バカとテストと召喚獣 奏で繋ぐ物語   作:ソーナ

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バカテスト

門:以下の問いに答えなさい
 『人が生きていく上で必要となる五大栄養素をすべて答えなさい』


吉井明久

『脂質 炭水化物 タンパク質 ビタミン ミネラル』


教師コメント

『さすが吉井くんです』


姫宮恵衣菜

『脂質 炭水化物 タンパク質 ビタミン ミネラル』


教師コメント

『正解です。さすがですね』





第Ⅵ門 Untouchable

 

~明久side~

 

 

廊下

 

 

僕はクラスの出し物でやることを終わらせるため、自分のクラスに戻っていた。

その道中。

 

「あ。明久君」

 

「む。明久ではないか」

 

「秀吉。優子さんも」

 

「お疲れ明久君。ライブは大成功らしいわよ」

 

「うむ。儂も見ておったがよかったぞ」

 

「うん。上手くいって良かったよ。ところで秀吉と優子さんはここで何してるの?」

 

「あ、そうだった。明久君、翔子と零華を見てない?」

 

「零華と霧島さん?見てないよ」

 

「どこ行ったのかしら。携帯も繋がらないのよ」

 

「え?」

 

僕は優子さんの言葉を聞き、スマホを取り出し零華に電話をかける。

 

「繋がらない。おかしいな、こんなこと一度も無かったのに」

 

「それにさっきから二人の姿が見えないのよ」

 

「儂も探しておるのじゃが・・・・・」

 

「どこ行ったんだろう?」

 

3人で思案していると。

 

「あ!明久!」

 

「雄二!どうしたの、血相を抱えて?」

 

「明久、翔子を見なかったか!」

 

「僕らも今探している最中なんだよ。零華もいないみたいだし」

 

「なんだと?秀吉、姫路と島田を見なかったか?」

 

「む?姫路と島田じゃと?儂は見とらんぞ」

 

「私も」

 

「僕も見てないよ」

 

「あの二人、教室にまだ戻っていないらしい。どこに行ったんだ」

 

こうも立て続けに人が。僕の知り合いがいなくなることに僕は疑問を浮かべた。

 

「(嫌な予感がする)」

 

そう思っていると。

 

「あ、明久、くん!」

 

後ろから声がかけられた。

後ろを向くと。

 

「絵里さん?」

 

息も絶え絶えの絵里さんがいた。

 

「どうしたの、絵里さん?恵衣菜は一緒じゃないの?」

 

「明久くん・・・・・恵衣菜さんが、拐われ、ました・・・・・他のμ'sのメンバーと、AーRISEのメンバー、そして、零華さんの他4人も、です」

 

「「「「なっ!?拐われた(じゃと)!?」」」」

 

「ええ。恵衣菜さんは私を逃がすために・・・・・」

 

呼吸が落ち着いたのか絵里さんは何時もと同じように話すが、涙声で体が振るえている。

 

「恵衣菜、零華・・・・・・!」

 

「まさか、その中に翔子や姫路、島田もいるんじゃねえか!?」

 

「あと、葉月ちゃんと言う女の子が捕まってるわ」

 

「葉月ちゃんも!?」

 

「どうするつもり明久君」

 

「もちろん決まってるよ。恵衣菜たちを助け出す」

 

「だな。おい!ムッツリーニ!」

 

「・・・・・・事態は把握済み。姫宮たちが連れていかれたのはここから歩いて10分程離れた場所にあるカラオケボックスの中」

 

「流石だなムッツリーニ。秀吉、一旦クラスの事を任せる。木下はAクラスを頼む」

 

「了解じゃ」

 

「わかったわ」

 

「ムッツリーニは俺たちに着いてきてくれ」

 

「・・・・・・承知」

 

「よし、行くぞ明――――ってもういねぇのかよ!?」

 

雄二がそこまで言うのを聞くと、僕はそのあとを聞くまでもなく疾風を纏っているかのように駆け抜けていく。

目指す場所は《文月カラオケボックス》店だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カラオケボックス

 

 

「すみません、今大人数で使用しているパーティールームってありますか?」

 

僕はカラオケボックスに着くなり、カウンターの店員に聞いた。

 

「え?あ、はい。一部屋だけ使われております」

 

「場所は何号室ですか?」

 

「に、201号室です」

 

「そうですか。ありがとうございます」

 

僕はカラオケのルームがある方へ足を進める。

すると、

 

「明久」

 

「雄二、やっと来たね」

 

「お前が速いんだよ。それで・・・・・・・何号室だ?」

 

「201」

 

「そうか。ムッツリーニ、準備を頼む」

 

「・・・・・・了解」

 

康太がいつの間にか現れ、またしてもいつの間にかいなくなった。

 

「201号室まで行くぞ」

 

「わかってる」

 

僕と雄二は201号室へと進む。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて・・・・・・・・・・殺ろうか雄二」

 

「あぁ。そうだな・・・・・・・・・・殺るか、明久」

 

僕と雄二は201号室手前扉まで来ると頷きあい扉に手をかける。

 

"バンッ!"

 

そして思いっきり扉を開けた。

 

「失礼しまーす」

 

「邪魔するぞ」

 

「あ?なんだお前ら」

 

「兄様!」

 

「・・・・・・雄二」

 

「明久くん!」

 

中に入ると、女子は全員端の方に座っていた。

ただ、一人。恵衣菜だけは零華たちとは反対側に横に縄で縛られて寝かされていた。しかも意識が無いようだ。更に、恵衣菜に数人の男が触れていた。髪や顔、しかも服にまで。

その姿を見た僕は、何かが弾けとんだ。

 

「てめぇら・・・・・・・・よくも・・・・よくも恵衣菜に手を出してくれたな!」

 

僕は近くにいた男の手首を取ると関節を外す。

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁあ!!」

 

男は痛みのあまり悲鳴をあげる。

 

「うるさい、黙れ」

 

僕は悲鳴をあげている男の腹を殴り気絶させる。

 

「お前ら、覚悟は出来ているんだろうな」

 

「こ、コイツ吉井明久だ!」

 

「おい。しかもあそこにいるのは悪鬼羅刹の坂本だぞ!」

 

どうやら僕だけじゃなくて雄二の事も知っているみたいだね。雄二の中学時代の異名は悪鬼羅刹。それは今でも噂されている。

 

「さてと・・・・・・・よくも翔子を拐ったな。お前たちに慈悲はねぇな」

 

雄二はそう言うやいなや近くにいた二人の頭部を壁にぶつけ気絶させる。

 

「零華!みんな!無事!」

 

僕はそのあと三人気絶させ零華たちの前に立つ。

 

「兄様・・・・・姉様が」

 

「うん。任せて。雄二!零華たちをお願い!」

 

「ああ!」

 

「余裕かましてんじゃねぇぞゴルァ!」

 

「遅い!」

 

チンピラ男の向かってくる拳を軽く避け、カウンターを喰らわせる。

 

「ゴファ・・・・・!」

 

「たった二人で何が出来るってんだ!」

 

「二人?何言ってんの?」

 

「何?」

 

「康太!」

 

「・・・・・・承知」

 

暗殺者の如く男の背後に回った影は首筋に何かを当てると、その男を気絶させた。

影の正体は康太だ。そして、手に持っているのはスタンガン。

どこでそれ手に入れたんだろう?

そんなことを思っていると、康太は立て続けに3人気絶させていた。

康太の役割は背後から近づき、葉月ちゃんを救出することだ。

 

「康太、ナイス」

 

「・・・・・・(グッ)」

 

救出した葉月ちゃんは泣きながら姉の島田さんに抱き付いていた。島田さんも葉月ちゃんの背に手を回し、優しく撫でていた。こういうところはちゃんとお姉さんらしく優しいみたいだ。これで、僕になにもしなかったら高評価なんだけどな~

そんなこんなで残りは5人まで減った。チンピラ共が。

 

「動くな!それ以上動いたらこの女がどうなっても知らねぇぞ」

 

残っていた5人は未だに気を失っている恵衣菜を人質にとった。

 

「くっ・・・・・」

 

「・・・・・・このゲス共が」

 

康太と雄二は恵衣菜を人質に取られ動けない。

 

「動くなよ、吉井明久。それ以上動いたらお前の恋人がどうなるかな?」

 

男はそう言いながら恵衣菜の身体を掴み盾にした。

それを見て僕の中でさっきとは違う何かが弾けとんだ。

 

「てめぇら・・・・・・それ以上恵衣菜に触れるな・・・・・・!!」

 

「「「「「・・・・・・!」」」」」

 

僕はかなり本気の殺気を飛ばす。

 

「や、ヤバい。兄様が本気で怒ってる」

 

「や、ヤバイわよ、これ」

 

「ヤベェ、明久のヤツ完全にキレてる。さっきとは桁違いだぞ」

 

零華とつばさ、雄二のそんな声が耳にはいる。

僕の殺気に当てられないように、零華と雄二、康太がみんなを守るように前に出るのが見えた。

 

「な、なんなんだよ、お前!」

 

「く、来るなっ!」

 

男たちが怖じ気づいたかのように引く。

僕は普通・・・・・・・・・とは、言えないのかな?。男たちに向かって歩く。まあ、ほんの5歩で着くけど。

 

「こ、このっ!」

 

「死ねやゴルァ!」

 

4人男が拳を振りかざして来るが僕は、順に拳をいなしカウンターで男たちの鳩尾や顔面を殴り、数秒で殲滅する。

 

「ひっ・・・・・!」

 

恵衣菜を掴んでいる男の前に立つと、僕は男の右手を左手で掴んだ。

 

「さっさと恵衣菜から離れろ」

 

男の右手を強く握り、右手が当分動かせないようにし、恵衣菜から離す。

離れた恵衣菜を、僕は右手で支える。幸いにも目立った外傷は無いようだ。

 

「このガキがぁぁぁあ!!」

 

「だから遅いって」

 

男は小型のナイフを左手で握り、僕に振り下ろしてくる。左手は恵衣菜わ支えているから使えないが、右手だけで充分だ。

僕は恵衣菜を引き寄せ、離さないようにし、向かってくるナイフを握った左腕を右手でいなし軌道をずらす。相手の懐に入ると、鳩尾にひじ打ち、顎に掌底を喰らわせ意識を混濁させる。そして右回し蹴りで相手を壁に蹴り飛ば・・・・・・・ではなく吹き飛ばした。

 

「ふぅ~」

 

「あ、明久。死んでないよなソイツ?」

 

「多分死んでないと思うよ?あ、でも骨の何本かはいってるかもだけど」

 

「おいおい・・・・・・」

 

僕は恵衣菜を縛っている縄を解き、零華たちの方を見る。

 

「と・・・・・・・みんな、大丈夫?怪我とかしてない?」

 

「いえ兄様。怪我とかよりさっきの兄様にみんな怖がっているんですが・・・・・・」

 

「え?」

 

零華たちの方を見ると全員が首を縦に振っていた。

 

「あのなぁ、明久。いくら俺と康太、吉井で幾分かお前の殺気を防いだとは言え、あれは怖えよ」

 

「・・・・・・雄二に同感」

 

「え、え~と・・・・・・その、ご、ごめんみんな」

 

「だ、大丈夫だよ明久くん」

 

「ええ。明久は私たちを助けてくれたんですから」

 

ことりと海未の言葉に穂乃果たちは頷いた。

 

「取り敢えず・・・・・翔子、姫路、島田、全員を連れて先に文月学園に戻っていてくれ」

 

「は、はい」

 

「わかったわ。坂本たちはどうするの?」

 

「俺はこいつらに聞きたいことがあるからな・・・・・・」

 

「そう。わかったわ、クラスの方は任せてちょうだい」

 

「頼む」

 

「ええ。それと、アキ、坂本、土屋、葉月を助けてくれてありがとう」

 

「気にしないで島田さん」

 

「ああ」

 

「・・・・・・同じく」

 

「零華もみんなと一緒に文月学園に戻っていて」

 

「わかりました、兄様。姉様は・・・・・・」

 

「恵衣菜も連れていってあげてくれる?」

 

「わかりました」

 

僕は眠っている恵衣菜を零華に託し、みんながルームから出ていったのを確認すると、

 

「雄二、先に言うけど多分今回のこれ、教頭が絡んでいるはず」

 

雄二にそう告げる。

康太は護衛として零華たちと一緒に文月学園に帰っていった。

 

「なに?教頭って、あの竹原か?」

 

「うん。実は僕と恵衣菜は学園長にある依頼を頼まれているんだ」

 

「その依頼。今回のこれと教頭が関与しているってことは、学園規模ってことだな」

 

「それもあるけど、教頭の狙いは学園長を失脚させること。詳しくは後で話すよ。とにかくコイツらから話を聞かないと」

 

「だな」

 

雄二は、リーダーと思わしき男を見つけると叩き起こした。と言ってもまあ、僕が最後に気絶させた男なんだが。

 

「おい」

 

「うっ・・・・・・・うう・・・・・」

 

チンピラはどうやら目が覚めたらしく辺りを見ていた。

そして、僕と雄二を見るとお化けでもみたかのように後ろに後ずさった。まあ、すぐ後ろは壁なんだけど。

 

「質問に答えろ。なぜ、あいつらを拐った」

 

「お、お前らの学校の教頭だとか言うヤツに、た、頼まれたんだよ」

 

「その教頭の名前は」

 

「た、竹原って言っていった」

 

「頼まれたって言ったが誰を拐うように頼まれた」

 

「よ、吉井明久。もしくは恋人の姫宮恵衣菜を拐うように頼まれた」

 

「何故、拐うか言っていたか」

 

「あ、ああ。計画の邪魔になるとか言っていた。他のやつらもついでに拐ったのは、ふ、複数いた方がいいって言われたからだ」

 

「そうか・・・・・・・明久」

 

「うん・・・・・・さて、あんたたちが行ったことは録音済みだ」

 

「・・・・・・」

 

「別にこれを警察に届けてもいい。けど、今後二度と僕らの目の前に現れないのならば警察には届けない」

 

「!」

 

「いいのか明久?」

 

「うん。自分の行なったことを改めて悔いるんだな」

 

僕はそう言うとその場から立ち去った。

雄二は僕のあとをついて出る。

カラオケボックスから出て暫く歩いたところで、僕は止まる。

 

「ごめん、雄二」

 

「気にするな。翔子たちが無事ならそれでいい。それより・・・・・・」

 

「うん」

 

僕はポケットからスマホを取り出し電話をかける。

相手は―――――

 

「学園長」

 

『なんかあったのさね吉井?』

 

「教頭からの妨害で恵衣菜たちが拐われました」

 

『なっ!竹原め、とうとう実力行使に出てきたってのかい』

 

「恐らくそうだと思います」

 

『それで、姫宮たちは』

 

「恵衣菜たちはすでに救出済みです。それでなんですが・・・・・」

 

『ああ。わかってるさね』

 

「それと坂本雄二に話しました」

 

『そうかい・・・・・・・・。今日の17時半、学園長室に坂本と一緒に来な』

 

「わかりました。それとそこに南かおりさんを同伴させても構いませんか?」

 

『音ノ木坂学院の理事長さね・・・・・・いいさね。姫宮はどうするんだい?』

 

「恵衣菜には後で僕から伝えます」

 

『そうかい』

 

「はい。では失礼します」

 

僕はそう言うと通話を切り、スマホをしまった。

 

「雄二、今日の放課後僕と一緒に学園長室に来て」

 

「ああ。わかった」

 

僕はそう言うと、雄二と学園に向かって歩いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

文月学園

 

 

「明久、お前は保健室に行って姫宮と一緒にいたらだうだ?」

 

「ごめん雄二、そうさせてもらうよ」

 

雄二の提案に、僕は恵衣菜がいるであろう保健室に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

保健室

 

「失礼しま~す」

 

「おっ!恵衣菜ちゃんの旦那が来た」

 

「誰が旦那ですか!?僕と恵衣菜はまだ結婚してないよ!!」

 

「あっはっはっは!ナイスツッコミだよ明久くん!」

 

「翠姉さん、ここ保健室だよ」

 

「うん。知ってる。だってここの保険医だもん」

 

「ハァー。それで、翠姉さん恵衣菜は・・・・・・」

 

僕が翠姉さんに訪ねると、翠姉さんは立ちあがり奥の窓近く、カーテンが覆われたところに立ち、中に入った。それに続いて僕も入る。

 

「零華ちゃんから聞いたわ。災難だったわね。しかも恵衣菜ちゃん、相手の男からお腹に拳を入れられたみたいよ」

 

「恵衣菜・・・・・・」

 

僕はベットで安らかに眠る恵衣菜の脇に立ち、恵衣菜の左手を握る。

 

「恵衣菜ちゃんは気絶してるだけみたいね。多分、辺りどころが悪かったんだと思うわ」

 

「そう・・・・・・・・・・・・」

 

「大丈夫よ、明久くん。恵衣菜ちゃんは貴方の彼女。恋人、でしょ。もう少ししたら目を覚ますと思うわよ」

 

「うん・・・・・・そうだね。ありがとう、翠姉さん」

 

「明久くんは恵衣菜ちゃんが起きるまで一緒にいてあげなさい。と、言ってもまあ、私が言うことじゃなかったわね」

 

翠姉さんは苦笑してカーテンから出ると、少しして一脚の椅子と飲み物を持って戻ってきた。

 

「私も教師としてそろそろ周らないと行けないのよ。何かあったら連絡してちょうだいね」

 

「うん。ありがとう、翠姉さん」

 

僕は翠姉さんが持ってきてくれた椅子に腰掛け恵衣菜の寝顔を見守る。

暫くすると、ドアの開閉音が聞こえた。翠姉さんが出ていったようだ。

僕は椅子に腰掛けながらスマホを取り出し電話をかける。

 

「かおりさん、明久です」

 

かけた相手はことりの母親で音ノ木坂学院の理事長、かおりさんだ。

 

『あら、明久くん。どうしたのかしら?』

 

「かおりさん、まず謝罪させてください」

 

『え?謝罪?何故、明久くんが謝罪する必要があるのかしら?』

 

「ことりたち・・・・・・μ'sを僕らの騒動に巻き込ませてしまったからです」

 

『どう言うことかしら?』

 

「恵衣菜を標的とした拐いにことりたちを巻き込ませてしまいました。その結果、ことりたちも拐われました」

 

『そうなの・・・・・・・それで、みんなは?』

 

「ことりたちはすでに救出しました。今は恐らく零華たちと一緒にいると思います」

 

『そう・・・・・・まずは、ありがとう明久くん。みんなを助けてくれて』

 

「いえ。元を辿れば僕らが関係してますから」

 

『いいえ。それでもお礼を言わせてちょうだい。ありがとう』

 

「かおりさん・・・・・・」

 

『明久くんは無事なのかしら?』

 

「僕は無事です。けど恵衣菜がまだ目を覚まさないんです」

 

『そうなの・・・・・・』

 

「それでなんですけど、かおりさん。今日の17時半時間は大丈夫ですか?」

 

『ええ。元々今日と明日は特に予定はないわよ』

 

「でしたら今日の17時20分に文月学園の校門にいてもらってもいいですか?」

 

『ええ』

 

「ありがとうございます」

 

『それじゃあ17時20分に校門で待っていますね』

 

「お願いします。では」

 

『ええ』

 

「失礼します」

 

僕はそう言うと通話を切りスマホをしまう。

安らかに寝息をたてる恵衣菜を見る。

 

「ごめんね、恵衣菜。痛かったよね」

 

僕は優しく恵衣菜の頭を撫でる。

そのまま時間が経ち、いつの間にか僕も寝てしまったのか起きたときには時刻16時20分だった。

 

「いつの間にか寝ちゃってたんだね」

 

僕は時間を見てそう苦笑して呟く。

すると。

 

「可愛かったわよ、明久くんの寝顔」

 

「え・・・・・?」

 

「おはよう、明久くん」

 

「恵衣菜・・・・・・」

 

「うん。恵衣菜だよ」

 

「恵衣菜!恵衣菜!」

 

「苦しいよ明久くん//////」

 

僕は嬉しさのあまり泣きながら恵衣菜を抱き締めた。

 

「うっ・・・・・・うう・・・・・・・良かった、目が覚めて」

 

「大袈裟だよ明久くん//////」

 

「大袈裟なもんか。心配したんだからね」

 

「うん・・・・・・明久くん、ありがとう助けてくれて」

 

「ううん。僕も・・・・・・助けるのが遅くなってごめんね」

 

「明久くん・・・・・・・・」

 

「恵衣菜・・・・・・・」

 

僕と恵衣菜は互いの顔を見つめ合った。

そして、自然と顔が近くなった。

 

「明久くん・・・・・・」

 

「恵衣菜・・・・・・」

 

そして、僕と恵衣菜は唇を合わせキスをする。

僕と恵衣菜は、火照った体を密着させて、互いの五本の指を交互に絡め合う。

 

「んちゅ・・・・・・は・・・・・・るちゅ・・・・・・明久くん・・・・・」

 

「ん・・・・・・恵衣菜・・・・・・」

 

「っっ、んんっ・・・・・・ふぁ、ちゅ・・・・・・」

 

「んあ・・・・・・恵衣菜・・・・・」

 

口の中で僕は恵衣菜の舌を絡め唾液を交換する。

キスをしていた時間は1分を越えるだろう。

そっと唇を放した僕は恵衣菜を見る。

 

「続きは夜・・・・・・部屋、でね」

 

「うん・・・・・・・」

 

僕は恵衣菜にそう言うと、軽く抱きしめ、このあとの事をいい、椅子に腰掛けた。

 

「じゃあ、終わるまで待ってるね」

 

「うん。待たせてごめんね」

 

「ううん。平気だよ」

 

僕はかおりさんわ迎えに行くため校門に向かう。

時間は17時10分になっていた。











次回 『渦巻く陰謀』 ここテストに出ます。

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