漫画家と主夫高校生のD×D   作:カチカチチーズ

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 明日から旅行に行ってきます。
 旅行中はまちがいなく投稿は出来ないと思いますが合間合間で執筆はしておきたいと思います。
 


四十四頁

 

 

「今日、今から、我が一族の者と」

 

 

 

 ヴァサゴ家。

 現当主ではなく数代前の当主であった重臣であるこの男に俺は眉を顰める。

 確かに一部の重臣が鴎の傭兵部隊に対して良い顔をしていないのも知っていたし、昨晩の二亜ちゃんとの談笑で近々何かアクションを起こそうとしているらしいという情報を手に入れていたが、まさかの今日に突っかかってくるとは思わなかった。さて、どうするか。

 一応念のために複数体の人形たちを連れてこさせていたが……。

 

 

「あー、ヴァサゴ卿。流石に今すぐというのは無理では?」

 

 

 ゲームの盤上も用意せねばならないでしょう?

 そういう意味合いを語意に混ぜ込みつつ言ってみるが───

 

 

「いえいえ、リゼヴィム殿。こちらから提案した以上、その辺りの手間はかけませぬよ。既に用意できていますよ。どうですか魔王様方」

 

「ふむ…」

 

 

 くそったれが。

 まったくもってめんどくせぇ。こういう無能はこういう時に限って根回しやら用意が早々に終わらせてやがる。

 サーゼクスやセラフォルーどもはろくに考えやしねぇ。フォルビウムの禿は軍事関係の統括である以上、俺からの報告以外に実際の目で『EXE』の能力を測りてぇだろうから、こいつも駄目だ。

 ならば、アジュカは?駄目だ。あれはサーゼクスやセラフォルー以上にどうしようもない類だ。───しかたねぇか。

 

 

「そこまで用意できているならこっちは何も言いませんよヴァサゴ卿」

 

 

 もうどうなっても、俺は知らねえからな。

 

 

 

「リゼヴィム殿も了承したのならば、私は特に却下する理由はない」

 

「私もいいと思うよ☆」

 

「俺も特に異論はない」

 

「僕も、それでいいと思うよ」

 

 

 魔王共の許可を取り付けたことで調子にでも乗ったか、それとも思い通りの事態に転んで喜ばしいのか知らんが奴は笑みを浮かべている。

 ああ、ろくなことにならねえじゃんか。

 というか、だな。そもそも鴎とヴァサゴなんて、最初っから厄ネタ以外の何物でもなかったな。おい!!??

 

 

「では。既に試合場への転移術式も用意しております。無論、機材等も準備しております」

 

 

 なにやら、ペラペラ言ってるが……んなものは聞き流して、鴎に連絡し準備させる。

 つうか、いったいどこにこんな自信満々な理由があるのかねぇ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヴァサゴ家。正確に言えばヴァサーゴ家であるがそんなものは特に何もない。

 アスタロト家と懇意にしている家系であり、そして鴎───『笑う棺桶』と因縁のある家でもある。その因縁とは二年前のヴァサゴ家からの依頼の結末。

 現当主の叔父にあたる最上級悪魔が契約を破り一方的に要求を通そうとしたが故の報復。

 些末事項であるが記すも語るも凄惨な報復を行われたこの現当主の叔父にあたる最上級悪魔は件の重臣にとって目に入れても痛くないほどに可愛がっていた孫であったらしいが、そんなもの彼らにはなにも関係がない。

 

 

 

 さて、そんなヴァサゴ家の悪魔───曰く例の最上級悪魔の子息らしく父親ににて最上級悪魔クラスに手がかかっていると言われている。そんな悪魔とその眷属たちを向かいに、鴎もといアンジェリカと人形たちはこのホールに立っていた。

 父親の仇であると認識しているのか、今にも襲い掛かってきそうな殺気と魔力を垂らしながらヴァサゴの悪魔はアンジェリカらを睨んでいるし、件の重臣も上の方から冷徹な視線を向けている。

 無論アンジェリカにとってそんなものどうでもいいわけでこうしてどこ吹く風と言わんばかりに瞼を閉じて沈黙を保っている。それに伴い、人形らも同じようにしている。

 そんな双方を壁際に用意された席に座って見ている若手悪魔ら。その胸中は各々様々。

 

 悪魔に人間風情が敵うはずがないと高をくくる者。

 見目麗しい人形に舌なめずりする者。

 どうなるのか、と純粋に気になる者。

 この場に死銃がいないゆえに敗北するのだろうと決めつける者。

 

 

 リゼヴィムは呆れつつもやりすぎないように視線を向けるがアンジェリカは普通にそれを無視する。

 

 

 

「おや?死銃殿がおられないようですが…まあ、もう始まるので仕方ありませんな。死銃殿を抜きで始めるとしましょうか」

 

 

 脂付いたにやけた笑みを浮かべながら語るヴァサゴ卿。それを最後に両陣営の足元に魔法陣が展開され、輝き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 輝きが失せたそこに広がるのは森の中。

 やや拓けた場所で高所から見れば一目でわかるようなそんな森に空いた穴という言葉がぴったりな場所。そして、視線を少し上げれば遠くに城のようなものが見える。

 そこまで見てアンジェリカは理解した。つまるところ攻城戦をやらせようというわけだが、視線を動かし人形らを見る。

 あそこに向かう途中で追加で呼び出し増えた猟兵は『兵士』枠として8体。

 名付きは4体、そして自分を含めて自陣営には十三しかいない。それに対してヴァサゴは十六のフルメンバー。数字だけで見れば高々「3」という差でしかないが、攻城戦というのは防衛側の数倍の戦力でやるのが常であり、間違いなく不利である。

 加えて、この立地。明らかに城側から見下ろせるような本陣であり、開幕早々に爆撃も可能だろう。

 

 

「だが、そういった不利を叩き潰すのがこっちのやり方だ」

 

 

 アンジェリカは不敵に嗤って人形たちへ視線を向ける。

 

 

「指揮官殿。どうしますか?」

 

「あちらの情報不足である以上、作戦もやや杜撰になりかねませんが」

 

 

 そう問いかける案山子(スケアクロウ)とジェリコに対して、アンジェリカは口ではなく敢えて機器を用いて伝達する。

 伝達を聞いてすぐさま、行動を開始する2体を余所にアンジェリカは残りの2体の人形へと視線を向ける。片方はここ最近副官を任せている人形であるM4A1。では、もう片方は────

 

 

「フフ、いいねぇ指揮官。こんな面白いことがあるなんてついて来た甲斐もあったってもんだね」

 

 

 臀部まで伸びた真っ白な髪に他の人形らに比べて露出の多い黒と白の衣服に身を包み両刃の特異なブレードを二振り腰に下げた眼帯の女。案山子やM4に比べてジェリコやアンジェリカと同等の外見年齢の戦術人形。

 錬金術師(アルケミスト)の名を冠した人形は愉悦にその見目麗しい顔を歪めている。

 

 

「指揮官。私は少数で飛び込んだ方がいいと思います」

 

 

 M4は相も変わらず対して興味もないのか、低血圧じみた反応を示しなんとも対照的な反応を示すこの場における実力者にアンジェリカは肩を竦めて苦笑し、作り物の紫色の空を見上げる。

 

 

 

「ああ、なんて哀れな話だ。オレの分の獲物は残してくれるかわからないなぁ」

 

 

 そう呟きながら、胸中に渦巻くここ最近溜まっているストレスの発散できるかどうかを心配する。自陣営のことなど一切心配せずに。

 

 

 

『皆さま、このたびはヴァサーゴ家、EXEの『レーティングゲーム』の審判役を担う事となりました、ルシファー眷属『女王』のグレイフィアでございます』

 

 

 と、唐突にこのフィールド全域にアナウンスが流れる。

 

 

『我が主、サーゼクス・ルシファー様並びにセラフォルー・レヴィアタン様、アジュカ・ベルゼブブ様、フォルビウム・アスモデウス様の名のもと、ヴァサーゴ家とEXEの戦いを見守らせていただきます。どうぞ、よろしくお願いします。さっそくですが、今回のバトルフィールドはヴァサーゴ家領内にある旧要塞周辺をゲームのフィールドとして用意されました』

 

『両陣営、転移された先が『本陣』でございます。ヴァサーゴ家の本陣は要塞謁見の間、EXEの本陣は森林内部の場になりますが、今回のゲームのルールは攻城戦になります。その為、攻め手側であるEXEの『兵士』はプロモーションするには通常通り敵本陣まで赴いていただきますが、防衛側のプロモーションは攻め手側の『王』が要塞内に侵入することで可能となります』

 

 

 やはり、明らかなEXEの不利。無論、これを抗議したところで『王』つまりアンジェリカが要塞内に侵入せねばプロモーションが出来ないヴァサゴ家の方が不利であると返されるのが落ちだろう。

 プロモーションの可不可により『王』が要塞内に侵入したかどうかわかるという情報の有利があるというのに。

 

 

『以上をもって当ゲームのルール説明を終了とさせていただきます。………では、これよりヴァサーゴ家とEXEのレーティングゲームを開始いたします──────』

 

 

 

 

 グレイフィア・ルキフグスの宣言と共にレーティングゲームが始まった。

 

 

 





 低血圧なM4。この子、少数だと暴れ散らかす子なんです。具体的にはスキルを使うと………


 観想くだちい

 ちなみにどうでもいいことかと思いますが作業用BGMは基本的にACVDのBGM集ですねセリフ付きの

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