つい先日の初陣から必要性を感じた家臣を手に入れるためにいくつかの村を回る。
そしてその村々で、家臣を募った。
いくつかの村では見覚えのある顔もあった。
「姫様!姫様、お久しゅうございます!」
「善助!?久しぶりね!」
成長したが見覚えのある顔が、私に声をかける。
円満師匠の私塾に行くことのなくなった頃から会うことはなくなっていた善助に、懐かしさを覚える。
「姫様は武士になったと円満師匠が言っておられていました!」
善助は私の手を取り、懐かしそうにそういう。
その手はゴツゴツとしていて、いやでも弟分の成長を感じさせる。
「姫様は家臣を求めているのですか?」
私が家臣を求めることを書かれた看板に目を移し、善助はそう尋ねる。
「えっ?えぇ、そうよ」
それを私は肯定する。
善助は目を伏せながら手を離す。
「・・・農民や、放浪の民でも?」
悔しさを思わせる声色に怪訝の色を私は表しながらも、その問いに答える。
「そうね。 実力が伴うのならば、出自はそこまで伴わないわ」
「であれば俺はあなたに仕えることはできますか?」
善助は私の返答に喜びの光を見いだすように、少し目に光りがともる。
そして、善助はそうですかとほっとしたように答える。
「・・・では姫様、俺を、いや私わたくしを臣下に加えて頂けますか?」
善助はそう言いながら膝を折り、手をつき・・・頭を地につける。
「あっ、ちょっ!」
私がそう言い切る前に、善助は所謂『土下座』という物をする。
「頭を上げてよ善助!」
そう言って善助の腕を善助ごと持ち上げ、無理矢理土下座状態を解除させる。
「では、俺を臣下に加えて頂けるのですか?」
不安げな瞳を私に向けながら善助は尋ねる。
その不安を携える瞳は、石合戦の助言をもらおうとしたときと同様で、やはり善助も変わっていない部分があるのだということを実感した。
ならば、善助を石合戦の勝利を報告しに来るときと同じような瞳にするにはどうすればよいのか・・・それは考えなくてもわかることだった。
「勿論です。 善助がいれば百人力に違いないでしょうから」
私がそういえば、やはり善助の目は勝利の報告をしに来た時と同じように瞳を輝かせた。
「それとも、善助はそう思っていないのですか?」
少しイタズラっぽくそう尋ねれば、善助は少し喰い気味に答えた。
「いえ! 百人力どころか千人力ですよ!」
爛々と輝く希望をともす善助の瞳はさらに輝いていた。
城下町に移り住む気満々な善助は、荷物をまとめると言っていくつかの家屋がある方へ走っていった。
私はそれを見送ると、案内役用に一人護衛をその場に残し、次の村へと移動した。
いくつかの村で腕の立つ者を集め、家臣とした数日後。
城下町にほとんどの家臣は移り住んだ。
その移り住んだ家臣全員を城に呼び出し、一人一人に一冊の冊子を配る
その冊子は、いくら武辺者だとか勇猛果敢だとして、力が強くとも頭が弱くて戦に負けてしまうのを防ぐための、軍学や算術などを教えるのも含んだ家臣を育てる育成計画の計画書だ。
武芸に優れていると聞いてスカウトした母里 太兵衛もり たへえや円満師匠の私塾を抜けた後にまともに勉強をしていなかったと想像できる善助らは苦い顔をしたが、気にせず説明をしていく。
げんなりとしていく家臣たちに教えを諭していきながらも日は進む。
勉強はいやだとか戦いくさはまだかと騒ぐ子らには少しのお仕置きをしながらも、育成は進んでいった。