漫画家と主夫高校生のD×D   作:カチカチチーズ

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 これはTwitterのほうでもいったんですが。
 UNDEADの方は極力週一投稿したいと思います。
 といっても、いまだ迷走ぎみであるのは事実なので、投稿できそうな週はTwitterで月曜あたりに報告するつもりです。




三十三頁

 

 

 

 

 

 レヴィアタン。

 これから、現れる存在を思い浮かべながら死銃は嗤う。

 魔王になれなかった哀れな悪魔、自分の実力不足が招いた結果であるに関わらず嫉妬するしか能のない女。その実力は素のアザゼルに届かない程度であり、魔王の末裔であるからか通常の上級悪魔よりかは強いがしかし魔王や最上級悪魔には届かない。そこまで、考えて死銃の脳裏にちらりと一人の少女の顔が浮かび上がる。

 瞬間、マスクの下に浮かんでいた嘲笑の表情は消え失せて、残るのは冷徹な表情。

 まるで気分を害されたかのような、その変化はほとんどの者は気づかないがリゼヴィムやユーグリット、他の人形らは気が付く。無論、その理由を察せれたのはその中でもリゼヴィムだけだろう。

 

 

 広がったレヴィアタンの魔法陣が輝き転移が行われる。

 そうして、現れるのは一人の女性。胸元が大きく開いており、深いスリットも入ったドレスに身を包む褐色の肌をした黒髪の女。

 眼鏡をかけており、その顔だけを見るならば仕事の出来そうなキャリアウーマン、いやどちらかといえば嫌味たらしいきつい女といったところか。だからこそ、なおさら死銃はいら立ちを憶える。

 そんな死銃の心境など女は知るはずもなく、女は不敵な物言いでサーゼクスへと挨拶をする。

 

 

「ごきげんよう、現魔王のサーゼクス殿」

 

「先代レヴィアタンの血を引く者。カテレア・レヴィアタン。これはどういうことだ?」

 

 

 旧四大魔王が戦争で死に、新たな魔王を擁立しようとした際にルシファーの長子たるリゼヴィムを除いて徹底抗戦を最後まで唱えた他魔王三家の末裔。現魔王らクーデター政権の彼らはタカ派であった彼らを冥界の辺境へと追いやる形でクーデターを終わらせたがしかし、処刑ではなく流刑を行ったことこそが今回のようなテロ勃発の要因の一つであるがそれはまた別の話。

 後世に残した遺恨の種が芽吹き、ここに現れた。

 カテレア・レヴィアタンは挑戦的な笑みを浮かべながら話し始める。

 

 

「旧魔王派の者たちはほとんどが『禍の団』に協力することに決めました」

 

 

 その言葉にサーゼクスは一瞬、リゼヴィムへと視線をやるが件のリゼヴィムは肩を竦めて関与を否定する。

 

 

「カテレア、それは言葉通りと受け取っていいのだな?」

 

「サーゼクス、その通りです。今回のこの攻撃も我々が受け持っています」

 

「――――クーデターか」

 

 

 そんなサーゼクスの言葉にリゼヴィムは眉を顰める。その声音からどうしてクーデターを起こすのか理解できない、そのような感情を感じ取ったからだ。

 クーデターを起こして奪った側がなぜ、クーデターを起こされるのを理解できないのか。軽く呆れつつ、リゼヴィムは事の成り行きを見守る。

 

 

「………カテレア、何故だ?」

 

「サーゼクス、今日この会談のまさに逆の考えに至っただけです。神と先代魔王がいないのならば、この世界を変革すべきだと、私たちはそう結論付けました」

 

 

 聖書に関する存在が消えただけで至ったその考えにユーグリットと死銃は呆れるがそんなことは気づかないカテレア・レヴィアタン。

 

 

「オーフィスには力の象徴としての、力が集結するための役を担うだけです。彼の力を借り、一度世界を滅ぼし、もう一度構築します。―――新世界を私たちが取り仕切るのです」

 

 

 あまりに突拍子もない話だ。

 なるほど無限の龍神ならば世界を壊すことは可能だろう。だが、再構築ができるのかと聞けば不安しか残らない、さらに言うならば世界を壊すのは可能といったが出来るとは限らない。なにせ、そんなことをしようものなら、どこぞの夢幻が出っ張ってくるのは間違いないのだから。

 いや、結果として世界は滅ぶかもしれない。無限と夢幻がぶつかれば、そうなるのは明白だ。

 無論、そのさいにテロリスト共が生きているのかはわからない話であるが。

 

 

 と、そんな風に死銃らが考えている間に話は進み、なにやらセラフォルー・シトリーとカテレア・レヴィアタンが言い争っている。いや、正確に言えばカテレア・レヴィアタンが一方的に憎々し気に吼えているのが正しいだろう。

 

 

「今日、この場であなたを殺して、私が魔王レヴィアタンを名乗ります。そして、オーフィスには新世界の神となってもらいます。彼は象徴であればいいだけ。あとの『システム』と法、理念は私たちが構築する。ミカエル、アザゼル、そしてルシファー――――サーゼクス、あなたたちの時代は終えてもらいます」

 

 

 

 その言葉にミカエルや魔王らは表情を翳らせ──────

 

 

 

 

 

 

「ク、ククク、クゥァアヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒィッッ!?ゲホッゲホッ!?あぁ……嗤い死ぬかと思った………腹と胸と喉とあと顎いてぇぇ……」

 

 

 唐突に嗤ったリゼヴィムによってその空気は変わった。

 嗤い死にかけたリゼヴィムの背をユーグリットが軽く叩き、護衛であるM16がやや前へと出、そして死銃は思考を切り替える。

 

 

「リゼヴィム・リヴァン・ルシファー様?なぜ、あなたがここに……」

 

 

 いまの抱腹絶倒の嗤い声でようやくリゼヴィムの存在に気付いたのか、まるであり得ないものを見るような目でリゼヴィムを見るカテレア・レヴィアタンにリゼヴィムは胸を押さえながら、しかしてその嘲笑の表情は崩さずにカテレア・レヴィアタンに向き直る。

 

 

「世界の改革ねぇ?自分の身の丈に合ったもの目指せよ。そもそもセラフォルー・シトリーにも勝てなかったてめぇが?ツフォーメを差し置いて魔王レヴィアタン?なんだよ、なんだよ、嗤い殺す気かよ」

 

 

 そこにいるのは、怒りと嘲笑の感情をないまぜにした男。

 男から漏れ出る魔力にカテレア・レヴィアタンは無意識に一歩後ずさってしまったが、それに気づき二歩前へと出て、気丈に振舞ってしまう。

 

 

「このレヴィアタンの末裔たる私がセラフォルーに負けると!?」

 

「負けてるから、魔王の座とられてんだろうがガキ。それによぉ、てめぇらが世界を支配なんぞ出来るもんかよ。人間に劣るようなてめぇらが」

 

 

 嗤う。嗤う。嗤う。

 そこにはカテレア・レヴィアタンをひたすらに否定する感情だけが込められていた。

 だからだろう、決して聞き捨てならない言葉も混じっていたこともあり、カテレア・レヴィアタンは怒りに表情を染めて激高する。

 

 

「人間に劣る?我々が?ふざけるのも大概にしてもらおうか、リゼヴィム・リヴァン・ルシファー!!人間のような劣等で下等、我々悪魔に奉仕し搾取されるためだけに存在する家畜でしかない、卑小で愚かな存在が、家畜如きに我々が劣るはずがあるわけがないだろう!!そして、我々の世界改革を嘲笑う貴様などもはやいる意味も無い。いいでしょう、ここで旧現ルシファー仲良く死ぬがいいッッッ!!!!」

 

 

 全身に魔力を滾らせていますぐにでもこの場の全員を殺さんとするカテレア・レヴィアタン。

 そして、同時に窓際全域が吹き飛んだ。下手人はカテレア・レヴィアタン、ではなくリゼヴィム。

 

 

「いいや――――――俺はそうは思わん」

 

 

 もはや、嘲笑も怒りも鳴りを潜めた。

 魔王らしく、しかしてリゼヴィム・リヴァン・ルシファーらしく。冷酷に処断するように、前へと出された手を降ろしながら彼は語る。

 

 

「人間の可能性。俺はそれを知っている、証明して見せよう」

 

 

 さあ、始めよう。

 

 

「さあ、見せてくれ。お前ならそれが出来るはずだ―――――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈任務開始――――――――殺す〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈任務開始────────殺す〉

 

 

 

 

 

 

 瞬間、目の前にそれは現れた。

 髑髏を模したフルフェイスマスクをつけた何者か─────リゼヴィム・リヴァン・ルシファーの言からして、恐らくは人間であろう。その接近にまったく、気が付けなかった。

 回避しようにも、もはや間に合わない。

 

 

「がァッ!?」

 

 

 ッッ!?口内に何か棒状のモノが叩き込まれたッ!??

 叩き込まれた際に前歯が何本か折れ、その勢いままに私の身体は会談会場から追い出される。すぐさま、反撃しようにも私の身体は咄嗟のことで反応できず、ただただ視界だけが移り変わる。

 そうしている内に口内に叩き込まれたものがなんなのか、ようやく理解できた。

 それは銃だ。銃口が私の口内に叩き込まれている………!!!

 

 

〈死ねよ〉

 

 

 無感情なノイズがかった声と共に髑髏の人間がその銃の引き金を引いた。

 

 

「ぁぁぁあああああ―――――――!!??」

 

 

 痛い痛い痛い痛い痛いイタイイタイ!!??

 首裏、と口内に激痛が走る。イタイ。 

 血が、血が、わた、しの、尊いレヴィ、アタンの血が、ッ!?

 銃撃の勢いで、私の、口から銃口が引き抜かれ、そのまま、私は腹を蹴りつけられて吹き飛んでいる。

 

 

〈囀るな〉

 

 

 再び、銃撃が放たれる。

 だが、もう十分だ。私は、激痛に呻きながらもそれを回避し、目の前の人間を殺す。

 

 

 

 





 カテレア対死銃……ファイッ!!

 そういえば、死銃もとい鴎のヒロインが決まりました。
 二亜とアルテミシア以外に二人、内片方はTwitterでも言ってますが、もう一人は内緒という事で。
 それと、活動報告で質問箱してますので何かありましたらどうぞ。

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