どうもー今回は短めです
《無駄な足掻き、としか言えんな》
猟兵によって切り拓かれてしまった抵抗した吸血鬼らの屍山血河を背後にして、死銃は吸血鬼の王城の喉元へと迫っていた。
このまま流れのままに、目標である王城へと乗り込みテロリストと繋がっているきゅけつきらを軒並み縛り上げるつもりであったが、既に王城内へと続く門は固く閉ざされており、それを前にして死銃は呆れたように門の前で嗤った。
それもそうだろう。
いくら吸血鬼といえども、その技術力は決してそこまで高いものではない。死銃の中にある知識においては確かに、神器研究などのある程度の技術はあるのだろうが、それはあくまでその研究者である王族の吸血鬼の周囲だけの話だ。
吸血鬼というものは伝統を重んじる種族であり、故にその生活基盤はどちらかと言えば中世のそれに近しい。ある程度は現代のそれではあるが。
「隊長、調査終了いたしました」
《そうか、結果は》
計器を繋ぎ門の調査を行っていた
「ハッ、構造材質は御覧の通りですが、確かに吸血鬼由来の術式が仕込まれているようです」
《突破は?》
「Manticoree十機による一斉射撃であるのならば、十分突破できますが……その、Manticoreは破甲性能が」
《そうだ、な……ン、
「ハッ」
死銃の指示に返事をして、
その様子をなんとも暇そうに見ていた
「それ、聖剣でしょ?そんなに気に入ったの?」
聖剣。夢想家の質問に対して、死銃は何を隠す必要があると言わんばかりに首を縦に振った。
《他のエクスカリバーシリーズに比べて、
「つまり、指揮官さんは変態ってことね」
《否定はしない》
「え゛」
揶揄い気味に言ってみた言葉の返答に夢想家が変な声を上げたのを尻目に死銃の視線は既に門の正面に一人立っている人工器へと向けられていた。
そんな死銃の視線を確認し、既に門近くから退避していた第三世代が拡声器を片手に警告を上げる。
「警告する。警告する。我々は『EXE』対テロリスト特殊組織『EXE』である。我々はこれより、テロリストと繋がっている現ツェペシュ派政権の居城へと押し入る。警告する。速やかに門を開けよ、一切の抵抗を我々は許容しない。我々はテロリスト及びそれに繋がる存在へ一切の手を緩めない。門を開けろ───」
そこまで、拡声器で警告した第三世代は一度拡声器を切り、王城からの反応を伺い────一分ほど待ってからその視線を死銃へと向け、死銃の首を掻っ切るハンドサインに頷いてから拡声器の電源をつけ
「開けろ!!!『EXE』だ!!」
そんな叫び声をあげると同時に門の正面にいた人工器が構えをとり、その一部装甲をスライドさせ、蒸気を吹かし、右腕を突き出し左腕で右上腕を掴み照準を固定する。
それに伴い、右前腕部の装甲が稼働し掌の中心にピンポン玉程度の穴───砲門が開いた。
一層、吹かす蒸気の量が増え、背負っていた小型タンクが稼働し始める。
まるで発電機か何かのように忙しなく、タンク内部で何かが駆動して────
「
《観測準備》
「良」
《承認、ってぇ!!》
死銃の声を合図に、それは閃光した。
僅かピンポン玉程度の直経しかない掌の砲口よりそれは迸った。紅とオレンジが入り混じったかのような火、それによる熱線。
熱線はそのまま門へと直撃し、熱線が触れた個所がまるで糸を解いていくように崩れていき、後には大穴を開けた門の残骸だけがそこに残り、微かに大気が焼けた匂いが周囲には漂った。
熱線を放った、
「観測終了。搭載特記機能の稼働実験データを神器回線を用いて工房へ送信、傍受確認、皆無良」
そんな報告を受けながら、死銃と夢想家は敵地ながら考察を交わし始めた。
「性能は十分ね……ただ、四割にしてはチャージが長いんじゃないかしら」
《そうだな、フルでこれなら問題はないが四割でこれではな。タンクのエネルギー変換効率が未熟なのかもしれん。工房帰還次第、
「なら、後は通常戦闘の実験だけども……問題ない?」
そう話しながら視線を人工器へと向ければ、既に立ち上がり砲身であった右腕の状態確認を行っていた。
それを確認して、死銃は視線を焼け消し飛ばされた城門へと移り
《では、本格的に攻め入るとするか────Manticore》
その言葉にManticoreが反応し、次々と王城内へと侵入していきそれを追う様に人工器、第三世代たちが侵入し、死銃の周囲の影が蠢くと同時に無数の猟兵たちが湧きだし、夢想家と彼らを引き連れて死銃は堂々とツェペシュ派の本拠地へと足を踏み入れた。
現在、オリジナル作品を執筆中です。プロローグは書き終わっているのでおりを見て、投稿します。予定としては週一投稿です