【けものフレンズ】すとろんぐぜろ・ぱんでみっく 【二次創作】   作:はらだいこ

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第六話 ポイ捨てからの酔っぱらい喧嘩

 鬱蒼とした熱帯雨林が生い茂るじゃんぐるちほー。数多くのフレンズが仲良く暮らす地の一角で険悪な空気が広がっていた。

 

「おい、ミナミコアリクイ!おまえ、あたしの縄張りに缶空、捨てただろ!」

「な、なんだとー!言いがかりだー!」

 

 牙を剥くタスマニアデビルに両手を上げて威嚇するミナミコアリクイ。きっかけは些細なことで迎え酒と言わんばかりに朝っぱらからストロングゼロ(シィ―クワーサー味)で飲んだくれていて千鳥足のタスマニアデビルがストロングゼロの空き缶につまずいてすっころんで拍子に後頭部をしたたかに地面に打ち付けた。つまづいたストロングゼロは隣の縄張りのミナミコアリクイが愛飲している桃ダブル味ではないか!これはミナミコアリクイのせいに違いないと獣時代からの気性の荒さで食って掛かったわけである。

 

「こ、このやろー!や、やるのかー!」

 

 拳を握りしめて頭上に掲げたものの、ミナミコアリクイの目には涙で潤んでいる。弱い犬ほどよく吠えるの典型で生来の臆病さゆえにすぐに威嚇する悪癖が冷静な話し合いの機会を奪ってしまっている。

 

「どうしたの?」

「えっ?なに!ケンカ?」

「たいへんだー」

 

 騒ぎを聞きつけ周囲から次々とフレンズが集まってきた。一触即発のピリピリした空気にフレンズたちが一歩引いて様子を見る。ケンカの発端の原因が分からないので仲裁の出方が分からない。

 

「う、うわぁぁぁっ!!」

 

 ことが予想を超えて大事になっていることに追い詰められたミナミコアリクイが唐突に暴発した。やけっぱちの雄叫びとともに両腕を滅茶苦茶に回転させてやみくもにタスマニアデビルに突っ込んでいく。

 

 ぽかぽかぽかぽかっ!

 

「うわぁぁっ!いたたっ!やめろぉっ!」

 

 ざしゅっ!

 

「のわーっ!」

 

 へっぽこグルグルパンチかと思いきや予想以上の攻撃力に面食らったタスマニアデビルは、一瞬、野生を解放した本気の爪の一撃で迎撃するとミナミコアリクイはまるで紙の人形のようにふっとんでしまった。

 

「だ、大丈夫!つい本気で!」

 

 フレンズの中ではどちらかといえば好戦的なタスマニアデビルとはいえ、本来なら格下相手に本気を出すはずはない。しかし、酔った勢いで力の加減ができなかった。

 

「きゅぅぅぅ~~」

 

 伸びてしまったミナミコアリクイを前にタスマニアデビルは半泣き。傍観していたフレンズもダウンしたミナミコアリクイを介抱するために近づいてきた。

 

「わ、わたし、どうしてこんなこと……」

 

 そもそもミナミコアリクイが缶を捨てた証拠なんてない。酔っていてかっと頭に血が上ってしまった。挙句に野生を解放までするなんて、どうかしている。フレンズとしてあるまじき行いにタスマニアデビルは公開に項垂れがくりと肩を落とした。

  

「はぁ、ストロングゼロが来てからこんなトラブルばかり……」

 

 じゃんぐるちほー生息のフレンズの中でもひときわ大柄なインドゾウは物憂げな目であたりを見渡して、深くため息をつく。

 

「こんなに散らかってたら誰だって転んじゃうわ……」

 

 そこら中にストロングゼロの空き缶が散乱し、美しいじゃんぐるちほーの景観は見る影もない。ジャパリマンの包装は自然分解されるので、およそゴミ問題などなかったジャパリパーク。フレンズたちはこの問題に対処しかねていた。

 

「あのかばんって子ならなんとかしてくれるんだろうけど……」

 

 今やジャパリパークで知らぬものはいない知恵者の存在に思いを馳せながら空を見上げると、二つの影が錐揉みしながら落下してくるのが見えた。

 

つづく


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