漫画家と主夫高校生のD×D   作:カチカチチーズ

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気がつけば既に書き終わっていた。
何故、だろうな。

ところで皆さんは英語出来ますか?私はもうね、中学の時に躓いてから動けなくなりました。辛うじて何とか出来てはいますが……

それはそれとして、サーモン食べたい


二十八頁

 

 

 

 駒王学園の授業参観、そう言ってはいるが実際のところ公開授業という呼称の方が正しい。

 駒王学園には小等部から大学部まで存在しており、今回のような授業参観では高等部の父兄だけではなく中等部の学生やその父兄も授業を見学できる。

 そういったフリーダムなスタイルのものであるが、とうの高等部の学生からすれば緊張に余計な緊張を被せにきていることが大変なのだ。

 無論、俺のようにそこまで緊張しない人間がいないわけではないが。

 

 

「大変そうね、鴎」

 

 

 と、ここにも緊張しない人間、いや人形が一体。

 

 

「もしもを考えたら胃が痛くなるの仕方ないと思うが?」

 

「フフ、ごめんなさいね。私にはわからないわ」

 

 

 ホームルーム前に寄った自販機スペース。

 あちらも同じ考えだったか、ドゥヴェーナッツァッチ・クルーガーもといAK-12が珍しくAN-94を連れずに一人でいた。

 いつもどおり、瞼を閉じたまま余裕そうな表情を俺に向ける。

 なんとも気まぐれな猫を思わせる雰囲気を醸し出している彼女に俺は肩を竦めつつ、自販機に硬貨を放り込んでいく。

 

 

「それで、護衛決まったの?」

 

「ン、決まった」

 

 

 適当に選んだ桃系の炭酸飲料のボタンを二回押しながら、あくびを噛みしめながら振り向く。

 

 

「あいつも最近暇そうにしてたからな、妹二人には悪いがこれも仕事なんでな」

 

 

「ああ、あの娘にしたのね。いいんじゃない?ん、ありがとう」

 

 

 買ったばかりの炭酸飲料を彼女に投げ渡し、空いている片手をひらひらさせながらその場を後にする。

 

 

「俺はともかくそっちには爺さん行くかもしれんから。ま、がんばりな」

 

 

 

「わざわざ頑張る必要はないと、思うのだけれど…………これはアンにあげよ、流石に炭酸を投げるのは……ねぇ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 教室において俺の席は窓側の一番目。

 夏場や冬場はいろいろと困るような困らないようなそんな微妙な席位置。例えば、夏場だったら窓から差し込む夏の日差しが暑い、だが逆に窓を開ければそれなりに心地よい風が吹き込んで涼しくしてくれたりする。では冬場は?寒い。外に近いから、寒い。ウォッカでも飲んであったまれとでも?

 それはさておき、既に授業は始まる頃合い。

 授業は英語。死ねばいいのに。

 なんで、仕事でもないのに英語しなくちゃいけないんですかねぇ?

 ドイツ語やロシア語ならともかく、英語とかだるすぎるんだよ。いや?できるよ?クソほどやりたくないし、嫌いだけれども。

 とと、耳を傾ければ、後方つまりは教室の後ろだな。そっちで扉が開きいくつもの足音が聞こえてくる。見学しにきた父兄や中等部の後輩らだろう。ほぼ、それと同時に前の方の扉が開き、いつもよりもやや気合の入った英語の教諭が荷物をもって入ってきた。

 あれはなんだろうか?

 

 袋に包まれた長方形の物体を渡されたので後ろに回していきながら袋をよく見る。

 C4、なわけがねえ。………ン?紙粘土では?

 俺は、いやクラスの全員が怪訝な表情を英語教諭へと向けて――――――――

 

 

「いいですかー、今渡した紙粘土で好きなものを作ってみてください。動物でもいい。人でもいい。家でもいい。自分がいま脳に思い描いたありのままの表現を形作ってください。そういう英会話もある」

 

 

 ねぇよっ!?

 嬉々として語る英語教諭に対して、間違いなく今この瞬間がこのクラスのほぼ全員の心が一致した瞬間だろう。

 なぜ、ほぼかって?恐らく、アーシア・アルジェントとゼノヴィアはそう思ってないからだ。ああ、言い忘れていたがやはりというべきか、ゼノヴィアは悪魔に転生していた。

 いや、それよりもだ。なぜに紙粘土なのか。

 

 

「レッツトライ!」

 

 

 テメェの下駄箱にスライム叩き込むぞ。

 

 

「はぁぁ……何を作れというのか」

 

 

 間違いなく、公開授業だから気合入れた授業にしようとしてから回ったな。

 見事な失敗で嗤えて来るな、それはそれとして何を作るか。銃?正直、作るんなら紙粘土からじゃないほうがいい。無難に無難で鴎でも作るか?

 

 

 

「「「「おおっ!」」」」

 

 

 ‥‥‥なんだ。騒がしいな。

 クラスから唐突に歓声が沸いた。いったいどうしたのだろうか、そう考えながら俺は後ろの方を振り向いて、正直振り向かない方がよかったと思った。

 歓声の中心、そこにいたのは英語教諭と兵藤一誠。恐らくは兵藤一誠の作品が原因であろうが、奴の机へと視線をやればそこにあるのはリアス・グレモリーの紙粘土像で、心の底から見なければよかったと思った。

 やはり変態は変態のようで、衆人環視の前でああいうのを作るとは……いや、いまの発言は取り消そう。いまの発言はクリエイターに対して失礼だわ。こう言い直そう、せめて服着せてやれ。

 その後、クラスの誰かの一言が皮切りに紙粘土像を巡るオークションが始まった。悪夢だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 昼休み。

 俺とアーシアは自販機前で偶然部長と朱乃さんに遭遇し、俺が英語の授業で作った部長の紙粘土像について話していたところに、木場と出会い何やら撮影会とやらをしているという魔女っ娘のもとへ訪れたわけなんだが。

 

 

「ソーナちゃん!見つけた☆」

 

 

 魔法少女ミルキースパイラル7オルタナティブのミルキーのコスプレをした美少女が我らが駒王学園の生徒会長である支取蒼那もといソーナ・シトリー会長を見つけたと同時に嬉しそうに抱き着いた。

 これにはさきほどまで生徒会の一員として撮影会をやめさせ、美少女に注意していた匙も目を丸くしている。無論、俺もこれには驚く。

 ‥‥‥ん?今更だけども、なんだか会長とコスプレ美少女似てないか?

 そんな疑問を抱く俺をよそに会長に先導されていたサーゼクス様が構わずにコスプレ美少女に声をかけた。

 

 

「ああ、セラフォルーか。キミもここへ来ていたんだな」

 

 

 ‥‥セラ、フォルー………?ど、どこかで聞いたことのあるお名前ですね。

 

 

「レヴィアタン様よ」

 

 

 ‥‥‥。一瞬、部長の言葉が理解できなかった。そんな俺の心境を読み取ったのか、部長はなんとも言えない表情でもう一度言ってくれる。

 

 

「あの方は現四大魔王の御一人、セラフォルー・レヴィアタン様。そしてソーナの御姉さまよ」

 

「え……えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええっっ!!??」

 

 

 俺の絶叫が廊下にこだましていく。

 当然だ!マジで!?嘘だろッ!?ゆ、夢にまで見た妖艶な美人魔王様がこの方ですか!?

 いや、確かにこの方も十分美人だけれども。会長のお姉さまだけあって、部長に負けない美貌だと思う。けど、俺はもっとフェロモン漂う魅惑のお姉さまを想像していたんだ!!

 そ、それなのに、し、真実はコスプレ衣装を着た可愛らしい女の子だと思わなかった。

 

 

「うぅ、もう耐えきれません!」

 

 

 と、俺が驚いている間にあの冷静沈着な会長が目元を潤ませて、この場を走り去っていった。

 

 

「待って!ソーナちゃん!お姉ちゃんを置いてどこにいくの!」

 

 

 あ、魔法少女さまが会長を追って走り出した。

 

 

「ついてこないでください!」

 

「いやぁぁぁん!お姉ちゃんを見捨てないでぇぇぇぇぇぇぇっ!ソーたぁぁぁぁん!」

 

「『たん』付けはおやめになってくださいとあれほど!」

 

 

 ‥‥‥魔王姉妹の追いかけっこ。お願いだからこの悪口を何かの拍子で消さないでくださいね。

 

 

「うむ。シトリー家は平和だ。そう思うだろう、リーアたん」

 

「お兄様、私の愛称を『たん』付けで呼ばないでください」

 

 

 今度はグレモリー一家の方で恥ずかしい会話が始まった。

 

 

「今のを見て平和って言えるのは流石に私も引くな」

 

 

 ――――唐突にそんな一言が俺たちの間に割り込んできた。

 その誰かの声にサーゼクス様が、もう一人の紅髪の男性、確か部長のお父様だ。そのお二人が驚いた表情でその声のした方向へと顔を向けた。

 一拍空けて、会長ら走り去った方向の廊下、その角から男性が二人出てきた。

 その二人の男性に俺は既視感を覚える。どこかで見たことがあるような。

 

 片方はダークシルバーな髪と髭の老人、もう片方はグレイフィアさんのような銀髪の美青年。

 

 

「リ、リゼヴィム・リヴァン・ル、ルシファー様……」

 

 

 え……いま、なんて?

 いま、部長のお父様はなんて言ったんだ……?

 ルシファー?でも、それはサーゼクス様のことじゃ……。

 

 

「やあ、久しぶりだね。グレモリーの少年」

 

 

 そんな気さくな言葉と共に目の前の男は嘲笑するように俺たちを見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

―――思えば、この時から既にこいつらは俺たちの平和を壊そうとしていたのかもしれない。

 

 

 

 




リゼヴィム「流石に公私分けないのは引くわ-」

ユーグリット「そのもみあげ引っこ抜くぞ。あと義弟と呼ばれる筋合いはない」

はよ、はよ、AK-12とAN-94、実装はよ

ゴブスレTRPG楽しい

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