深層映射、みなさんどうですか?作者は2ー4で詰んでます。
ケルベロス殴れない……悲しみ。ちなみに今回の箱でようやく念願のG36Cが入隊してくれまして、とても嬉しいです。
それはそれとして、早くUMP40を迎えなきゃ
「コルトAR-15、帰投しました」
駒王町にあるホテル────何処ぞの魔王の親族がいたホテルでも総督のいるホテルでもない────、そのそこそこの部屋にて俺は一体の人形と対面する。
白いワンピースに黒い上着を着た白桃色の髪の美少女。その名をAR-15、M16と同じAR小隊という小隊に属している人形。
そんな彼女に俺は軽い笑みを浮かべながら、手を振り応える。
「つっても、一時的だがな」
「はい。スポンサーがこの街にいる間は護衛は私ではなく、他の人形に引き継ぎます」
「ン、まあ疲れもあるだろうし、こっちにいる間は適度に休んどけ。面倒事はM16が何とかするさね」
「そうさせてもらいます」
真面目な彼女の返答を聞きながら、俺は手元の珈琲を飲みつつその視線を彼女とは反対側へと向ける。
そこにはこの部屋をとった本人であり、AR-15の護衛対象でありながら従者と護衛を置いて先に現地入りするという馬鹿をやった馬鹿だ。
そんな俺の不躾な視線に気がついたか、何処ぞの馬鹿はルームサービスで運ばれてきた生ハムを口に運ぶ手を止め、悪戯小僧めいた笑みをこちらへむける。
「なんだなんだ?生ハムはやらないぞ」
「食いながら寝るとかなかなか器用な事だな」
辛辣だ、とからから笑う奴に俺は呆れながら書類を読み漁る。
元々会談に参加する際の護衛の片方はそのままAR-15に任せるつもりだったのだが、リゼヴィムの要らない計らいによりこの街にいる間の護衛はM16A1と交換。となれば、自ずと会談の護衛もM16になるわけだ。
アサルトライフル枠が優秀なアタッカーからタンクに変わるとは正直考えてなかった…………でだ、そうなると必要なのはサブマシンガン枠のアタッカー。
元々サブマシンガンには盾役を用意するつもりで優秀な妨害系サブマシンガンをピックアップしたのだが、まさかのおじゃん。
だから、こうして書類もとい名簿を読み漁って、任務の割り振られていない人形の中からサブマシンガン且つアタッカーとなるような人形を探しているんだが。
言うて、わざわざサブマシンガンで探す理由なんてないわけが────気にしては行けない。
何やかんやで雇い主の諸事情に振り回される。なんとも世知辛い事ではあるがやはり慣れというものなのだろう。
あまりに巫山戯た要求は突っぱねるが今回の護衛を変えるというのはまあ、許容範囲内の話だ。
「なんというか、リゼヴィム様が申し訳ございません」
「ン、いや……慣れてるから気にしないでいい」
そんな風に苦笑しながら俺の空いたグラスにカルーアミルクを注ぐのは銀髪────リゼヴィムと違い明るめの銀髪────の男。
名前をユーグリット・ルキフグス。サーゼクス・グレモリーの伴侶であるグレイフィア・ルキフグスの実の弟でありルシファーの家系に仕える一族の男だ。
そして、変態である。
ほぼほぼ初対面の銀髪長髪女性に対して姉になってくれとほざく程度には変態である。何時か、私が姉上になる事だ────とかほざくんじゃないかと戦々恐々としている。
と、まあ、こけ下ろした訳だが何やかんやで同僚みたいなものだ。片や従者、片や傭兵というかなりの違いがあるがリゼヴィム・リヴァン・ルシファーという男の下で動いている以上同僚でいいだろう。
「そうそう、おいちゃん授業参観行くから☆」
「………………」
果たして、今俺はどんな顔をしているのだろうか。
AR-15が顔を引き攣らせてるあたり、ろくな表情ではないのは間違いないだろう。
「リゼヴィム様。授業参観にはほぼほぼ間違いなくあの私から姉上を奪ったこそ泥も来ますが」
「ま、そうだろうね。で?それが何か問題?」
「出来れば、学校で俺に近づいてくれるなよ……」
俺の一番の懸念はそれだ。Sterbenとしてならともかく鴎としての俺に人目がある場所では出来うる限り近づかないで欲しい……特に悪魔関係者のいる場所では。
そんな俺の心中を察してくれたかどうかは定かではないが少なくともリゼヴィムはこっちに視線を向けてなんとも言えない表情でニンマリとしてる殴りたい。
「まあ?おいちゃんどっかの自称と違って?TPO弁えてるから」
「安心……出来るんか、こいつ……?」
「出来ないのは間違いないわ指揮官」
だよな。
俺はカルーアミルクを口にしながら、書類を横に置き軽く目を瞑る。
そうすれば、思考はぐるりぐるりと回っていく。ほんの少しのアルコールの影響もあるのか、いつもよりも妙に冴えわたっているの何ともなくうっとおしく思いながらふとあることを思い出した。
「ギャスパー・ヴラディ」
「ん?あ~確か、グレモリー眷属の元ハーフヴァンパイアだったっけ?それがどうかした?」
俺のつぶやきをリゼヴィムが拾うがそんなものは右から左へと流し、アレの神器についてを思い出していく。もはや、授業参観などというイベントは些末事項として切り落としている。
既に俺の思考に巡るのはその後、この時系列における一番重要なイベントである三勢力による会談一つ。
視界内の物の時間を停止する邪眼系神器『
無論、今この時点ではただの雑魚────神器の影響を俺や人形らが受けるのかどうかは分からないため、断言することは出来ないが、わざわざ視界に入ってやる必要もない。敵対すれば視界外からの遠距離狙撃で対処すればいい。
さて、影響を受けるかどうかは分からないがそれも問題ないはずだ。
会談にはリゼヴィムもいるのだ、奴の能力上神器による影響は意味を成さない。
すでに範囲系神器がリゼヴィムを範囲内に入れた場合、発動が無効になるのは知っている。
「だが、問題はそこじゃぁない。会談などそれこそどうとでもなる、ギャスパー・ヴラディが邪魔になるのはさらにその先だ」
そう言いながら、俺はリゼヴィムに視線をよこす。
視線に込められた意味をリゼヴィムは理解し、笑みを深める。
「ん~言いたいことはわかるよ。要するに今度の奴でグレモリーのお嬢ちゃんとその仲間やサーゼクスくんが突っかかってくる、そう言いたいんだろう?なあに、そこらは気にしなくてもいいさ、おいちゃんがその辺考えてるから」
「なら、いいが……」
悪辣な笑みからしてろくなもんじゃあないのは間違いないだろうが、そのあたりはあちらが引き受けている以上任せるほかはない。
カルーアミルクを飲み干して、俺はソファーから立ち上がってリゼヴィムの皿から生ハムを一枚奪い口に放り込んでからそのままAR-15を引き連れてこの一室を後にする。
後ろからリゼヴィムが文句を言っている声がするが無視して帰る。
「寿司でも食って帰るか15」
「ご相伴に預かりますね指揮官」
そうだ、連れてくサブマシンガン。
あいつにしよう。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「おのれおのれおのれぇっ!!あたしも授業参観にぃぃぃ」
「先生、原稿優先してください」
「そうよ二亜。あなたでしょう夏コミの原稿手伝ってって言ったのは」
件の授業参観当日。
鴎は背中で二亜の嘆きとAR-15や他の人形の声を聴きながら、鴎はさっさと学校へ向かう。既に人形らには二亜の足止め料を握らせている為に少なくとも二亜が突っ込んでくる可能性は失せている。
ならば、気にすることなどどこにもない。
清々しく────リゼヴィムによって起きうるかもしれない面倒事を考えれば胃が悲鳴をあげ始める為、そんな気分は早々に失墜したが。
「つらっ、吐きそう」
今回は授業参観前なので少し短めにさせてもらいました。
UNDEADの方は現在執筆中ですがやはり、難航してますね。
追記────
活動報告にて質問箱始めました。作品に関する質問があればどうぞ