グラブルは今日からガチャピンさんとムックが降☆臨
ゼノコロも今日からだお!コロ剣堀の始まりだ
パチパチ。
人気のない静かな図書室、夕陽が窓から差し込み、グラウンドから聴こえてくる部活動に精を出す学生の掛け声、そして図書室で微かに響く算盤の音。
五月の後半、この日は委員会の仕事だった。
駒王学園図書委員会。
部活動と違って強制的な委員会活動の中でも最も無難な委員会に入る事となった宗像鴎は誰もいない図書室で一人パチパチと算盤を弾いていた。
五月という部活動をやるのに寒くも暑くもない丁度いいこの季節、別にまだ試験前という訳でもない為図書室は閑古鳥が鳴くような有様で、更には先生も来ない為に鴎は一人黙々と自分の作業に務めていた。
作業に集中する為のルーティンである眼鏡をかけて、只管算盤を弾きノートに数字や文字を書き連ねていく。ノートには食費やら娯楽費やらなんやらと書かれており、要するに家計簿を鴎は書いていた。
「…………食費は問題ない」
パチパチ。
彼はひたすらに家計簿を書いていく。
正確に言えば家計簿ではないのだが、一時的な家計簿の為の書き留めなのだから、家計簿と言ってもいいだろう。
「交際費、交通費、同じく問題なし」
「――――チッ」
筆を止め、軽く頭を抑えながら鴎は舌を打つ。
苛立たしげに筆を置いて、ポケットから出したスマホの電源をつけて何処かへと電話をかける。
「――――ああ、俺……オレオレ詐欺じゃねえよ。ンとさ、ちょいと聴きたいことがあんだけども」
「……ソシャゲの人権キャラが出て、それを当てたのっていつだっけ?」
『ええと、二週間前だね』
「原稿代諸々入ったのは?」
『……二週間前だね』
電話先の相手の表情を思い浮かべながら、鴎は目頭を揉みながら眼下の収支等の帳簿を見て口を開く。
「もう一つ聴いてもいいか?……お前、原稿代何処へやった?」
『君のような勘のいい少年は大好きだよ』
そんな電話先の相手────二亜の言葉に青筋を立てながら、手元の鉛筆を持つ手に力を加えて
「ひん剥くぞ馬鹿ッ!?課金する時は言えとあれほど言ったんだが!?」
『え!?ひん剥いて無理矢理手篭めにするだって!?うんうん、たまにはそういうプレイもありだねぇ……あ、霊装付けとこうか?』
「言ってねぇよ!?」
もはや駄目である。
鴎は折れた鉛筆を備え付けの箱に放り入れ、頭を抱える。
売れっ子漫画家で容姿も整っていて性格腐ってなくてとても優良物件もとい同棲者としては充分な二亜であるがしかし、その悪癖にはもはや諦めしかない。
課金癖に酒好き、心の中にエロ親父を飼っているというアレすぎるマイナスポイントに同棲してから果たして何度目になるのか分からない頭を抱えるという行為。だがまあ、それでも突き放さない辺り、惚れた弱味というべきなのだろうが…………。
「……はぁ、何度も言うが何か出す時はホンットに一言言ってくれ、割とマジで」
『あ、うん。あ、じゃあ、今度資料にフィギュア買いたいんだけども――――!?』
「寝言は寝て言え」
二亜の提案を通話と共にばっさりと切った鴎はこれまた何度目になるのか分からない溜息をつきながら、帳簿やらを纏めてファイルに挟みそのまま鞄へとしまい込む。
そうして図書委員として諸々の片付けをしていく最中に鴎はふとその片付けの手を止め、図書室の外を、校舎の外ではなくその先、駒王学園旧校舎へと視線を向けた。
「――――悪魔」
吐き捨てる様にいや、文字通り言葉を吐き捨てながら記憶を遡る。
そうして、思い返すのはリアス・グレモリーのわがまま。つまりは婚約騒動の記憶。
「……そうか、もうそんな時期なのか……」
そんな風に呟きながら、耳を隠していた髪をかきあげて左耳につけていたワイヤレスイヤホンの様なものを引き抜いて口を開く。
「何かあるまで待機」
そう、イヤホンに備え付けられている小型且つ高性能の無線、その先にいる何かに対して指示を飛ばしてまたイヤホンを耳にはめる。
どうしてわざわざ引き抜いたのか正直、鴎でも分からない。
「フェニックス編はノーサンキュー。まあ、あちらさんとまったくもって関係無いし、そもそも非公式とはいえレーティングゲームに傭兵召喚は無理だろ」
「今日の夕飯は何にするか……五月だし五月っぽいものを……」
五月っぽい料理ってなんだ……?
そんな風に夕飯を考えながら、鴎は図書室の窓鍵を確認してから図書室の鍵を閉めてそのまま鍵をしまうために職員室へと向かっていった。
ちなみにその日の夕飯は照り焼きマヨネーズに生姜を加えた特製タレを使ったアスパラの豚肉巻きと豆腐の豚肉巻きに決まった。
二亜は残念ながら、無断課金の罰と称して茹でた枝豆とアスパラに白湯という夕飯となったそうな。なお、二亜の分になるはずだった豚肉巻きは
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そういえば、兵藤一誠が何やら部活がどうたらで公欠していた。
確かに婚約騒動でレーティングゲーム前にハンデかなんかで一週間か十日ぐらいの山篭りしてた記憶をあったようななかったような。
レーティングゲームの特訓は部活動に入るのか……そっかぁ……だとしても公欠はねぇだろ、公欠は。
「つか、一週間かそこらで勝てると思ってんのが馬鹿馬鹿しいんだが……」
サンドイッチを口に運びつつ俺はたらたらとオカ研の奴らもとい悪魔共に対しての文句を垂れ流していく。
そもそもが話、自分の力を使おうとしてない奴が果たして格上に勝てるのだろうか?例えば
他にも戦闘力なんざ一切無い魔女アーシア・アルジェント、つい数週間前までただの色ボケ猿性犯罪者高校生だった兵藤一誠、そして俺の
なんともまあ、決定打に欠けるチームなわけだ。
「そこそこゲームやってるガキでも分かるわな……囁告篇帙開くまでもないわぁ」
「じゃあ、指揮官が
「そりゃ、一に嫌がらせ、二に嫌がらせ、三四飛ばして、五に無差別砲撃だろ」
何を聴いてるんですかねぇ……当たり前のクラッカー過ぎることをき、く、な…………よ?
んん?おかしいなぁおかしいなぁ、ここ学校の屋上よ?基本的に鍵しまってる屋上よ?
毎度毎度俺が鍵開けやって鍵閉めてる屋上よ?あの二人?んなわけないない、じゃあ、誰って────
「やっほー指揮官!」
「なにゆえにお前がここにいるんだ9」
顔を向けて正体を見れば、そこに居たのは白のシャツに黒いコートを着た栗毛ツインテールというどっかの聖剣使いと被る少女もとい戦術人形。
正式名称UMP9、先日の外道狩りの際に連れてきた
しかし、こいつは本来……
「お前、ウクライナでの仕事どうした。45は一時的にこっちに呼んだが……お前呼んでないぞ俺」
「45姉がね、指揮官にカフェラテ御馳走して貰ってデートしたって言ってた」
「デートじゃねえよ、変な妄想してると薄い胸がもっと薄くなるぞって言っとけ」
いや、45への文句は置いといてだ。え?何?お前もしかしてそれが羨ましくてこっち来たの?仕事放り投げて?
そんな俺の心中を察したのか、9はピースしながら少女らしくニッコリと笑みを浮かべ
「大丈夫大丈夫。仕事なら少し前に一区切りついたから」
「は?…………ン、確かに。メール来てるな」
9の言葉に若干半信半疑───と言っても七割は疑っていた───に仕事用の端末を見れば、そこには確かに仕事に一区切りがついた旨のメールが来ていた。
45からのメールもとい簡易的な報告書に軽く目を通し、確認した旨のメールを返信しておく。
だが、しかし、だがしかしだ。
「だからといってこっちに来ていい理由じゃないだろ」
「えぇ!?いや、まあ、45姉には何も言ってないけど……」
「余計に駄目なのでは?」
俺は溜息をついて、最後の一個のサンドイッチを9の口に押し込み立ち上がる。
端末を開いた際にチラリと見たがもう十分もしないうちに予鈴がなるだろう。
「俺は授業に行くから、お前はもう帰れ」
「うん、分かった指揮官」
あの二人にもよろしく、伝えといてね〜
そんな9の言葉を背に俺は屋上の出入口から校舎内へと戻る。
鍵閉めもして、若干足取りが重いまま階段を降りていく。
45、9と来て近いうちに他の二人もこっちに来そうで大変だ。こう言ってはなんだが、正直416は面倒臭い性格してるんだよ、なんと言えばいいのかヒステリック?まあ、性格等々は俺が考えてるわけじゃないな、あくまで本家からその辺りは引用してるから……いやぁ、大変だわ。
しばらくこの辺じゃ何も起きないだろうし、その辺は気が楽なんだよなぁ