群体最強の超級譚   作:北山 真

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大学の課題やバイトで忙しくて更新が遅れました。
第2章スタートです。


第2章<上級>編
第1話


 □【■■】ディアボロ・モスカ

 

「ようやく、コルタナに帰ってこれたな」

 

 俺は久し振りに訪れたコルタナの市場を見ながら息を吐く。

 約1年間は帰ってきていなかったので、かなり懐かしい。

 そう、俺は<Infinite Dendrogram>内時間で約1年もの間、色々な国を回った。

 理由は自分に合ったジョブにつく為だ。

 カルディナではつけないジョブの為に色々な国を回った。

 ジョブにはその国独自のものがあり、天地の【武士(サムライ)】や【忍者(ニンジャ)】などが、その最たる例である。

 俺は【潜撃蟲竜 サンドレイダー】との戦闘を経て、戦闘力のなさを痛感してた。あの時、俺は囮になることしか出来ていない。状態異常は付与したが、あれがなくとも残りの3人で、勝てていただろう。

 そういう理由でジョブを考察していた時《ガードナー獣戦士論》という理論を聞いた。

 しかし、肝心の【獣戦士】は使()()()()ジョブだった。

 巷では《ガードナー獣戦士論》が最強だとか言われているが、実際のところは違う。

 より正確に言うのなら()()()()()()()獣戦士論》である。

 俺の<エンブリオ>ようなTYPEレギオンと呼ばれるものは適用範囲外なのだ。

 それを【獣戦士】について始めの数秒で理解した。

【獣戦士】の唯一の固有スキル《獣心憑依》はスキルレベルに応じて、従属キャパシティ内のモンスター()()の元々のステータスを得る、なのだ。

 もう分かってくれただろう。

 俺の<エンブリオ>の総ステータスはなかなかのものだ、それを自身のステータスに加えられたらかなり強いと考えていたのだが、あてが外れた。

 そう考えて、下級ジョブをいくつか取りながら、地道に狩りを続けていると俺の<エンブリオ>が進化した。

 第4形態になった俺の<エンブリオ>の詳細はこうなったいた…

 

【死蝿群 ベルゼブブ】

 TYPE:レギオン

 到達形態:Ⅳ

 ステータス補正:なし

 

 HP:417

 MP:4

 SP:4

 STR:4

 END:4

 DEX:4

 AGI:4

 LUC:4

 

『保有スキル』

 《蝿王群隊(フライ・アーミー)》LV5:アクティブスキル

 マスターのSPを消費することで【死蝿群 ベルゼブブ】を呼び出すスキル。

 1SPにつき1体召喚可能。

 最大展開可能数10,000体。

 同時召喚可能数1,000体。

 クールタイム10秒。

 

 《死を運ぶ蝿(デス・キャリー)》:パッシブスキル

 生物に接触中、確率で病毒系統、制限系統の状態異常を付与する。

 かかる状態異常は毒、猛毒、酩酊、食中毒、風邪、麻痺、拘束、脱力。

 

 《格納(ストレージ)》:パッシブスキル

 《蝿王群隊》で出した【死蝿群 ベルゼブブ】を左手の<エンブリオ>に格納しておけるスキル。

 

 となっていた。

 

 ここで、蝿同士の合体スキルなどが作られれば【獣戦士】もジョブの選択肢に入っただろうが、残念ながらそのようなスキルは生まれなかった。

 第4形態になり蝿のステータスと状態異常効果が強化され、スキルが1つ増えた。

 蝿のステータスは、どうやらHPがジョブの合計レベルで、それ以外がジョブの合計レベル÷100になっているようだ。

 状態異常の方は攻撃する必要もなく、接触しているだけで状態異常に出来て、状態異常の種類も増えた。しかし、かなりの確率でレジストされる。

 体感だと100体が1分ぐらい接触していると純竜級のモンスターも状態異常にかかるぐらいだ。

 《格納》は街中などで蝿を格納して貯めておき、戦闘時に大量展開するという行動が取れるようになっていた。これで戦闘中に一々召喚する必要がなくなったのでありがたい。

 だが結局、ステータスはHP以外はほぼ変わらず、状態異常も即効性がないという点は第1形態からほとんど変わっていない。

 

 こんな俺の<エンブリオ>に合うジョブを探した結果、俺のジョブはこうなった。

 

 

 ディアボロ・モスカ

 レベル : 67(合計レベル : 417)

 職業: 【剣豪(ケンゴウ)

 

 HP:10324

 MP:1024

 SP :5127

 

 STR:4059

 END:1876

 DEX:1096

 AGI:4456

 LUC:38

 

 サブジョブ

武士(サムライ)】【剣士(ソードマン)】【大盗賊(グレイト・バンディッド)】【盗賊(バンディッド)】【戦士(ファイター)】【斥候(スカウト)

 

 となっている。

【剣豪】というジョブは【武士】系統派生の【剣士】との複合上級職だ。

 このジョブを選んだ理由は《剣速通し》というスキルにある。

 このスキルは東方の剣術系統のスキルで、自分の攻撃に相手が防御できなかった時に自身のAGIの10%×スキルレベルをかけた値だけ相手のENDを下げる効果がある。

 俺のスキルレベルは5なので、約2200ものENDを減少できる。

 このスキルは状態異常で弱らせながら戦う俺の戦闘スタイルとあっている。

 さらに、普通の前衛戦闘職としても戦えるので、以前のような状態異常になるまで隠れている必要もなくなった。

 だから次は【盗賊】のジョブを何に変えようか悩んでいる。しかし、天地にも他に良いジョブはなさそうだったのでコルタナに帰って来てジョブとついでに装備を新調しようとしているところなのだ。

 武器は天地にいる時に【オリハルコン】の大太刀を買ったのでそれで十分なのだが、その他の装備はコルタナのような商業都市で購入する方が掘り出し物があると思い買わなかった。しかし…

 

「あんまり良いものないなぁ」

 

 コルタナでもあまり良いものは置いてない。いや、性能が高いものは置いてあるのだが、かなりの高額なのだ。欲しいと思ったものが1億リルとか2億リルしている。

 最悪それを買うだけの金はドロップ報酬で賄えるが、今の全財産は2千万と少し。全く足りない。

 

「はぁ、掘り出し物もないし。素材集めてオーダーメイドの方が安いかもな」

 

 素材を集めて生産職特化の人間に頼む方が安上がりなので、それなら良いのが出来るかもと考えながら歩いていたが、何やら騒いでいる集団を見つけて立ち止まった。

 

「あれは…まさか」

 

 その集団の中心にあったものは【ガチャ】だった。

 

 

 

 ◇◆◇

 

「…ってところだ」

「分かった、ありがとうな」

「良いってことよ」

 

 俺は騒いでいる集団の中の1人にガチャの仕様を教えてもらっていた。

 ガチャの仕様はこうだった。

 1.このガチャが置かれているエメラルダ商会の商品を購入している人に限りガチャが出来る。

 2.1回につき100リルから10万リルまで入れられる。

 3.商品は入れた金額の1/100から100倍以上の価値の商品が出てくる。それぞれF〜Sのランクがあり、Fランクが1/100。Cランクで等倍。Sランクが100倍以上の価値となっている。

 下手にオーダーメイドの商品を作るよりも男らしくガチャに金を使った方がいい。俺はそんな使命感を持ちながらエメラルダ商会の商品を買いに行った。

 

 

 ◇◆◇

 

 

「やばい…爆死はしてる…」

 

 俺はとりあえず9回のガチャを引いていた。

 結果は

 1回目C【墓標迷宮探索許可証】

 4回目D【劣化万能霊薬(レッサーエリクシル)

 5回目C【ミスリル】

 8回目B【ストームフェイス】

 

 かなり負け込んでいる。他の結果は?だと…聞いてくれるな。

 

「頼む、そろそろS出てくれ!」

 

 俺は祈りながら10万リルを捧げて

 

「きたぁぁぁぁっ!」

「「「「おおおぉぉぉぉぉ!!!」」」」

 

  俺が10回目にSを出した。店の中に移動して、アイテムを出す場所を貸してもらった。

 その中身は【ハイエンド・ブレイズ・アーマー】という鎧だった。

 基本的には革鎧のようだった。

 赤色の皮や鱗、恐らくは火属性の純竜の素材をふんだんに使用されている革の部分の上に、【アダマンタイト】と思われる金属の重厚な胸当て、手甲、脛当てが取り付けられている。兜はないが、首から下は全てカバーしている。

 

 装備を鑑定してみるとこうなっていた

 

HVA(ハイエンド・ブレイズ・アーマー)

 防御力+500

『保有スキル』

 《火炎耐性》LV8:パッシブスキル

 火属性攻撃の被ダメージが45%減少される。

 《HP増大》LV3:パッシブスキル

 HPを30%増加させる。

 《熱量耐性》:パッシブスキル

 熱量の変化で装備が壊れにくくなる。装備者が熱を感じにくくなる。

 《破損耐性》:パッシブスキル

 装備が壊れにくくなる。

 

匠神(ザ・クラフト)】作

 

 となっていた。

 

「なるほどな、【匠神】の作品ならこれほどの物が出来るか」

 

【匠神】は生産スキル特化の超級職で、生産職のトップと言っても過言ではないジョブだ。それほどのジョブが作ったのなら、これぐらいの装備が出来上がってもおかしくない。そう思いながら【HVA】を着て、店の外に出る。もう一度ガチャを引こうか考えていると男性に声を掛けられた。

 

「すみません、ちょっと良いですか?」

 

 親切に声を掛けられ、声を掛けてきた男を見る。

 声を掛けてきたのは黒髪のパーマでメガネをかけた30代ぐらいの男性だった。白色のシャツに三日月の目のようなマークをつけている。このマークは【月世の会】という宗教団体のマークで、このゲームの中にもアルター王国にクランがある。つまり…

 

「アルター王国の【月世の会】のメンバーが俺に何か用か?」

「いえ、今回は声かけたさせてもらったのは、クラン絡みの用事じゃないんです」

 

 男性はそう問いかけるが、それ以外の内容と聞くと余計に意味が分からない。

 

「あなた、警戒されてるじゃない」

「まあ、このシンボル知ってる人は大抵警戒しますよね…」

 

 男性の後ろから女性が声を掛けてきた。

 ウェーブのかかったショートの金髪の褐色肌の女性だった。下半身は蛇皮のズボンで隠れているが、上半身は胸しか隠れていないため、かなりの大きさを誇る胸が強調されている。

 チラリと左手を見ると男性は下半身は蛇、上半身は女性のマークがあったが、女性の方にはマークがない。恐らくは男性が<マスター>で女性がメイデンの<エンブリオ>なのだろう。

 そう結論づけて、俺はションボリしている男性に話しかける。

 

「それで何の用なんだ?」

 

 俺は少しだけ警戒を緩めながら要件を聞いた

 

「あなたはUBM退治に興味ないですか?」

 

 返ってきた発言はとんでもない爆弾発言だった。

 

 

 ◇◆◇

 

 

 詳しく話を聞かなければUBMに挑むのは無謀なので、詳しい情報を聞くために俺達は3人で喫茶店へと入っていた。

 

「とりあえず自己紹介からしましょうか。僕は藤堂一(トウドウハジメ)。ハジメって呼んで下さい。今のジョブは【教授(プロフェッサー)】。それで彼女は…」

「私はこの人の<エンブリオ>のエキドナ。タイプはメイデンwithフォートレス・ガーディアン」

「俺はディアボロ・モスカ。呼び方は適当でいいよ。ジョブは【剣豪】で、<エンブリオ>のタイプはレギオンだ」

 

 とりあえずの自己紹介を終えて、本題に入る。

 

「それで、UBMについて詳しい説明をしてもらわないと、討伐に参加するとは言えないんだが…」

「まず、UBMの名前は【超炎新星 スペルノヴァ】って言います。1週間ぐらい前からアルター王国との間で見かけるようになりました。」

「【超炎新星 スペルノヴァ】か、聞いたことない名だな。どんな奴なんだ?」

「見た目は直径2m程の球体に、羽のような物が4枚ついているようよ」

 

 名前はともかく、球体のモンスターって、強いのかそれ?UBMになるぐらいだから強いのだろうが…

 

「能力は?」

「討伐に行って返り討ちにあったマスターの話では、強力な火属性魔法を使うらしいです。体に高温の炎を纏っていて近づけないようですね」

「近づけない?それほどなのか?」

「ええ、AGIは早くないようですが、END特化職が近づけて5mほどで、遠距離攻撃も届くまでに燃え尽きるらしいです」

「そういうタイプだと、俺は戦力になれないと思うぞ、俺自身近接職で<エンブリオ>もレギオンだからな。近く前に全部燃えてしまう」

 

 正直、どうやっても俺では勝てないと思う。

 

「大丈夫だと思いますよ。その鎧もありますし」

「いや、END職でも近づけないならばこの鎧でも無理だろう」

 

 いくら【HVA】が火耐性特化の鎧だといえ、END職でも近づけないなら無理だと思う。そもそも大太刀とか他の装備は燃え尽きそうだし。

 

「いえ、近く為の作戦はあります。しかし、ここからは僕の能力の詳細を語ることになるので、討伐を手伝うかどうかを先に聞きたいです」

「その前に2つほど質問してもいいかな?」

「ええ、どうぞ」

 

 能力を教えてもらえないのは仕方ない。敵対する可能性がないとは言えないからな。

 それよりも、討伐に参加するかを決める前に聞きたいことがあった。

 

「どうして俺を選んだんだ?俺以外でも声を掛けたらくる奴はいるだろうに」

 

 それが気になっていた。UBMの特典武具は強力なのが多い。下手をしたら<エンブリオ>よりも強いものまである始末だ。それほど強力なものを欲しがらない奴はいない。俺以外でもいくらでもいるぱずだが、一は俺を選んだ。その理由が聞きたかった。

 

「まず、戦闘力があることが目をつけた理由です。背負っている大太刀に、100万リルもガチャに使う余裕がある。そこからかなり戦闘力があると推察して、目を付けていました」

「なるほどな」

 

 戦闘力か。確かにUBM討伐には必須のものだ。

 

「次に、ガチャからその鎧が出たことです。失礼ですが、鑑定させてもらいスキルを見ました。そこまでの火耐性特化の鎧はそうは見ません」

「確かにUBMの情報を考えると、この装備はうってつけだろうな」

 

 よくこのタイミングでガチャから出てくれた。まるで、神様がUBM討伐に参加しろと言っているみたいだな。

 

「最後に彼女が選びました」

「私は人の善悪が大体わかるの。スキルではないけれど、女の勘ってやつかしらね。あなたが善人だと思ったからよ」

「それは…まあ何というか…」

 

 呆れて言葉が出ない。前2つの理由は分かるが、最後の勘はよく分からない。

 

「2つ目の質問だ。何であんた達がUBMを討伐する必要がある?特典武具目当てなら1人で討伐に行くだろう?」

 

 2つ目に気になっていたのがこれだった。

 この2人はUBM討伐の為に人を探していた。特典武具の為なら1人で行く方が良いだろう。作戦もあるみたいだし、無理をしたら討伐できるかもしれない。

 仲間を探す理由が聞きたかった。

 

「簡単な話ですよ。UBMがアルター王国との間にいる。アルター王国へと変える(帰る)つもりなので道中戦いになりそう。だから、少しでも勝率を上げる為に仲間を集めているだけです」

「本当にそれだけか?」

 

 俺にはそれだけのようには思えなかった。それだけの理由なら、しばらく待つか、遠回りすれば帰れるだろう。

 一が悲しそうな顔をしながら、俺に本当の理由を話してくれた。

 

「…知り合いのティアンが何人か襲われて死んだんです。だから、倒して供養してあげたい」

「そういう理由か…」

 

 気になっていたことは2つとも聞けた。

 聞いた結果、俺の答えも決まった。

 

「話してくれてありがとう。理由はよく分かった。俺で良ければ協力させてくれ」

 

 この2人の話の中に、嘘をついている様子はなかった。信用できる2人だと思う。そう思い、討伐に協力することを宣言した。

 

「こちらこそ、ありがとうございますっ!」

「ありがとうね」

 

 2人からお礼を言われる。悪くない気分だ。

 

「じゃあさっきの作戦とやらを聞かせてくれ。勝算があるんだろう?」

 

 少し頬が緩んでしまったので、隠すようにニヤリと笑って作戦を聞く。

 

「ああ、作戦はね、僕が……」

 

 作戦の内容を伝えられる。

 

「なるほどな。十分に勝算がありそうだ。それで、いつ決行する?」

「そうですね。早い方が良いので、今夜はどうですか?あ、もちろんデンドロ時間でです」

「ああ、それで行こう!改めてよろしく頼むよ」

「こちらこそよろしくお願いしますっ!」

「よろしくね」

 

 勝算はある。

 決行は今夜。

 俺達は力強い握手を交わして、決戦への決意を固めた。

 




この話を書いている最中に、シュウとゼクスの決戦が終了しましたね。すごいかっこよかったです。
あの話を読みながら、モスカ君が得る予定の超級職や、特典武具の能力を色々と考えていました。
こうご期待ということで、次回更新をお待ち下さい。

2019/8/21 【剣豪】を【武士】と【剣士】の複合上級職に変更しました。それに伴い【鑑定士】のジョブをサブジョブから削除しました。
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