ラブライブ!サンシャイン!!~BUILD the Rainbow~ 作:白銀るる
今回から新章突入!さあ、どうなる第19話!?
第19話 女子マネージャー参戦
「「入部希望者?」」
一年生と今日は部活を休むと言った海斗を除く部員全員の声が見事にハモる。
そしてその視線の先には、見慣れない少女の姿があった。
髪は腰まで伸びた紫色伸びていて、凛とした顔立ちをしている。
Aqoursのメンバーにも引けを取らないレベルの美少女と言っていいだろう。
「紹介するね。この子は
「クラス委員、マホロってもしかして廃校がどうのって言ってた時の……」
「そうだよ。あの時、ルビィ達に教えてくれたのは幻ちゃんなんだ!」
「初めまして、氷室幻です。浦の星の為に活動している皆さんの力になりたいと思い、黒澤さん達に声をおかけさせて頂きました。ふつつか者ですが、よろしくお願いします」
綺麗な形の一礼に、思わず俺達も礼を返す。
そこで俺はふとあることを思い出した。
今年の一年生の中に前理事長の孫がいると、二年の時の学年末から噂されていたのだ。
そして、その生徒の苗字は「氷室」であると。
「もしかして……氷室さんは、前理事長の……?」
俺と同じことを考えていたらしいダイヤが、氷室に訊ねた。
「はい。前理事長の
氷室の表情は真剣そのもので、お婆さんのことを語るその声にも熱が篭もっていた。
ルビィ達も氷室を入部させてあげて欲しいと目で訴えてくる。
けどまあ、ルビィ達の訴えがなくとも、千歌の答えが変わらなかっただろう。
「うん! スクールアイドル部へ、ようこそ! 氷室幻ちゃん!」
千歌は
氷室は一瞬躊躇いを見せながらも、千歌と手を結ん
「Aqours十人目のメンバーずら!」
「いえ、わたしはマネージャーとして皆さんを支えようと思っています」
「それって女子マネってこと?」
梨子が問い掛けると、氷室は「はい」と返した。
「このアイドル部のマネージャーは男性だけですよね?」
「ああ、俺と戦兎とまだ来てない猿渡の三人だけだな」
「そうすると、やはり異性には相談しにくいこともありますから、そういう時に女子マネがいれば皆さんの負担を減らせるんじゃないかと思うんです」
「なるほど……確かにそうかもしれない」
付き合いの長いヤツが多いと言っても、やはり男と女という壁はどこかで発生してしまう。
それが、またあのような諍いにならないとも限らない。
ならば、予防線として彼女の存在は大きなものになるだろう。
「そういうことか……それじゃ、決まりだな!」
「ああ、そうだな。氷室、女子マネージャーとして、これからよろしく頼むぞ」
「はい。皆さんの力になれるよう、努力します」
皆もそれで納得してくれたようで、再び笑顔で氷室を囲うのだった。
***
幻にスクールアイドル部に潜入するよう命令してから一夜が明けた。
どうやら上手いこと潜り込めたらしい。
アイツにやって欲しい仕事は二つ。
裏切り者の抹殺と戦兎の成長を促す為に刺激を与えることだ。
ま、前者に関しては海斗の方がハザードレベルも装備のスペックも上。
本命は戦兎の方……。
ハザードトリガーを渡してからも観察は続けていたが、戦兎がトリガーを使ったのは一回きり。
そして遂にトリガーを使うことなく海斗を超えてみせた!
全く……どこまでも面白いヤツだよ、戦兎は!
だが、戦兎の力はまだ完成していない。
完全となった時の力はこんなもんじゃないはずだ。
その為にも、アイツにはもっと強いコマをぶつける必要がある。
手始めに……まずは強力なスマッシュ達を送ろう。
「よう、スタークさん。一体俺にどんな用だい?」
「浦の星の桐生戦兎──仮面ライダービルドを潰せ」
「良いのかよ、スタークさん? ソイツはアンタのお気に入りだろ?」
「ああ、良いとも。ただし、アイツの側にいるスパイの邪魔はしてやるなよ?」
「善処するよ」
返事をしてすぐヤツはこの場から去って行った。
あの男は信用に値しない。
だがだからこそ、戦兎に力を引き出させる役には適任だろう。
さあ、見せてくれよ、戦兎。
お前の本気を……。ふふふ……フーハッハッハッ!
***
徐々に慣れつつあった九人の練習風景だったが、氷室の加入で気持ちの方は新鮮なものがあった。
なにせ、マネージャーとしての仕事を後輩に教えるなんてことは今まで無かったからな。
「そうそう、で終わりの合図がさっきのやつな」
特に万丈のヤツは、俺以上に積極的に氷室を指導していた。
多分、初めて後輩が出来たのが嬉しかったのだろう。
そんな二人に対して約一名物凄い視線を送っているヤツがいるが……まあ、ここは気にしないでいこう。
話を戻すが、ルビィや花丸、善子も学年や年齢的にはヤツの後輩に該当する。
けれど、その三人に対しては先輩……というよりも目上の人間として接していて、万丈本人も後輩とは思えないと言っている。
その割に俺とはタメなのだが……まあ、この際それは置いておこう。
とまあ、ざっとこんな経緯なわけで、今日の万丈は氷室に付きっきりで面倒を見ているのだ。
「龍輝君、すごく張り切ってるね」
「だな。氷室の方も飲み込みが早い。そのうち俺や万丈よりも役に立つマネージャーになるだろうな」
「そ、そんなことないよ! お兄ちゃん達だって頑張ってる! ルビィ達のことよく見てくれてるよ!」
そう主張するルビィに対し、俺は思わず目を丸くした。
なぜなら、これまで彼女がこんなに強く意見したことが一度足りともなかったからだ。
きっと、花丸という友人を得て、千歌達と共に過ごしていく中で少しずつ成長したのだ。
それがなんだか嬉しく思えて、気が付くと俺の手はルビィの頭を撫でていた。
「お、お兄ちゃん?」
「強くなったな」
「え、えへへ……」
そんなやり取りをしている俺達に、というか俺に何かを聞きたそうにしている曜の姿が目に入った。
「どうかしたか?」
「さっきは幻ちゃんのことがあって聞きそびれちゃったんだけど、海斗君は今日は来ないの?」
「ああ、そのことか。アイツなら今日は休むってよ。この間の俺との戦いで壊れちまったグリスを直してもらってるらしい」
「そうだったんだ。怪我とかじゃなくて良かった」
「……アイツのこと、心配してくれてサンキューな」
「そんなの当たり前だよ。ラブライブを目指す仲間なんだから! もちろん、戦兎君もね!」
そう言って曜はニカッと笑顔を向けた。
みんなの中で海斗がちゃんと受け入れられているかどうか心配だったが、杞憂だったようだ。
果南やダイヤ、鞠莉も楽しそうに笑っている。
二度と見ることは無いと思っていた光景だったが……。
曜や千歌達のそういう部分に俺達は救われているのだろう。
もう一度「サンキュー」と言葉を贈ると、「どういたしまして」と元気良く返してくれた。
「よし、練習再開だ」
十分の休憩を終え、練習再開の号令をかけた頃。
「あれ? グラウンドの方の様子が変じゃない?」
果南の声と共にみんなの視線が一斉にグラウンドの方へ向けられた。
確かに、グラウンドで練習している生徒達の様子はどこかおかしい。
みんながその動きを止め、同じ方向に釘付けになったいた。
視線の先にいたのは、一人の男性。
それも金髪で逆立っていて、学校の関係者とは考え難い格好をしているのが遠目からでも分かる。
「先生……では無さそうだけど……」
「どこかの部活の外部コーチという訳でもなさそうですわね……」
そのやり取りに全員が首を縦に振る。
そして一瞬だけ、俺とあの男の目が合った。
刹那、あの男は考えうる限りの最悪の行動をとった。
何かを振る素振りをし、その何かを自らの腕に突き立てたのだ。
男の体は瞬く間に変化し、グラウンド中に悲鳴が響き渡った。
「スマッシュになった!?」
両肩や右手、頭部に金槌状に変化したスマッシュ──ハンマースマッシュと呼称しよう──は、逃げ惑う生徒達を尻目に俺達の方へゆっくりと向かってくる。
まさか鞠莉と海斗を狙ってきたのか!?
俺は万丈とアイコンタクトを交わし、ラビットタンクスパークリングとクローズチャージに変身して屋上から飛び降りた。
***
着地と共に吹き上がった砂ぼこりが霧散し、ハンマーのシルエットが浮かび上がる。
「随分派手なご登場だね~」
変貌する以前の姿に合ったチャラい声でそう言ったハンマー。
だが俺の目に映った奴は、そんなチャラい雰囲気とはかなりかけ離れていた。
「ようやくお目にかかれたな、仮面ライダー」
「お前は何者だ!? 目的は何だ!?」
「そう怖い声出すなって。脅かさなくなって教えてやるよ。俺は
富田林──ハンマーはそう叫びながら、前に進んで金槌状の拳を振った。
間一髪その攻撃を避け、金槌は空を斬ったが、その衝撃波が俺を襲った。
空圧がビルドのボディを押し退け、俺はバランスを崩して後退した。
「貰ったァァァ!!」
倒れかけた俺に振り下ろされる金槌。
しかし、それが俺に当たることは無かった。
「させるかよ。戦兎は俺が守るッ!!」
クローズが俺達の間に割って入り、ビートクローザーで攻撃を防いだのだ。
クローズは剣を振るい、ハンマーをぶっ飛ばす。
更に地面を強く蹴って奴に剣を振り下ろした。
斬撃はハンマーの一撃に相殺されてしまうが、ダメージは与えたようだ。
「やるなぁ、クローズ。けど、お前の相手をしてやるほど俺は暇じゃないんでね。お前にはオモチャをやるよ」
「あん? オモチャだ? んなもん誰がいるかよ!」
そう言うとハンマーは左手の指をパチンと弾いた。
それに構わず、クローズは斬り掛かるが、どこからともなく現れた何かがハンマーを庇った。
「んな!?」
「これは……!?」
クローズが斬り裂いたもの……それは、スマッシュを討伐する為に創られた機械の兵士、ガーディアンだった。
だがそれには製造元の難波のシンボルが描かれておらず、回路がむき出しになった状態で稼働していた。
「スマッシュを倒す為のガーディアンがどうして!?」
「ソイツらはお前たちの知ってるガーディアンじゃあない。俺達、ファウストが生み出した兵器さ。ま、ガーディアンの仕事そのものは一つも変わっちゃいないけどな」
どす黒い、邪悪な笑みを浮かべるハンマー。
ヤツの言葉の意味はすぐに理解出来た。
「ふざけるな……! ファウストだかなんだか知らないが、お前達の所為で……一体何人の人が犠牲になったと思ってるんだ!?」
ガーディアンは町に現れたスマッシュを倒す為に創られた。
そして今までに倒されてきたスマッシュは、その全てが人間だったのだ。
その真実を知ってる俺は、ヤツの言葉、そして態度が許せなかった。
「はっ、そんなもん知るかよ。生き残れなかったヤツ、弱かったヤツが悪い」
最後の一言が俺の怒りを滾らせた。
「……クソ野郎がッ!!」
「Ready? Go! スパークリングフィニッシュ!」
右脚にエネルギーを収束させ、ラビットのジャンプ力で大きく飛び上がる。
ハンマーはこの攻撃を避けようと体を動かすが、既に手遅れだった。
俺の意図を察したクローズが、ガーディアンを蹴散らして避けた先でハンマーを蹴り飛ばし、ヤツはキックの軌道に戻される。
そこにスパークリングフィニッシュが叩き込まれ、ハンマーは後方に大きく吹き飛んだ。
「うぐっ……グリスを倒しただけはあるってことか。今回は撤退させてもらう。次は必ず潰してやるぜ」
そんな捨て台詞を吐くと、ハンマーを拳を振り下ろして土煙を起こした。
煙が晴れると、そこにヤツの姿は無かった。
「逃げられたか……」
「富田林勝……。それにファウスト」
「やっと敵の像が掴めてきたって感じだな」
「ああ……」
「……今は堪えるんだ。千歌さん達に余計な心配はかけられない」
「だな……」
万丈に諭され、俺は憤りを抑えた。
そして変身を解く為、どこか物陰に隠れようと辺りを見回した時だった。
「オラオラ! スマッシュはどこだぁぁぁ!?」
勇ましく咆えるグリスが一足遅れてやって来た。
「猿渡……」
「遅れて悪かったな、二人とも。俺達の学校を荒らす不届き者はどこだ?」
「もう終わったよ。入れ違いで退散していった」
「……へ?」
少し前まで敵だったグリスから聞こえてくるのは、幼なじみの間抜けな声。
そのギャップは何とも言えないが、ピリピリしていたこの場の空気は上手い具合にほぐされた。
「マジ?」
「マジ」
「んだよ……。ヒーローみたいにカッコよく決めようと思ったのによぉ……」
「まあ、丁度いいや。みんなのところに戻るぞ」
「あ、そうそう。実は新しく部員が増えたんだぜ!」
「マジか!? よーし、ちょっくら挨拶してやっか!」
そんな会話を交わしながら、俺達は隠れて変身を解き、みんなの待つ屋上へと戻ったのだった。
龍輝)もうあらすじと予告が担当化されつつあるな。
梨子)されつつあるというか、もうなってるわよね。
龍輝)まあ、そのうちこっちにも顔を出しに来るだろ。それかこっちから行ってやるか?
梨子)そうね。でも今はこっちの仕事に集中しましょ。
龍輝)だな。新メンバーの氷室幻を加え、また新たになったアイドル部は初めての夏休みを迎えた。
梨子)そしてダイヤさん達の進言で、わたし達は合宿をすることになったんだけど……。次回「強化合宿!秘伝!?シャイ煮のレシピ!」
作者)はい!予告が終わったところで告知になります!
この度、アクシア(ロギア)さんとのコラボが決定致しました!
まだ詳しいことは決まっていないので、ことが決定し次第、またお知らせしたいと思います!以上、白銀るるでした!