漫画家と主夫高校生のD×D   作:カチカチチーズ

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祝☆令和!

いや、本当は平成中に投稿したかったんですけどね?古戦場が忙しくて、しまいにはオフシーズンの古戦場とか……それはそれとして令和初ガチャでカイン当たって嬉しいけれども未だにドルフロはネゲヴを出してくれない。
これ以上悲しいとAR-15に専用装備を与える為に掘りにいきかねない……。



二十六頁

 

 

 

 

 

 戦術人形。

 鴎の保有する神器・武器製造の禁手である『戦術人形前線(ドールズフロントライン)』によって製造された銃の名を冠するアンドロイドたちの総称。

 完全量産型である戦術人形は量産型戦術人形(マス・ドールズ)と区分され、銃の名を与えられた自我を持つ戦術人形は名付き戦術人形(ネームド・ドールズ)と区分されている。

 そんな二種類に区分される戦術人形だが、実際はさらに別種の区分がある。

 それは所持している銃種の区分ではなく、存在する銃を冠しているがそうでないかであり、また属する派閥の違い、オリジナル────無論、この世界でいえば彼女らこそがオリジナルでありこの場合は元ネタと言うべきである────を作成した組織の違いとも言えよう。

 基本的に名付き戦術人形であり、実際に存在するまたは存在した銃名の戦術人形が属するIOP────あくまで派閥名であって元ネタと違い正式名称は用いられず専らこの略称を使われている────、そして多くの量産型戦術人形や銃名ではない名付き戦術人形の属する鉄血工造。

 みな、『笑う棺桶(ラフィン・コフィン)』に属し鴎に従っているが感情という機械にとってのバグであるものを組み込んでいるが故か彼女らには至極当たり前のように好き嫌いというものが存在している。

 

 例えば、鉄血に属する夢想家(ドリーマー)と呼ばれる人形はその性格が捻たものだからか単純に性格が悪いのか、比較的メンタルモデルの幼い人形には距離を置かれている────が、なんやかんや泣きつつも仲間意識はある為か破壊者(デストロイヤー)はそんな夢想家(ドリーマー)と近しくしているわけだ。

 同胞だから、同じ派閥の仲間だから、となんやかんやで付き合っていることが多い人形も多いが何事も例外のようなものはそこらにまるで雑草のように生え出ているものである。

 例えばそれは、M16とHK416のような関係であったり…………そういった話はまた今度話すとしよう。

 

 今回の話の舞台となるのはヨーロッパの何処かポーランドより西側にある鴎の工房。

 その日は休日であるからか、その執務室にて鴎は書類に目を通していた。

 

 

「……授業参観とか、嫌いなんだよ」

 

 

 その手に持つのは仕事やそういう関連の書類ではなく、所謂学校からの書類。

 そこに記されているのは今度の授業参観についてであり、鴎としては今すぐにでもシュレッダーにかけたいものだがしかし、悲しきかなここで処分したところで三年生として学校に通っている二人の人形にもこのプリントは来るだろうし、そもそもが話とっくにこの授業参観の情報は人形らやスポンサーへと行っているのである。

 

 

 どうしよもないことこの上ない。

 今では同棲している少女────少女という歳ではなかろうが────の為にも、家事のできる主夫高校生であろうとしている為、勤勉な所が多々あるが元来気分屋であり同時に面倒くさがりな所が多い彼は授業参観やらなんやら、身内が学校へと来る事を好まなかった。

 何故なら学校での振る舞いが知られたりすることがあるからで────

 

 

「御主人様、少しよろしいでしょうか」

 

 

 書類をシュレッダーにかけようとした所で鴎は止まった。

 視線を動かせばそこにいるのはメイド服に身を包んだ女性。だが彼女は代理人(エージェント)ではなく、ブロンドの髪に白を基調としたメイド服を着た別人────正確には別人形と言うべきだろうが────彼女の名はG36。アサルトライフルに分類される銃種の名を冠した人形でありメイドである。

 そんな彼女に鴎は軽く息を吐いてからシュレッダーにかけようとしていた書類をデスクに置いてから一度座り直し改めて彼女へと視線をむける。

 それを了承と捉えたかG36は胸元に抱えていた書類の束をそのまま鴎へと差し出した。

 

 

「IOP側の皆さんからの陳述書です」

 

「え、俺訴えられるの?」

 

「いえ、陳述書と言ってもあくまで皆さんの不平不満をまとめただけのものですのでそんな訴訟などはありませんよ御主人様」

 

 

 G36の言葉に一瞬鴎は身構えるもののすぐさま訂正が入り、胸を撫で下ろしてから手渡された書類、陳述書に目を通し始める。

 

 

「皆さんと言っても全員ではありませんが、抱えている不満があるようで…………」

 

「不満ねぇ……俺セクハラしたことないけど…………いや、あったわ……」

 

「例の赤龍帝に比べれば許容範囲かと思いますが……いえ、そもそもセクシャルハラスメントというのは性的嫌がらせや性的言動等で不利益を受けたり労働環境が害される事であって……」

 

「あ、うん、分かった」

 

 

 これ以上は長くなると鴎は判断して、G36の話を遮る。

 遮られた事は大して気にしていないのか、G36はそのまま陳述書の内容の説明へと入った。

 

 

「陳述書の内容ですが、大多数が副官に関する内容です」

 

「副官?……………………あ」

 

 

 G36の言葉に鴎は脳裏に過ぎる諸々を思い出し、その思考を停止させる。

 魂そのものにかけられた呪いが如く、彼という存在にチーズと胃痛は切り離す事は出来ないが故に。副官という今の今まで片隅に放逐していた胃痛の原因になりかねないモノを思い出した。

 副官とは呼んで字のごとく副官であり、鴎の補佐を務めるわけだが人形らにとって副官というモノは単純な補佐以上の価値であり意味があった。

 

 そもそも鴎はなんやかんや傭兵なんぞしているが、戸籍上高校生つまるところは学生であり毎日毎日ずっとこの工房にいれる訳もなく、魔王の妹であるリアス・グレモリーとソーナ・シトリーの監視という仕事ついでに同学園にて学生をやっているAK-12やAN-94と違い工房にいる人形たちは毎日顔を合わして会話を交わせるわけではない。

 だが、副官という立場はその立場ゆえに鴎に極力付き添っていなければならない────流石に暴論であるが人形らに推しに負け鴎は認めざるを得なかった────、そんな考えにより合法的に鴎の傍にいれるそんな『副官』という立場が彼女ら人形は喉から手が出る程に欲しいのだ。

 

 なお、鉄血に属する人形らは基本的にドライなところが多いためこの副官制度はスルーしている。無論、ドライなところだけが理由ではなく単純にフリーな時間を優先したいというのが大きな理由であるが。

 

 

「副官制度に関して軽いデモがあってからかれこれ一年が経ちますが、そろそろ副官を決めねばまた不満が爆発しますよ?御主人様」

 

「ぅぐ……つか、何故にデモを起こすのか……」

 

「労働環境の改善を目的としているからです」

 

「うちの組織、労基ないだろ」

 

「あったとしても人形には適用されない可能性の方が高いかと」

 

 

 それもそうか、と納得しつつ鴎は陳述書へと目を通していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 スプリングフィールドM1903。

 明るい茶っけの長髪を肩ほどで折り返しリボンで纏めた変則的なハーフアップが特徴的であり青い服に白の膝下まであるスカートに身を包んだ正しく絵に描いた様な優しいお姉さんな彼女はこの工房においては要人警護────パーティー会場などが現場である場合にメインで動く部隊の隊長を務めていたり、工房内にある喫茶店のマスターを務めているライフルの戦術人形だ。

 名前からわかる通り、件の聖剣騒動の際に俺が擬態させて使った銃でもある。

 え?銃剣装備出来る銃なんて他にもあるのになんでスプリングフィールドにしたかって?ロマンあるだろ悪いか。

 

 さて、そんな彼女からの陳述だか……G36が言う通り副官制度に対してのものだった。だが、どうやら彼女自身が副官になりたいという訳ではなく、彼女の経営している喫茶店で様々な戦術人形らが副官について愚痴というか不満を垂れているようで早々に決めて欲しいとの事だ。

 ちなみにだが、文面からは並々ならぬ無念さを感じる。彼女は喫茶店の経営上、副官になるのは厳しいからな仕方ない。

 せめて、喫茶店に行く回数でも増やすか…………そうだ今度一緒にチーズスフレでも作ろう。

 

 

「スプリングフィールドにメイド服着せたい」

 

「……せめて、彼女に許可を貰ってから作ってくださいね御主人様」

 

「残念だったなG36。既に何体かの人形用にメイド服は用立てている」

 

 

 無論、元々メイド服なお前には水着あたりを用意したが。

 そう告げれば彼女は頬を赤らめながら軽い咳払いをして、陳述書の続きに目を通すように促す。可愛い。

 うちのメイドが可愛い件について、当たり前だよなぁ。アサルトライフルを使うメイドとか色々と琴線に触れるから最高なんだが……と、そろそろ続きを読もう。

 

 ワルサーWA2000。

 赤みのある黒髪……赤紫が近いか?そこまでは俺にもわからんともかく長髪でサイドテールでスーツに身を包んでいる人形で古き良きツンデレ────だが、殺しの腕は素晴らしい。

 一応スプリングフィールドの部隊に所属しているが基本的に暗殺任務に従事している。俺も時折彼女と同じ銃を使うが……まあ、正直に言えば対物で頭蓋諸共吹き飛ばすのが好きだが。

 軽く脱線したか、話を戻そうデレを隠せん彼女と思ったが意外にもきっちりと副官制度に物申している。いや、物申しているのは俺に対してか。

 曰く、副官を決める事による作業効率等の向上やら定期的な副官替えなどなど……文面だからかツンもデレも見えん。後で弄ぶ。

 

 

 UMP9。

 今日から指揮官も家族だ!

 以上。

 予想を外す気が全くねぇな、おい。いや、正直に言えば能〇ボイスは好きよ?

 

 

 他にも色々あるな……M4とかSOPMODとかKSG……416……95式にグリズリー……ナガンおばぁちゃんもあるやんけ。

 というか、えぇ……副官決めなきゃダメ?

 

 

「駄目です御主人様」

 

「ナチュラルに俺の考え読むのやめない?」

 

「しかし、御主人様が副官を選ぶのに悩むというのでしたら……その……」

 

 

 頬を赤らめながら俺から視線を外すG36。

 可愛いな、おい。

 

 

「……えっと、ですね……その、ご、御主人様がよろしかったら……こ、この……わ」

 

「わ?」

 

「わ……我が妹であるG36Cはいかがでしょうか!?」

 

 

 逃げたわ。

 だが、それも良い。

 

 

「まあ、副官はいい加減決めないといけなかったからな。仕方ない……12?ろくな事にならん。94?12がめんどくせぇ……ネゲヴ?あいつを副官にするのは別の問題が生じてくる。それは45も16も変わらんから……そうなるとある程度自由な隊長または副隊長クラスの人形を選ぶべきで……………………G36で良くない?」

 

「ふぇ!?」

 

 

 えぇ、可愛い。

 可愛いしか言ってない気がするが今回は仕方ない。だって考えてみろ、G36が赤面してるんだよ?可愛い以外の言葉はなかろうよ…………はぇー、全くこれだからアサルトライフル勢は魔境なんだよ。

 陳述書をそのまま引き出しに突っ込みパソコンを起動する。昔はこういったパソコンを使っての作業は苦手だったがかれこれこの五年ほどでかなり使えるようになった。その証拠に数分もあればあっという間に工房の掲示板に張り出す記録が出来上がった。

 最初から副官なんてすぐさま決めればよかったのだ。それをこうもぐだぐだぐだぐだ引き伸ばして────まあ、純粋にめんどくさかったし、決めなくとも問題がなかったから仕方ないのだが。

 

 

 はてさて、印刷したデータを早速G36に預け張り出しに行ってもらい次の事へ思考を回していく。

 マウスを操作して文書作成とは違うタブを開けば、パソコンの液晶にはいくつかの顔写真と文面が広がっていく。

 三つの赤と黒と白。

 

 そして、暗銀。

 話を聞くにもはや、例の会議にスポンサーが出っ張るのは避けられる未来であり、そうなれば彼に雇われている俺らは護衛として会議に出席しなければならない。

 何せ、会議に御孫さんが出てくるんだからなぁ。

 であれば、護衛は必須であろう。俺を含めて三人は用意した方がいい……雀蜂らの量産型よりも名付きの方が性能としてもいいだろう。となれば、一体は元々彼の護衛の任務に付けていたAR-15で構わんがもう一体はどうするか。

 彼女はアサルトライフルであれば、サブマシンガン辺りでも良いのだろうが……45や9は別の任務でいない。

 はてさて、出来れば授業参観とかいう腐れ行事が始まるまでに決めておきたいものだが。

 

 

 




今回は幕間であり、平成終わりということもあって少しはっちゃけ気味でしたがその辺は生暖かく見守ってください。

それと、先日Twitterの方でアンケートをしまして、活動報告の所に作品に関する質問箱を設置する事となりました。
投稿と共に設置されるので詳しくはそちらでお願いします。

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