ラブライブ!サンシャイン!!~BUILD the Rainbow~ 作:白銀るる
龍輝)そしてこの俺、m……万丈龍輝が満を持して登場した!
戦兎)いや、お前まだ出てきただけだろ。
龍輝)良いだろ別に。ていうか、サブタイトルが既にネタバ……
戦兎)はーい、そういうメタい話は置いておいて、果南、次よろしく。
果南)ははは……えっと、復学し、スクールアイドル活動に参加することになった戦兎だったが、生徒会長の黒澤ダイヤと対立。それでも諦めないと、部員を集める千歌達。そんなみんなの近くで、スマッシュが現れる。
戦兎)スマッシュを倒し、無事成分を摂取した俺だったが、不注意でボトルを浄化し、その場で眠りに落ちてしまうのだった。さて、どうなる第4話!?
遂に始まりましたね!Aqoursの4thライブ!
残念ながら私は行けませんが……。それでも、微妙に遠くもない距離から、ライブが成功……いえ、大成功するように祈り、応援しています!
「……ん、ふぁー……よく寝た」
清々しい朝……という訳では無いが、それと同じくらいに気持ちのいい目覚めだ。
「ここは……」
「保健室だよ」
誰に問いかけた訳でもない疑問に答えてくれたのは、つい最近、共通の秘密を持った仲の男性講師、葛城巧先生だ。
「体調はどうだい、戦兎くん?」
「概ね平気です。ちょっとした怪我を除けば」
「まさか学校内にスマッシュが現れるとはね……」
「被害はどのくらい出ましたか?」
「君のおかげで、建物が少し崩れた程度だよ。ケガ人もいない、戦兎くん以外はね」
「そうですか……」
他の生徒やアイツらに危害は及ばなかったことに、俺はひとまず安堵する。
「先生、フルボトルは?」
「ここにあるよ。この色と形状は『ゴリラフルボトル』みたいだね」
先生が取り出したフルボトルを受け取って、他のボトルと一緒にしまう。
「ビルドの戦い、見させてもらったよ。やはり映像で見るより、実際に目で確かめた方が得るものがあるね」
「映像や陰で見ているより、実際に戦った方が良くわかりますよ?」
その口ぶりからすると、俺が苦戦している時、先生は面白い物を見つけた子供のような目で見ていたことだろう。
全く、人がこんなにも大変な思いをしているというのに。
「遠慮しておくよ。生憎、僕は体を動かすタイプではないからね。そんな口が利けるなら心配はいらないだろう」
彼がそう言うと、千歌たちが血相を変えて保健室に駆け込んできた。
「大丈夫!?戦兎くん!?」
「お、おお……。どうしたんだよ、そんな顔して」
「だって怪我して倒れてたって、先生から聞いたんだもん!心配したんだよ?!」
目尻に涙を溜め、泣きつく千歌。その顔を見るに、相当心配してくれていたことが伺える。
……そう思うと、何だかくすぐったい。
「まあ、その……心配させたみたいで悪かったな」
「でも無事で良かったよ。流石に、スマッシュが出たのに一人でどこか行っちゃったときは焦ったけど」
「まさかスマッシュを倒しにでも行ってたのか?」
龍輝は冗談のつもりだったのだろうが、それはまさしく核心を突く一言だった。
曜が「まさか、そんなわけないでしょ」と、軽く流したおかげで、俺が返事をする機会が無くなってしまったのだが。
そして俺はあることに気が付いた。
千歌、曜、万丈の三人に加え、もう一人、少女がいたことに。
「えっと、そちらは?」
「あ、紹介するね。この子は桜内梨子さん。龍輝くんと同じで、私達のクラスに来た転校生だよ」
千歌は涙を手で拭い、少女の名前と簡単な概要を教えてくれた。
そう言えば、職員室で万丈を見た時、見慣れない生徒がもう一人いたが、この子がそうだったのか。
「桜内梨子です。よろしくお願いします……」
大人しそうに見えた彼女は、そのイメージ通りな声と態度で会釈する。
「ど、どうも。俺は桐生戦兎です。一応、千歌と曜の幼なじみやってます。よろしく、桜内さん……はちょっと長いから、梨子さんでいいか?」
「梨子で大丈夫です」
「分かった。んで、会って早々なんだけど、梨子はどうしてここに?」
と言っても、大方予想が着く。
「私が連れてきたんだよ。どうしても、桜内さんにスクールアイドルやって欲しくて」
「高海さん、そのことなんだけど、やっぱり私にアイドルは向かないかなって……私って地味だし……」
「そうか?梨子さんは美人な方だと思うんだけど」
卑屈になる梨子に対し、まるで安いラノベの主人公のような言葉をかける万丈。
もちろん、いきなりそんなことを言われた梨子は、茹蛸のように顔を真っ赤に染め上げる。
「ん?顔赤いぞ。熱でもあるんじゃないか?」
再びそんな発言をする万丈。なあ、コイツわざとやってないか?
「龍輝くん、そろそろやめてあげて」
見かねた曜が、暴挙を働く万丈を止めに入った。
結局、梨子はスクールアイドル部には入らず、その日は終わった。
***
今日は、まさしく怒涛の一日だった。
復学するなり、いきなりダイヤに怒鳴られ、スマッシュと戦い、そしてぶっ倒れた。
最後は完全に俺のミスなんだが……まあ、とにかく大変な日だった。
それはそうと、新しく手に入れたフルボトル、ゴリラフルボトルは改めてチェックして、その能力に驚かされた。
低確率で、即死効果のある攻撃を放つことが出来るサドンデストロイヤー。
確かに強力ではあるが、扱いには気を付けなければならない。
下手にスマッシュ相手に使えば、成分を抜き取れないまま死なせてしまうかもしれないからだ。
果たしてこれを使う日が来るのだろうか……。
使い道に頭を悩ませていると、ドアがノックされた。
「どうぞー」
入って来たのは……まあ、当然ながら果南だった。
「またボトルを見てるの?」
「新しいのを手に入れたからな。概要もちょこっと調べてたんだ。ま、それは置いておいて、何の用だ?」
「さっきダイヤから連絡があってね」
「スクールアイドル部のことか?」
「ううん、倒れたって聞いたから、大丈夫かって」
「倒れたって言うより、寝てただけだけどな。でも一応、心配ないって言っておいてくれ。今はちょっと……アイツとは気まずいからな」
何となく察したのか、果南は少し困り顔になる。
こうなることは、初めから分かっていたことだ。今更、止めるなんて出来ないし、何より千歌がさせてくれないだろう。
「ま、お前はあんまり心配するな。ずっと今のままでいる訳じゃない。いつか必ず本当のことを話すさ」
「戦兎……うん、分かった。ダイヤには大丈夫だって言っておく。でも、無茶はしないでね。戦兎に何かあったら、父さんも母さんも悲しむから。……私も」
再びPCに向かった俺を、背中から抱きしめる果南。
いつもは安心感をもたらしてくれるハグだが、今は不安が感じられる。
「……ああ、約束するよ」
そう呟いた後も、しばらくの間、この部屋は静寂に包まれた。
***
あれから数日が経った。
スマッシュの出現は一度もなく、内浦は平和そのものだった。
そして千歌は、相変わらず梨子のことも部の設立も諦めていないようで、アタックしては玉砕、アタックしては玉砕を繰り返している。
千歌らしいと言えば、千歌らしいのだが。
「で、何がどうしてこうなった?」
現在、千歌・曜・梨子・万丈の四人は、俺と果南が住んでいる家であるダイビングショップを訪れていた。
「えっと……実は私、ピアノをやっているんですけど、スランプになっちゃって……。それで海の音を聞けたら、何か変わる……ううん、変えられるんじゃないかと思ったんです」
「なるほどね。それで私達の家に来たんだね」
「
店の奥から出てきた果南と、彼女の発言に梨子は首を傾げて疑問符を浮かべる。
「梨子ちゃんと龍輝くんだっけ?私、松浦果南。梨子ちゃんや千歌と同じ、浦の星学院の三年生なんだ。今は休学中なんだけど。まあ、同じ学校に通う仲間ってことで、よろしくね」
「うっす。m……万丈龍輝です」
「は、はい……よろしくお願いします。……それで、さっきの私達の家って言うのは……?」
「そのままの意味だよ。ここは果南とその家族、それから俺が住んでる家でもあるんだ」
俺が説明を加えると、梨子と何故か万丈まで数秒間フリーズし、
「「えええええええええええっっっ!!!!!!?」」
この場にいる全員(梨子と万丈を除く)の鼓膜をぶち破りかねない程の声量で、驚愕の反応を示した。
咄嗟に耳を塞いだが、効果は皆無。
少しの間、俺達の聴覚は耳鳴りに支配されたのだった。
「ご、ごめんなさい。ちょっと驚いちゃって……」
「俺の方も悪かったな。まさか戦兎が同棲してるなんて思わなかったもんで」
「ど、同棲!?」
「いや同棲じゃないから。父さんと母さんも……俺にとっては育てのって意味だけど、ちゃんといるから!なあ、果南」
同意を求めようと、果南に目をやると「同棲……同棲……」と、まるで壊れたレコードのように何度も反芻していた。
「か、果南?」
「果南ちゃん、大丈夫?」
「はっ!?戦兎、曜?今私何を……?」
俺と曜の呼びかけで、果南は正気を取り戻した。が、ここ数分の出来事の記憶が飛んでいるようだ。
ともかく、俺と果南はボートの準備をし、海に出たのだった。
梨子達が潜り始めてから、十数分程。
「なあ戦兎、俺はいつまでこうしてればいいんだ?」
既に万丈が、代り映えしない船上からの景色に飽きてしまっていた。
「ならお前も千歌達と一緒に潜れば良かっただろ」
「俺は泳ぎが得意じゃないんだ。自慢じゃないが、生まれてこの方、学校のプールで溺れなかったことは一度も無い!」
「それ自慢気に言うことじゃないんじゃ……」
最早開き直りとも言って良いレベルでコイツは……。
「そういやあ、戦兎とか……果南さんは同じ家に住んでるって言ってたけど、どうしてなんだ?」
「ああ、その話?実はな、俺、拾われっ子なんだよ」
「は?」
「それを聞いた時、凄いショックだった。家族だと思ってた人達が実は家族じゃなかったんだからな」
話を聞いた万丈は、口を開けたまま茫然としている。
まあ、無理もないか。中学に上がってから、ダイヤにも同じことを聞かれ、話したら同じような反応をされたからな。
それから、万丈はバツの悪そうな顔をし、「悪い……」と、謝罪の言葉を述べた。
「気にすんな。そん時は色々あったけど、今は何とも思って無いし、血の繋がりだけが家族の証ってわけじゃないからな」
「あの時は本当に大変だったよね。戦兎ってば、泣きながら家を飛び出したり、公園の遊具の中で泣いてたり」
「ちょ、それを今言いますか、果南さん!?」
いつの間にかシリアスから黒歴史に変化した昔話をしていると、梨子が浮かび上がってきた。
何かを見つけた、そんなすがすがしい顔をしていた。
そして梨子に呼応するように、さっきまで曇っていた空が晴れたのだった。
***
翌日、全ての授業を終えると、千歌達が教室を訪れた。
梨子が曲作りに協力してくれることになったという。
しかし、そこで一つ、大きな問題にぶつかった。
曲を創ろうにも、肝心の歌詞が無いというのだ。
それでは何もできないと、千歌の家である十千万で歌詞作りをすることになった。
「歌詞、ねえ」
「戦兎くん、何かいいアイデアは無い?」
「残念ながら無いな。そもそも、俺はこの中でなら一番“恋”だの“恋愛”だのから遠い存在だと思うんだけど」
俺がそう話すと、梨子、曜、千歌の三人は揃って「えー!?」と驚嘆の声を漏らす。そして万丈も、声こそ出さなかったが、俺の返事に驚いていた。
「何なんだよ……揃いも揃って……」
「だって戦兎くんと果南ちゃんって付き合ってるんじゃないのっ!?」
とんでもないことを言い放つ千歌。
どうしたらそんな結論が出せるんだ……。
「だって戦兎くんと果南ちゃんってすっごく仲良いんだもん!てっきり付き合ってるのかと……」
「ちげーよ。俺と果南はそんなんじゃない」
「ふーん……」
そう、俺と果南は付き合うとかそういう関係ではない。同じ家に住む家族なんだ……。
「ていうか、俺のことより歌詞のことを考えろよ」
「だから考えてるよー……。それでも分からないから聞いてるんじゃん……」
「具体的にどんなのが良いの?」
「μ’sのスノハレみたいなやつ」
「スノハレ?」
疑問符をうかべる梨子に、俺はスマホで検索してその動画を見せる。
「……高海さん、本当にこういうのが良いの?」
難易度の高さを理解した梨子は、改めて千歌に問いかける。
そんな梨子に対し、千歌は輝かしい笑顔で、
「うん!」
と答えた。
恋愛経験の無い五人が集まったところで、スノハレのような曲が作れるかと問われると、首を横に振るしかない。
まさしく無理難題というやつだ。
俺を含め、四人が「うーん」と唸る。
スタート前からいきなりつまづいてしまった……と思いきや。
「なあ、その曲って必ずラブソングじゃなきゃいけないのか?」
「え、だってあのSnow halationって曲はそうなんじゃないの?」
「いや、父さんから聞いたことがあるんだけど、あれって恋愛にこだわっただけじゃなくて……」
曜の質問に答えようとしていた万丈を遮り、スマッシュ警報が鳴り響く。
毎回毎回、何で大事な話をしてる時に現れるんだよ!
「悪い四人とも。ちょっと行ってくる!」
「え!?行ってくるってどこに!?」
「スマッシュを倒しにだ!」
「「え?えええ!?」」
驚きの声を上げる千歌達を背にし、俺は十千万から飛び出した。
二振りの剣を持ったスマッシュが暴れていたのは、十千万からさほど離れていない場所。
初めてスマッシュと戦った時と同様、ガーディアンが交戦してたが、どちらが優勢かは火を見るよりも明らかだった。
「やっぱり俺がやるしかないよな」
ラビットボトルとタンクフルボトルをドライバーに装填して変身する。
「ラビット!タンク!ベストマッチ!鋼のムーンサルト!ラビットタンク!!イエーイ!!」
俺は、神子さんから譲渡されたドリルクラッシャーを取り出して、スマッシュに斬りかかる。
俺の初撃は剣で防がれてしまい、もう片方の剣での反撃を食らう。
しかし、二撃、三撃と攻撃を受けながらも、少しずつスマッシュに攻撃を当てていった。
スマッシュの装甲を斬り、突き、砕く。
武器だけでなく、拳撃や蹴撃を駆使してスマッシュを追い詰めていく。
これならいける!そう確信した瞬間だった。
「っ!?」
スマッシュが分裂……否、分身した。
驚きの余り俺は攻撃を止めてしまい、押し返され始める。
一体の攻撃を防いでも、二体目の攻撃をもらってしまう。
息の合った二体の連携に為す術も無く、さっきとは打って変わって俺の方が追い詰められてしまった。
万事休すか……。
「勢い良く飛び出してった割に、随分苦戦させられてるみたいだな、戦兎」
不意に聞こえてきたのは、万丈の声。
声のした方を見ると、千歌、曜、梨子の三人か怯えながら、そして万丈が仁王立ちしていた。
「え!?あの赤と青の怪人?って戦兎くんなの!?」
「あれは怪人じゃねーよ。仮面ライダーって言うんだ」
「仮面、ライダー?」
「バカ!早く逃げろ!」
「折角助けに来てやったのに、バカはないだろ!」
「は?助け?」
得意げな顔でそう言い放った万丈は、驚くべきものを取り出し、腰に装着した。
「それは……!?」
驚くべきもの……それは俺が使っているものと全く同じビルドドライバーだった。
そしてどこからか小さな機械の龍が飛来して、万丈の手に収まる。
「ウェイクアップ!」
「クローズドラゴン!」
万丈はポケットからフルボトルを出して、その龍に装填。そしてそれをドライバーにセットした。
俺が変身する時と同じようにレバーを回す万丈。その前後にスナップライドビルダーが形成される。
「Are you ready?」
「変身!!」
「ウェイクアップ バーニング!ゲット クローズドラゴン!!イエーイ!!」
蒼い龍。変身した万丈を見て、俺は脳内でそう形容した。
「俺はクローズ。仮面ライダークローズ」
龍輝が変身したライダー──クローズは、高らかな声で名乗りをあげる。
そして茫然と立ち尽くすスマッシュを指差して、
「相手が悪かったな。今の俺は……負ける気がしねぇっ!!」
そう咆えた。
作者)さあさあやってまいりました!この作品のオリキャラ紹介のコーナーでーす!
戦兎)いつの間にそんなコーナー出来たんだよ。
作者)初めからですが?
戦兎)何を当たり前のことを聞くんだ、みたいな顔で言うんじゃない……。
作者)それでは今回紹介するのはこの人だ!
万丈龍輝
変身するライダーはクローズ。
この作品のもう一人の主人公。二年生から浦の星に転入してきた、学院に在籍する数少ない男子生徒。
好きなものはサンドイッチとプロテインで、水泳が大の苦手。
女神とは以前から面識があり、仮面ライダーには小さい頃から憧れていたという。
彼が公言しているプロフィールは名前や好きなものなどだけで、謎の多い少年。
戦兎)なあ、この字面だけ見てると、ミステリアスなキャラに見えなくも無いよな(一部を除く)。
果南)確かにそうかも。前に住んでた場所とか誕生日も誰も知らないんだよね。
戦兎)そうそう。おまけに仮面ライダーに変身もしやがった。
果南)何者なんだろうね、龍輝くんって。
戦兎)ただ者でないことは確かだな。おっと、予告を忘れてたな。次回「再会とファーストライブ」