ラブライブ!サンシャイン!!~BUILD the Rainbow~   作:白銀るる

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コラボ編第2話となります!
訳あって先週中の投稿が出来なかったこと、心よりお詫び申し上げます……。
それでは……


EP2 絶望へのリベリオン

 静岡県沼津市の上空。

 そこに“彼ら”の拠点はあった。いや、停泊していると言うべきか。

 巨大な蛇に跨る人型の形をしている船。

 その船のオペレーター室で、三人の船員が眼前のモニターに映った一部始終を眺めていた。

「王サマってばやる〜!あんなにあっさりとライダーシステムを奪っちゃうなんて」

 船員の少女──エルジュはチャラい口調で、モニター越しの男に声をかける。

 中学生程の身長の彼女だが、その長い耳は地球人のものであるとは到底言い難い。

『あの程度、造作もありません。それより、パンドラボックスの方はどうなりましたか?』

「済まない……何者かが組織に侵入したらしく、わたしが侵入(はい)った時には既に……」

 エルジュが王と呼んだ男は、彼女にそう言葉を返すと、今度は船員達に成果を尋ねる。

 その問いに答えたのは、日本でいう忍装束のような物を纏った男──スコルだ。

『そうですか……となると、先程の仮面ライダーから感じた気配。あれはパンドラボックスで間違いなさそうですね』

「だねー。今、アイツから検知したエネルギーと、アタシの星で検出された成分を照合してるけど、ほぼ確実にブツの可能性大だよ〜!」

 王が映し出されている物とは別の端末を起動し、エルジュは解析を進める。

 それを尻目にし、この中でもっとも屈強な男──タウレーが、笑いながら立ち上がった。

「へっ!ようはソイツからパンドラボックスを奪えば良いんだろ?なら、今度こそオレが行かせてもらうぜ!奴らの逃げた先は分かんだろ?」

「一応ね。ガジェット達が、アンチフィールドを張りながら追跡したから、居場所は割れてるよ」

「待てタウレー!一人で敵地に赴くなど無謀だ!」

「何が敵地だ!奴らはあの一人以外、誰も変身出来やしない。制圧なんぞ、オレ一人で充分だ!」

 タウレーは、スコルの忠告を聞かずに部屋を出て行き、エルジュとスコル、そしてモニターの向こうの王だけが残った。

「あーあ、行っちゃった」

「………」

『奴の心配ならいらんだろう。性格に難はあるが、実力は確かだからな』

 タウレーが船から降りた後、訪れた沈黙を破ったのは、王が映るモニターとは別のモニターに映っている、銃を構えた男、サジ。

『サジがそう言うなら問題無い。仮にタウレーが敗れたとしても、彼らはきっとわたし達のもとに来る。これを取り返す為に』

 王の手に握られていたのは、仮面ライダービルド──桐生戦兎とクローズ──万丈龍輝から奪ったビルドドライバーだった。

 

 ***

 

 俺達がマシンを走らせること数十分、龍輝の乗るバイクの走る先に学校らしき建物が見えてきた。

 おそらくあれが目的地なのだろう。

 そして校門の前に三人の人影が見えた。

 さっきまで龍輝と戦兎以外は人っ子一人見なかったが、ここの世界の住民とのファーストコンタクトになるわけか。

 

 校門の手前でバイクを止め、デバイスの状態に戻す。

 普通、バイクがスマホなんかになれば驚くはずだが、三人はそういったそぶりを全く見せない。ということは、仮面ライダーの関係者ということか……。

「戦兎!?大丈夫、戦兎!?」

 戦兎の名を呼びながら、ポニーテールの少女が俺が背負っている戦兎近づいてくる。

 見たところ、戦兎や龍輝と同年代のようだが……この様子だと、まあそういうことなのだろう。

「心配するな。力を使って眠っているだけだから、じきに目を覚ます」

 戦兎の顔を見せると、少女は小さな声で「良かった……」と呟き、安堵からかそっと吐息を漏らした。

「悪い……俺が突っ走った所為で戦兎が……。それにドライバーも……」

「龍輝君、過ぎたことをいつまで悔やんでいても先には進めない」

「そうよ。ドライバーは一つだけなら予備がある。それに今一番大事なことは、貴方達二人が無事に戻ってきたことなのだから」

 白衣を着た男性と美しい女性が龍輝を諭す。

 龍輝は二人の言葉に頷き、平静に戻ったようだ。

「貴方が二人を助けてくれた仮面ライダーね?」

「はい。俺は石動仁。龍輝と戦兎を助ける為にやって来ました」

「わたしは島村神子。事情は把握しているわ。まずは戦兎君を保健室に連れて行きましょう」

 

 ……どういうことだ?間違いなく龍輝の知り合いなのだろうが……。龍輝が彼女達に連絡を取っていたところは一度も見ていない。

 いや、この際それは置いておこう。今は味方の謎よりも、この事態をどうにかすることの方が先決なのだから。

 

 

 戦兎を保健室まで連れて行き、俺達を迎えてくれた内の一人、松浦果南をその付き添いとして残して俺達はスクールアイドル部とやらの部室まで向かった。

 

 

「一体どういうつもりですか!?警報が鳴っているにも関わらず、学校の外に出るなど!!」

 辿り着いたその場所で俺達を待っていたのは、外出が禁じられているにも関わらず、飛び出して行った龍輝に激昴する少女だった。

「こ、これには深い理由があるんだよ!」

「ではその理由をお伺いしても?!スマッシュが出現している中、危険極まりない外へ出ていかなければ行けないほどの理由を!!」

 龍輝は、既に使い古されている言い訳を盾にし、流そうとするが、むしろ状態は悪化。

 彼女は更に鬼気迫る剣幕で龍輝に迫り、問い詰めていく。

「どうどうダイヤ、もう少しクールにならなきゃ。そのプリティーな顔が台無しよ?」

 そんな少女──ダイヤを落ち着かせようと、金髪の少女が諭すが……なんかこの状況だと、煽りにしか聞こえない……。

「鞠莉さん!冗談を言っている場合ではありませんわよ!?スマッシュ警報が発令されているというのに、外に出るなど、命を投げ捨てるも同然の行為なのですよ!?」

 ダイヤの怒りの矛先は、金髪少女──鞠莉へと移り変わる。

 

 スマッシュ警報……知らない言葉が出てきたな。

 まあ、概要はその名称から大方想像はつく。

「分かってる分かってる。けど、今はお客さんもいるようだし、ね?」

「お客さん?」

 冷静さを取り戻したらしいダイヤは、やっと俺達の存在に気付いたようだ。

「取り込み中、申し訳ないね」

「「葛城先生!?」」

 龍輝のすぐ後ろに立っていた男性──葛城巧さんが、少々困り顔で龍輝の隣に移動する。

 そんな巧さんを見ると、鞠莉を除いた一同が一斉に彼の名を叫んだ。

 

「葛城先生……どうしてここに?」

「実は龍輝君と戦兎君のことでお客さんが来ていてね。高海君達にも用があるみたいだから、ここまで案内したんだ。もちろん、用があるのは僕自身も何だけどね」

「二人について?」

「そう言えば戦兎君は?」

 赤紫色のロングヘアの少女、そしてオレンジ色のアホ毛の少女が、話に上がった内の一人の不在に気が付く。

 すると、部室内の空気は一気に不安という負の感情に飲まれていった。

「戦兎なら無事だ。今は保健室で寝てる。付き添いもいるし心配無い」

「保健室!?もしかしてスマッシュに!?」

 今度はボブカットの女の子が俺達に尋ねてきた。

 部室内でどよめきが起き、数名は表情を更に曇らせた。

「大丈夫よ。疲れて寝ているだけだから、じきに目を覚ますわ」

 そんな彼女達を安心させるように、神子さんは前に出る。

 遅れを取らないよう、俺も彼女の後に続いた。

「初めまして、Aqoursの皆さん。それから生徒会長さんと理事長さん。島村神子といいます。葛城先生が仰ったように、二人のことで皆さんにお話があって参りました」

「俺は石動仁。そんで右に同じくだ」

 神子さんは詳細に、俺は簡潔に自己紹介を済ます。

 そして少女達も、一人一人自己紹介してくれた。

 決して面倒臭がって手を抜いた訳では無い。話すことが被ってしまっただけだ。

「島村神子さん……その名前どこかで……」

「俺と戦兎にライダーシステムをくれた人だ。梨子さん達には一度話しただろ?」

「え?それじゃあこの人が!?」

 驚く少女達。神子さんはそんな彼女達に向けて、微笑み、会釈した。

 一方、ダイヤは依然として唖然としており、完全に蚊帳の外であった。

 対して鞠莉は、「ライダーシステム」という単語を聞くと、一瞬だけ反応を示した。本当にほんの一瞬だけ、俺と神子さんが気付いた程度だ。だが、今変に勘ぐって余計な心配をさせる訳にはいかない。少し気にかける程度で見ていこう。

「島村さん、戦兎君達に何があったんですか……?」

「それは俺から話す。……済まねえ千歌さん、戦兎が倒れたのは俺の所為なんだ……」

 オレンジ色の髪の少女、千歌が神子さんにそう尋ねたが、答えたのは彼女ではなく龍輝だった。

 龍輝は俯き、その表情を伺うことは出来ないが、声色から戦兎が倒れてしまったことに責任を感じているのが分かる。神子さんと巧さんに、気に病む必要は無いと言われていたが、やはり、そう簡単にはいかないか。

「龍輝君の所為ってどういうことなの?」

「スマッシュを倒した後、スマッシュだった男と戦ったんだ。そん時に俺が大怪我して……」

「俺が二人を助けて、その場から逃げ出したんだ。そしたら、戦兎が妙な力を使って龍輝の傷を癒したってわけだ」

「待ってください!スマッシュを倒したとか、戦兎さんが龍輝さんを癒したとか……一体、何の話をしていますの!?」

 そう叫んだのは……まあ、想像はつくだろうがダイヤだ。

 彼女はこの中では、唯一「ライダーシステムを知らない一般人」。このような反応をされるのは、正直読めていた。

「それはわたしが答えましょう」

 今度は、俺と変わって神子さんがダイヤの疑問に答えた。

 彼女は、龍輝や戦兎が仮面ライダーになった経緯、そして使命を詳しく説明してくれた。

 

「……にわかには信じられません。スマッシュの正体が人だなんて……」

「けれど、それが事実よ」

「本当なんです、生徒会長」

「わたし達、見たんです。戦兎君達がスマッシュと戦っているところ。それから倒れたスマッシュが人に戻るところを」

 まあ、非現実的だよな。オマケに、この世界では出現したスマッシュは“駆除”される。つまり、人間に戻れないまま死んだ奴も数多くいるわけだ。

 そんな非常な現実は、ただの女子高生の荷には重過ぎる。

「……千歌さん達が言うのであれば、間違いや嘘ではないでしょう」

「仮面ライダーやスマッシュのことが本当だとして、戦兎と龍輝はどうして男の人に負けてしまったの?仮面ライダーってベリーストロングなんでしょう?」

 首を傾げて疑問を唱えた鞠莉。

 そして同じことを思っていたのか、ほぼ全員が俺と神子さんに視線を向けてきた。

 すると、神子さんが俺にアイコンタクトを送ってきた。

 

 どうやら俺の事情すらお見通しらしい。

 この人、本当に何者何だ?。

 

 そんな疑問を抱きつつも、俺は彼女らに知っている限りの全てを話す為、口を開いた。

 

「戦兎と龍輝を倒したのは、地球人じゃないからだ」

 

 たった一言、俺が言い放つと室内は静寂に包まれ、その数秒後……

 

「「地球人じゃないっ!!!?」」

 

 八人分の叫び声が、音撃となって俺達の鼓膜を破らんと響いた。

 ……なんか二人程嬉しそうにしているのは気の所為だろうか。

「そ、それはつまり宇宙人!?とうとう地球を侵略しに来たずら!?」

「クックックッ……まさか……クトゥルーの邪神が、この堕天使ヨハネの力に恐れをなししたか……」

 地球外生命体、つまりは宇宙人という単語に目を輝かせる花丸。

 そして、もはや訳の分からないことを口走る善子。

 いや、マジでなんなん。花丸はまだ良いとして、善子に関しては、もう本当に分からんぞ……。

 もしかして厨二病患者か……?

 ともあれ、まずは誤解を解くか。

「侵略なんて大層なモンじゃない。復讐さ、故郷を滅ぼした破壊者へな」

「復讐……?」

「ああ。奴らは、それを果たす為に必要な物が揃っているここに来た。ライダーシステムと……」

 

 刹那、何か大きな音が轟いた。

 何かが地上に落ちてきたかのような音が。

 同時に、女子生徒達の悲鳴も聞こえてくる。

 つまり、何かが落ちたのは、ここ──浦の星学院の敷地内だ!

 

 追っ手は無かったはず……となると、発信機か何かを付けられていたか、あるいは監視されているのか……。

 後者なら完全に打つ手無しになる。前者であることを願うしかないか……。

「お前達はここにいろ!多分、俺達を追ってきたんだろう。だからここは俺が……!」

「待ちなさい。貴方は、そのパンドラボックスを持って葛城先生と研究所に行きなさい」

 出て行こうとする俺を、神子さんが制止し、巧さんと逃げるよう促してきた。

 しかも、俺がパンドラボックスを所持していると見破った上で。

「何でそのことを……。いや、それより、今ここで逃げたら誰がここを守るんだ!?」

「ここはわたしが戦うわ。だから行って。葛城先生よろしくお願いします。それから龍輝君、これも持って行きなさい」

 神子さんは、カバンを開けてビルドドライバーを龍輝に渡した。

「……千歌さん、戦兎の奴が目ぇ覚ましたら、コイツを渡してくんねぇか?」

「え……」

 龍輝は、神子さんから受け取ったドライバーを千歌に渡す。受け取った千歌はもちろん、それを渡した神子さんも、龍輝の行動に驚いた表情を見せた。

「これを戦兎君に渡したら……龍輝君はどうするの?」

「俺はコレを使う。なあ、神子さん。今の俺なら使えるよな?」

 龍輝が取り出して見せたのは、レンチの付いた水色のドライバー──スクラッシュドライバーだ。

「……ええ、可能よ」

 神子さんは頷くが、あまり良い表情では無い。

 それもそうだ。龍輝を運んでいる際、俺が測った彼のハザードレベルは4.0。

 ようやくスクラッシュドライバーを使えるようになったというレベルだ。

 下手をすれば暴走するかもしれない。

 それを察せない彼女達では無い。だが……。

「……大丈夫だよね?」

「おう、絶対帰ってくる。復讐なんかの為にライダーの力を使わせはしない!」

 弱々しい声で、千歌は龍輝にそう問い掛ける。

 対して龍輝は、力と強い意志の篭もった声で答えた。

 

 おい、それ死亡フラグじゃないか?

 

 そんなツッコミを入れるのは、この場面では野暮過ぎる……。

「ああ……もう分かった!んじゃあ、これもついでに渡しといてくれ」

 俺は、パンドラボックスと一緒に持ってきた五本のフルボトルを梨子と曜、それから花丸に手渡す。

「そのボトルも、戦兎の役に立ってくれるはずだ」

「分かりました!」

 三人とも、フルボトルをしっかりと握り、俺の言葉に頷いてくれる。

「それじゃあ行こう二人とも。音のした方向から、相手は多分グラウンドの方にいるはずだ。だから僕らは裏から」

「わたしがグラウンドの方ね」

 神子さんはグラウンドに。

 俺と龍輝、巧さんは裏口から出発し、彼の研究所を目指すことに。

 

 そして俺達の戦いは、さらに激化していくのであった。

 

 

 

 

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