漫画家と主夫高校生のD×D   作:カチカチチーズ

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AN-94 AK-12が大好きです☆
ブラダマンテ当たりました……いやぁ、よかったよかった。書けば当たるんですね(シャルルマーニュとアストルフォしか書いてない)


八頁

 

 

 

 

 

 鴎は死銃は嗤う。

 黒子の様な身なりの男とコートを着てサブマシンガンを持った少女を引き連れながら。

 彼彼女は人ではない。そもそも生き物ではない。鴎の保有する神器(セイクリッド・ギア)────『武器製造(ウェポン・ワークス)』はあらゆる武器武装を製造する創造系神器だ。保有者のイメージつまりは想像力とポテンシャルによって大きくその性能が上下する創造系神器であるそれは多分に漏れず、鴎という保有者の想像力とポテンシャルに大きく影響を受けていた。

 鴎の『武器製造』は他の同種とは一風変わった性能だった。保有者が想像したモノを作り出すなるほど、そこは同じだ。複数のモノを作り出すには時間もかかるし、精神力も消費する……創造系神器ならば当たり前だ────だがしかし、鴎の『武器製造』にはそんなのはありはしない。

 なるほど確かに、魔剣やら聖剣やら魔獣やら特別なモノを創るのは骨が折れるだろう。だが、だがしかしだ。

 鴎が創り出すのは銃だ、ナイフだ、弾薬だ、爆弾だ、防具だ────実際に一部を除けば大量生産されて然るべきものばかり。そんな量産品を一々一つずつ時間をかけるなどどう考えたとしても効率が悪過ぎる。

 故にそんな鴎の考え、想いを『武器製造』は汲み取り、一度でも創れば型が用意され、創れば創るほど次に創る時間や労力が減少していく。つまるところ効率を伸ばしていく進化を行ったのだ。

 つまり、一度目が面倒なだけという至極当たり前の事で…………そんな鴎はより一層の効率を求めた。つまりは動くのが自分一人というのをどうにかしようとして自分の指示に従う裏切らない手足を求めた。

 その結果がこれだ。

 

 『戦術人形前線(ドールズフロントライン)』────兵士の機械化という武器武装の延長線上、兵器とまではいかないその領域、鴎の手足となる意思を持つアンドロイドすら創り出す事が出来る常時発動型の禁手(バランス・ブレイカー)である。

 

 

《さて、鏖と言ったが……ふむ、女王(クイーン)は尋問する為殺すな。抵抗しなければ他の眷属も殺さず無力化して捕縛しろ》

 

「了解」

 

「ラジャ」

 

 

 名付き戦術人形(ネームド・ドール)である毒ナイフ使い(Johnny black)サブマシンガン(UMP45)は彼より出された命令をすぐさま、同フロア内に侵入した量産戦術人形(マス・ドール)へと通達し各々の武装を構えてフロアを進んでいく。

 静かなフロア────だが、すぐにそれは聴こえる。

 小気味好い炸裂音。

 悲鳴のような音。

 それにJohnny blackは笑みを浮かべる。

 

 

『こちらクラブthree。『騎士(ナイト)』二柱、デリート。オーバー』

 

「UMP45。遺体は一先ず放置。オーバー」

 

 

《奴の部屋は》

 

「ちょうど真ん中の部屋」

 

 

 無線より届いた殺害報告に軽くマスクの下で笑いながら、彼はその手のFive-seveNをリロードし、無線に手を伸ばす。

 

 

《Sterben。端から部屋を開けて中を確認しろ。ターゲットと同室ではないなら殺せ。オーバー》

 

「いいの?指揮官」

 

《素通りする可能性を考えたら、な》

 

 

 そう言いながらフロアの壁。部屋側の壁に触れながら進んでいく彼の背をJohnny blackとUMP45は追いかけていく。

 その道中にも無線は変わらず飛んでくる。

 

 

『こちらクラブfive。『戦車(ルーク)』一柱、『兵士(ポーン)』二柱、デリート。オーバー』

 

『こちらクラブtwo。『戦車』一柱、『兵士』三柱、デリート。オーバー』

 

 

 そういった無線等々を聴きながら進んでいく彼は、ふとある部屋の扉の前でその脚を止めた。

 何かが気になった訳では無い。それを理解したのか、それとも元々そういう機能が付随しているのか、Johnny blackもUMP45もその扉いや扉の先にいるものへと意識をむける。

 

 

《Sterben。クラブfiveからクラブtenをこっちに回せ。オーバー》

 

『こちらクラブone。クラブfiveからクラブtenをそちらに向かわせました。オーバー』

 

 

「指揮官」

 

《揃ったら中へ入る。入ればまず、Johnny blackお前が『女王』の無力化を行え》

 

「加減は?」

 

《手足の一本や二本、と言いたいところだが精々手足の甲を割る程度に納めろ》

 

 

 ラジャ。

 そうJohnny blackが呟くのを聴き流しながら、彼はふと思う。

 暴走フラグが折れるな、と。

 まあ、もとより兵藤一誠(原作主人公)とはあまり密接に関わる気のない彼からすれば兵藤一誠が暴走してその寿命が大きく削れようが削れなかろうがどうでもいい話でしかない。

 何より、そういった危機が無くなれば鍛える理由の一つが失せるわけで、もしも殺さねばならなくなった時に楽になるかもしれない。

 

 

《(まあ、その辺はお好きにどうぞ、なんだがな)》

 

「隊長、クラブfiveからクラブten揃いました」

 

《ン、そうか》

 

 

 やってきたHornisse────雀蜂と呼ばれる量産戦術人形らを確認してから、Five-seveNを握っていない方の手にいつも通りの刺剣を握る。

 それと同時に一体の雀蜂が扉の前で膝を着き、鍵穴へと道具を差し込む。

 普通ならやや少しかかる鍵開け作業(ピッキング)も人間と違って人形である雀蜂はあっという間に終わらせた。

 

 

《ン》

 

 

 指示とも言えぬ呼気の漏れ。

 だが、彼らはそれと共に扉を開き、部屋の内部へと雪崩込んでいった。

 

 

「投降しろ!」

 

「抵抗しなければ殺しはしない!」

 

「────!?」

 

 

 開け放たれた扉より見える部屋の中では。

 何やら空中に投影した映像を椅子に座りながら見ている糸目の青年とそれに傅く五人の少女らと青年の脚の間に跪いている女。

 彼彼女らは皆一様に侵入してきた雀蜂らに目を見開き、何やら動こうとして間髪入れずに炸裂音が響く。

 

 

「ァァァアア!!??」

 

「ディオドラ様っ!?」

 

 

 硝煙を立ち上らせるFive-seveNを降ろして彼は嗤う。

 

 

《抵抗するな。抵抗しなければ殺さない》

 

 

 そんな言葉と共に傍らのJohnny blackが室内を駆ける。そうして、悲鳴を上げた女の頭を床に押さえつけ、追随したUMP45がその人間離れした腕力で青年、ディオドラの右腕を折る。

 あまりにも早いその行動に傅いていた彼女らは反応出来ずすぐさま雀蜂らに魔力封じの縄を後ろ手に締められ、床に座らせられる。

 さながら、強盗がとった人質のような光景だろう。

 腕を後ろ手に縛られた五人の少女に、顔を床に押し付けられ同じく後ろ手に縛られた女、そして右腕を折られ肩より出血し股間を踏み潰された憐れなディオドラ・アスタロト。

 そんな彼彼女らを彼は見下ろしながら、その手の刺剣を弄ぶ。

 

 

《さて、初めましてディオドラ・アスタロト》

 

「な、なんだ、お前は……ッッ、そのマーク……そうか、下賎な傭兵めッッ!!僕を誰だと思っている!!」

 

《ン、清純を穢すことに悦楽を覚える外道畜生だろう?》

 

 

 その言葉に縛られている少女らは表情を暗くし俯く。

 それを視界の端に収めながら、その刺剣をディオドラ・アスタロトの頬に触れさせる。

 

 

《まあ、簡単には殺さんよ》

 

「な、何を、するつもりだ……」

 

《連れて行け》

 

「はっ」

 

 

 雀蜂の一人がディオドラ・アスタロトを人一人は容易く入るだろう麻袋へと無理矢理押し込め口を縄で縛り上げる。その際に中で暴れないように半ばも縄で縛り上げるのを忘れずに。

 そうして、麻袋に詰められたディオドラ・アスタロトはそのまま雀蜂に運ばれそのまま部屋から消える。

 それと入れ替わりでまた一人雀蜂が部屋へと入ってくる。恐らくフロアの部屋を確認していた雀蜂だろう。それが新しい麻袋を取り出しJohnny blackが押さえつけている女をJohnny blackと共にディオドラ・アスタロトのように詰め二人で運び部屋より出ていく。

 

 部屋に残ったのは彼とUMP45、縛られた五人の少女らと五体の雀蜂だけ。

 

 

《……なんともつまらない幕引きだな》

 

「胡座をかいたお坊ちゃんだから仕方がないんじゃないかな指揮官」

 

《ン、それもそうか。あのバアルならともかくあの鬼畜外道畜生に求めるだけ無駄だったな》

 

 

 そう言って彼はUMP45に後を任せ一足先に部屋を出ていく。

 そんな姿に何やら不安でも抱いたか、縛られていた少女らの中で一番大人びた少女が口を開いた。

 

 

「あ、あの……わ、私たちは……」

 

「ん?ああ、そっか……うん、大丈夫大丈夫忘れてないから」

 

 

 早く解放して欲しいのだろう。そんな少女らにUMP45は少女らしい笑みを浮かべながら頷いている、それを見て少女らは安堵の溜息を零す。

 

 

「それじゃ、解放してあげてね」

 

 

 少女らしい笑みのまま告げられた言葉

 雀蜂たちが少女らの前へと並び

 解放に安堵した少女らはその表情を皆一様に凍らせる

 

 何故ならば、彼女らは自分たちへと向けられた銃口を見たからだ。

 そうして次の瞬間に部屋に響き渡るのは彼女らの悲鳴ではなく絶え間ない炸裂音。

 名も無いサブマシンガンが吐き出す幾つもの水銀弾が少女の皮を被った悪魔共の肉体を抉り削り砕き壊し殺していく。

 表情一つ変えずにそんな悲惨な光景を眺め、つまらなさそうにUMP45は踵を返して部屋を出ようと歩き始める。

 

 

「後処理よろしくね」

 

「「「「「はっ」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、指揮官」

 

 

「ン?」

 

 

 ある日の放課後、俺は夕陽に照らされる街をバニラクリームフラペチーノ片手に歩いていた所、カフェラテを片手に持っていたUMP45に絡まれていた。

 仕事とはいえこっちに呼び戻したのは失敗だったか?……絡みがめんどくせぇ。

 

 

「指揮官はさ、日常が好きなんでしょ?」

 

「日常好きだな。ぶっちゃけ二亜やアルテミシアの世話諸々するだけだからな」

 

「じゃあ、なんで戦ってるの?」

 

 

 ────なん、で?

 UMP45の言葉は俺の思考を貫いた。あまりにも当たり前の台詞に俺は口を開いて、

 

 

「日常を守る為だろ?」

 

 

 何を当たり前の事を聞いているのか。

 

 

「日常を守る為には自分が強くならなきゃ駄目だろ?そりゃあ何もせずただ日常を過ごしてれば狙われる可能性は低いだろうさ。でも、ふとした時に二亜の力が知られたら?アレはどんな存在からしても喉から手が伸びるほどに求められる力だ。もしかしたら俺の神器を狙ってくるかもしれない。もしかしたらアルテミシアを見初めるかもしれない。そんな時に俺に力がなかったら?何も守れないだろう。それに狙ってくるかもしれないんだ、わざわざあっちから来るのを待つ理由なんてない。俺が戦うのは俺や二亜やアルテミシアの日常を守る為でだから俺が戦うのは仕方ない事なんだ分かるだろう?」

 

「え、あ、うん」

 

 

 なんか、ドン引きしてるんだがこいつ。

 俺、おかしなこと言ったか?……と、ありゃ。

 

 

「ん?どうしたの指揮官」

 

「いや、別に」

 

 

 ふと視界の端にこの街を案内する兵藤一誠と案内されるアーシア・アルジェントを映しながら俺は不敵に笑った。

 

 

 

「そういえば指揮官、ターゲットはどうしたの?」

 

「ン、今頃どっかに沈んでんじゃないか?」

 

 




騙して悪いがこれも仕事なんでな。死んでもらう

戦術人形前線──ドールズフロントライン
……宗像鴎の保有する神器、武器製造の禁手。至ってからは常に禁手状態のままという特異な禁手。アンドロイドという複雑な構造の武器武装をやり幅広くより強力により容易に製造する為の禁手。
……人形を創れば創るほど次に創る人形の製造速度が早くなり量産を容易にするという効率化を求めた禁手である。


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