どうもお久しぶりですね
久々の投稿です。
「い、いったい何が……」
「門が……爆発した?」
「カ、カーミラ派が攻めてきたのか!?」
門とその周辺の外壁が爆砕するなど、ツェペシュ派の歴史に果たして幾度あっただろうか。残念ながらそんな歴史は無いだろう。
対立しているからといってここまで大仰な侵攻などは互いに経験した事はなく、あったとしても兵を使っての野戦か騎士同士の中世的な戦闘ぐらいか。
さて、そんな都市部の吸血鬼らからすればあまりにも唐突な門および外壁爆砕。パニックになるのも当たり前と言えるだろうし、ましてや表立ってぶつかり合っている訳では無いが政治的に強く対立しているカーミラ派の存在もある。カーミラ派と繋がっているゴンドラの存在からカーミラ派の侵攻かと疑うのは当然の摂理と言えるだろう。
門近くにある詰所からこの緊急事態にぞろぞろと吸血鬼の兵士たちがその手に槍やらなんやら前時代的な武装を持って未だ黒煙で全容が隠された門だった場所へと近づいていき─────
「抵抗するな」
「「「!?」」」
そんな彼らに投げかけられた言葉が彼らを硬直させる。
黒煙より現れたのは黒煙よりも黒いコートに身を包む一切肌を露出させぬ銀の鳥面を付けた黒い人型。その手に手斧を携えて、瓦礫を足場にして彼らを見下ろす猟兵は眼球すら隠し、鳥面に空いた目にあたる部分から感じさせるのは敵意でも殺意でもなく、あるのはどうでもいいと言う無関心。はたまた仕事であるという義務感。
爆砕の次に現れた猟兵の存在に吸血鬼らは動きを止め、敵意を抱く前に猟兵は淡々と語る。
「我々は『EXE』。対テロリスト部隊である。テロリストに加担するツェペシュ派政府機関の陥落及び報復行為が目的である。抵抗するな、武器を捨て降伏せよ、無抵抗な無辜の市民に我々は危害を加えない」
あまりにも一方的な宣言。
宣戦布告?そんなものは既にとうの昔に済んでいた。ましてや先に行ったのは吸血鬼側なのだ。
無論、そんなものを知ったことではない兵士らは猟兵の言葉に吸血鬼らしい傲慢ちきな感情のもとに巫山戯るな、とその手に持つ槍を向けながら前へと踏み出し
「?」
次の瞬間にはその全身に蜂の巣をブチあけながら辺りにその肉片をばら撒いて死んでいく。
あまりにも呆気なく、吸血鬼だった肉はまるでスローモーションでもしたかのようにゆっくりと仰け反りながら宙に浮かびそのまま街路に落下しておびただしい血を流しながら沈んだ。
周囲の家々の窓から覗き込んでいた住人、一緒にいた兵士たち、街路に出てきていた住人ら全員がその兵士だったモノへ視線を向ける。
「キャアアアアァァアアッッッ!!!???」
誰かの悲鳴を皮切りに周囲から悲鳴や恐怖、ざわめき始め、兵士らは仲間の死に怒りを抱き、猟兵へと向き直ればそこには既に猟兵は一人ではなかった。
次々と現れていく猟兵らがその手に持つのは手斧ではなくアサルトライフルAK-12。最初の猟兵と違い彼らはそのまま止まることなく都市へと侵入していく。無論、吸血鬼の兵士らは侵入者を迎撃する為にその手の武器を握る力を強めて猟兵らを迎え撃つ。
だが、しかし
「アアァ!!??」
「ギヤァァ!?」
「ひぎぃ!?」
槍?剣?盾?馬鹿め馬鹿め馬鹿め。
そんなもの、使える距離に近づかれるより先に殺すのが何より正解だろうが。
猟兵らが向かってくる兵士らへと銃口を向けて引き金を引けば出来上がるのは犬の餌。
「抵抗するな」「抵抗するな」「抵抗するな」
「抵抗するな」「抵抗するな」「抵抗するな」
「抵抗するな」「抵抗するな」「抵抗するな」
都市に悲鳴が、銃撃が、肉が引きちぎれる音が響き渡る。淡々と淡々と抵抗する吸血鬼を殺しながら猟兵らは生命を感じさせない声音でひたすら降伏勧告を続けながら一歩、一歩、前へと進んでいく。
そこに殺意はない。
そこに悪意はない。
そこに戦意はない。
そこに敵意はない。
そこにあるのは義務感だけだ。
仕事だから、指令だから、命令だから。
まるで害虫でも処理するかのように猟兵たちは向かってこようとする兵士らを殺していく。恐怖でその場に蹲る住人や戦意を失い武器を落として膝をつく兵士を無視して、猟兵はぞろぞろと門だった場所から溢れていく。もしも空からこの光景を見れば恐ろしい事この上ないだろう。大量の黒いモノが都市に入り込む様など恐怖しかない。
さて、門以外にも別の場所でも爆発は起きていた。
門があるわけでもないし完全な外壁は門側以上の爆砕被害を出しており、出来た穴は下手な重機なら二台は同時に通る事が出来るほどのものだ。
そんな穴より侵入してきたのは猟兵───ではなく、何台もの大型軍用バイクとそれに乗る雀蜂やその他の人形たち。
彼彼女らはそのままバイクで吸血鬼を数人轢き潰し、後続から他のバイクや大型の装甲トラックが何台も侵入し、そこより次々と雀蜂や人形らが降りていきその銃口を吸血鬼らへと向ける。
あまりにも唐突なそれに吸血鬼らはやはり驚きを隠せず、その場から動けずただ見ているだけ。そんな彼ら彼女らを憐れむように軍用バイクの一台に乗っていた処刑人と狩人が降り、口を開く。
「抵抗すんな。無抵抗な奴は殺さなねぇ」
「だが、こちらに反抗するものは容赦なく殺す」
反論など許さないと言わんばかりの凄みを醸し出す二人に住人らはその場で蹲り、逃げ出すなど様々な中この場に集まってきた兵士らはだからどうしたと自らを奮い立たせて人形らへと向かっていく。
そんな彼らはやはりと言うべきか、銃火器を手にした人形らの銃撃で容易く死んでいく。
あまりにも呆気ない。
あまりにも生命が軽く死んでいく。
これが戦場というもの。
処刑人と狩人の隣をバイクが通っていき、その後ろを歩兵が少しずつ進んでいく。
─────────────────────
二箇所からの同時多面侵攻を受け、ざわめく吸血鬼らをよそに門側から新たに数体の影が這い出ていく。
黄土色の装甲に四脚で移動する無人歩行戦車Manticoreが十機、悠然と進んでいきそれらを護衛する様に猟兵とも雀蜂とも他の人形とも違う流線型のフルフェイスメットを装備しピッタリとしたアーマースーツに身を包みその上から白衣を着るというやや奇抜な風体の人形らが数体Manticoreらの傍らについている。
そんな一団の中央。彼らに囲われて移動しているのは三人。
その内の二人、片や彼らは『EXE』の隊長である死銃こと鴎。もう片方は夢想家。本来ならば都市部制圧の司令塔の一人である夢想家がこうして鴎の傍らにいるのかは疑問ではあるが鴎が何も言わないところ問題ではないのだろう。
そして、最後の一体。周囲のフルフェイス達と近しい風体だが白衣は付けておらず要所要所が異なる意匠であり所々であるがアーマースーツ下の機械部分が見えており、背には何やら小型のタンクのような物を装備している。
そんな一団がゆっくりと、そして確かにツェペシュの王城へと向かっていた。
その歩みは逃げる場所などどこにもないとでも言うようで、家の窓から覗き見ていた住民たちはその姿に恐怖以外のなにものも感じれなかった。
「それにしても、まさか
《そうか?これは正当な作戦であると同時に起動実験だ。
「───『
《その気持ちは理解出来る。お前らは
「そぉ」
そんな会話をしながら、死銃はその視線を傍らのフルフェイス───人工器から城へと向ける。
原作、少なくとも本来の歴史の様にあちら側にはリゼヴィムも無限の片割れも、ましてや最強の邪龍もいない。ならば、目下面倒なのは
《強化された吸血鬼、か.......どこまでデータが取れるか》
死銃、鴎はマスクの下でため息をついた。