気が付いたら書けていた。
アズールレーン、福袋買いましてビスマルクの衣装がもらえましたぜ。
リゼヴィムというイレギュラーがあったものの会談自体は順調に進んでいた。
時折、アザゼルが挿む言葉にこの場の空気が凍り付くこともありはしたが、アザゼルも冗談で言っているのを他のトップは判断し、流れていく。とうのイレギュラーであるリゼヴィムらはその話し合い自体には興味がないのか、ユーグリットが用意した紅茶で喉を潤していた。
そんなさなかに死銃が連れてきている二人の人形。
黒い長髪を三つ編みにし、黄色のメッシュをいれた眼帯の少女、M16。
腰まで届く灰髪に金の瞳を持つどことなく活発さを感じさせる少女、UMP40。
二人は自身へ向けられる不躾な視線を感じ、視線だけを動かして視線の主を探し始める。といってもあまりに露骨であったために二人は視線の主をすぐさま捕捉する。
自分らの反対側の壁際に並べられた椅子に座る悪魔らの一人。
今代の赤龍帝である兵藤一誠。普段から、彼を指して変態だのなんだのと言っている死銃を思い出し、そしてその視線に含まれている感情に二人は表情を不快に歪める。
だが、すぐにその視線は終わる。見れば隣の席に座るリアス・グレモリーが兵藤一誠の手の甲に自らの手のひらを乗せている。
緊張を和らげるためなのか、それとも眷属の不躾な視線を窘めるためなのか。その真意は分からないが、二人もその表情を引き締めなおす。
「さて、リアス。そろそろ先日の事件について話してもらおうか」
「はい、ルシファー様」
と、サーゼクス・グレモリーに促され、リアス・グレモリーとソーナ・シトリー、そして姫島朱乃が席を立ち先日のコカビエル戦についての一部始終を話は始めた。
軽く、死銃はマスクの下で嗤いかけたが、それは胸中に抑え込み話に耳を傾ける。
冷静に淡々と自身が体験した事件の概要を話しているが、リゼヴィムや死銃はその声音からわずかに
緊張が孕んでいるのを感じ取り、軽く目を閉じる。
やはりまだ経験不足である、それが嫌が応にも理解できた。
だが、それも仕方がないことであるだろう。
自分の発言で三勢力の何かが変わってしまうのだ。いくら豪胆であろうとも成人にもなっていない少女には荷が重いことは間違いない。
「―――以上が、私、リアス・グレモリーと、その眷属悪魔が関与した事件の報告です」
すべてを言い終えたリアス・グレモリーらはサーゼクス・グレモリーの着席を促す言葉で椅子に腰かけた。そんな彼女にセラフォルー・シトリーはねぎらいの言葉をかけ、この場の全員の視線はアザゼルへと集中する。
「さて、アザゼル。この報告を受けて、堕天使総督の意見を聞きたい」
責めるような視線を受けておきながらアザゼルは不敵な笑みを浮かべ話し始めた。
「先日の事件は我が堕天使中枢組織『
「説明としては最低の部類ですが、確かにいまこの場には実際にコカビエル側に協力した人物がいますね」
そんなミカエルが嘆息しながら口にした言葉に今度は件の傭兵である死銃へと視線が移った。
その視線に含まれるさまざまな感情に死銃は一切物怖じせずに視線をリゼヴィムへと向け、リゼヴィムはその視線を受けて頷いた。
〈ン、何を話せと?これでも傭兵として誇りはある。契約事項について詳しく話すことは黙秘する〉
だから、そんな言葉にリアス・グレモリーらはふざけるな、という感情を露にし─────
「なるほど、では少なくともリアスの報告と相違はない、それでいいのかね?」
〈相違はない〉
サーゼクス・グレモリーの質問により遮られた。
その質問により追及は終了した。それにリゼヴィムは内心呆れ、ユーグリットは内心でサーゼクス・グレモリーの顔面を肥溜めへと叩きつけ、死銃はため息をつく。
この男らは微塵もコカビエルの心境を察する気がないのだ。そして、その刑罰にも死銃は嘆くしかなかった。
あの男は、生き恥を晒さねばならないのだ。仲間たちのもとに旅立つことも出来ずに。
さて、既に彼らの視線は死銃からアザゼルへと戻り、話は進んでいく。
アザゼルら堕天使勢力の神器使い接収による戦力増強の意図などの話が始まり、面白くなさそうな表情を隠さないアザゼルが和平締結の議案と出したことに各陣営が驚愕し、リゼヴィムらはこの流れをとうに知っていたがために驚愕の色は微塵も出さない。
和平おおいに結構。
おおっぴらに悪魔を殺すのが難しくなりはするが死銃からすれば、そんなものは関係のない話であるが。
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「それで、傭兵殿。あなたの奪った聖剣を返していただきたい」
赤龍帝、白龍皇に対しての意見を求め出揃い、これでほぼほぼ話は終わるかと思えたが、ミカエルがそう俺に対して厳しめな声音で言い始めた。
無論、そんなことは会談が始まる前から理解していたことだ……しかし、リゼヴィム。
お前何しに来たんだ?いや、まあ、いい。
〈悪いがあの聖剣は正式に報酬として、受け取ったものだ。そもそもエクスカリバーという聖剣自体、教会の所有になった逸話はないはずだが〉
よくある常套句であるが実際、事実だ。
エクスカリバーといえばあのアーサー王伝説で、アーサー王伝説には聖杯やら基督教関連の諸々が出てきはするがしかし、エクスカリバー自体は湖の妖精が創ったものであり、アーサー王が死ぬ瀬戸際で騎士ベディヴィエールによって湖の精霊に返還された者のはずだ。
それに関してはリゼヴィムも肯定している。
つまり、そもそも天界が窃盗した挙句、変なものにしたならば責められるのは俺ではないはずだ。たぶん。
「そもそも、エクスカリバーの正統な所有権は天界ではなくペンドラゴン――――アーサー王の末裔にあるんじゃないかね?ミカエル殿」
「それは…………」
俺とリゼヴィムの反論に言い淀むミカエル。
どうやら、この反応からしてあまり、声を大にして所有権を主張するわけではないらしい。しかし、兵藤一誠が口を挟んでくると思ったのだが………まあ、いいか。
「それにだ。死銃も言った通り、この聖剣は彼がきちんとした正規の契約の上で得た報酬であり第三者がこれに対して受け渡しを要求するのはいかがなものか」
それっぽいことを言ってるがたしか、こういうのって俺が盗品と知ったうえでもらうとそういう契約は無効になるんじゃなかったっけ?いや、面倒なことになるから言わんけども。
あ、折れた。
「わかりました………では、傭兵殿。代わりといってはなんですが、こちらからの仕事を出すときは雇われてもらって構いませんか?」
〈正当な報酬さえ払ってくれるなら文句はない〉
傭兵だからな。
信用と信頼を報酬で買ってもらっているわけだから俺の要求は正当であるはずだ。と、ミカエルも納得したようで頷きそのまま閉口した。
これで終わり、とはいかんようだな。
向けられる視線の元、アザゼルの方へ顔を向ける。
その表情は不信感、そういったものを感じさせるが……同時に戸惑いを感じさせる。恐らくは俺個人ではなく、リゼヴィムに付いているからというものであり、戸惑いは先ほどのリゼヴィムの行動が原因なのは言うまでもないだろう。
だが、それでもこちらを侮っているように見受けられる。危険度としては現状あちらからは神器使いの人間としか思われていないのだからこれもある種当然といえよう。
さて、それは置いといてだ。
こいつは何時動くのか。
「さて、そろそろ私が来た理由でも話すとしようか」
こっちにどこか悪戯小僧めいた表情を見せて、口火を切る。
しかし、そんなリゼヴィムのことなど一切考慮せず、それは起きた。
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