何故か気がついたら新しい話が完成していた……いったいぜんたい何が起こったのかわしにはわからんぜよ……
ようやくARー15の専用装備が泥りました……長く厳しい戦いだった……次は姐さんのか。
「なんだこれは……」
誰からともなくそんな言葉が漏れた。
観戦していた政府の重臣らはそのほとんどが自分たちの脳裏に描き広げていた当たり前のキャンパスにナイフを突き立てられていた。相手は人間ではなかったのか?
彼らが見るのは思い上がった人間たちを最上級悪魔に手をかけた程の貴族悪魔とその眷属が蹂躙する様であった。だが、だがしかし、なんだこれは?
自分たちの眼前、複数あるモニターに映るのは悪魔達が尽く蹂躙される様ではないか。まして、倒された全員がろくに戦えずに無力化されているのだから、尚更だろう。
「(ま、そりゃそうだろ)」
そんな重臣どもを冷ややかな目で見つつ、リゼヴィムは軽く欠伸をかく。
数年前のヴァサゴ家最上級悪魔の殺害。最上級悪魔を殺したという実績がある相手に最上級悪魔に手をかけた程度で勝てると思っているのがちゃんちゃらおかしい話だ、とリゼヴィムは思いつつも思考の端で何となくであるが彼らの考えを理解していた。
「(あくまで勝ったのはSterben。だから、Sterbenがいない状態なら簡単に勝てるとでも考えたのかねぇ)」
一強であるという考え程おかしいものはない。
彼らは人間───正確に言えば人間なのは鴎ただ一人であるが───その歴史を紐解けばわかる話だろう。確かに中世やらそれ以前は英雄やらなんやらと突出した実力者により戦いは左右されてきた。だが、近代ではどうだ?
誰でも使えて平均的に戦果を挙げられる、そんな武器が幾つも造られてきた。すなわち、質よりも量、量よりも質を超えた───
「質と量、どっちも兼ね揃えた部隊ほど厄介なものはない」
昔の戦争に現代の銃を装備した兵士を送ってみろ。少なくとも銃弾が尽きるまで戦果が挙がっていく。弱兵が将を討ち取る。
日本でいえば織田信長が最たる例だろう。
大量生産された火縄銃によって、弱兵たちが名だたる武将を撃ち殺す。長篠の戦いやらなんやらが有名か。
そこまで思考を回して、内情を知ってる者としてリゼヴィムは同情のため息を吐く。
「(ま、最上級悪魔つっても、上下広いからな。タンニーンやらの明らかに元の種族的に悪魔の範疇を超えた最上級悪魔とその下限に手をかけた程度じゃあな……
もはや見るべきものはないと言わんばかりに内ポケットから飴を取り出して口に放り込むリゼヴィム。その思考は既にこのレーティングゲームについてではなく、つい先程目をつけたばかりの青い芽をどう育てるかという事に移っていた。
「(グレモリーと違ってSterbenに敵意がそれほどあるわけじゃねえしな。あー、愉しみだわ)」
──────────
「(くっ……何故、こんな事に)」
先程から聴こえるアナウンスに表情を歪めながら一人の男悪魔が要塞を駆けて行く。
正しく巨漢という言葉が似合う偉丈夫な男悪魔はドミウス・ヴァサーゴの『
そんな彼はいまこの現状に酷く焦りを覚えていた。
あまりにも早すぎるゲーム展開。作戦を考える時間もなく、ゲーム開始早々の攻勢。そして、既に自陣の半数がリタイヤしている。
故に主の命令で前線に向かっているわけであるがしかし、男は止められないと判断していた。
「(状況から、敵は三部隊に分かれているのだろう。俺と、『
どうする。そこまで悩んで、男はネガティブな思考を自ら切り捨てた。
ならば、主のもとにやってくる前に自分が敵の一部隊を早々に叩き潰して戻ってくればいいのだ、と。
「俺は負けない────」
「残念だ。お前の負けだね」
「っ!」
その脚が止まった。前方に立つのは白髪に眼帯の長身の女。突き出た胸や腹部が見える服装やチラリと白い太ももが晒されたなんとも情欲を誘う風体の彼女、
その両手に持った二振りの両刃のブレードという明らかに危険極まりない代物が見えているが、一瞬惚けて───
「さよなら」
「ヌゥッ!?」
その一瞬を狙って眼前に飛び込んだ錬金術師がそのブレードを振るった。しかし、腐っても実力でのし上がってきた故か、その刃が男の胸部を斬り裂く寸前にぎりぎりのところで男は後ろに跳ぶことで回避してみせた。
理解してしまった。
「……」
そして始まるのは冷徹な仕事だ。
床を蹴りつけ、目に終えぬ速度で男の背後に回った錬金術師がその頸椎を断つようにそのブレードを振るう。しかし、経験故の理解か純粋な本能か、男はそれに気が付きなんとかその手に握っていた剣を割り込ませながら反転し下がる。
「こいつ……いま、殺す気だった!!」
容赦を感じれない冷徹な一撃にそう吐き捨てる男。そんな男など心底どうでもいいかのように錬金術師はその機械的な冷たさを感じさせる視線を向ける。
男は長年の経験からそれが、自分を見てはいないことを理解した。
自分を通して別の誰かを見ている。なるほど、そういう輩は何度も見てきて相手をしてきた。その度に結果として自分を見させたうえで打ち負かしてきた。
だが、だが、この目の前の女は違う。
「てめぇ……!!」
何も。何も見ていない。
それは作業するかのような、視線。自分を通して誰かを見ているわけでもなくただただこの戦いを只の作業と考えているそんな視線であった。故に男は激高した。
「ぶっ殺すッ!!」
人間如きがなんだその目はッ!!
そう自らに渦巻く怒りの感情を放出させるかのように男は咆哮し、その筋肉を二回りほど膨張させた。その巨躯はこの要塞の廊下の天井に頭をぶつけかねないほどで、だからだろう男はやや前傾姿勢をとる。
上半身の服は膨張した筋肉により弾けており晒された肌にはうっすらとであるが黒い稲妻のようなものがいくつも浮かび上がっている。
「……」
それを前にしてもなお、錬金術師の視線は変わらない。
当たり前だ。遊びを入れる理由がないのだから。故に極めて冷徹に錬金術師は床を蹴りつけ男へと向かっていき、当たり前に男も錬金術師を迎え撃つためにまるで獣のように飛び掛かった。
────────────
錬金術師が『
ジェリコら隠密部隊もまた一つの障害に当たっていた。
「残念だがここで終わってもらう」
いったいぜんたいどういう理由か不明であるが、一人の女悪魔がその刃をメタマテリアル光歪曲迷彩のアタッチメントを装備しているジェリコらへと向けていた。
それはあてずっぽうでもなんでもなく、間違いなく見えているのかそこにジェリコらがいることを理解しているらしい。彼女の周囲にいる三人の悪魔たちはわかっていないようだが。
その様子を見ながら小隊長を任されているジェリコはこの現状に対応するために目の前の女悪魔を叩くことを決めた。
無論、この意思は既にネットワークを通じて伝えており無言のまま、猟兵らが周囲の悪魔の対処へと動き始めた。
「ッ、仕方なし…」
見えない部下たちへ迫る猟兵らを見送り、女は目の前のジェリコとを討つために構えた。
恐らく9月中はこのスペースでは書けるかもしれませんが、10月になったら間違いなくスペースは落ちます。
ところで、アルケミストってエッッチちな格好だよね
感想くだちい