ラブライブ!サンシャイン!!~BUILD the Rainbow~   作:白銀るる

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作者)Over the Rainbow……超ヤバかったです……もうヤバすぎてヤバくなりました(語彙力が旅に出た)ヤベーイ!
戦兎)それは良いから早くあらすじ始めるぞ。今そこそこシリアスな展開なんだから。
作者)いやいや、今はそんなことより映画の素晴らしさを伝えなきゃ!(使命感)そう例えばあのシーンなんk((殴
戦兎)このバカ!何口走ろうとしてんだ!大体な──

龍輝)ありゃ終わりそうにねぇな。仕方ない。千歌さんの提案で、善子さんの堕天使衣装でPVを撮影するが、その動画をダイヤさんに厳しく指摘されてしまう。そのことで、善子さんは俺達に負い目を感じ、追い込まれてしまう。
曜)そんな善子ちゃんの前に、コブラの装飾が特徴的な赤い怪人が迫っていた。その事を知らないわたし達は、再び善子ちゃんにコンタクトをとろうと、善子ちゃんの家にお邪魔することに。
花丸)マル達が善子ちゃんのお母さんと話していると、スマッシュ警報がなり始めたのだった。さて、どうなる第9話!本当にどうなってしまうずら!?


微編集しました。



第9話 堕天使のティアー

「善子さんのお母さん!善子さんの部屋はどこですか!?」

 勢い良くドアを開けた所為で、三人を驚かせてしまったのは、その表情を見ればすぐに分かった。

 だが、それよりも今は善子さんの身に迫っているであろう危機を優先すべきだと、俺の脳は意識と体に呼びかけていた。

「あの子の部屋ならあっちだけど……」

 善子ママは、驚きつつも俺の問いに答え、善子の部屋の場所を教えてくれた。

 俺は、お礼を言うことすら忘れ、善子ママが示した部屋のドアを開けた。

 

「っ!?」

 

「スマッシュ!?」

 万丈の言った通り、善子の部屋には黄色い体色のフクロウのようなスマッシュが、カメラの前でたたずんでいた。

「あ!待て!!」

 俺を見るや否や、スマッシュは窓から飛び出していく。

 体の大きさが合わなかったらしく、スマッシュは窓と壁を打ち抜く形で、飛翔して行った。

「ちょっと!今の音は何!?」

 スマッシュが逃げてから数分もせずに、居間にいた三人が部屋に入って来た。

「何これ……部屋が壊されてる……」

「戦兎君、これって……」

「千歌……花丸、それから善子さんのお母さん、さっきまでここにスマッシュがいたんです」

「そんな……どうしてこの家に……」

「分かりません……」

 何がどういう事なのか、本当に分からなかった。

 神子さんは、スマッシュは人体実験を受けさせられた人間だと言っていた。

 だが、ここはどこにでもある普通の民家、そんな大層な装置はおろか、非人道的な悪行をする組織の施設であるなど考えられない。

 何故、突然この場所に……。

「……善子ちゃんは?善子ちゃんはどこずら?!」

「え?」

 俺の思考は、花丸の声によって遮られた。

 善子はどこに?、確かに花丸はそう言った。

 辺りを見回すが、彼女の姿は見当たらない。

 

 ……どうやら、事態は最悪な展開に傾いているようだ。

 

 その考えに至ると同時に、再びビルドフォンから着信音が鳴る。

「もしもし」

『おい、戦兎!人の話は最後まで聞け!』

「こっちはそれどころじゃなかったんだ!仕方ないだろ!それより、お前の言ってたあのスマッシュってやっぱり……」

『善子さんだ、間違いない。配信中にボトルを挿して変身したんだ!』

「ボトルを挿して変身した?一体どういうことだ……?」

『んなもん、俺が分かるわけないだろ。とにかくスマッシュを──善子さんを追え、戦兎!』

「言われなくても分かってる!」

 俺は、万丈との通話を切り、三人に向き直る。

 三人とも、俺と万丈の会話を聞き、何かを察してしまったのか、表情は一層暗くなっていた。

「すいません、善子さんのお母さん。彼女は必ず連れ戻します!千歌、花丸。お前達二人はここで待ってろ!」

 俺は、またドアを開いて外に飛び出し、ビルドフォンをマシンビルダーに変形させて万丈に送り、ビルド ラビットロケットのトライアルフォームに変身し、スマッシュが逃げた方角に飛んだ。

 

 ***

 

 戦兎との通話を終え、俺はスマホをポケットにしまう。

 代わりに、ビルドドライバーを腰に装着した。

「龍輝君も行くの?戦兎君の所に」

 不安気な顔で、梨子さんは俺にそう尋ねてきた。

「ああ。あのスマッシュは、今まで戦ってきた中でもトップクラスの強さのはずだからな。戦兎一人じゃ絶対勝てねぇ」

「そんな……」

「じゃあ龍輝君と二人なら勝てるの……?」

「当たり前だろ。俺はその為にココにいるんだからな!」

 俺が右手を掲げると、どこからともなく飛んできたクローズドラゴンが手に収まる。

「ウェイクアップ!」

「クローズドラゴン!」

 ボトルを装填したクローズドラゴンをベルトにはめ込み、レバーを回転。

「Are you ready?」

「変身!」

「ウェイクアップ バーニング!ゲット クローズドラゴン!!イエーイ!!」

 俺の体は蒼い装甲に覆われ、仮面ライダークローズへの変身が完了した。

 タイミングを見計らったのように、マシンビルダーが変形しながら上から降ってきた。

「そのバイク、戦兎君の……」

 空を見上げると、既にビルドに変身した戦兎が彼方へ飛んでいく。

「悪い、みんな。絶対戻ってくるからな!」

 梨子さん達にそう告げ、俺もビルドの後を追う為にアクセルを踏む……直前だった。

 

「うおっ!?」

 

「「龍輝君!?」」

 何者かが銃撃を仕掛けてきた。

 威嚇射撃だったのか、俺本体に弾は当たることなく、地面に落ちて硝煙を発生させるに留まった。

「……ったく、梨子さん達がいるってのに、随分危ねぇ真似しやがるな!」

 煙が晴れると、俺が無事であることに安堵する梨子さん達ともう一人、黒いコウモリの戦士──ナイトローグの姿が、俺の目に映った。

「心配はいらない。わたしは彼女達に危害を加えるつもりは無い。わたしの目的は一つ。万丈龍輝、君を桐生戦兎の所へ行かせないことだ」

「……どいてくれる気は無いみたいだな」

 俺はマシンビルダーから降り、ナイトローグと対峙する。

「梨子さん、曜さん、ルビィさん。悪わりいけど、安全な場所トコまで逃げてくれ!」

「……分かった。龍輝君、無理はしないでね」

「ああ」

 曜さん達にそう言葉を返し、彼女達が離れていくのを確認した俺は、意識を目の前のローグへと戻した。

 

 

「言っとくが手加減はしないぞ!早く戦兎(アイツ)ん所に行かなきゃいけないからな!」

 

「行かせない。わたしにも……やらなくちゃいけない理由があるから!」

 

 

 ぶつかり合う拳と拳。

 今、戦いの火蓋が切って落とされた。

 

 ***

 

 建物の間を縫うように飛び、俺を振り切ろうとするスマッシュ。

 けれど連れ戻すと言った以上、逃すわけにはいかない。

 スピードはほぼ同じで、差が開くことはなければ、縮むことも無い。

 少々手荒いが、俺はドリルクラッシャーの銃口をスマッシュに向けた。

「きゃあ!?」

 銃撃は、スマッシュの背中に命中し、体勢を崩させ、飛行速度を減少させることに成功した。

 俺は、BLDロケットショルダーの出力を上げ、失速したスマッシュに近づき、遂に彼女を捕らえた。

「善子!善子なんだろ!?早く変身を解いて、家に帰ろう!」

「嫌よ!これはやっと手に入れた特別な力なの!絶対に手放さない!」

 善子は絶叫すると同時に急降下し、自分ごと俺を地面に叩きつけた。

 全身に衝撃と痛みが走り、彼女を掴んでいた手は離されてしまう。

「痛ったぁ……」

 だが、捨て身の一撃は、彼女自身にも少なからずダメージを与えた。

「く……その力は……特別なものなんかじゃない……!現に今の君はスマッシュに……」

「……分かってるわよ、そんなこと」

「なら何で……!?」

 痛みに耐えながら彼女に問いかける。

 善子が“特別な力”と呼ぶソレは、俺から言わせれば悪魔の力だ。

 そして彼女自身もそれを理解している。

 それなのに何故……。

「……小さい頃からずっと思ってたの……。わたしは天使だから特別な力がある。他の誰も持ってない、特別な力があるって。でも、そうじゃなかった。わたしは普通の人間で、特別な力なんて持ってなくて……それでもそんな力に憧れた……」

「それが堕天使……」

 小さく頷き、善子は話を続けた。

「“堕天使ヨハネ”に成ると、世界が変わって見えた。ただの人間“津島善子”では見ることのできなかった景色。ヨハネの翼が、わたしをその場所まで連れてきてくれた。……でも、それは全部虚構だった。生徒会長に言われた時、ううん……本当はもっと前から気付いてた。堕天使なんていない。わたしには翼なんて無い。わたしが見ていた世界は、わたし自身が創り出した妄想なんだって。……わたしは全てをお終いにしようと思った。そんな時、ある人がこの力をくれたの。この力は確かに実在するもの……!妄想なんかじゃない、やっと手に入れた……わたしだけの特別な力!わたしは、もう誰にもわたしを否定させないっ!!」

 スマッシュは再び飛び上がり、一度旋回してから俺に向かって突貫攻撃を仕掛けてきた。

 あれを喰らえば、ダメージは相当なものになってしまうだろう。

 それを防ぐには……防御に徹したボトルでいくしかないか。

「ダイヤモンド!」

 ロケットボトルをダイヤモンドボトルに代え、左腕のフローレスガードアームで防御態勢に入り、攻撃を防いだ。

 その防御力の高さは本物で、攻撃を受けても火花を散らす程度で済んだ。

 二撃目、三撃目も防ぐが、いつまでもこのままでは埒が明かない。

 どうする……!下手に攻撃すれば彼女を傷付けてしまう。

 けど、このままじゃいられない……。どうする……!

 

 防戦一方だったこの戦いは、いつまでもこの均衡を保っていられるはずが無く、それは本当に一瞬で崩れた。

「!?しまっ……!」

 何度も攻撃を受け続けた所為で腕が限界に達し、防御態勢が崩されてしまう。

 そしてダメージも相まって、防御が間に合わなかった。

 体当たりをモロに喰らい、俺は弾き飛ばされる。

「がは……」

 今度は今までよりも高い位置まで上昇し、一気に降下してきたスマッシュ。

 この一撃で決めるつもりらしい。

 あれを喰らえば、間違いなく変身は解かれ、最悪の場合、俺は致命傷を負って死んでしまうだろう。

 それだけは、それだけは避けなくてはならない。

 彼女に人殺しの汚名を着せるわけにはいかない……!

 

「動け……動けよ……!」

 

 まだ大事なことを伝えていない。

 まだ死ねない……!

 そう思っていても、体は言うことを聞かない。

 立ち上がろうとするが、間に合わない。

 スマッシュは、既にそこまで迫ってきていた。

「……」

 

 しかし、トドメの一撃となるはずだった一撃は、スマッシュと俺の間に舞い降りた黒い人物によって阻まれた。

 

「ナイトローグ……!?」

 

 一度だけでなく、二度、俺の前に立ちはだかったコウモリの戦士、ナイトローグ。

 彼女が、スマッシュの攻撃を受け止めていた。

「事情は万丈龍輝から聞いている。桐生戦兎、一時休戦だ」

 ナイトローグは受け止めていたスマッシュを投げ、手を差し伸べてくる。

 ……何故、俺を助けるのか、意図は分からない。

 いつもの俺なら、十中八九罠であると断言し、協力を仰いできても従うことは無い。

 だけど、今は状況が状況だ。

 俺一人では、善子を助けることは出来ない。

「……分かった」

 俺はナイトローグの手を掴み、立ち上がる。

「これを使え。君が持っているボトルと組み合わせれば、ベストマッチになる可能性は高い」

「良いのか?一時休戦とは言え、俺とお前が敵同士なのに変わりはないんだぞ」

「いずれ取り返す。それまで預けておくことにするよ」

「そうかよ」

 ナイトローグから受け取ったボトルはタカフルボトル。

 このボトルとベストマッチになるのは、ガトリング。

 以前、神子さんが研究所に送って来たボトルの中にあったものだ。

「タカ!ガトリング!ベストマッチ!!」

 濃灰色(のうかいしょく)のガトリングハーフボディと橙色のタカハーフボディが前後で形成されていく。

「Are you ready?」

「ビルドアップ!」

「天空の暴れん坊!ホークガトリング!イエーイ!!」

 思わぬ経緯で入手出来たボトルで、新たなベストマッチ──ホークガトリングフォームが完成した。

 

 俺とナイトローグが並び立つと、吹っ飛ばされたスマッシュも、また立ち上がる。

「どうしてわたしの邪魔をするの!?わたしはただ……わたしにしかない特別が欲しいだけなのに!!」

 スマッシュは、叫びながら両腕の球体を俺達に向けて発射する。

 だが、俺達は揃って銃を構え、球体を撃ち抜いた。

「くっ……」

 スマッシュは、背を向けて再び飛翔する。

 突撃してくる為ではなく、逃げる為に。

「逃がさない!」

 俺はタカボディの特徴である「ソレスタルウィング」を展開し、ナイトローグも翼を広げて飛び上がる。

 

 再び沼津の空で逃走劇が始まる。

 だが、今度は二対一、こちらが完全に優位に立っている。

「桐生戦兎、挟み撃ちでいこう!」

「了解!」

 ナイトローグは一旦離れ、別の方向飛んで行き、俺はそのままスマッシュを追い続ける。

 ドリルクラッシャーで威嚇射撃をするも、怯む様子もなく逃げていく。

 ジグザグに逃走を続けるが、ナイトローグと別れてから数分経った頃、スマッシュの眼前にナイトローグが現れ、挟み込むことに成功した。

「何で邪魔するのよ……!わたしとアンタはもう関係ないでしょ!!だから早くどこかに行ってってば!!」

「それは出来ない。君がその力を使い続けるって言うなら、俺は君を止めなくちゃならない!君を家に帰さなきゃいけないから!それに……」

 

 ──今まで築き上げてきた“桐生戦兎”を否定出来るか?

 

 神子さんにそう尋ねられた時のことを思い返す。

 俺がこの質問に答えるとしたら、答えはNOだ。

 これまで出会った人達との出来事、想い出。それら全てが偽者だと否定されたら、一体どうなってしまうだろうか。

 正直、考えたくない。

 

 彼女も……善子さんもそれは同じはずだ。

 

「それに俺、ある人に教えられたんだ。今まで築き上げてきた自分自身を否定できるかって。答えを出すのは簡単だった。そんなことできるはずない。自分(桐生戦兎)って言う一人の人間の中には、たくさんの人との歴史が、思い出がある。今の自分を否定するってことは、自分だけではなく、自分の周りの人達とのつながりも否定してしまうような気がするんだ。善子もそれは一緒だろ?ダイヤはキツイこと言ってたし、やり過ぎたってのは俺も思うよ。けど、それは止めなかった俺にも責任はあるし、善子だけが悪いんじゃない。俺達に迷惑がかかるからって、自分を否定するな!俺は……俺達はありのままのアンタを受け入れる!!津島善子──堕天使ヨハネ!アンタが手にれたかった特別な力は、誰かを傷付けるものか!?それとも、あの時のように誰かを笑顔に出来る力か!?」

 

 俺は彼女に問うた。

 目の前のスマッシュ……否、津島善子に。

 

「わたしは……わたしが欲しかったのは、堕天使としてじゃなくても……ううん、やっぱり堕天使を好きな自分のままで、誰かと一緒に笑える……誰かを笑顔に出来る力よ……!!」

 

 異形であるはずのスマッシュの姿に、元の津島善子の姿が重なる。

 そしてその瞳からは、キラリと光る雫が零れ落ちた。

 

「──分かった!なら、俺がその呪いからお前を救う!!」

 俺はビルドドライバーのレバーを回転させ、銃を構える。

「Ready?Go!ボルテックフィニッシュ!イエーイ!!」

 ドリルクラッシャーから放たれたエネルギー弾は、タカの形になって彼女を撃ち抜く。

 聞こえてきた善子の悲鳴に胸が痛むが、気を失って人の姿へと戻って落ちていく彼女を受け止めるべく、思考をすぐさま切り替え、彼自由落下する善子の側に近づいて行った。

 

 善子を受け止め、地上に降り立つ。

 同時にナイトローグも地に足を着けた。

「津島善子は救った。これで共闘は終わりだ」

 彼女はそれだけを告げ、飛び去ろうとする。

「待て、ナイトローグ!」

 俺は、たった一つの疑問からそんな彼女を引き留めた。

 今回の事件は、実に不可解なことが多過ぎる。

 その中でも特に気にかかっているのは、俺と敵対関係にあるはずの彼女が、何故俺を助けたのかだ。

 俺は、その真意を探るべく、ナイトローグに問いかけた。

「わたしは君を助けたわけじゃない。このボトルの入手が、結果的に津島善子の救出に繋がった、ただそれだけ。君に預けたあのボトルもいずれ返してもらう。君が持つボトルも全て」

 ナイトローグは問いに対してそう答え、今度こそ飛び去って行った。

 

「ほう……中々興味深いことが起こっておったようじゃのお」

 

 唐突に神子さんの声が聞こえた。

 いきなり過ぎて挙動がおかしくなるが、振り向いたすぐ側で、初めて会った時と同じ姿の神子さんが善子を診ていた。

「残念だけど、たった今終わったよ。善子は救った。今は眠ってるけど、じきに目は覚ます。っていうか、下界に干渉しちゃいけないんじゃなかったか?」

「それなら心配ない。下界(こちら)での活動許可が下りた故、本格的にボトルを集める為に力を注ぐことにしたんじゃ。まあ、常にここにいられる出来るわけではないがの。それより、こやつの体内にはまだネビュラガスが残留しておる。ハザードレベルはそこそこ高い故、スマッシュになってしまう可能性は無いが、今回の事件の黒幕に目をつけられ、再びスマッシュにされてしまう可能性は否めないぞ」

「じゃあどうすりゃ良いんだ?」

「こういう時こそわらわの出番じゃ」

 神子さんはそう言うと、善子に手をかざす。

 すると、彼女の手から光が放たれ、善子の体を包み込む。

 しばらくすると光は収まり、神子さんは溜め息を一つ吐いた。

「これで善子の体内のネビュラガスは完全に浄化した。再びスマッシュ化する恐れは無い。それから、善子がスマッシュに変身したことは、善子と直接的な関係を持つ者以外の記憶は、全て偽の記憶と差し替えた」

「マジかよ……」

「善子の今後に関わることじゃ。それにもとをただせば、こうなった原因はわらわにある。わらわにはこの程度しか出来んがの」

 

 それから数分後、「戦兎!善子さんは大丈夫か!?ナイトローグは!?」と焦った様子で、俺が送ったマシンビルダーでやって来た。

 どうやら万丈はナイトローグと交戦したが、善子がスマッシュになった旨を漏らすと、彼女は一方的に戦いを切り上げたという。

 結果的に俺と善子は彼女に助けられる形となったのだが、彼女の真意は未だ不明のままだ。

 

 ともかく、今は善子が無事に戻ってきたことを善子ママと花丸達に伝えよう。

 

 ***

 

 翌日、俺は善子を連れて千歌達が練習をしている屋上までやって来た。

 その理由はたった一つ、善子にスクールアイドル部に入部して欲しいからだ。

 本人はあまり気乗りしていないが、「それでも」と、俺は多少強引に彼女を屋上に続く扉の前まで連れてきた。

 ノブに手をかけるが、回さない。

 代わりに、不安そうな顔をした善子が振り向く。

「大丈夫だ」

 俺は傍まで歩み寄り、善子の手に自分の手を重ねる。そして二人でその扉を開いた。

「っ!?どうして……?」

 驚きの声をあげる善子。

 それもそのはず。そこにいた千歌達は、あの日PVの撮影で使用した衣装を身に纏っていたからだ。

 ダイヤにあんなに厳しく言われたのに、千歌達はその衣装を手放さなかった。

 それは、“堕天使ヨハネ”を“津島善子”の個性として、彼女達なりに受け止めていた事実に他ならない。

 

「ねえ、善子ちゃん」

 

 言葉を紡ぎ始めたのは、今回の出来事で最も責任を感じていた千歌だ。

 昨日は、気を失ったままの善子を家に連れて帰り、その場で解散。

 俺は、千歌と今回のことについて話し合った。

 善子がスマッシュになった理由を。

「わたしね、考えたんだ。わたしの憧れ……μ'sがどうして伝説を創れたのか……。どうしてスクールアイドルがそこまでつながってきたのか……。考えてみて分かったんだ。ステージの上で、自分の隙を迷わずお客さんに見せることなんだよ。お客さんにどう思われるか、人気がどうとかじゃない。自分が一番好きな姿を……輝いてる姿を見せることなんだよ!だから善子ちゃんは捨てちゃダメなんだよ!自分が堕天使を好きな限り!」

 そう語りかける千歌の瞳には、もう“迷い”なんてものは微塵も感じられなかった。

 そこにいたのは、ただひたすらに輝きを求める一人の少女、高海千歌。

 千歌は、善子に屈託のない笑顔を向ける。

「……色々変なことを言うわよ」

「良いよ」

「時々、儀式とかもするかも」

「そのくらい我慢するわ」

 一つ一つ、曜や梨子達に確認していく。

 まだ怯えているからだ。また、自分は拒絶されてしまうのではないかと。

「リトルデーモンになれって言うかもしれない!」

「それは……でも、嫌だったら嫌だって言う!だから……」

 けれど千歌達は、“津島善子”という一人の人間の全てを受け入れた。

 彼女の好きもひっくるめてまるごと。

 

 こうしてスクールアイドル部は、津島善子という八人目のメンバーを加え、活動を新たにすることになった。

 

 

 

 その一方で……。

「鞠莉さん!あのメールはどういうことですの!?」

 単身、理事長室に乗り込んだダイヤ。

 その表情からは、焦りや困惑などといった負の感情が、彼女の中で渦巻いているのが見て取れる。

「どういうって、書いてある通りデース……」

「そんな……」

 ダイヤの問いに答える鞠莉。彼女の声も、いつものようなマイペースな声色ではなく、どこか気落ちしてしまっている。

 

 ダイヤは原因はただ一つともかく、あの鞠莉までもがこのようになっている原因。

 それは、この浦の星学院に下された一つの審判だった──。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 日本某所。

 

「スターク!!」

 

 ナイトローグはガーディアン達を蹴散らし、赤いコブラの怪人──ブラッドスタークにトランスチームガンの銃口を向けて迫る。

「随分と遅かったじゃないか、ローグ。中々面白かっただろう?自我を持ったスマッシュ──“ハードスマッシュ”と仮面ライダーの戦いは」

 ブラッドスタークは、銃などまるで眼中に無く、資料データを淡々と彼女に見せつける。

「あの学校の人達は利用しない、そう約束したのを忘れたわけじゃないだろう!」

「そうだったか?そいつは悪いことをしたな。素質のある奴がいたもんでつい……。ま、今回の件は悪かったな。次からは気を付けるよ。だから、お前も頑張って働いてくれよ?ローグ」

「……く」

 ナイトローグは悔しげな声を漏らし、銃を下げる。

 突きつけられた銃が降りると、ブラッドスタークはほくそ笑む。

 

 その傍らには、戦兎が持ち合わせていない残りのフルボトルと政府から奪取されたパンドラボックスが並べられていた。

 

 




戦兎)映画が良かったのは分かったから。後で俺達で聞いてやるから、早く予告と次回の原稿をだな……。
作者)はあ……わたしはこの切なさをどこにぶつけたらいいんだ……。
戦兎)いや原稿にぶつけろよ。
果南)大変そうだね、戦兎。
戦兎)大変なんてもんじゃねぇよ……コイツ隙あらばネタバレしようとしやがるんだから……。
作者)は!果南ちゃん……(இ௰இ`。)ブワッ
果南)え!?ええええ!?ど、どうしたの!?
作者)うわあああああん!!果南ちゃあああああ…ゴフゥッ!!……
戦兎)分かった、もう良い。
果南)あ、ありがとう戦兎。……この人大丈夫?
戦兎)心配ない。あとで机に縛り付けて続きを書かせとく。
果南)それ大丈夫じゃないんじゃ……。
戦兎)次回「第10話 最悪のリユニオン」
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