはスタン・グレネードと呼ばれる代物だ。
いきなりの閃光に寸でのところで気づいたとはいえ、その影響は大きい。腕で視界を封じたまではいい、目の前のM16とて閃光に対する対策はしていない。
一時的に視覚機能を落としている為にほぼほぼ紫藤イリナと同タイミングで視界が復帰するだろう────しかし、忘れてはいないだろうか。
M16という名の盾で閃光を凌いだ人間がいることを。
《────》
活きの良いセリフなんてものは吐く事は無い。
視界が封じられている。そんな相手に対して声を上げるなど自ら場所を教える愚行。
故に無音のままに、M16の背後より躍り出た死銃が、鴎が、Sterbenがその刺剣を紫藤イリナの左肩へと突き立てた。
「ッアアァァア!!??」
ただ突き立てるのではない。傷を深めるように捻りを加えることも忘れずにだ。
そこに仮にも少女だからという配慮なんてそんなものどこにも無い。
そして、刺剣による刺突に捻られ傷口が歪んだ事で走る激痛に絶叫する紫藤イリナ、無慈悲にもそんな彼女にローキックを叩き込んで蹴り飛ばす。
その際に落とした聖剣を近くに蹴り転がしてやってだ。
「ぁぁ……はぁ……はぁ……」
《どうした、終わりか?聖剣使い》
「……指揮官。あんまそれ、M4の前でやんなよ?」
《オレは心の先生に従ってるだけだ》
紫藤イリナの左肩に突き刺さったままの刺剣の代わりにと死銃はその袖から
《曰く異教徒もといプロテスタントには暴力を振るって良い、と》
「指揮官。カトリックだったか?」
《幼稚園がそうだっただけだ。気にするな》
銃剣の刃先を紫藤イリナへと向ける。
立ち上がった彼女のその目は決して諦めてはいない。
「ふぅぅ、ふぅぅ……」
《まだ折れないか。なら、折れるまでやってやる。さあ、来い。
「はぁ……はぁ……アーメン!!」
刺剣を肩に突き立てられて動かすのが厳しい左腕をだらりと下げながら右手一本で聖剣を握り駆ける紫藤イリナ。
真正面からなんていう馬鹿な真似はもうやらない。持ち前の身体能力を活かして死銃の握るFive-seveNの狙いを絞らせないように撹乱するように動いていく。
それに対してだからどうした、と死銃はFive-seveNの引き金を引いていく。
外す。外す。外す。外す。
紫藤イリナの狙い通り尽くFive-seveNの銃弾が外れていく。だが数発外れたところで銃弾はまだまだ残っている。
そうして、避けて避けて避けて、瞬時に自身の身体能力を振り絞って加速する。
狙いは死銃の死角。
そこへ潜り込みその刀の形をした聖剣を死銃のそっ首へ────
死銃の肩越しにM16の銃口が向けられているのが見えた、いや迫る銃弾が見えた。
「ッ……!」
間違いなく死銃の首をそのまま取ろうとすれば逃げ遅れ死ぬ。そんな銃撃にやむなく紫藤イリナは飛び退き回避を優先する。
放たれた銃弾は、死銃が自分に当たる分だけ弾き、そのまま身体を動かしてFive-seveNの銃口を、狙いを紫藤イリナへと定める。
《────馬鹿が》
引き金を引く。
のべ四度、放たれた銃弾が回避したばかりの紫藤イリナへと迫っていく。二度目の回避?そんな曲芸じみた行為紫藤イリナでは出来ない。故に銃弾が紫藤イリナに穴を空ける────はずだった。
「へぇ……」
「はぁああ!!」
瞬間的に刀身をまるで盾か何かのように変じさせ、銃弾を凌ぐ。そして、そのまま真っ直ぐに突っ込んでくる。
つい先程前にやった馬鹿みたいな行為。だが、その目に迷い無く、何らかの策意があっての事なのだろう。だから、死銃はそれに対して嗤う。
《ハッ》
Five-seveNを腰に下げ直し、袖からもう一振り銃剣を取り出して迎え撃つ。
《────訳があるか》
「え……」
いくつもの銃撃が響いた。
気の抜けた様な声に遅れて鮮血が吹き出す。
足に、両足に、いくつもの痛みが走る。
千切れた訳では無い、ただ、ただ、いくつもの穴が空いただけだ。
背後からのそれに紫藤イリナは振り向いて、いくつものマゼンタ色の光を見てその意識は闇に落ちた。
────────────────────
「何処に行ったのかと思ったらそこにいたのか」
M16が初めて知ったように呟く。実際、彼らをどのように配置したのかは一切M16には伝えていなかった。
そんな彼女を見ながら俺は軽く手を振り、彼らを呼び寄せる。
まるで子犬の様にわらわらと集まる小型の非人型人形、Dinergateらが上げてくる前足に軽く手を合わせて、倒れ伏す紫藤イリナを見下ろす。
その左肩には俺の刺剣が突き刺さり、両足の脹ら脛に多くの銃傷を負い、教会の戦士としての服装である黒いボディスーツは銃弾が掠れたか、やや破れ血がプツリと滲んでいる。
《Sterben。何体か回せ、医療用キットを持たせてだ》
通信を簡潔に行って、紫藤イリナの近くに落ちていた『
盾の様な形状から人切り包丁の様な形状へと変えて即興ながらも鞘を作りそこへ収める。
「指揮官。これ」
《ン、……ああ、透明のか……コカビエルに渡しに行くぞ》
「わかった」
M16が拾い上げたもう一本の聖剣が入ったガンケースをそのまま彼女に預けて俺はコカビエルがいるであろう拠点の最奥へ向かうためにこの部屋を後にしようとして、俺は立ち止まる。
元々のを考えれば紫藤イリナも連れていった方がいいだろう。その為にもせめて軽く止血程度はと思い俺は壁に寄りかかって雀蜂らを待つことにした。
そう言えばTwitterの方でも言ったんですけどISでチーズ転生短編集に書いてみようかなって。
まあ、何時になるかは分かりませんが待っててくれるとよかです。