漫画家と主夫高校生のD×D   作:カチカチチーズ

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眠ーい。
レッドドラゴン項羽、リィンカーネーション項羽、型月項羽で融合して万象儀宝貝項羽を作りたい。

カチカチ、カチカチ

なんの音?


七頁

 

 

 

 

 

カチカチ、カチカチ

 

 音が響く。

 無機質な音でありながらもまるで生物が警戒するかのような音が。

 暗い暗い深夜に、彼らは警戒音を鳴らしながら階段を一歩一歩確実に登っていく。

 黒い防弾チョッキを黒のジャンパーの上に羽織り、黄色主体の出目でチューブが後頭部より伸びたフルフェイスの不気味なメットを被った者達がその手にサブマシンガンを携えて登っていく。

 

カチカチ、カチカチ

 

 耳を澄ませば聴こえるかもしれない音を顎から鳴らして、彼らは一歩一歩確実に登っていく。

 彼らは群れだ。

 彼らは捕食者だ。

 彼らは、血と鉄と硝煙の眷属(Hornisse)

 

カチカチ、カチカチ

 

 そして、彼らは足を止める。

 眷属であるから、上の指示を待つ為に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どうも、いつもニコニコ貴方の隣に這い寄らない硝煙香る主夫高校生こと宗像鴎だよ。

 ……アレだわ、なんか自分でもないわーと思ってるから忘れといてくれるととても助かる。

 さて、昨晩白髪双剣イキリはぐれ祓魔師とやりあった……じゃれあった俺だが何故か理由は分からないが現在学校をサボって街に繰り出している。

 無論、見つかったら何か言われない為に学生服ではなくいつも通りのワイシャツに黒地に黄色がチラチラとある上着を着てだ。元々高めの身長だった事と精神年齢が影響してか歳上に見られがちな事もあって俺は、傍から見れば大学生ぐらいだろう。

 さて、そんな俺の格好なんてものは実際大したもんじゃない、大事なのは俺がどうして学校をサボって街に繰り出しているかだ。

 

 

「いやぁ、悪いねしょーねん。荷物持ち任せちゃって」

 

「まあ、別にこれぐらいなら、いくらでもやるけどよ……」

 

 

 そう言いながら俺は、隣を歩く二亜から渡された荷物に視線をむける。

 近場のデパートにある店の紙袋に入っているのは新しい部屋着やら外着に下着等々。何を考えたのかコイツは、二亜は学校へ登校しようとした俺の手を引っ掴んで着替えさせ、こうして買い物に付き合わせているわけだ。

 まあ、二亜にも言った通り、買い物ぐらいなら別にいくらでも付き合ってやるから別に構わないんだが……なずぇに今日なのか。

 休みの日でもいいだろうに。

 

 

「えぇ?休みの日だと混むからに決まってるジャマイカ」

 

「読むな心」

 

 

 なんとも頭を抱えさせてくれるような理由と読心に俺は呆れつつ、改めて二亜を見る。

 狙ったかのような某思春期の初物男子を殺しかねない服にだいたい肘ほどまでの丈のケープを羽織り長めの靴下を履いた灰髪の美少女。

 そんないつも以上に気合いの入れた装いの二亜を軽く見ていると丁度俺の方を向いた二亜と視線がぶつかった。

 あ、面倒くさ。

 

 

「ん?ん?なにかにゃあ少年。もしかしておねーさんに見蕩れちゃった?」

 

「いや、その胸でよくもまあその服着る気になったな」

 

「がふっ」

 

 

 薄い胸を抑えてショックを受ける馬鹿を放置し、俺はなんともなしに視線を辺りに巡らせ────ふと、とあるゲームセンターで視線が止まった。

 

 

「…………」

 

 

 普段とは少し違う光景

 見知った学生服を来た何某と修道服に身を包む金髪の少女。そんな奇妙な二人組がゲームセンターのとあるクレーンゲーム機の前にいたのが目に止まった。

 

 

「アーシア・アルジェントに兵藤一誠だね」

 

「二亜」

 

 

 立ち直ったのか、と呟こうとしたがいまだその薄い胸を抑えながら、なんとももの悲しげな表情をしてる馬鹿に憐れみの視線を送りつつ彼らへと視線を戻す。

 なんとも楽しそうな顔をしているものだ。

 

 

「もうすぐ二人の間は引き裂かれるってのにね」

 

「なんだ?お前、そんなに悲劇的だったか?」

 

「まさか。その後を考えれば悲劇じゃなくて王道でしょ」

 

 

 死人を許可なく悪魔に変えるのが王道なのかどうかは知らんがね。そう口にして、俺は荷物を持ってない手で二亜の髪を軽く撫で付ける。

 

 

「ふぇ……」

 

「ま、お前に頼まれた仕事はきちんとこなすから安心しろ」

 

 

 カラカラと笑いながらやや乱暴に髪を撫でてから、俺はそそくさと先に進む。

 後ろの方で何やら二亜が騒がしいが気にせず進む。

 その際に俺の意識は常に周りへと向けて。

 

 

 楽しい日常、好きな平穏。

 俺は笑みを浮かべて、それを手に入れる為にどうしようかと嗤うのだ。

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「〈囁告篇帙(ラジエル)〉────」

 

 

 秘め事は須らく暴かれた。

 鴎は嗤い、嗤って、死面を被る。

 

 全知の天使は詳らかにこの夜にて起きる事象を、求める情報を全て余すことなくメーヴェへ晒す。

 

 嗤い、嗤って、メーヴェは狩りの時間だ、と号を告げる。

 

 

カチカチ、カチカチ

 

 

 

 地方都市駒王町。

 地方都市と言えども探せばホテルはそこそこにある。

 何より、この地は自称だが悪魔の領地だ。更には魔王の妹やらなんやら、貴族の子女が領地経営を任される町にそれなりのホテルがないというのは些かおかしいというもの。

 駅近くに建つ八階建てのホテル。バアルの名を冠するそのホテルの最上階の一室にてソレはいた。

 

 ロバまたは蛇、そんな悪魔が今夜このホテルに眷属たちを連れているのだ。

 全ては自分が見初めた美しく可憐な聖女を穢して汚して凌して自分だけのものにする為に。

 

 だがまあ、そんな糞に塗れた汚物掃き溜めの如き理想はたった一人の竜を宿した少年によって木っ端微塵に砕かれてしまうのだが────

 

 それよりも悲劇的な事が今夜起こる。

 

 

カチカチ、カチカチ

 

 

 

「ボス、それで?どうします?」

 

「好きにしろ。お前がやりたいようにやれ」

 

「…………」

 

 

 深夜である為か、殆ど人がいないホテルのロビーを三人の男女が堂々と歩いていく。

 白髪にスーツを着込んだ若き実業家という風体の男、腰まで伸ばした茶髪をサイドテールにし赤い軍服のような制服に身を包む小柄な金眼の少女、そして彼彼女らは率いる様に前を歩くのはコートを羽織った灰髪の少年。

 三人はロビーを通過し真っ直ぐエレベーターへと入った。

 

 

カチカチ、カチカチ

 

 

 徐々に目的の階へと向かうエレベーター。

 

 

「……客は」

 

「八階にはターゲットとその眷属だけ」

 

「清掃係やらなんやらも八階には来ませんよ」

 

「そうか」

 

 

 耳を澄まし聴こえるは警戒音。

 顎から鳴り響く音が段々とエレベーターが上がるほどに大きく強く感じれる。

 そうして、僅かに待てば軽い音ともにエレベーターは八階へと到達する。

 

 

「退路は」

 

「既に転移対策はしてますよ」

 

「まったくもって問題ないよ、指揮官」

 

「そうか、なら―――」

 

 

 エレベーターの扉は開かれる。

 

 

 開いた扉

 匣の中より姿を現したのは三人の殺意。

 髑髏の死面を被った死、黒子の如き覆面を被り両手にナイフを持った黒づくめの何某、黒地に黄色を走らせたコートを着たサブマシンガンを手にする少女。

 

 笑う棺桶の烙印を刻んだ二人の人形(武器)を持って死が悪魔を迎えに来た。

 

 

カチカチ────

 

 そんな彼らに応えるように待機していた群れが、雀蜂(Hornisse)たちがホテル八階へと雪崩込む。

 

 

《では、鏖だ》

 

 

 鴎が嗤った。




ちょっと今回は短めでしたね。まあ、1巻の終盤なんでねぇ。
フェニックスは2話ぐらい日常書いてすっ飛ばしますね。そうしよう。

武器製造
────武器とは命を奪う為の道具だ。兵器よりも規模は小さいけれどもそれは充分に命を奪う。

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