ラブライブ!サンシャイン!!~BUILD the Rainbow~ 作:白銀るる
ルビィ)そんな中、ルビィ達は「浦の星が統廃合になるかもしれない」という話を知ってしまう。浦の星を守る為、活動することになったAqoursは、千歌ちゃんのアイデアでPVを撮ることになったんだけど……。
戦兎)一方、海斗に呼び出され、千歌達と別れた俺は、アイツとの約束の場所で金色の仮面ライダーに襲われる。戦闘態勢に入ろうとした俺の名前を呼んだ金のライダー。変身を解いたヤツの正体は、俺の幼馴染にして親友だった男……猿渡海斗だった。どうなってるんだよ、海斗……!何でお前が仮面ライダーに!?どうなる第11話!
「久しぶりだな、戦兎」
二年ぶりに再会を果たした親友からの挨拶。だが、俺に向けられた視線、言葉の冷たさには、敵意しか感じられない。
「随分と物騒な挨拶だな……。どうしてお前がそのベルトを持ってるんだ!?」
「お前に教えることは何も無い。戦兎、お前の持ってるボトルを全て渡してもらう」
「そうかよ。言っとくが、俺はボトルを渡すつもりはさらさら無い」
「問題無い。力づくで奪うまでだ」
どうやら、アイツの目に映る俺は、既に親友ではなく「敵」として認識されているようだ。
「ロボットゼリー!」
「ラビット!タンク!ベストマッチ!!」
俺はボトルを、アイツはゼリーをもう一度ベルトに差し込み、変身する為の成分が異なる形で形成されていく。
「Are you ready?」
「「変身!」」
「鋼のムーンサルト!ラビットタンク!!イエーイ!!」
「潰れる!流れる!溢れ出る!ロボット イン グリス!!ブラァァァ!!」
ビルドと成った俺と相対する金色の仮面ライダー。どこかクローズチャージと似た風貌で、放たれる威圧感は今までの相手の中でも群を抜いている。
「仮面ライダーグリス!!心火を燃やしてお前をぶっ潰す!!」
金色のライダー──グリスは胸を叩き、襲い掛かって来た。
繰り出されるグリスのパンチ。その威力はスマッシュよりも数段は速く、強い。
攻撃を弾いても完全に防ぐことは出来ず、少しずつダメージが蓄積していく。そのうえ、反撃する余裕も無い。
防戦一方で、持久戦に持ち込まれれば負けは確実だった。
一旦距離をとってボトルを変えよう、そう考え、地面を蹴って後ろに跳ぶ。
「させるかぁぁぁ!」
「ツインブレイカー!」
「シングル!シングルブレイク!!」
グリスの左腕に小さな砲身が搭載された武器──ツインブレイカーが装備され、そこから伸びた茨の鞭のようなものが俺の脚に絡みついた。
「なに!?」
「どりゃああああ!!」
グリスが鞭を引くと、俺は倒れて背を強打する。
「がっ……?!」
だが、攻撃は終わらない。地面に打ち付けられた身体が今度は宙を浮き、再び地に叩きつけられる。
一回、二回、三回。地面に激突する度、ビルドの装甲はメキメキと音を立て始めた。
脚に絡みついてきたあの感覚が無くなるが、立ち上がる為に力を入れると身体に激痛が走り、動くことすらままならない。
「終わりだ」
「ツイン!ツインブレイク!!」
最後の一撃として、鋭利な角のようなエネルギー弾が放たれた。
アレが着弾する数秒後の未来。ビルドの敗北と──俺の死。当たれば終わり、避けようと身体に鞭を打つけれど、動かない。
グリスの宣言通り、全てが終わってしまう。
「だああああ!!!」
「スクラップブレイク!!」
しかし、そのエネルギー弾は突如現れた乱入者により破壊され、俺は九死に一生を得ることとなった。
「大丈夫……じゃねぇよな。遅くなって悪い……」
万丈のクセにらしくない申し訳なさそうな声で、奴は遅れたことを謝罪してきた。
「お前は少し休んでろ。アイツの相手は俺がする」
クローズは俺の前に立ち、ビートクローザーとツインブレイカーを構えてグリスを睨む。
対するグリスも戦闘態勢に入ろうとしていた。
「そこまでだ」
万丈とも違う第四の介入者が現れた。
ワインレッドのボディにメカメカしいデザインのアーマー、コブラを模したバイザーを装着した怪人。
「邪魔はするなって言っただろ、スターク」
スタークと呼ばれた怪人。どこかナイトローグと似た出で立ちの奴は、グリスに戦いを
「俺はお前が怪我しないように注意しに来てやったんだぜ?」
「なんだと……?」
「今のお前じゃ、万丈龍輝には勝てない」
「……次は必ずぶっ潰す!」
「ディスチャージボトル!潰れなーい!ディスチャージブレイク!!」
グリスはそう捨て台詞を吐き、生成したプロペラで空へ消えて行った。
「さて、俺もそろそろ戻るとするかな」
スタークもグリスの後を追うように去ろうとするが、クローズがそれを引き
「待てよ!どうして俺達を助けた!?」
「それはお前達がもっと成長したら教えてやろう。俺の名前はブラッドスターク。また近いうちにな、チャオ」
ブラッドスタークは、ナイトローグと同型の銃で煙幕を張り、この場から姿を消した。残ったのは俺の万丈のみ。俺は変身を解いた万丈に支えられ、帰宅した。果南に泣かれてしこたま怒られ、それを万丈に茶化されたのは、また別なお話。
***
神子さんから貰った薬を飲み、今まで通りの日常を送れるまで回復した。飲んでから一日も経ってはいないのだが……曰く、「神の秘薬」だそうだ。
以前、彼女自身の能力でとある人物を回復させたことがあったらしいのだが、上司に少しばかり注意をもらってしまったと言う。まあ、彼女の身辺に関しては、あまり深く探らない方が良いだろう。
兎も角、痛みはまだ残っているものの、学校に来る分には問題無い程度であった為、今日も登校したのである。
……何となく予想は出来ていたが、やはり周りにいる生徒や先生達から注目を浴びていた。
そりゃあ、体中の至るところに包帯を巻いてたら、誰でも気になるよな。
俺は、いつもよりも少しだけ多い視線を感じながら授業を受け、部室へと足を運んだ。
「あ!戦兎君、やっと来た!……ってそれどうしたの!?」
既に部室には全員が揃っていて、俺が部屋に入るやいなや、万丈を除いた全員が俺の様を見て目を丸くした。
「またこんなに酷い怪我して……!」
「いや、俺そんなに怪我してばかりじゃないだろ……。確かに、今回の怪我は大変だったけど……。まあ、心配させて悪かった。それとありがとな……」
怪我に関して、もうほとんど問題ないことをアピールし、謝罪と感謝の言葉を伝えると、千歌達の表情は少し和らいだ。
「万丈もありがとな。お前が来なかったら、どうなってたか……」
「俺たちはコンビだ。相棒を助けんのは当たり前だろ」
「……ああ、そうだな」
相棒か……。
どうやら俺の相棒は、とても頼もしい奴らしい。
もちろん、頼り切りというわけにはいかないが。
加えて、早急に解決しなければいけない
「よし、そろそろ行くか」
「行くって……?」
「おいおい……今日はPVを撮るって言ってただろ」
「で、でも、動いて大丈夫なの……」
「言ったろ?もう大丈夫だって。……分かった、あんまり無理はしねえよ」
こいつらの中で、俺はどんだけやんちゃ坊主なんだよ……。いや、ビルドになってからは割と無茶はしてたな……。
とにかく、今度から無理はしないと千歌達と約束し、Aqoursと沼津をアピールする為のPVを作ることになった。
……なったのだが。
完成した動画を鞠莉に見せると、やはり厳しい評価が下された。
特に反論した際は、「それでこのテイタラークですか?」とかなり辛口な言葉を貰ってしまった。
「まあ、あんな動画じゃ当たり前だろうな……」
「何も無い、なんて紹介されちゃあ、確かに行きたいとは思わないな……」
いつもなら千歌達の意見を最優先させる万丈も、今回ばかりは俺の味方となった。
流石にこれを擁護は出来ないか。
「内浦の魅力か……」
ポツリと呟かれた一言に、誰も何も言えなくなってしまった。
自分達が知り得る限りの、出来る限りのことはやり尽くした。それを真っ向から否定されてしまったのでは、無理もないだろう。
「ねえ千歌ちゃん。あの時、どうして理事長から聞くのを断ったの?」
「自分達で見つけなきゃ、ダメな気がするんだ。自分達が知らないものを他の人に教えるなんて出来ないから」
無意識に口元が緩んだ。
柄にもなく千歌の成長に喜びを感じているのだ。
「何にやけんでんだよ、戦兎」
「別ににやけてねーよ、バカ」
珍しく俺の意見に同調してくれたと思ったのだが、どうやら思い違いだったようだ。
こいつはいつもブレない。
「はあ……まあいい。とりあえず、やり直しだな」
「ヨーソロー!それじゃあ、千歌ちゃん家で作戦会議だ!」
千歌の家と聞いただけで、梨子が嫌そうな顔をする。
どうやら、昨日はしいたけがいることを理由に、喫茶店で話し合いをしたらしい。
あそこにも小型の犬がいたはずだが。
ともあれ、そう何度も外で会議が出来るほど、学生の懐は温かくない。
「まあ、これも運命だと思って諦めろ」
「はあ……」
深い溜息を漏らす梨子。そんな梨子とは逆に、千歌は笑った。
多分、おかしいとかそういうのではなく、いつもと変わらないこの風景が嬉しいのだろう。
その証拠に、この場にいる全員が千歌に吊られて笑い出した。
「よし!それじゃあ行こうか!……あ、忘れ物したから取ってくるね!」
意気揚々とした号令からの間の抜けた展開に、俺達は肩口をずらしてずっこけた。
その後の話し合いの結果、ちゃんと計画を立ててからPVを作成することになった。
次は、良いPVを撮ることが出来る、何の根拠も無いが、きっと……いや、絶対に。
***
その夜、俺は自室のパソコンを使い、未開放のものを含むビルドのデータを洗い直していた。
スマッシュをはじめ、ナイトローグやブラッドスタークといった強敵達と渡り合う為という目的ももちろんある。
だが、一番はやはり海斗のことだ。
俺はアイツには勝てなかった。
たとえラビットタンクスパークリングを使ったとしても、今の俺では絶対に勝てない。
これでは、守りたいものも守れない。
拳を強く握り、ぎりぎりと歯を噛んだ。
「戦兎、コーヒー入ったよ」
マグカップが二つ載ったおぼんを持って、果南が部屋に入って来た。
「はい。あまり根を詰め過ぎちゃダメだよ。ただでさえ、普段から危ない戦いをしてるんだから……」
「ああ、分かってるさ。無理はしない。けど、敵も強くなってきてる。何かしらの対策はしないと。まあ、無理はしないさ。熱っ……」
「あ、気を付けてね。さっき入れたばかりだから。……ねえ、スクールアイドルの方はどう?」
果南の口からその言葉が出たことに若干の驚きを覚える。しかし、俺にスクールアイドル部に入るよう頼んだのは、他でもない彼女だ。
気にかけるのは、何も不思議なことではない。
「そうだな。現状は苦しいところにいるが、結構楽しかったりするかな」
「そうなんだ……」
果南は、安堵したような、やはり、どこか不安に思っているような複雑な顔になった。
「果南はどうなんだ?学校の方はまだ来れそうにないか?」
「……うん。もうちょっとだけ休む。今行っても、千歌達とうまく話せそうにないし……」
「そうか……」
加えて、今の浦の星には鞠莉もいる。
今、学校に戻れば、鞠莉はもう一度スクールアイドルを始めるよう、果南に言うだろう。
出来れば俺も、もう一度果南に歌って欲しい。
根底にある想いは、多分、俺と鞠莉は同じなんだ。
千歌達とスクールアイドルをしてきて、分かった俺の気持ち。
その時が来るのは、きっとそう遠くない。
そして、俺と海斗が
***
鞠莉にダメ出しをくらってから一夜が明けた。
今日は海開きの為、早朝から浜辺の掃除だ。
「ふぁあああ……」
不意に大きな欠伸を漏らしてしまう。
原因は、昨日の夜遅くまで行っていたデータ閲覧だ。
「もう……海開きがあるから早く寝なよ、って言ったのに……。昨日は何時に寝たの?」
「一時頃?」
「全く……聞いて呆れますわね……」
怒りを通り越して溜め息を吐いて呆れるダイヤ。
海開きがあることは前々から分かっていたうえ、昨日も一度果南に注意されている。
にもかかわらず、眠らなかったのだから当然だろう。
「仕方ないだろ……ナイトローグやグリス達に対抗する手段を見つけなきゃならねーんだから」
結局見つけられないまま寝落ちし、今に至るというわけだ。
こんなことになるなら、さっさと寝てしまえば良かった……。
「チャオ、三人とも」
そこへ現れたジャージ姿の鞠莉。
「よう。……海斗はまだ来れないのか?」
「そうみたい。
「そうなのか……」
鞠莉の返事は良くも悪くも以外なものだった。
一兄と一緒に別行動か……。
そう言えば、一兄だけはまだ姿を見ていない。
海斗と一緒にいるということは、俺達とは敵対関係である可能性が高い……いや、きっと俺達は戦わなければならないだろう。
親しい仲だった二人との敵対。
このことは、当分は俺の胸の中に閉まっておこう。
今は、まだ何も知らない方がいい。
「みなさん!私たちは浦の星学院でスクールアイドルをしているAqoursです!」
突如、千歌が名乗りを上げる声が聞こえた。
当たり前だが、千歌の声を聞いた人達は、何事かと彼女の方へ視線を向ける。
「学校を残すために……!生徒を集めるために……!みなさんに協力してほしいことがあります!」
どうやら、千歌達は見つけたらしい。
この町の魅力を……内浦の人々の温もり、想いを。
千歌達の歌にのせられた想いは、夜空へ飛び立っていく。
彼女達の小さな、確かな夢を照らす為に。
ルビィ)戦兎お兄ちゃん……なんだか元気がないような……。
龍輝)どうしてかは知らねーけど、グリスと戦ってからずっとあの調子なんだよな。
花丸)もしかして、そのグリスさん?と戦兎君は行き別れた兄弟!?
ルビィ)ええ!?で、でも、お兄さんや弟さんがいたって話は聞いたことないし……。
龍輝)あの様子からして、何か深い感じがするし、今は見守っておいてやろうぜ。
ルビィ)うん……。
龍輝)それじゃあ次回予告、花丸さん、よろしく!
花丸)分かったずら。次回「Aqours イン TOKYO」。ここがアキバ……!未来ずらー!!