ラブライブ!サンシャイン!!~BUILD the Rainbow~ 作:白銀るる
物欲センサー、どうにかならないですかね……
今回はとある二人が先行で登場します!(チラ見せとは言ってない)
「な、何だよあれ!」
突如として、町の上空に現れた飛行物体。
街を覆い、陽の光を妨げたそれを見つけた人々は、呆然と立ち尽くしていた。
「もしかしてユーフォー……?」「あれ本物なの?」「宇宙人の侵略!?」「え? 地球終わっちゃうの!?」
誰かがそんなことを言い始め、一気に騒がしくなっていく町。
「お、おい! 何か開いたぞ!」
「まさか爆弾とか落としてくるんじゃ……」
船の変化に気付いた四人の学生のグループ。
四人の内の一人の女子生徒の言葉を受け、もう一人の女子が「急に怖いこと言わないでよ!」と返す。
そして次の瞬間、最初に口を開いた男子生徒とは別の少年が、青ざめた顔で船を──否、船から降りてきた何かを指さした。
「爆弾じゃない……もっとヤバそうなのが来た……!」
空を隠す船。それから現れたのは、無数の黒い影。
おおよそ人とは言い難い人型のそれは、この町を目指して降りてくる。
そして……。
「うわああああああああ!!!」
黒い影──
***
「この……! 野郎!!」
フルボトルを握った龍輝が、突如研究所に襲いかかって来たロボット達を粉砕する。
「多分、あの男の駒だろうな……。寝起きを襲ってくるとはな……少しは時間をわきまえて欲しいぜ!!」
「いや、お前が遅かっただけだろ」
おいおいまじかよ。俺は昨日の組手でくったくただってのに……。
俺も龍輝同様、拳でロボット達を砕き、防衛線を死守していた。
パワーアップアイテムの開発は完成した。
では何故変身しないのか。
しないんじゃない、出来ないんだ。
龍輝はスクラッシュドライバーを使えるレベルではあるが、それでも体への負荷はでかいし、暴走の危険も孕んでいる。
出来るだけ龍輝に負担がかからないようにと、俺が進言したのだ。
「うおりゃああああ!!」
武器を持った相手には、ビートクローザーで応戦し、ロボット達を倒していく。
だが、ロボット達の数は一向に減らない。
倒しても倒しても、また新しいのが現れるのだ。
「いくら倒してもキリがねぇ!」
「無理ゲーだろ、こんなの……!」
どうする……! これじゃあ変身したって何も変わらない!
こっちが消耗し続けていつか倒れる……。
「パンドラボックスの反応を追ってきたら……まさかこんな所に来るなんて」
聞こえてきたのは女の声。
しかし、そこにいたのは人間の女ではなく、コウモリの怪人だった。
「ナイトローグ……!」
龍輝は彼女を睨みつけるが、当の彼女の視線は彼ではなく俺を捉えていた。
「生憎だが、お前の相手をしてる暇はねー!」
「こんな所で雑魚の掃除をしている場合でもないんじゃないの?」
「んだと!?」
売り言葉に買い言葉、更に二人の間に一触即発の雰囲気が流れ始める。
「ストップストップ! 龍輝、落ち着け。変身出来ないんじゃ勝負にもならないぞ?」
「う……」
「安心してくれ。わたしは君と戦いに来たわけじゃない」
そう言いながらナイトローグは、龍輝の背後に迫っていたロボットをスチームガンで撃ち抜いた。
「なっ……」
「万丈龍輝。この町の……いや、この世界の運命は君に掛かっている。だから、ここはわたしに任せて行け」
ナイトローグと龍輝は敵対しているようだが……どうやら思ったより状況は悪化しているようだ。
「スクラッシュドライバーの調整終わったよ! ってアレ? 一人増えてる?」
こんなシリアスな場面だってのに、巧さんはマイペースにボケを挟む。
「コウモリの怪人……まさか君がナイトローグ!?」
一人驚愕する巧さんを尻目に見合う龍輝とローグ。
二人の間にしばし沈黙が訪れるが、
「……分かった。先生、ドライバーを貸してくれ」
「あ、ああ……。そうだ、これも戦兎君に届けてくれ」
龍輝は彼女の共闘するという案に乗り、先生からドライバーとビルドの強化アイテムを受け取った。
さて、龍輝達と敵対している彼女が協力を仰いでくるということは、さっきも言った通りかなり状況は不味いようだ。
龍輝は信じてくれているとはいえ、俺が
出来れば使いたくなかったが、そうは言ってられないらしい。
「龍輝、行くぞ。俺に掴まれ」
「おう! ……え? 何だよその少年漫画みたいなセリ……
フ……はあああああああ!?」
俺達はワープの力を使い、浦の星まで瞬間移動した。
思った通り、浦の星にもロボット達が大量に押し寄せていた。
「ちっ……やっぱりこうなってたか……」
「ちょ! お前今何を……!」
「龍輝、お前はアイドル部のとこに行ってソイツを渡してこい!」
何の振りもなしに突然ワープさせられたのだ、驚くのは当然だ。
だが、今は驚いている場合ではないのだ。龍輝はそれをすぐに理解し、俺に対する言葉を飲み込んで頷き、校舎へ向かっていった。
「さてと……あとは、一匹残らず喰らい尽くすかあ!!」
「エボルドライバー!」
***
昨日のことだけで腹いっぱいだってのに……今日も朝からとんでもないこと尽くしだ。
それでも、驚いているだけじゃいられない。
妨害工作をされているらしく、携帯等での通信は出来なかったが、流石に
俺は女神様と連絡を取り、今は全員保健室にいると言われ、保健室へ足を向けた。
「随分早かったな」
俺を出迎えてくれたのは女神様。
いや、出迎えてくれた、というよりは鉢合わせたという方が正しいかもしれない。
ここに来るまでに倒れているロボットをいくつも見たが、やはり彼女が倒していた物のようだ。
「千歌さん達は大丈夫だよな?」
「うむ。校舎にまで侵入してきたから、ちょいと駆除しておったのじゃ。流石に室内では破壊出来んから、奴らのプログラムを書き換えて無力化しただけじゃがな。それより、出来たんじゃな? ビルドの強化アイテム」
「ああ。戦兎が目覚めたら渡してくれ。俺は仁と先に町の方に行く。このまま好き勝手させる訳には行かない……!」
今こうしている間にも、奴らは町で暴れ続けている。
絶対に奴らを止めなければならない……!
「罠かもしれんぞ? ぬしらを誘き寄せる為の」
「それでも行く。戦兎が救ってくれたこの命で、今度はこの町の人達を救う!」
俺はそれだけ言い残し、来た道を戻る。
一人で持ちこたえてくれている仁の所へ。
「やはりあやつはぬしの子じゃな」
***
「ねーねースコル。これってやっぱり侵略ってことになるのかな?」
「やむを得んだろう。パンドラボックスを手に入れる為だ。それに殺傷設定はしていない。死者が出ることは無いだろう」
逃げ惑う人々。
町を破壊する機械兵。
そのどちらでも無い二人組が、目の前に広がる光景を傍観している。エルジュとスコルだ。
スコルの言葉通り、機械兵達は一般人を攻撃するように設定はされていない。
機械兵達が攻撃しているのは、全て建物や車、そして騒ぎを鎮圧する為に出撃してきたガーディアン。
二人の狙いは、逃亡した三人の仮面ライダー。
彼らを誘き出す為に破壊活動を行っているのだ。
目的の為なら手段を選んでいる場合では無い、頭ではそう考えているが、人々の悲鳴は彼らの心を締め付けていた。
「……あんまり良い気はしないね」
「仕方ない。これも宇宙の悪を絶つ為だ。その為ならわたしは……」
刹那、二人の周辺にいた機械兵達が、線を描くように次々と爆発四散していく。
「来る……!」
敵の気配を察知したスコルは、素早くスコルピオンゾディアックボトルを腕に挿し、スコルピオハードスマッシュに変身する。
「だあああああああ!!!」
スコルピオがエルジュを庇うように小太刀を構えると、彼を目がけて、金色の戦士がパイルバンカーのような武器で突貫攻撃を仕掛けてきた。
「ぐっ……! はああああ!!」
スコルピオはそれを何とか押し返す。
金色の戦士は押し飛ばされるも、体勢を崩すことなく、彼らと対峙した。
更にその隣に青い怪人が現れる。
「ほー、コイツの初撃を防ぐたぁ、やるなぁ」
青い怪人は金色の戦士の肩に手を乗せ、スコルピオを賞賛する。
声だけ聞けば陽気だが、彼から放たれる雰囲気は、そんな陽気さとは相反している。
「貴様ら……何者だ?!」
スコルピオは構えたまま、彼らに名を問う。
「人に名前を聞く時は、まず自分から名乗らないと失礼じゃないか? ま、俺には名乗る名など無い。しがないの傭兵さ」
「仮面ライダーグリス……! 復讐だかなんだか知らねえが、ここは俺達の星だ! さっさと帰んな!」
青い怪人──スタッグハードスマッシュと、金色の戦士──仮面ライダーグリスは、エルジュとスコルピオを睨む。
「仮面ライダー……三人だけだと思ってたけど、他にもいたんだね」
スコルピオの陰から出てくるエルジュ。その手には、ヴァルゴゾディアックボトルが。
「確かに君達にケンカをしかけたのはアタシらだね。けどね、こっちにも引き下がれない理由があるんだよ!!」
エルジュはヴァルゴボトルを鎖骨の辺りに挿し、ヴァルゴハードスマッシュに変貌した。
これで二対二。
数十秒間、睨み合っていた彼らだが、ヴァルゴとグリスが発射した光弾がぶつかり、弾けることで、彼らの戦いの火蓋は切って落とされた。
***
仁を残したグラウンドに戻ると、信じられない光景が広がっていた。
あぐらをかく仁と見るも無残な姿のロボットの残骸。
戦場というより、大量惨殺の現場のようだ……。
「お、割と早かったな」
「あ、ああ……。お前、これ一人でやったのか……?」
「まあな。それより早く行こうぜ。親玉の居場所は掴んでるしな」
「それは俺もなんとなく分かる」
俺と仁が見つめる先には、まるでSF映画に出てくるような宇宙船。
それも、町一つの空を覆ってしまう程巨大だ。
「またワープするんだろ?」
「ああ。また俺に掴まっててくれ」
仁の肩に手をかけると、ほんの数秒で景色が変わった。
俺達が立っているのは、浦の星のグラウンドではなく、近未来的な施設の内部。
きっとあの船の中に侵入出来たのだろう。
「おかしいな……」
「どうしたんだ? もしかしてここ、あの船にワープ出来なかったのか!?」
「いや、船の中には来れた……が、あの野郎の所にワープしたはずなんだがな……」
あの野郎……あのスマッシュだった男のことだろう。
ソイツの所にワープしようとしたが、出来なかったというところか。
「なるほど。あの移動速度は高速移動ではなく、瞬間移動だったというわけか」
そこへ銃を担いだ一人の男が姿を現した。
その腰には、俺達から奪ったビルドドライバーのうちの一つが装着されている。
「この船の中では転移系の能力は使えない。外からの侵入でも、全てこの部屋に通じるようになっている」
「つーことは、ここはこの船の砦ってことか」
「その通りだ。この船の最初にして最後の砦。そして俺はその砦の番人……サジ」
サジと名乗った奴は、見たことの無い二本のフルボトルをドライバーに装填する。
「サジタリウス! 仮面ライダー! ベストマッチ!」
サジがレバーを回すと、スナップライドビルダーと金色のアーマーが前後に形成されていき、待機音が流れ始める。
「Are you ready?」
「変身」
「シュート・ジ・アロー! メイク・スターダスト!」
アーマーはサジを挟み込み、奴は仮面ライダーへ変身を遂げた。
金色に輝く装甲。
星にも矢のようにも見える肩アーマー。
弓を引いたような形の複眼は、龍の顔のようにも見える。
「俺は仮面ライダースターダスト……友と、そしてこの俺の悲願を果たす為、ここでお前達を倒す!!」
スターダストは携えていた銃を弓に作り替え、金色の矢を放ってくる。
「変身前に攻撃するとは、礼儀がなってねぇな!」
奴の攻撃を躱し、仁もドライバーを装着し、変身しようとするが……。
「仁、先に行ってくれ」
俺はその仁を止め、奥に進むように促した。
二人で戦えば、確実にスターダストは倒すことは出来る。
けど、消耗した状態であの男には勝てない。
それならば、仁を先に行かせて俺が一人でコイツと戦い、戦兎の為の活路を開く。
それが俺の出した答え、そしてつけるべきケジメだった。
「……しゃあねぇな。そんな目ェ見せられたら、止められねぇよ」
「悪ぃな。ワガママ言っちまって」
「無茶すんなよ」
「おう!」
仁は一度後ろに下がり、同時に俺は一歩前に出る。
「スクラッシュドライバー!」
クセの強い起動音と共に、俺の腰にベルトが装着される。
次に、ドラゴンフルボトルの成分をゲル状にし、更に強力な力を使えるようにしたドラゴンスクラッシュゼリーを取り出し、キャップを開けてドライバーに挿し込む。
「ドラゴンゼリー!」
待機音が流れ始めたのを確かめて、腕をレンチ型のレバーの上まで移動させる。
「変身!」
いつもの「Are you ready?」という問い掛けは無いものの、俺の覚悟はとうに決まっていた。
レバーを勢い良く押し、変身の為の操作の全てを終える。
「潰れる! 流れる! 溢れ出る! ドラゴン イン クローズチャージ!! ブラァァァ!!」
俺を囲うようにビーカーが形成され、その中が液体──ヴァリアブルゼリーで満たされる。
やがて銀色のアーマーが俺の体を覆い、最後にゼリーが頭部でCZCヴァリアブルヘッドアーマーを生成した。
俺は仮面ライダークローズの強化形態──クローズチャージに変身した。