漫画家と主夫高校生のD×D   作:カチカチチーズ

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筆が止まってたけどもグラブル生放送見ながら頑張ったぞい。
なんやかんやでエクスカリバー編も後半戦。
今月はキツイかもしれないけど頑張るぞい。



十九頁

 

 

 

 グレモリー眷属らがフリードらとぶつかり合った日の深夜。

 紫藤イリナがSterbenに敗れ去った日の深夜。

 そして、今回の一件における最後の深夜。

 

 静か、あまりにも静かな夜。

 正しく嵐の前の静けさという表現がぴったりとあてはまってしまうほどのこの夜に、最上級堕天使であり今回の事件の首謀者たるコカビエルは駒王学園のグラウンド上空にて椅子を用意し瞼を閉じて腰掛けていた。

 

 彼はそうして想起する。

 先の戦争で散っていった同胞たちのことを。

 先の戦争で生き残った同胞たちのことを。

 そして、これから先のことを。

 今回の一件がうまくいけば再び三勢力間で戦争が起きるだろう、今まで以上の戦争が。そして、その戦争の結果に関係なく間違いなくどの勢力もほぼほぼ壊滅するであろうことは目に見えていることだ。コカビエルとしてはそういう風に堕天使が滅ぶというのはそれはそれで構わないのだ。戦いの果てに死ねるのであれば、納得できる。

 だが、もしもこの一件が失敗に終われば……ほぼほぼ間違いなくアザゼルや魔王が目論む和平が組まれるだろう。

 転がっている問題を無視して。アザゼルがそれを理解しているのかどうかはコカビエルにはわからないことだ、だがわかっていたなら――――

 

 

「サタナエルを止めれていただろうな」

 

 

 かつての同胞の名を呟き、それを最後にコカビエルは瞼を開き眼下に視線を巡らす。

 駒王学園の本校舎の屋上にて銃器を携えて、大型の装甲重機の最終調整を行っているSterben。そして、グラウンドの中央に浮かぶ神々しい光を放つ三本の聖剣。それを中心として魔法陣がグラウンド全体に広がっている・その中央にいるのはフリード・セルゼンとバルパー・ガリレイ。

 聖剣統合という極めて珍しく高度な儀式に対してコカビエルは軽く息をついて再びその瞼を閉じようとし

 

 

「これはいったい……」

 

 

 グラウンドより聞こえた何某の声に閉じかけた瞼を開く。

 見下ろせば目立つストロベリーブロンドが視界に入り、ようやく敵―――戦争経験者であるコカビエルからすれば敵という呼称を使うほどではない雑兵だが―――がやってきた。

 

 

「四本のエクスカリバーをひとつにするのだよ」

 

 

 おもしろおかしそうに語るバルパー・ガリレイに目を細めつつ、コカビエルは声をかける。

 

 

「バルパー、あとどれぐらいでエクスカリバーは統合する?」

 

「五分もいらんよ、コカビエル」

 

「そうか。さて――」

 

 

 バルパーとの会話を終えてコカビエルは再びグレモリーらを見る。

 傲慢そうに自信ありげで堂々としているリアス・グレモリーに対してどこか呆れとも憐れんでいるようにも思える視線を向けつつ召喚の魔法陣を創り上げる。

 組み上げられた魔法陣から一体の獣が姿を現す。

 十メートルほどの黒い体躯、四肢は太く鋭すぎる爪は見るものに恐怖心を抱かせる。闇夜にギラギラと輝くのは鮮血のごとき真紅の双眸。常識の範疇でいうならば最も犬が近しいだろうがしかし、やはり尋常ならざる怪物か、その首は三個。

 すなわちは、ギリシャ神話における地獄の番犬、冥府の門番、ギリシャ神話群の終末要因(アポトーシス)・大地母神の末子・魔獣王テュポーンの仔。

 ケルベロス―――無論、オリジナルなどではないだろう。もしもオリジナルであるならばコカビエルごときでは使役することは不可能であり、そんなことをすればギリシャ神話群が黙ってはいない。では、何か単純に冥界という環境で誕生したケルベロスに似た別種の魔獣だ。神性の欠片も持ち合わせてはいない。

 

 

「だが、まあ、貴様ら程度にはちょうどよかろう」

 

 

 見下すようにそう告げて、再びコカビエルは瞼を閉じる。

 それが合図か何かのように魔獣はグレモリーらへと突貫した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 始まった。

 学園の屋上からManticoreの最終調整を終えて、数体の雀蜂らと共にグラウンドで行われているグレモリー眷属らとケルベロスもどきの戦いを見る。

 主人公の兵藤一誠は神器(セイクリッド・ギア)を出してやや後方、完全な後方での支援役であるアーシア・アルジェントよりは前にはいるため、後衛というよりは中衛的立ち位置に待機している。おそらくはフリードとの戦闘時のように『譲渡』の力によるサポート役に徹するのだろうが……馬鹿としか思えん。

 如何に空中に姫島朱乃とリアス・グレモリーがいようとも、後方の兵藤一誠とアーシア・アルジェントを狙撃することはあまりに容易い。何らかの策でもあるのか、と見てみても何かあるわけでもないようで、流石の無防備さに待機している雀蜂の何体かが先ほどからちらちら俺のほうに視線を動かしている。

 十中八九、狙撃してもよいかの視線だろう。

 だが、現状は様子見であり如何に馬鹿みたいに隙だらけとはいえ、手を出すのは控えたい。

 流石にコカビエルが文句を言ってくることはないだろうが、それでもいまやるのは遠慮したいところだ。

 

 

《待機。だが、Manticoreはいつでも動かせるようにしておけ》

 

「はっ」

 

 

 

 と、どうやら本格的に始まったか。

 空中を飛ぶリアス・グレモリーへともどきが威嚇して、炎を吐き出した。だがそれはリアス・グレモリーに届かず、前へと割り込んだ姫島朱乃によって凍らされた。いや、炎が凍るってそもそもどういう……?

 それに動揺したかもどきは致命的な隙を晒して、姫島朱乃の後ろから飛び出したリアス・グレモリーが黒い魔力を放った。

 バアル家に継がれる滅びの魔力。サーゼクス・グレモリーの代名詞とも言える力だが、実際のところそこまで強いわけじゃあない。なにせ、『超越者』クラスまでにしか意味はない。それ以上の存在の力には通用しない。

 現状、リアス・グレモリーの滅びが俺に通用するのかは不明だが……まあ、まだ何とでもなるだろう。

 ああ、残念だ。もどきの頭は一つじゃあない。

 ケルベロスもどきなだけはあり、他の首が反応して炎を吐き出す。一度目の炎と魔力がぶつかる中、また別の首が炎を吐き出して拮抗状態を崩しにかかる。そして、とどめと言わんばかりに三本目の首が口を開いて―――その横っ面を殴りつけられた。ああ、塔城小猫か。

 どうやら、リアス・グレモリーに集中していたところをあの小柄さを活かしてうまく近づけたようだが……ケルベロスもどきなのだから炎を吐き終わった首は警戒していればいいものを。

 

 

「隊長。流石にあれは……」

 

《わざわざ犬の援護なんぞしてどうする。黒狗と混合してるなら建築馬鹿のところに送るぞ》

 

「聞かなかった事にしてもらえれば幸いです。隊長」

 

 

 雀蜂との談笑もほどほどに俺は視線を戻す。

 

 

 稲光などが瞬いている中、兵藤一誠らの背後にもう一体もどきが現れる。まあ、そうなるよな。わざわざ棒立ちの奴を狙わないなんて馬鹿な真似はしない。さて、どうするのか、そんな風に見ていれば。

 もどきの首の一つが宙を舞った。犬神の親戚というわけじゃああるまい、故に斬り飛ばされたわけでようよう見れば大剣の聖剣、『破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)』を手にしたゼノヴィアがいた。

 ようやくか。何か、兵藤らへと声をかけて、首を一本失い絶叫するもどきの胴体へと斬りかかった。やはり魔獣、それもケルベロスに似ただけの魔獣では耐えきれないようでその胴体を大きく消失させている。そして、倒れこんだもどきの心臓へととどめをさせば、そのままもどきは霧散する。

 やはり、腐っても聖剣ということか。それに破壊力、攻撃力は十分高い。

 

 

《ン、赤龍帝も動くか》

 

 

 視線をずらせば、兵藤一誠が姫島朱乃とリアス・グレモリーの肩に両手を乗っけている。

 どうやら、倍増した分を譲渡させてるのか。

 次の瞬間、二人から感じる魔力が増大した。まあ、コカビエルからすれば大したものではない変化だが。だが、リアス・グレモリーはなにやら不敵な笑みを浮かべている。もどきを倒せる程度のそれでコカビエルに対しての有効打にでもなると勘違いしてるのか?

 姫島朱乃がその手を天へとかざせば、さきほどまでのモノとは威力が違うであろう雷撃が生まれてく。まあ、もどきも木偶ではない、その場から逃げ出そうとして――地面より生え出たいくつもの刃がその四肢へと突き刺さりその場にくぎ付けにした。

 木場祐斗だろう。

 

 

《Manticore、用意》

 

 

 縫い付けられれば逃げることも出来ず、もどきは天より落ちた雷撃の柱へと飲み込まれた。

 ああ、いやだ。

 これだから雷は。

 俺は余波で少し不調になった無線を踏み砕いて、マスクの下で嗤った。

 

 




次の投稿は何時になるかまだわからないけども、出来るだけ早めに投稿できるように頑張るつもりではいる。
早く4巻が書きたい。
ぶっちゃけケルベロスとミノタウロスってオンリーワンだよね

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