【けものフレンズ】すとろんぐぜろ・ぱんでみっく 【二次創作】   作:はらだいこ

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サンドスターには食べ物の賞味期限を延ばす効果もあるので、ストロングゼロも問題なく飲めるはず。


第一話 禁断の味

暗闇の中、ツチノコの双眸が鬼火のように妖しく光る。ここはジャパリパーク内遊園地の地下倉庫。”異変”の影響か、ダンボールが散乱して、足の踏み場もないが保存状態はよく、ツチノコの期待通りの状況といえる。

 

「これはヒトの飲食物か?保存食ならまだ食べられるものがあるかもしれないなぁ」

 

 巨大セルリアンを撃退して数日。戦勝とかばんの無事を祝うためのパーティーのために、フレンズたちは準備に奔走していた。体力バカのアライグマやフェネックのコンビはジャパリバスのタイヤ探しをしているらしいが、ツチノコは宝物探しに一家言ある。かばんが作ったというカレーなる料理が提供されると聞いて、ジャパリまんしかしらないフレンズは大いに盛り上がっているが、ツチノコはさらなるインパクトでみんなをあっと言わせたかった。

 

「さぁて、腕がなるなぁ」

 

 人間であれば文字通り一寸先も見えない真っ暗闇の中でも、ツチノコは自慢の一本下駄で器用に足の踏み場もないダンボールの山を踏み越えて、次々と目ぼしいダンボールを改めていく。ツチノコ由来のピット器官で赤外線を感知できるため、懐中電灯いらずである。

 

「これはガスで膨らんでるな、ダメと、ん?これはなんだ」

 

 ツチノコが手に取ったのは、表面に果実が描かれた銀色の円筒。ほかのフレンズなら頭を傾げるところを、ツチノコはそれが飲み物が入った缶飲料であると認識する。

 

「これはジュースかぁ?アルパカのお茶とタメが張れるかもしれん」

 

 人見知りではあるが、自分の発見でみんなを驚かせたいという願望は強いツチノコは、大物の予感とともにプルタブに指を掛けた。

 

 ぷしっ!

 

「ん?ガスが抜ける音?中で泡が立ってる。こりゃ炭酸ってやつか?」

 

 あくまで用心深く、自分の中にある知識と照らし合わせながら見極めていく。匂いを一嗅ぎした後、一口、飲んでみる

 

 ぐびっ!

 

「ぺっぺっ!うぇぇっ!なんだこりゃっ!舌がビリビリする。まずぅぅぅぅいっ!」

 

 新鮮そうな果物のイラストから甘いジュースを想像していたツチノコの予想は裏切られた。強炭酸が舌を刺し、人工甘味料の不自然な甘さと、スピリッツ由来の低質なアルコールが咽頭を焼き、思わず噎せる。

 

「ごほごほっ!ど、毒かこれは……て、あれぇ?」

 

 胃に不思議な熱が生じ、全身に広がっていく。頭がぽぉーっとして、訳もなく楽しくなる。

 

「……も、もう一口」

 

 ぐびっ!

 

 最初に飲んだ時ほどの抵抗は感じない。飲めるまずさとでも言おうか、なんだか癖になってくる。勢いで、もう一口呷る。

 

 ぐびっ!ぐびびっ!

 

「な、なんだこれはぁ、た、たまらん!」

 

 一口のつもりが二口、三口、ついには一本飲み乾してしまった。身体がポカポカと火照り、筋肉が解れて身体が軽くなる。スキップでもしたい気分だ。

 

「これなら……ひっく!みんな、よろこんれくれるぞぉ……」

 

 足元はふらふらとおぼつかず、暗くてジメジメした場所を好む習性ゆえに色白な顔も真っ赤に染まっている。いわゆる酔っぱらっているわけだが、流石のツチノコも自分の状態がなんであるかを形容する知識はない。

 

「歌でも歌うかぁ~~、雨が降りそなぁ~~ 山道でぇぇ、ばったり出あった~~」

 

 トキといい勝負な歌唱力のツチノコの陽気な歌声が暗い地下倉庫に木霊する。ツチノコが口にした缶飲料の名はストロングゼロ(ダブルレモン味)。低価格で二本も飲めばへべれけになれる高アルコールゆえに人々から愛されたチューハイである。酒の味を知ってしまったツチノコ。偉大な発見は皆に知らしめるのが探検家の責務。しかし、この”発見”がジャパリパークに一波乱巻き起こすことになることを、ツチノコはまだ知らない。

 

つづく

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