~前回の奏で繋ぐ物語~
つばさ)明久くんのいない間の零華の学校生活。相変わらずのシスコンとブラコンの二人に呆れるしかないわ。それにしても、零華の学園はかなり大変みたいね。それにしても、明久くんをあんな目に遭わせた人たち社会的に抹殺しようかしら。さて、今回は明久くんたちの話みたいだけど・・・・・・。なにか嫌な予感がするわ。気を付けてね明久くん。
~明久side~
「んんー・・・・・・っと。やっと終わったあ」
「終わったねぇ」
僕と恵衣菜は音ノ木坂学院の〈アイドル研究部〉の部室で疲れを癒していた。
「お疲れさま二人とも」
「ありがとう、絵里」
「ありがとう絵里ちゃん」
そこに冷たいお茶を淹れたコップを持った絵里が、そのコップを渡してくれた。
「ウチらもやっと終わったし、これで一安心やね」
「そうですね。・・・・・・そこの三人はわかりませんが」
「「「うっ!」」」
希の言葉に海未が安堵したようにいい、ジト目で三人。穂乃果、凜、にこの三人を見る。
「だ、大丈夫だよ海未ちゃん」
「そ、そうよ。問題ないわ」
「そ、そうにゃ」
「ならいいんだけどね」
「あはは・・・・・・」
三人に真姫が半眼で見て言い、花陽は苦笑いを浮かべて。
僕らがなんの話をしているのかと言うと、それは―――。
「一先ず、全員が無事に"前期末テスト"を終えられて良かったよ」
「そうだねえ~」
そう、僕らはつい先程まで前期末テストを受けていたのだ。もちろん、それは僕と恵衣菜も例外ではない。
「明日はどうしようかなぁ」
「そう言えば明日は再テストの関係で、すべてのテストを受けた人は休みだったわね」
「零華のほうも、明日は学校が休みだそうですよ」
「なら、たまにはみんなでどっかに遊びに行かない?!」
「遊びに行かないって、穂乃果・・・・・・。どこに遊びに行くんですか」
「え~とね・・・・・・」
「と、言ってるけど絵里?」
「そうね~。たまにはいいんじゃないかしら。テスト期間中は練習もできなかったし、リラックスもかねて、ね」
穂乃果を見て僕と絵里は微笑ましそうにして話す。
「取り敢えず帰りましょうか。下校時刻にもなってますし」
「それもそうだね」
〈アイドル研究部〉の部室から出た僕らは、そのまま昇降口に行き靴を履き替えて校舎から出た。
校舎から門までは一直線でそのまま、門を出ようとしたその時。
「お兄ちゃ~ん♪」
「うわっ!」
待ち伏せていたのか、零華が抱き付いてきた。
というかいつの間に!?
「れ、零華!?」
「うん!お疲れさまお兄ちゃん!」
文月学園内じゃないからか、零華は僕のことをお兄ちゃんって呼んでいる。
「じゃなくて!ここだとかなり目立つんだけど!?」
僕は今いる場所を思い出した。
「れ、零華ちゃん!?」
「零華いつの間に!?」
「うわぁ~。校門前なのにすごいわね」
そう、にこが言ったように僕らのいる場所は学院敷地内から出ているとはいえ、まだ音ノ木坂学院生がちらほらと見えるように、校門前なのだ。
「れ、零華、ここ校門前だからちょっと離れてくれるかな」
「あ、ご、ごめんなさいお兄ちゃん」
僕が言うと零華は素直に離してくれた。
離れてくれたのはいいんだけど、いまだに周囲の視線がすごい。
「それで零華、なんで音ノ木坂に?」
「あ、今日はテストで早く終わったからお兄ちゃんと一緒にかえろうかなぁ、って」
「それで僕を迎えに来てくれたの?」
「うん。・・・・・・・ダメ、だったかな・・・・・・?」
不安げに上目遣いで見てくる零華に、僕は零華の頭を撫でながら否定する。
「そんなことないよ零華」
「お兄ちゃん・・・・・・・」
嬉しそうに言いながら喜ぶ零華の頭をさらに優しく撫でる。なんかいつもだけど小動物みたいで本当、可愛い。いや、可愛すぎる!
零華を撫でながら僕も癒されているところに。
「あ~・・・・・・明久くん、零華ちゃん」
「二人ともお願いですから」
「イチャイチャ空間出さないでほしいかな~」
「あはは・・・・・・・」
言いづらそうに恵衣菜、海未、穂乃果、ことりが申し訳なさそうに言ってきた。
「え?イチャイチャなんかしてないよ?」
「うん。これが私とお兄ちゃんの日常」
『『『『『どんだけシスコン、ブラコンなんですか(なの)(なのよ)!!!』』』』』
僕と零華の言葉に恵衣菜、穂乃果、ことり、海未の幼馴染を除く、その場にいた全員が同時にそう発した。
って、なんか校舎の方からも聞こえてきたような・・・・・・・。
「あはは・・・・・・・はぁ・・・・・・・」
「見慣れてきたつもりでしたけど」
「なんか年々二人のシスコン、ブラコン度が」
「どんどん上がってきている気がするよ~」
そこに恵衣菜たちは呆れ半分疲れ半分の表情でそう言ってきた。
「「そんなことないと思うけど(思いますけど)?」」
『『『『『無自覚(ですか)(なの)!?』』』』』
僕と零華の言葉にまたしてもツッコミが返ってきた。
とまあそんなこんなでいろいろあって、零華も交えて近くのファーストフード店で明日の予定を立て僕らは帰路に付いていた。
「明日から三連休のお休み楽しみだね!」
「そうだね~。零華ちゃんテストの方はどうだった?」
「私はバッチリだよ。穂乃果ちゃんは?」
「うっ!わ、私は・・・・・・ちょっと・・・・・・・」
「事前にみんなでテスト勉強したにも関わらずですか?」
「だ、だってぇー」
「まあまあ、海未ちゃん。結果は戻ってきてみないとわかんないよ」
「それはそうですが」
「僕と恵衣菜の方は大丈夫だと思うよ」
「う~ん、ならいいんだけどね」
絵里たちと分かれた僕らは二年生組だけとなっていた。
そんな僕らの話題はテストの話で持ちきりだった。
「明日はカラオケとボウリング、だっけ?」
「うん!楽しみだね!」
「う、う~ん。私、あんまり歌って得意じゃないんだけどなぁ」
「私はボウリングが少し苦手」
「ちょっと緊張しますね」
「そう言えば海未は昔から人前で歌うのって苦手だっけ?」
「だって恥ずかしいじゃないですか・・・・・・・!」
「ことりはボウリングが不安かも」
「そんなことないと思うよことりちゃん」
そんなこんなで楽しく話していて住宅街に入ったその時。
「ッ!?」
「明久くん?」
「明久?」
「どうしたのお兄ちゃん?」
僕は凄まじい殺気を感じた。
この感じはFFF団の連中と同じ気配だ。
辺りを見渡してその殺気の発生元を警戒していると。
『見付けました豚野郎・・・・・・・』
横の路地からそんな声がきこえてきた。
「誰だ!」
僕が警戒して大きな声で尋ねると、声の主が暗闇の路地から姿を表した。
「どうやら雌豚もいるみたいですね・・・・・・。ちょうどいいです・・・・・・・」
声の主は僕らと同じ文月学園の女子の制服を着ていた。
「清水さん?」
僕はその女子に向かって名前を呼ぶ。
目の前にいる清水さんは、いつもの整えられたツインテールではなく無造作にボサボサの髪を縛ったツインテールだが、間違いようはなかった。そしてその瞳は暗く闇に包まれているようだった。
その清水さんに零華が驚いた声で言った。
「なっ・・・・・・!あなたは今自宅謹慎の停学中のはずです!なんでこんなところにいるんですか!」
「え?どういうこと零華?」
僕の記憶が正しければ清水さんの停学中期間はとっくに過ぎてるはずだ。だが、零華が嘘を言うとは思えない。
「清水三春は文月学園内で盗撮をしていたんです。それの証拠の隠しカメラを私や坂本君たちが見付けて、学園長に報告した結果、清水三春は停学の期間が延びたんです。詳しい処分はわかりませんが、彼女は現在、自宅謹慎、停学中のはずなんです!」
「なっ!」
「なんだって!?」
零華の言葉に恵衣菜と僕は驚愕する。それは穂乃果とことり、海未もだった。
そんな僕らに清水さんは、静かにまるで呪詛のように言ってきた。
「豚野郎のせいでお姉さまがあんなふうになったんです、死になさい。死になさい、豚野郎!」
そう言うと、どこかに隠し持っていたらしきナイフで僕らに襲い掛かってきた。
「下がって!誰か呼んできて!」
「死になさい豚野郎!」
僕は恵衣菜たちを庇うように前に出て突き出されてくるナイフを右手の鞄で防ぐ。
「殺す殺す殺す!死になさい豚野郎!」
「ぐっ!」
「明久くん!」
防戦一方の僕に恵衣菜が心配するように声をかけてくる。
「ああ、雌豚も殺さないといけませんね・・・・・・。豚野郎を絶望させて殺すには・・・・・・」
そう言うや否や清水さんは光のない瞳で恵衣菜たちを見てナイフを持って迫っていった。
「逃げてみんな!」
僕も追い掛けるように清水さんを追う。
その脳裏にはある一つのビジョンが浮かんでいた。
「(恵衣菜や零華、穂乃果、海未、ことりが死ぬ・・・・・・?)」
それは僕の大切な人達が血を流して倒れる姿だった。
「(そんなこと絶対にさせない・・・・・・!僕がみんなを・・・・・・絶対に守る・・・・・・!)」
僕はそう思うのと同時に清水さんを追い掛ける脚の早さを速くした。
その時僕の目にはすべてが止まっているように見えた。
やがて追い抜き恵衣菜たちの前に辿り着くのと同時に。
グサッ!
なにかが刺さる音が聞こえた。
「明久・・・・・・くん」
「よかった・・・無事で」
後ろを見て恵衣菜たちが無事なのを確認した僕は、さっきから身体に走る痛みの場所を見る。
「(あはは・・・・・・失敗・・・しちゃったな・・・・・・)」
僕のお腹には清水さんの持っていたナイフが突き刺さっていた。そう認識すると同時に"ズルッ!"とナイフが僕から抜かれた。
その瞬間、痛みがさらに走り制服のYシャツが血で染まり始めた。
「い、いや・・・いやあああああああああああ!!!」
「お兄ちゃん!」
「昭久くん!」
「明久!」
「明久くん!」
恵衣菜の悲鳴から、零華、穂乃果、海未、ことりの絶叫の声が響く。
「(あ・・・ヤバい・・・・・・・意識が・・・・・・)」
僕は五人の声を意識の片隅で朧気に聞きながら意識をどうにかして保たせる。
「ちっ!まだ生きてやがるんですか豚野郎?さっさと死にやがれです」
そんなことを言う清水さんに海未が。
「あなた、自分が明久になにしたか分かっているんですか!」
「うるさい雌豚ですね。お前も死になさい」
「っ!」
そう言って清水さんは僕の血で濡れたナイフを海未に向かって振り下ろした。
「させ・・・・・・ない・・・・・・っ!」
「あ、明久」
「まだそれだけの余力があるんですか豚野郎・・・・・・くっ!」
だが、振り下ろされる前に僕が清水さんの腕を掴み、握り締めて振り下ろそうとしているナイフを奪い、地面に放る。
「みんなは・・・・・・傷つけ・・・させない・・・・・・!」
「離しなさい豚野郎!」
「眠れ・・・・・・」
「グハッ!」
僕は最後の力を振り絞って、清水さんの鳩尾を殴り気絶させた。鳩尾を殴られた清水さんは身体をくの字にして崩れ落ちるようにして倒れた。
「終わった・・・・・・かな・・・・・・」
僕は清水さんを見てそう言い、恵衣菜たちの方を見て、
ドサッ
「明久くん!」
「お兄ちゃん!」
「え・・・い・・・な・・・・・・れい・・・・・・か・・・・・・」
僕は血相をかかえて近寄ってくるみんなを朧気の視界に見て。
そこから先の僕の記憶はなかった。
~明久side out~
~恵衣菜side~
明久くんが刺された。
私はううん。私たちはそう認識するのに幾秒かかかった。認識したのは明久くんの制服のYシャツのお腹の部分が真っ赤に染まったのを視たからだ。
「い、いや・・・いやあああああああああああ!!!」
「お兄ちゃん!」
「明久くん!」
「明久!」
「明久くん!」
私は絶叫を上げ、零華ちゃんたちは顔を真っ青にして明久くんの名前を呼ぶ。
そこから先のことは覚えてない。けど、一つだけ。明久くんが清水三春を気絶させてから地面に倒れたことだけは鮮明に覚えてる。
「お兄ちゃん!しっかりしてお兄ちゃん!」
「明久くん!しっかりしてよ明久くん!」
「明久!しっかりしてください明久!」
「明久くん!」
零華ちゃんたちが明久くんの血を止めようと止血しているなか、私はただ呆然となにもできずに明久くんを見ていた。
「嘘・・・・・・だよね、明久くん。起きてよ、明久くん」
私は明久くんに呼び掛けるが手からはヌメッと、明久くんの血の感触が伝わった来る。そして、倒れる明久くんの側には流れ出た血があった。
「あ・・・ああ・・・・・・あああーーーーーっ!」
悲鳴を上げる私のそこから先の記憶は無かった。
~恵衣菜side out~
~零華side~
「お兄ちゃん!目を覚ましてお兄ちゃん!」
「零華、今救急車を呼んでいます!」
懸命に止血するがお兄ちゃんから流れ出る血は、私の止血しているハンカチをどんどん真っ赤に染めていく。
「ことりちゃん、穂乃果ちゃん!恵衣菜ちゃんをお願い!」
恵衣菜ちゃんは焦点を無くした瞳で呆然としていました。
「恵衣菜ちゃん!」
「しっかりして恵衣菜ちゃん!」
穂乃果ちゃんとことりちゃんの声にも恵衣菜ちゃんは反応しません。魂ここに在らずと言う感じです。
その2分後、サイレンを鳴らして来た救急車がお兄ちゃんを病院に搬送し、私たちも付いていきます。
清水三春は同時に来た警察の人に引き渡して、お兄ちゃんがストレッチャーに乗せられている間に大まかな説明をしてあります。
病院。西木野病院に運ばれたお兄ちゃんはそのまま緊急手術を受けています。
執刀医はお兄ちゃんの主治医の西木野先生がやっています。
私たちは手術室の側の椅子に座って、オペが終わるのを待っています。
そんな私たちのところに。
「みんな!」
「真姫ちゃん・・・・・・・」
真姫ちゃんが血相をかかえて来ました。
「明久は」
「西木野先生が手術しているよ」
私は真姫ちゃんに抱きより言った。
そしてさらにそこに。
「零華!」
「みんな・・・・・・・」
数時間前に分かれた絵里や希、にこ、花陽、凛が走ってきた。
「明久は!」
「パパが今、明久の手術をしているわ」
絵里ちゃんの問いに真姫ちゃんが答えた。
「手術、って・・・・・・」
「そんな・・・・・・」
「だ、大丈夫、だよね・・・・・・」
「当たり前よ!明久がこんなところで死ぬはずないでしょ!」
絵里ちゃん、希ちゃん、花陽ちゃん、にこちゃんがそれぞれ言う。
そんなとき。
「零華!」
「お祖母ちゃん」
絵里ちゃんたちが来た方向と同じところからお祖母ちゃんが来た。
「明久の容態は」
「・・・・・・・・・・・」
お祖母ちゃんの言葉に私は首を横に振って、わからないと答えた。
「そうかい・・・・・・。恵衣菜ちゃんは」
「ずっとあの状態・・・・・・」
恵衣菜ちゃんを見ると、恵衣菜ちゃんは虚空をただ見詰めるだけで正気に戻ってなかった。
そのまま恵衣菜ちゃんを見ていると、お祖母ちゃんが抱き締めてきた。
「我慢しなくていいさね零華。アタシが・・・・・・・お祖母ちゃんがいるから」
「お祖母・・・ちゃん・・・・・・」
お祖母ちゃんの声に、私は今まで張り詰めていた筋肉を解してお祖母ちゃんに思いっきり抱き締めて、涙を流した。
「お兄ちゃん・・・・・・うわあああああああああああん。お祖母ちゃん、お兄ちゃんが!お兄ちゃんがぁ!」
「うん。よく頑張ったさね零華」
私はそのまま、お祖母ちゃんに抱き締められながら泣いた。ずっと我慢していた涙を流した。
~零華side out~
~絵里side~
「それじゃアタシは連絡したりしてくるから、すまないがみんな、零華と恵衣菜ちゃんのこと頼むさね」
「はい。わかりました」
泣き付かれて眠ってしまった零華を、明久と零華のお祖母ちゃん、藤堂カヲルさんに任され私はそう返事を返した。
すると藤堂カヲルさんが。
「あんたはもしかして、綾瀬クロニカのお孫さんかい?」
私を見てそう言ってきた。
「え、確かに綾瀬クロニカは私のお婆様ですが・・・・・・」
「やはりそうかい。クロニカは元気かい?」
「あ、はい。お婆様は元気です」
「そうかい。それはよかった。それじゃ頼むさね」
そう言うと藤堂カヲルさんはどこかに行ってしまった。
「エリチ、今のどういう意味なん?」
「さ、さあ。お婆様に聞いてみないと」
希の質問に私はそう返した。
するとそこに。
「真姫、みんなを家にご案内して」
「ママ!」
「みんな、今日は家に止まっていきなさい。みんなの親御さんには連絡してあるわ」
真姫のお母さんがそう言ってきた。
「それに、恵衣菜ちゃんと零華ちゃんを寝かせないと」
真姫のお母さんの言う通り、恵衣菜はずっと意識がここにない感じだし、零華は泣き付かれて眠ってしまっている。
「(確か、明久と零華、恵衣菜は一緒に住んでいるのよね。二人だけじゃ心配だし、穂乃果たちも心配だわ)」
私は穂乃果、海未、ことりも見てそう考え、
「それじゃすみませんがおじゃまします」
私は真姫のお母さんにそう言った。
そのあと、私たちは真姫の案内のもと西木野家を訪れ、恵衣菜と零華を同じ部屋に寝かせて、私たちもそれぞれ親に連絡して、亜里沙には穂乃果の家、高坂家にお泊まりしてもらうように言い、穂乃果のご両親に亜里沙をお願いして、私たちは明久の手術が無事に終わる報告を待った。
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