バカとテストと召喚獣 奏で繋ぐ物語   作:ソーナ

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バカテスト

問題:『一部の召喚獣に与えられる腕輪は何点以上取った生徒に与えられるでしょうか』


解答

吉井明久、姫宮恵衣菜、吉井零華、坂本雄二、霧島翔子

『単科目で400点、総合科目で4000点以上の生徒』


教師コメント

『正解です。あなた方五人は序列トップ5なのでその心配はありませんね。これからも頑張って下さい』


Fクラス生徒(一部除き)

『誰にでも与えられる!』


教師コメント

『問題文をキチンと読みましょう。あと、腕輪は誰にでも与えられるわけではありません。あなた方には後で特別補修を行うことにします』



第ⅩⅢ門 敗けられない戦い

~明久side~

 

『第6試合フィールドは物理です!それでは第6試合・・・・・試合開始(バトルスタート)!!』

 

「・・・・・・明久くんはどっちが勝つと思う?」

 

ルーム内のスクリーンを見ながら隣の恵衣菜が聞く。

 

「姫路さんには悪いけど、これは佐藤さんの勝ちだね」

 

「私も同じだね」

 

「零華が姫路さんに勝ちを与えるとは思えないからね」

 

「ええ。そうね」

 

スクリーンには姫路さんの召喚獣の攻撃を余裕をもって躱し攻撃を与える佐藤さんの召喚獣の姿が映っていた。

 

~明久side~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~零華side~

 

「美穂ちゃん、流石ね」

 

「・・・・・うん。美穂はやるときはやる女」

 

「翔子ちゃん、なんか違くないそれ?」

 

「・・・・・そう?」

 

「うん」

 

「そう言えば吉井さん、さっき佐藤さんに何を言ったんだい?」

 

「え、ああ。思いっきり、全力で叩き潰してきて、ってお願いしたんです」

 

「ぜ、全力で叩き潰してきてって・・・・・・」

 

「あー、久保くん。零華、明久くんの事になると回りに目が入らないのよ」

 

「そ、そうなんだ・・・・・なんか、前にもこんなやり取りがあったような・・・・・・」

 

「気のせいだと思うわよ」

 

「まあ、木下さんがそう言うなら・・・・・」

 

「そろそろ、決着が着きますね」

 

私はルーム内のスクリーンを見てそう言った。

すると次の瞬間。

 

試合終了(エンドオブバトル) 勝者 Aクラス佐藤美穂』

 

と画面に出た。

 

『試合終了~!第6試合、一方的な試合でしたね。解説の高橋先生はいかがでしたか?』

 

『そうですね、姫路さんは召喚獣を余り扱いなれてないような感じでした。それに対して佐藤さんは試召戦争回数が少ないにも関わらず見事な操作技術でした』

 

『なるほどー』

 

「やったね」

 

「・・・・・うん。じゃあ、行ってくる」

 

「次は坂本くんとの試合でしょ、頑張って翔子ちゃん」

 

「・・・・・うん」

 

翔子ちゃんはそう言うと静かにルームを出ていった。

 

~零華side out~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~明久side~

 

「それじゃあ、雄二。次は頼むよ!」

 

「ああ!相手はあの翔子だからな。全力でやってやる!」

 

「熱くなるのも構わぬが、それで空回りせぬようにな雄二よ」

 

「おうよ!んじゃ、いっちょ行ってくる」

 

雄二は張り切ってルームから出ていった。

僕たちは雄二を見送ると椅子に座り、スクリーンを見た。

 

 

『続いて第7試合!Aクラスからは第二学年序列第4位霧島翔子さん!Fクラスからは第二学年序列第5位坂本雄二くん!』

 

 

『・・・・・・雄二、全力でいく』

 

『俺もだ翔子。全力でいかせてもらうぜ!』

 

『それでは科目を選択してください』

 

『科目は日本史で頼む!』

 

『承認する!』

 

試獣召喚(サモン)!』

 

『・・・・・試獣召喚(サモン)

 

 

日本史

 

Fクラス 坂本雄二 526点

 

VS

 

Aクラス 霧島翔子 512点

 

 

『第7試合フィールドは日本史です!それでは第7試合・・・・・・試合開始(バトル・スタート)!!』

 

~明久side out~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~雄二side~

 

ついにここまで来た。俺は絶対に負けねぇ。

 

『第7試合フィールドは日本史です!それでは第7試合・・・・・・試合開始(バトル・スタート)!!』

 

「先手必勝!」

 

俺は召喚獣に指示を出し翔子の召喚獣に接近させた。

 

『坂本選手、開幕早々霧島選手に攻撃を仕掛けに出ました!』

 

『坂本くんの召喚獣は軽装備の為動きが速いですね。あっという間に霧島さんに近づきました』

 

「いくぜっ!」

 

俺の召喚獣の装備は意図してなったのか改造学生服にメリケンサックと、打撃戦と素早さに特化した召喚獣だった。対して翔子の召喚獣は軽装備の鎧と刀だ。

 

「くらえっ!」

 

「・・・・・!」

 

『霧島選手、坂本選手の右ストレートを刀でいなしました!』

 

「ちっ!やるじゃねぇか翔子!」

 

「・・・・・・当然。雄二と戦うなら本気でやるのは当たり前」

 

「言ってくれるぜ。じゃあ、開幕早々使わせてもらうぜ!」

 

俺は召喚獣を翔子の召喚獣から少し距離を取った。

 

「いくぜっ!『炎煌拳舞』!」

 

俺は自分の召喚獣に与えられた腕輪の能力を発動させた。

 

『坂本選手、いきなり腕輪を発動させたー!』

 

この腕輪の能力は『炎煌拳舞』と書いてある通り炎を自身の両手に付与し攻撃力を上げる腕輪だ。

 

『坂本選手の両手には炎のような煌めく燐光が現れています!』

 

『あの腕輪の能力は恐らく自身の攻撃力を上げる能力かと』

 

『なるほど・・・・・』

 

「・・・・・・雄二が使うなら私も・・・・・『氷蒼刀舞』発動!」

 

翔子が言うのと同時に翔子の召喚獣の刀に氷のような蒼い光が集まっていた。

 

『坂本選手に続いて霧島選手までもが腕輪を発動させました!』

 

「・・・・・行く」

 

「っ!? 」

 

俺は滑るかのようにして近づいて来た翔子の召喚獣に驚いた。

それと同時に回避行動をとった。

 

「あぶねぇ・・・・・」

 

「・・・・外れた」

 

翔子の召喚獣が切りつけた場所は微かに凍っていた。

 

「なるほどな、翔子の腕輪の能力は氷か」

 

「・・・・・あたり。雄二の腕輪の能力は炎、でしょ?」

 

「・・・・あたってるぜ」

 

「・・・・・当たって当然。私は雄二の妻だから。夫の事を詳しく知るのは当たり前」

 

「それを今ここで言うか!?て言うかまだ結婚してねぇだろうが!!?」

 

『・・・・・・・高椅先生』

 

『なんでしょう、新野さん?』

 

『今、妻や夫と言う単語が聞こえた気がするのですが』

 

『はい、聞こえましたね』

 

『痴話喧嘩でしょうか?』

 

『痴話喧嘩ですかね』

 

「うおーーぃ!ちょっと待てやそこの二人!何言ってんだ!?」

 

「・・・・・・/////(ポッ)痴話喧嘩」

 

「翔子も照れるな!」

 

俺は一人であちこちに突っ込んだためこの瞬間だけで疲れていた。

 

「ああーっ!もお!勝負に集中しろ!」

 

俺は照れている翔子にそう言う。

そうでも言わなければ俺自身が恥ずかしいからだ。

 

「・・・・・雄二の照れ隠し」

 

「違ぁぁーーーう!!」

 

『高椅先生、私帰って良いですか?』

 

『新野さん、帰らないでください』

 

「たっく、いいからやるぞ!」

 

「・・・・・わかった」

 

ガキンッ!

 

俺の召喚獣の拳と翔子の召喚獣の刀がぶつかる。

 

「ぜあっ!」

 

「・・・・・せいっ」

 

 

Fクラス 坂本雄二 403点

 

VS

 

Aクラス 霧島翔子 384点

 

 

「くっ・・・・・」

 

俺と翔子の点数の差はそんなに離れてない。だが、翔子ならすぐに俺を追い越す。ヤバイな。

 

「はあっ!」

 

俺の攻撃を翔子は見切ったかのように躱した。

 

「・・・・・雄二の動きはもう見切った」

 

「なら、これはどうだ!」

 

「・・・・・それもお見通し」

 

ガキンッ! キンッ!

 

翔子は俺の攻撃を見切りカウンターや振り抜き様に攻撃をしてくる。

 

「・・・・・やってみるか」

 

「・・・・・雄二?」

 

俺を見た翔子は怪訝そうな顔をして見てくる。

 

「いくぜっ!」

 

俺は再度、召喚獣を翔子の召喚獣に接近させた。

 

「・・・・・その動きはもう見切ってる」

 

「なら、これはどうだ!」

 

俺は攻撃をするのではなく翔子の視界から消え去った。

 

「・・・・・どこに?はっ!」

 

「後ろだぜ、翔子!」

 

そう消え去ったのではなく、物凄い速さで翔子の召喚獣の背後に回ったのだ。

正面に集中していた人間は急に消え去るとあちこちを探す。その間は無防備。俺はそれをついたのだ。

 

「・・・・・くっ。なんとか体勢を」

 

「そうはいかないぜ!」

 

俺は攻撃を止めることなく攻撃した。

翔子に反撃のチャンスを生ませないためだ。

離れたらすぐに近くにより接近戦で。だが、さすが翔子かなんとかバランスを取り戻し刀で斬りつけてくる。

 

 

Fクラス 坂本雄二 359点

 

VS

 

Aクラス 霧島翔子 196点

 

 

新たに更新された点数が表示される。

 

「・・・・・やる。さすが雄二」

 

「そっちこそ」

 

「・・・・・じゃあ今度はこっちの番」

 

そう言うやいなや翔子は召喚獣を俺に接近させてきた。

 

ガキンッ!

 

刀と拳がぶつかり衝撃波が生まれる。

 

「ヤべッ!」

 

俺は翔子の意図を察しすぐさま足払いをしてバックステップで翔子から距離を取る。

 

「・・・・・・」

 

「危なかったぜ」

 

俺が立ち退いた場所には氷があった。

恐らく翔子は腕輪の能力を刀だけでなく周囲、自分の近くなら多少離れていようが出来るのだろう。

 

「さっさと決めないとマズイなこれは・・・・・」

 

翔子の記憶力や判断力は俺より一歩上を行っており特に、俺の行動とかは全て読まれているのだ。勝機があるとするならば短期決戦のみ。長期戦はこっちが不利だ。

ここまで、やってくれたアイツらのためにも、そして残り2戦を明久たちに繋ぐためにも。

 

「・・・・・絶テェに負けられねぇ!これで決めてやる!」

 

俺は重心と体勢を整え翔子の召喚獣を見やる。

 

「・・・・・なら私もこれで決める」

 

翔子がそう言うのと同時に辺りが静かになった。

どちらも動かずに相手を見る。

やがて、一陣の風とともに動いた。

先に動いたのはどちらだろうか、俺と翔子はほぼ同時に動いた。

 

ドンッ!

 

バトルフィールドの中央で両召喚獣がぶつかり衝撃波と爆発が起こる。

それにともない白い煙が上がった。

恐らく俺の『炎煌拳舞』と翔子の『氷蒼刀舞』で生じた煙だろう。

やがて、煙が晴れると

 

 

Fクラス 坂本雄二 25点 WINNER

 

VS

 

Aクラス 霧島翔子 0点 LOOSE

 

 

 

試合終了(エンドオブバトル) 勝者 Fクラス坂本雄二』

 

 

俺の召喚獣は片腕を失っているが立っており、翔子の召喚獣は倒れている姿があった。

そしてシステムのアナウンスとともに翔子の召喚獣が消えた。

 

『試合終了~!第7試合、勝者はFクラス代表坂本雄二選手だー!』

 

『『『『『『『『『『うおぉぉぉーーーーーーーーお!!』』』』』』』』』』

 

「ふぅー、ギリギリだったか」

 

「・・・・・おめでとう雄二」

 

「サンキュー、翔子」

 

「・・・・・(コク)私としてもいい戦いだった」

 

「ああ」

 

「・・・・・それはそれとして雄二」

 

「ん?なんだ?」

 

「・・・・・今度、私ともデートする」

 

騒がしかったドーム内がシーンと静かになった。

 

「はっ・・・・・・・はあぁぁぁぁぁぁぁあ!?」

 

『おおーっと、霧島選手今大胆にも坂本選手にデートの約束を取り付けました!』

 

「ちょ、それ今言うことか!?後で言えば良いだろうが!」

 

「・・・・・だって、エレンや綾香がここで取り付ければ絶対に拒否らないって、言ってたから」

 

翔子は首をコテンと横にして言った。

 

「あ、ああ、あの二人は!」

 

「・・・・・それで雄二。デート」

 

「わ、わかったからそれを今ここで連呼するな!」

 

今、俺の顔は赤くなっているだろう。怒りと言うよりも恥ずかしさで。こんな公衆の面前で堂々とデートの約束をさせられたのだ、当然と言うものだろう。

俺はドーム内から逃げ去るかのようにして出ていった。

だが、この時俺は失念していた。ルーム内にもバッチリ、リアルタイムで流されていることに。

 

~雄二side out~

 

 

 

 

 

 

 

~明久side~

 

『・・・・・・それで雄二。デート』

 

『わ、わかったからそれをここで連呼するな!』

 

僕たちはスクリーンに映っている光景に、ニヤケが止まらなかった。

 

「わあ、翔子ちゃん大胆だね」

 

「う、うん(雄二、気持ち察するよ)」

 

画面の中では雄二が逃げ去るかのようにして出ていく姿があった。

 

「次は私の番だね」

 

「気をつけてよ恵衣菜」

 

「わかってるよ」

 

僕は恵衣菜を頑張らせるため頭を優しく撫でることにした。

ほんとは抱きついたりして頑張らせたかったのだが他の人もいるので我慢した。

すると。

 

「家で、思う存分抱きついたりしてね♪」

 

小声で恵衣菜がそう言った。

 

「う、うん」

 

僕も小声で返す。

 

「じゃあ、行ってきます」

 

そう言うと恵衣菜はルームから出ていった。

恵衣菜がルームから出て暫くして雄二が戻ってきた。

 

「雄二、お疲れ」

 

「ああ。明久」

 

「すまん、坂本」

 

「後であの二人には言っておく。正直聞いていた俺たちまで恥ずかしかった」

 

「ああっ、言うな!頼むから今言わないでくれそれ!」

 

余程恥ずかしかったのか雄二は俯いたまま顔を手で覆った。

そんなやり取りをしていると。

 

『お待たせしました!続いて第8試合、Aクラスからは第2学年序列第6位 久保利光くん。Fクラスからは第2学年序列第2位 姫宮恵衣菜さんです』

 

『『『『『『『『『『おおーーーーーーーー!!』』』』』』』』』』

 

『この試召戦争も残り2戦となりました。解説の高橋先生、どう思われますか?』

 

『正直、ここまでやるとは思ってませんでした。今年のFクラスはイレギュラー要素が多数ありますね』

 

『そうですね。では試合科目を決めてください!』

 

『総合科目でお願いします』

 

『承認する!』

 

『いくよ、試獣召喚(サモン)!』

 

『いきます!試獣召喚(サモン)!』

 

 

総合科目

 

 

Fクラス 姫宮恵衣菜 9876点

 

VS

 

Aクラス 久保利光 4462点

 

 

『て、点数差5000点オーバー!?た、高橋先生。こ、これは!?』

 

『姫宮さんが、ここまで高めるとは思いませんでしたね。ですが彼女以上の点数の持ち主がいます』

 

『ハハ。予想していていたとはいえ流石にここまでとはね。予想を遥かに越えているよ』

 

『久保君こそかなり努力しているんだね。短時間でここまで点数を上げるなんて』

 

『まあね。でも、君や吉井くんにはまだ遠く及ばないよ』

 

『フフ。私もまだ明久くんには及ばないからね~』

 

 

『第8試合フィールドは総合科目です。それでは・・・・・・・・試合開始(バトルスタート)!!』

 

 

~明久side out~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~恵衣菜side~

 

『第8試合フィールドは総合科目です。それでは・・・・・・・・試合開始(バトルスタート)!!』

 

「それじゃあいくよ!」

 

私の召喚獣は細剣(レイピア)を構えて久保君の召喚獣に迫る。

 

「速い!」

 

「せいっ!」

 

「くっ・・・・・」

 

私の突進を久保君はギリギリのところで躱した。

 

『速い!これが序列第2位の召喚獣の力なのでしょうか!』

 

『彼女はまだ腕輪の能力を使ってませんが・・・・・速いとしか言えません』

 

「距離をとって・・・・・」

 

久保君の召喚獣は私の召喚獣から距離を取るため大きく後ろに飛び退いた。

 

「じゃあ、次はこれかな」

 

私は細剣を腰の鞘にしまい、背中隠しに装備していた弓へと武装を変えた。

 

「なにっ!?」

 

そして弓の弦を引き矢を放つ。

 

シュッ!

 

矢が風を切る音がなり久保君の召喚獣に突き刺さる。

 

 

 

Fクラス 姫宮恵衣菜 9876点

 

VS

 

Aクラス 久保利光 4211点

 

 

 

私は続けて弓の弦を引き、矢を連続で放つ。

 

『な、どう言うことだ~!?姫宮選手、武装を細剣から弓へと変えました!まさか武装を2つ持っているのか!?これは一体どういうことなんでしょうか!?』

 

『姫宮さんの召喚獣は特例として武装を2つ装備しています。ちなみにこれは学園長からの要望です』

 

『な、なるほど』

 

「まさか、2つ武装を持っているなんて」

 

「新学期初日に学園長先生から相談されてね。私の他にも後2人いるよ」

 

「なるほど、それはあの2人か」

 

「うん」

 

久保君は私の言った残り2人って言葉に明久くんと零華ちゃんだとわかったようだ。

 

「じゃあ、いくよ久保君!腕輪発動!」

 

私は弓を構えて照準を久保君に合わせる。

久保君は縦横無尽に召喚獣を動かし躱そうとしている。

だが、私はその照準を久保君から上空に向けた。

 

「発動、多弾攻撃(マルチプル)!」

 

そして弓を上空に放つ。

 

「なっ・・・・・!」

 

私の放った矢は上空にいくと分裂し久保君の周囲を攻撃した。

 

『こ、これは!なんと矢の雨です!』

 

 

「んー。やっぱりまだ、使い勝手が悪いかな~?まあ、元々一対多のだからね」

 

矢の雨が収まるとその中心に久保君の召喚獣が自身の武器、鎌を盾にして立っている姿があった。

 

 

Fクラス 姫宮恵衣菜 9776点

 

VS

 

Aクラス 久保利光 2154点

 

 

『凄まじい攻撃です!久保選手の召喚獣は2000点程削られました』

 

『対して姫宮さんは腕輪の能力を発動して100点減っただけですからね。2人の点数差が約4.5倍ですね』

 

「まさか、ここまでとはね」

 

「うん。私もそう思うよ」

 

「じゃあ、今度はこっちから行かせてもらうよ!」

 

久保君はそう言うやいなや召喚獣に攻撃を仕掛けてきた。

私は弓をしまい細剣に切り替え、鎌を受け止める。

 

ガキンッ!

 

重い・・・・・鎌だから重いな。でも・・・・・

 

ガキッ!

 

私は召喚獣の軸を少し横にずらし鎌を受け流す。

 

「それじゃ、学園長から頼まれている事もしないとね」

 

私は自身の左腕に着けてある腕輪を露にした。

明久くんからこの間渡された空色の腕輪を。

 

「姫宮さん、君が着けているその腕輪は」

 

「学園長からお願いされてね。これのテストをしないといけないんだ。え~と、確か起動ワードは・・・・」

 

そして私は腕輪を顔の前にまで持って来て言う。

 

吹き荒れろ(テンペスト)――疾風よ(アネモイ)!」

 

私が起動ワードを言うと召喚獣に風が纏わりついた。

だが、それは纏わりつくというよりもベールのように衣のよう優しい風だった。

 

「こ、これは・・・・・」

 

『た、高橋先生これは一体?』

 

『姫宮さんが使った腕輪は、学園長が彼女にテストとして渡した物です。その腕輪の能力は召喚獣に風を纏わせることです』

 

「さあ、行くよ!」

 

私は細剣を胸の前で構えて突進した。

 

「ぐわっ!」

 

久保君は躱そうとするが、私の召喚獣の纏った風により出来なかった・・・・・と言うより無理だった。

風を纏った私の召喚獣は疾風や一陣の風の如くの速さで久保君に接近し攻撃した。

土屋君の『加速』を越え、私の召喚獣の『閃光』よりも速かった。

これに『閃光』の能力を使ったらどうなるのか正直私でもわからないな。

 

「ゴメンね久保君!」

 

その後は私の一方的な攻撃となった。

久保君の鎌は小回りが出来ないため私は最小の動きで躱し連撃を与える。

そして。

 

「はああああぁぁあ!」

 

 

Fクラス 姫宮恵衣菜 9524点 WINNER

 

VS

 

Aクラス 久保利光 0点 LOOSE

 

 

試合終了(エンドオブバトル) 勝者 Fクラス 姫宮恵衣菜』

 

『試合終了~!第8試合、勝者はFクラス、姫宮選手です!』

 

『『『『『『『『『『うおぉぉぉーーーーーーーーお!!』』』』』』』』』』

 

「負けたか・・・・・ありがとう、姫宮さん。いい経験になったよ」

 

「こちらこそ、ありがとう久保君」

 

「でも、次はこうはいかないよ」

 

「もちろん。私もだよ」

 

私と久保君はそう言うと互いに背を向けルームに戻った。

その背後では。

 

『激闘を終えた両選手に惜しみ無い拍手をお願いします』

 

~恵衣菜side out~

 

 

 

 

 

 

 

~明久side~

 

「勝ったね」

 

「ああ。明久は恵衣菜勝つとわかっていたのか?」

 

「当然でしょ?だって、恵衣菜だよ?」

 

僕はなに当たり前のことを言っているのかと雄二に聞いた。

すると。

 

「ああ、そうだな・・・・・」

 

「吉井、頼むからここで惚気けないでくれ」

 

「正直呆れるぞ」

 

「・・・・・・同じく」

 

「全くじゃな」

 

「???」

 

別に惚気けているつもりは無いんだけどな~

そう思っていると時間になった。

 

「それじゃあ雄二、行ってくるよ」

 

「ああ。頼むぞ明久」

 

「うん」

 

僕は雄二とハイタッチをしてルームから出た。

ルームから出て試合会場に歩いていくと、反対側から恵衣菜が歩いてきた。

 

「明久くん♪」

 

「お疲れ恵衣菜。いい戦いだったよ」

 

「ありがとう、明久くん。次は明久くんの番だね」

 

「うん。任せて、絶対に勝ってくるから」

 

「分かったよ。応援してるね♪」

 

「うん!」

 

恵衣菜と分かれて僕はバトルフィールドへの入り口についた。

入り口には何故か学園長先生がいた。

 

「学園長」

 

「渡した腕輪を見るために来たんだが。吉井、ここまで来たんだ、頑張りな」

 

「はいっ!」

 

そう言うと学園長先生は観客席の方に歩いていった。

そして。

 

『会場の皆様!ついにこれでAクラス対Fクラスの試召戦争も決着です!』

 

『両クラスともこれまでの戦績は3勝3敗2分けです。これで全ての決着がつくことでしょう』

 

『それでは最後の戦いの選手に登場して頂きましょう!まずはAクラスから。Aクラスからは第2学年主席にして序列第3位 吉井零華さん!』

 

『『『『『『『『『『おおーーーーーーーー!!』』』』』』』』』』

 

『そしてFクラスからは第2学年序列第1位 吉井明久さん!』

 

『『『『『『『『『『おおーーーーーーーー!!』』』』』』』』』』

 

『兄妹対決ですね。2人の成績は近くまさに最終決戦に相応しい闘いでしょう』

 

『そうですね』

 

「兄様」

 

「零華」

 

「兄様、私はAクラス代表として戦います。そして兄様を倒します!」

 

「僕もだよ零華。僕もFクラス代表として戦う。最初から全力でいくよ」

 

「もちろんです、兄様!」

 

『それでは最終決戦の科目を決めてください!』

 

「科目は総合科目でお願いします!」

 

『承認する!』

 

西村先生が総合科目のフィールドを張ったのを確認して僕と零華は同時に召喚する。

 

「いきます兄様!試獣召喚(サモン)!!」

 

「いくよ零華!試獣召喚(サモン)!!」

 

 

 

総合科目

 

 

Fクラス 吉井明久 10952点

 

VS

 

Aクラス 吉井零華 9563点

 

 

『ちょ、ちょっと待ったァー!何ですかあの点数!?10000点超えなんて!?』

 

『あれが吉井くんの実力です。序列第1位と言われている通り本来ならば彼が第2学年の主席です。それと彼のテストの際、試験監督は私と西村先生が行いましたのでカンニングはありません』

 

『な、なるほど』

 

『それと、彼は『観察処分者』=『バカ』と言われていますがそれは大きな間違いです』

 

『どう言うことですか?』

 

『吉井くんは自ら立候補して『観察処分者』になりました。ですので彼がバカ、と言うことはありません』

 

高橋先生の説明に僕は少し照れた。

 

「ふふ。兄様、私は嬉しいです。兄様の事を大切に思ってくれる人たちがいて」

 

「そうだね。うん、僕もそう思うよ」

 

『それではAクラス対Fクラス、最終決戦フィールドは総合科目です。それでは・・・・・・・試合開始(バトルスタート)!!』

 




ちょっと、時間かかってしまいました。
ついに次回FクラスVSAクラスも決着!勝つのはどっちのクラスだ!?


次回 『ついに決着 零華VS明久!』 ここテストに出ます。

それではまた次回、Don't miss it.!

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