漫画家と主夫高校生のD×D   作:カチカチチーズ

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 食らえ!これが最新話(なお短め)!!
 鬼滅を読んでる方は知ってると思いますが、ポケモンやってました。楽しいです。
 キョダマカビゴン集まるのが楽しい。



五十二頁

 

 

 

 

 

 

 サイラオーグ・バアル

 リアス・グレモリー

 ゼファードル・グラシャラボラス

 シーグヴァイラ・アガレス

 ソーナ・シトリー

 

 シトリーとアガレス、そしてグラシャラボラスはどちらかといえばどっこいどっこいの一列並びであるがこれが概ね、若手悪魔たちの戦力評価である。バアルは魔力を使えぬ身でありながらその実力で弟を押し退け次期当主と成り上がったのだから妥当と言え、グレモリーは従兄弟と違いバアルの滅びの魔力を受け継ぎ眷属には聖魔剣や赤龍帝、デュランダルがある。

 そして、他三家の若手悪魔はこれと言った突出したものがあるわけでなかった。荒くれ者の多いグラシャラボラス眷属と悪魔の多いアガレス眷属、転生悪魔ばかりのシトリー眷属。頭の凝り固まったような老害らからすればどうしてもこういった順列になるのは当然だった。

 その旨を伝えれば、ソーナ・シトリーは眉を顰める。

 

 

「……そうですか」

 

 

 元から理解してた事だ。凡百の悪魔たちとは違うと言えども知略に富んだ彼女はその実力はトップ2に比べれば劣り、突出した武器が無い。ならば眷属の地力だが、生粋の悪魔や魔獣に人間が敵うかと聴かれれば、苦渋の表情を浮かべながらソーナ・シトリーは首を縦に降ってしまうだろう。

 それは眷属の力を信用していないからではない。むしろ、信用しているからこそ実力差を理解出来てしまうのだ。

 そんな彼女に死銃は嗤う。

 

 

〈それで?高々一ヶ月弱しかない中、リアス・グレモリーに勝てると思うか?〉

 

 

 その実力差は一ヶ月弱の特訓で何とかなるようなものなのか?と。

 その言葉に表情を歪めるソーナ・シトリー。

 パワーが、テクニックが足りない。リアス・グレモリーの持ちうる手札と比べてあまりにソーナ・シトリーには手札が足らない。現状、匙がネゲヴにしごかれ、他の眷属らは雀蜂らによる訓練───身内ではなく且つ女子という点から匙ほどの扱きではない───を行ってはいるがそれでどれほど変わるのか。

 前線に出っ張るよりも後方での指揮がどちらかと言えば向いているソーナ・シトリーにはそれは分からない。

 そんな彼女に視線を向けながら死銃はそのマスクの下でほくそ笑む。

 

 

〈忘れるな。ソーナ・シトリー嬢、君は指揮官だ。盤上においてどのように駒を動かすのかは君次第であり────何より、まだ差は広がっていない〉

 

 

 脚を組み直しながら、死銃はソーナ・シトリーの顔を見る。死銃の言葉に面食らったような表情を晒す彼女に死銃はたたみかける。

 

 

〈実力差?馬鹿を言うなよ、お前たちの実力差など尽くどんぐりの背比べでしかないだろう?明確な実力だけで何とかなるのは相手と己との間に厳然な実力差というものがある時だけだ、どんぐりの背比べでしかない実力差に経験の薄さ、なれば最終的な天秤はどちらに傾くのかは誰にも分かるものか。ならばその天秤を傾けるのに必要なものは何か、それこそが奇策であり相性というものだ〉

 

「っ───」

 

 

 ソーナ・シトリーが息を飲む。

 無機質な髑髏のマスクがまるで嗤っているように見える。

 

 

〈そもそも前提が間違っている。何故?何故?何故?お前は自分が負ける可能性と思っている?自虐で悦ぶ変態か?違うだろう?嗚呼、お前は悪魔らしくないよ、傲岸不遜に笑えよ、「私はお前より強い」と〉

 

 

 指が伸ばされる。

 まるでそれが当然の事のようにその言葉がソーナ・シトリーの中に入り込んでいく。それに抵抗する事などする理由がない、それが当たり前かのようにするりするりと奥へ奥へ侵入していく。

 助け?そんなものはない。

 悪魔の囁きがソーナ・シトリーの心を犯していく。それを気づくことは無い。

 

 

「わた、しは.......」

 

〈勝てよ、そうせねばならない夢があるだろう?〉

 

 

 そもそも言葉使いこそアレであるが、死銃は何もおかしなことは言っていない。正しいことを言っているが為に、それらがソーナ・シトリーへと簡単に入り込んでいくのだ。

 髑髏のマスクの下で鴎は嗤う。

 ああ、愉しい。

 

 

 

 

 

 

───────────────

 

 

 

 

 

 

 

「はぁはぁはぁ……」

 

 

 シトリー領内のとある山で匙元士郎は荒い息を吐きながら、地面に大の字で仰向きに転がっていた。

 全身から汗が吹き出て、至る所に殴打されて痕が覗いている。そんな彼を見下ろすのはネゲヴ。

 

 

「ふーん、結構やるじゃん。意外と根性あるのね」

 

「はぁ……はぁ……」

 

 

 ネゲヴはこのわずか数日の間に変化した匙に賞賛を送る。というのも、ネゲヴによる扱きが始まった初日はほぼほぼ一撃で匙の意識は飛び、冷水を顔面にぶちまけられて起こされる、をひたすら繰り返していた。次の日は扱きをほどほどに筋トレや教導などを行いながら基礎的なモノを上げていく……これらを交互に行っていった結果、匙は見事一度も気絶せずに何とか扱きを最後まで行うことが出来たのだ。

 目まぐるしい成長なのは間違いないだろう。

 しかし、息も絶え絶えな匙には彼女の賞賛は残念ながら届いていない。

 

 

「……水飲める?自分で」

 

「……はぁ……だい、じょうぶ……です」

 

「……そう。それじゃあここに置いとくから早めに飲みなさいね。あ、焦らずに飲むのよ?それで溺死なんて笑えないから」

 

 

 私は教導の用意してくるから。

 そう言い残してから、立ち上がりスカートを軽く払ってから小屋の方へと移動していった。

 そんな彼女を視界の端に映していた、匙は痛む身体に鞭打ちながらも起き上がりネゲヴが置いていった水に口をつける。塩っけと甘みが混ざった丁度いい水に匙は息をつきながら次の教練を思う。

 

 

「…………ちゃんと起きてられるか?俺……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────────────

 

 

 

 

 

 

 

 何事も準備というものは大事なものだ。

 例えば、誕生日パーティー。主役の為に、そして、自分たちが楽しむ為に、パーティーを盛り上げる為の準備をする。

 例えば、学園祭。これもパーティーと同じようなものだろう。苦労しながらも試行錯誤してみんなで一つのものを作り上げるこれもまた準備が大切だ。

 

 

 そして、これもまた必然的に大切な準備だ。

 

 

「ぎゃぁあああああああ!!!!」

 

「痛い痛い痛い痛い!!!???」

 

「嫌だ!やめろ!止めくれぇッ!!??」

 

 

 眼下で広がるのは手術台に固定されたとある種族の者ら。可哀想にも仲間たちに見捨てられて、黒狗たちに捕縛された奴ら。

 捕縛された先に待っていたのは楽しいパーティーの為の準備。

 いやはや、カモメに借りててよかった。

 

 

「リゼヴィム様。第二工程が終了いたしました」

 

「ンー、おーけーおーけー。そんじゃ、今週中には仕掛けよっか」

 

「ハッ。では、あの方に伝達を」

 

「うんうん、任せとくよ」

 

 

 下がる黒狗を見送りながら、俺は嗤う。

 楽しみだなぁ。合法的にこんな事が出来るなんてほんっと楽しみだわ。

 

 

 

 






 今回はいわゆる仕込み回ですね。
 仕込みは大切、レストランで教わった



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