誤字脱字に気をつけながら、面白くなるよう書きたいと思います。
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初ログインから現実時間で3週間。デンドロ(インフィニットデンドログラムの略)時間で2ヶ月ほど経過した。
その間に、俺は効率の良い戦闘方法を模索していた。【戦士】のジョブを最大まで上げたあと、次のジョブを何にするか考えていたのだ。
『適職診断カタログ』なるアイテムで、自分にあったジョブを探してもみた。その結果は、TYPE:ガードナーだけあって【
しかし、よく考えて欲しい。俺の<エンブリオ>のステータスはHPだけが10でその他のステータスが1なのだ。【従魔師】系統のジョブで、ステータスを底上げしても精々HPが2,3上がるだけで、他のステータスは変化しない可能性が高いのだ。そんな無駄なジョブにつく必要性はないだろう。
結局、俺が2番目のジョブに選んだのは【
俺はこのスキルの存在を先に【盗賊】に就いていた<マスター>から聞いた時に、ピン!っときた。そして、即座に【盗賊】に決めた。
俺が【戦士】として戦闘している時に分かったことがある。モンスターのレベルが上がってくると、俺の<エンブリオ>は気付かれなくとも、本体の俺が気付かれて普通に戦闘になることが多いということだ。
そして、ステータス補正のない<エンブリオ>のせいで、俺のステータスは同レベルの<マスター>と比べて劣っている。その為に正面からの戦闘となると苦戦してしまうことがあるのだ。
そういった経験があったので俺は《気配隠蔽》を持つ【盗賊】を2つ目のジョブに選んだ。
【盗賊】となった後の俺の戦闘効率は上がった。【戦士】と比べて強いモンスターでも気付かれにくくなった。《気配隠蔽》でモンスターに近づき、<エンブリオ>で気付かれずに状態異常にする。毒になると放置してHPを削ってから倒す。麻痺になったなら、市場で新しく購入した剣で、心臓を刺すか首を切り落とす。ほとんど抵抗されることなくモンスターを殺す為、戦闘しているというより狩りをしているといった方が良いだろう。
この戦法には問題点もある。
毒状態になったモンスターを放置して弱らせる戦法をしていると、他の<マスター>にとどめを持っていかれて、ドロップアイテムが得られないという事件が起きた。
それから俺はほとんどソロ専門となり、人のいない場所へと狩りに行くようになった。
人のいない場所というのは、強いモンスターがいることが多かった。しかし、俺は《気配隠蔽》と<エンブリオ>のコンボで気付かれることなく、状態異常にして、優位に立てるので問題は無かった。
今現在の俺のジョブは【
そして、<エンブリオ>は第3形態にまで進化した。進化しても、ステータスは一切変化がなかった。その代わりに《蝿の群隊》のレベルが上がった。消費SPは変わらなかったが、最大展開数が1万体にまでなり、同時召喚数も100体にまで増えたのだ。
ステータスに関しては上がって欲しいとも思わなかったので、何とも思わなかった。それよりも召喚数が増えたのが有難い。そのおかげで、さらに狩りの効率が上がったのは言うまでもないだろう。もちろん、リル稼ぎの効率も上がった。
溜まったリルを使い、俺は剣を予備も含めて2本。防具と新しい耐熱外套も買い直していた。
そして今、俺はある商人達の護衛クエストを受けている。
その商人達は、商業都市コルタナから賭博都市ヘルマイネへ向かうつもりであり、その道中の側に【
移動時間は約2日間である。途中何回かオアシスで休憩する予定でその分少し遅くなってしまうそうだが、現実時間で16時間ならギリギリ耐えられる。
俺にとってもこのクエストは都合がよかった。ガードナーにとって、かなり重要な
◇◆◇
移動初日は順調だった、問題が起きたのは2日目の朝だ。
「これでとどめだっ」
『GVULUUUUUUUAAAAAAA』
ザシュッと音を立てて剣が【亜竜甲蟲】のクワガタのような顎がある頭に刺さる。そう、危険視されていた【亜竜甲蟲】が出たのだ。
全長30メートルほどありそうな、表皮を爬虫類のような鱗で覆われている巨大なムカデが、断末魔を上げながら光となって消えていく。最後に残るのはドロップアイテムのみ。この光景だけは何度見てもゲームだなと感じる。ドロップアイテムを回収していると
「流石ですね。亜竜級も楽勝ですか」
「そう言うお前の方こそ圧勝じゃないか。強すぎるだろ」
「まあ、そこそこには強いと思いますよ」
「謙遜言いやがって」
俺は悪態をつきながらも目の前にいる男を見る。そいつはターバンに耐熱用のゆったりとした衣服を着込んでいるアラビア風の男だった。名はファトゥム。【
ファトゥムの後ろには《アーススピア》という地属性魔法で地面から2メテルほどの槍を生み出すスキルで、身体中を串刺しにされている
実際のところ、<マスター>のなかではモスカも強い部類に入る。いや、酷いと言うべきか。【亜竜甲蟲】は表皮が硬い。その為【魔蝿群 ベルゼブブ】はダメージを与えられず、かといって表皮の上から攻撃していては状態異常にもなりにくい。
そこで考えついたのが、素早く移動して【亜竜甲蟲】の注意を引きつけながら、剣で表皮に傷をつけて、その中へと<エンブリオ>を侵入させることで状態異常にさせる戦法だった。この戦法を考えついたおかげで、ENDの高い相手でも状態異常にして狩ることが出来るようになっていた。
「まあいいじゃありませんか、私達はいい護衛に会えたと嬉しいですよ!」
「そうだぜ。ティアンの並みの上級職2人じゃあ、こうはいかねぇ。モスカもいい腕してるぜ」
横から声を掛けてきたのはファトゥムと同じようなゆったりとした服を着た2人組みの男女。黒髪に褐色の肌をした20台前半ごろの女性と、同じく黒髪に褐色肌の40台ごろの巨漢の男性だ。女性の方は【
俺達は<マスター>2人とこの親子、後5人の【商人】がおり、合計9人の商隊として進んでいた。商人の人数が少ないのは、砂漠超えがそれ程しんどいということだ。戦闘職のジョブに就いているならともかく。【商人】で砂漠を越えようと思うなら、戦闘職の人間を雇う必要があら。幸い、アイテムボックスのおかげで、荷物は少なくて済むので、こうやって少人数の護衛でも移動できるのだ。
「まあ褒められるのは悪い気分しないな。それで、そろそろ商隊は移動できそうなのか?」
「ああ、2人のおかげで全員無傷だしな。いつでも行けるようになっている。しかし…」
【亜竜甲蟲】の出現によって商隊は足止めを食らっていたのだが、それは俺達が倒した。しかし、商隊は移動できるというのにドルメルは思案顔で何かを考えている。
「何か問題でも?」
「何か、あるんだったら早めに相談してくれよ」
ファトゥム、俺の順番で質問する。
「いや、この辺りはまだ【亜竜甲蟲】の生息地帯ではなかったはずだが、少しテリトリーが広がったのかと思ってな。本来なら【亜竜甲蟲】の生息地帯の避けて接触せずにすむ予定だったんだがな」
「確かに変だよな」
その話はクエストを受ける前に聞いてた。わざわざ危険なところを通るつもりはないと。そう考えると今回の遭遇は偶然とは思えない。何か理由があるのだろうか?
「迷い込んだだけじゃないのか?」
「まあ、確かにこの辺は生息地域から近いからな」
「いや、それでも生息地域外には違いないだろう?」
他の商人達も口々に自分の意見を話し合っている。
「まあ、とにかく早めに抜けてヘルマイネへ行こう。テリトリーが広がったのかは、都市へ着いてから考えればいい。幸い、ここからヘルマイネはそう遠くない。オアシスに寄り道せずに急いで行けば5時間ほどで到着できるはずだ」
「それもそうね、お父さん」
「ええ、そうですね。理由を考えるのは後回しでいいでしょう」
ドルメルの言葉にリリアナとファトゥムが追従する。俺も、それもそうだなと思い、気を切り替えた。安全な道とは言えなくなったのだから、立ち止まるのが1番危険である。
それから俺達は、何か嫌な予感を感じながらも、ヘルマイネへの旅路を急いだのだった。
◇◆◇
それは、感じていた。自分の配下が殺されたのを。
それは、聞いていた。自分の配下の断末魔が地面に響くのを。
そして、求めていた。自分の配下を殺せる者を。
新しい餌がいる。ここらの餌では足りない。配下より弱い餌など食べても意味がない。
それは、より強い者を。自分の糧となるべき者を探していた。
そして、動き出した。自分の配下を殺したであろう獲物の足音がする方向へと。
ここで、ファトゥムさんが登場です。そしていよいよ、例のアレが出現です。次回更新をお待ちください。
現時点でのエンブリオの詳細を載せておきます。
【魔蝿群 ベルゼブブ】TYPE:ガードナー
第3形態
HP10。その他1。
スキル
《蝿の群隊》LV3(アクティブスキル)
1SP=1体召喚。最大展開数1万。同時召喚数100。
《ポイズンアタック》LV3(パッシブスキル)
攻撃時、確率で毒状態にする。確率2%
《パラライズアタック》LV3(パッシブスキル)
攻撃時、確率で麻痺状態にする。確率1%
となっております。ちなみに確率は抵抗力が高いほど下がります。あくまで目安だと思ってください。まあ某有名スマホ英雄ゲームも、課金いっぱいしたら星5当たりますし(震え)