バカとテストと召喚獣 奏で繋ぐ物語   作:ソーナ

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第ⅩⅥ門 Regeneration

~前回の奏で繋ぐ物語~

 

 

明久)僕が昏睡状態の間にどうやら現実では色々と大変なことが起こっていたみたいだね。起きたら零華たちの好きなようにさせて上げようかな。それに、眠っているときにもう一人の僕から言われたからね。それじゃ、早く目覚めないと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~明久side~

 

 

「・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・うん、大丈夫だね」

 

「ホッ・・・・・・よかった。ありがとうございます先生」

 

「いや、なに。明久君が目を覚ましてくれてよかったよ」

 

「あはは。まあ、聞いたときは驚きましたけど・・・・・・」

 

僕は今、病室で西木野先生から触診などの検査を受けていた。

僕が刺されて五日目・・・・・・らしい、黄昏時の時間。目を覚まして30分後の僕は主治医の西木野先生から検査を受けながらこの五日間のことを聞かされた。聞かされたあと僕は思わず顔を青くしたほどだ。理由は、零華たちのこの後のことが予測できたからだ。ちなみに僕が目を覚ましたという連絡はもうすでに行き渡っているらしい。

 

「刺されたところは痛むかい?」

 

「う~ん・・・・・・特に痛みはないですね」

 

西木野先生にそう返すと。

 

 

 

"ドドドドドドドドッ!!"

 

 

 

地面が震えるような音がした。

 

「・・・・・・先生、ここって病院ですよね」

 

「あ、ああ。まさか院内で走るような人はいないと思うが・・・・・・」

 

「でもこの音って・・・・・・」

 

「明久君もそう思うかい・・・・・・」

 

「はい・・・・・・恐らく・・・・・・・」

 

僕と先生が病室のドアを見ながら話していると―――。

 

 

"バンッ!"

 

 

「お兄ちゃん!!」

 

「明久くん!」

 

「明久!」

 

「明久くん!」

 

「明久くん!」

 

上から零華、穂乃果、海未、ことり、つばさの五人が扉を勢いよく開けて病室に入ってきた。

 

「・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・」

 

余りの勢いに僕と先生は呆気に取られて、ポカンとしていた。そんなところに。

 

「あなた、たち、院内で、走ったら、ダメでしょう!」

 

「イタッ!」

 

「アタッ!」

 

「ウッ!」

 

「キャッ!」

 

「ニャッ!」

 

ひきつり笑いを浮かべながら病室に入ってきた母さんが零華たちの頭を順にポン、ポン叩いた。

 

「やれやれ。気持ちは分かるけど、それで周りに迷惑かけたら元も子もないでしょうが」

 

母さんははぁ、とため息をつくと頭を押さえている零華たちを見て言った。

その光景に僕と西木野先生は呆然とするだけだった。

とまあ、母さんの軽いお説教が終わって零華たちが僕の方を見たのを見て、僕は上体を起こしながら零華たちに微笑みながら声をかけた。

 

「あー・・・・・・えっと、零華、穂乃果、海未、ことり、つばさ、心配かけてごめん」

 

「いきなりそれはないと思うよ明久君・・・・・・」

 

「えぇっ!?」

 

西木野先生の苦笑しながら小声で言った言葉に僕はすっとんきょうな声をあげた。視界の端に見える母さんも苦笑を浮かべていた。

 

「あ、あのー、零華?」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「穂乃果?」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「海未?」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「ことり?」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「つばさ?」

 

さっきから俯いたまま黙っている五人に恐る恐る声をかけたが全く返事が返ってこなかった。

 

「あ、あのー・・・・・・」

 

冷や汗を流しながら再度呼び掛けると。

 

「・・・・・・・・・」

 

「れ、零華?」

 

零華が無言で近寄ってくると、僕を抱き締めて顔を胸に埋めてきた。

 

「・・・・・・たよ・・・・・・・ゃん」

 

「零華?」

 

小声で何か言う零華に僕は戸惑いながら呼ぶと。

 

「よかった・・・・・・よかったよ、お兄ちゃん」

 

僕の胸に顔を埋めながら涙を流して涙声で言う零華の声が聞こえてきた。

 

「よがったよー、お兄ぢゃーん!」

 

「・・・・・・・・・」

 

泣きながら言う零華に、僕は零華を抱き締めて、そのまま頭を優しく撫でた。

すると。

 

「「「「・・・・・・・・・・」」」」

 

穂乃果は腰に手を回し、ことりは背中に回って体を預けてきて、海未は服の裾を握りしめて、つばさはベットの裾部分に手を当てて僕を見てきた。

 

「よかった・・・・・・明久くんが目を覚ましてくれてよかった」

 

「明久くん」

 

「よかったです、明久」

 

「よかった、明久くん」

 

涙声で言う四人に、僕はみんなにかなり心配を掛けさせてしまったことを感じた。僕はそのまま零華たちを拒絶せず、好きなようにさせることにした。・・・・・・のは、いいんだけど、西木野先生と母さんがニヤニヤ見てくるのが不思議だった。ナゼ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零華たちに好きなようにさせて10分後、顔を赤くしながらもじもじとしている零華が。

 

「ご、ごめんねお兄ちゃん。病み上がりで起きたばかりなのに・・・・・・」

 

「ううん、僕こそごめんね。みんなに心配かけちゃったね」

 

「そ、そんなことないよ!」

 

「そうだよ!」

 

「そうです!明久は私たちを守ってくれたんですから!」

 

「そうよ明久くん!」

 

「そうだよお兄ちゃん!心配かけちゃったなんてことないよ!」

 

僕の言葉に穂乃果たちは猛烈に言い返してきた。

 

「でも・・・・・・」

 

零華たちの言葉に言いよどんでいるそこへ。

 

「まったく・・・・・・なんでお前はそこで素直に受け取らないんだ」

 

「え」

 

聞き慣れた、クラスメイトにして悪友の声が聞こえてきた。

声のした方を向くと、そこには扉を開けて呆れた眼差しをしている雄二がいた。

 

「雄二!?」

 

「よっ、明久。目が覚めたようだな」

 

「え、なんでここに?!」

 

「なんでもなにも、お前が目を覚ましたと聞いてやってたんだよ。ちなみに、来たのは俺だけじゃないぜ」

 

「へ?」

 

ニヤリと口角を上げて言う雄二の言葉にすっとんきょうな声をあげると。

 

「やれやれ、お主は相変わらずじゃのう」

 

「・・・・・・まったく」

 

「まあ、そこが吉井だしな」

 

「確かに」

 

そんな声が耳に入ってきた。

それと同時に、秀吉、康太、須川くん、横溝くんに続いて恭二や友香さん、霧島さん、木下さん、工藤さん、久保くん、エレンさん、桜咲さんなどなど、文月学園での僕の友達たちが。さらに。

 

「穂乃果、早すぎよ・・・・・・って、あら?」

 

「はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・ちょっ、いくらなんでも学校から走っていくなんて・・・・・・って、え?」

 

「つ、つばさ、いくらなんでも荷物ぐらいは持っていってよ~・・・・・・あら?」

 

息をきらせた絵里と真姫、つばさの鞄らしきものを持っているあんじゅもが扉を開けて入ってきた。

 

「絵里!?真姫とあんじゅも!ってことは・・・・・・・」

 

絵里たちが入ってきたのを見て、このあとのことが予想できたのと同時に。

 

「「「「「はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・」」」」」

 

希、にこ、花陽、凛、英玲奈が息を切らして入ってきた。

 

「なに、この予想外の展開みたいな感じ」

 

このカオスらしき空間に僕は思わずそう言わずにいられなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カオス空間が過ぎて、雄二と絵里たちが帰り、零華たちは絵里たちと帰って行き、今は母さんと二人きりになっていた。

 

「一気に疲れた・・・・・・」

 

「まぁまぁ。さすがに全員勢揃いってのは私も驚いたけど良かったじゃない。あんなにお見舞いに来てくれて」

 

「まぁね」

 

口ではこう言うが、内心は嬉しく思っていたりしている。母さんや姉さんにいったらツンデレね、って言われる。ていうか絶対言われる。

と、脳裏でそんな会話を一人でし、母さんに聞きたかったことを聞いた。

 

「母さん」

 

「ん~?」

 

「恵衣菜は・・・・・・?」

 

そう、それは恵衣菜の姿が見えないことだった。

何時もなら零華たちと一緒に来るのに、今日に限ってはいなかった。それどころか誰も恵衣菜のことを言わなかった。何かあったとしか言いようがない。

 

「恵衣菜ちゃんは自宅で眠ってるわ・・・・・・」

 

「?自宅?どういうこと?」

 

「・・・・・・5日前から恵衣菜ちゃんはずっと眠ってるの。一応意識はあるらしいんだけど」

 

「そんな・・・・・・!」

 

母さんから聞かされた恵衣菜の今の状態に声を失った。僕のせいで恵衣菜がそうなっているなんて考えたくもなかった。

 

「うっ・・・・・・」

 

「あ、明久くん?!どこに行くつもりなの!?」

 

「恵衣菜のとこ・・・・・・っ!」

 

寝たきりだった身体に鞭打って、僕はベットから降りる。

 

「だ、ダメだよ!まだ安静にしてないと!」

 

「それでも・・・・・・行かなくちゃいけないんだ・・・・・・・!」

 

窓の冊子に手を掛けて産まれたての小鹿のように震える足で立つ。母さんは慌てて止めるが、僕はその手を払って立ち上がる。

そこに。

 

「予想していた通りだね」

 

「先生!」

 

西木野先生が入ってきた。

 

「先生お願いします!僕を恵衣菜の所に行かせてください!」

 

「どうしても行くのかい?」

 

「はい!」

 

僕の返答に先生はジッと僕を見た。

そしてしばしの時間が過ぎて。

 

「・・・・・・・真奈美さん」

 

「・・・・・・いいの真吾くん?」

 

「ええ。僕が特別に許可します」

 

「わかったわ」

 

「母さん?」

 

「行くわよ明久くん。恵衣菜ちゃんのところに」

 

「うん!」

 

母さんは先生から渡された車椅子に僕を座らせて、車椅子を押して病室から出た。

そこから駐車場の車に乗り、恵衣菜の家。姫宮家に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

姫宮家

 

 

「あらら。明久君来ても大丈夫なの真奈美?」

 

姫宮家に着いて、母さんがインターホンを鳴らすと、恵衣菜の母親、姫宮花音さんが僕を見て驚いたように言った。

 

「あ~、それは明久くんが望んだことだから~・・・・・・・」

 

「あぁ。なるほどね・・・・・・。とにかく上がって、真奈美は明久君を恵衣菜の部屋に連れていってあげて」

 

「うん」

 

僕が唖然としているなか、坦々と会話が進み僕は何時の間にか恵衣菜の部屋にいた。

 

「それじゃあ、私は下にいるから何かあったら呼んでね」

 

「あ、うん。わかった母さん」

 

そう言うと母さんは僕を一人、ベットで寝ている恵衣菜とともに残して下に降りていった。

 

「恵衣菜・・・・・・」

 

恵衣菜の部屋は何時もの明るさがなく、暗く、真っ暗闇だった。カーテンも締め切られていて明かりはカーテンから入るほんの少しの光源だけだった。

僕は部屋の電気を付けて、ベットに横たわる恵衣菜の側に車椅子を操作して近寄る。

恵衣菜の眠るベット脇に寄ると、僕は恵衣菜の長い黒髪

に触れる。

 

「ごめんね恵衣菜・・・・・・心配かけたよね・・・・・・。僕はここにいるから」

 

そう静かに呟くように言うと、恵衣菜の手を優しく握る。

恵衣菜の手は仄かな温かみがあるが、すこし肌が冷たく感じられた。

そう感じ取っていると。

 

「・・・・・・・・・・ん」

 

「恵衣菜?」

 

恵衣菜の身体がピクンと、すこし動いた気がした。

恵衣菜を見ると、恵衣菜は安らかな寝息を立てて、布団越しでも分かる豊かな双丘が上下に動いていた。

気のせいかと思ったその瞬間。

 

「・・・・・・・・・・」

 

握っていた恵衣菜の手が動いたのだ。

それと同時に、恵衣菜の眼から一筋の涙が垂れてきた。

 

「恵衣菜!僕だよ!」

 

呼び掛けると、さらに反応が返ってくる。

やがて、閉じられていた瞼がゆっくりと開き、眠け眼の瞳をして恵衣菜が目を覚ました。

パチリと、瞼を閉じたり開けたりしてゆっくりと、恵衣菜は僕の方を見てきた。

僕を見た恵衣菜は仄かな温もりの微笑みを浮かべて言った。

 

「明久・・・くん・・・・・・?」

 

「うん。そうだよ、僕だよ、恵衣菜」

 

僕を認識したのか恵衣菜は右手を上げて、僕の頬に手を当てた。

 

「よかった・・・・・・明久くん・・・・・・・生きてるよね」

 

「うん。生きてるよ、恵衣菜」

 

「うん・・・・・・感じるよ、明久くんの温かさ・・・・・・。明久くんが生きてる証・・・・・・だね・・・・・・」

 

「恵衣菜」

 

恵衣菜は上体を起こすと、そのまま車椅子に座る僕の胸元に抱き付いてきた。

 

「よかった・・・・・・よかった、明久くんが生きていてくれて・・・・・・嬉しい」

 

「うん、僕も恵衣菜が目を覚ましてくれてよかったよ」

 

僕も恵衣菜に優しく抱き締め返した。

そしてその空間は眠り姫(恵衣菜)の目覚めによって、闇から光へと変わっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

30分後

 

 

 

「ねぇ真奈美・・・・・・」

 

「なにかしら花音ちゃん」

 

「これどんな白雪姫、って言いたいのだけど」

 

「奇遇ね。私もそう思っていたところよ」

 

恵衣菜の部屋に入ってきた母さんと花音さんが僕と、真姫の母親、朱梨さんに見てもらっている恵衣菜を見てそう言った。というか、母さんたちの言っている意味がわからない。僕は母さんと花音さんの話を耳に疑問符を浮かべていた。

僕がそんな考えをしていると。

 

「朱梨ちゃん、どう?」

 

「特に異常はないわね。意識もハッキリしているし、後遺症もないわ」

 

「そう。よかった。ありがとうね朱梨」

 

「気にしないで花音」

 

母さんたちがそんな会話をしていた。

 

「ところで、さっき花音が言ったこれどんな白雪姫、なんだけど・・・・・・ある意味その通りかもしれないわね」

 

「だよね」

 

「うん」

 

母さんたちがなんか落胆したように話してるけどどうかしたのかな?僕は視界の端に見える母さんたちを見てそう思った。

 

「恵衣菜、大丈夫?」

 

「うん。大丈夫だよ。それより明久くん、ここにいてもいいの?」

 

「あー、西木野先生から一応許可は貰っているんだけど・・・・・・」

 

「そうなの?でも、聞いた話だと明久くんも数時間前に目覚めたばかりじゃないの?」

 

「うっ・・・・・・そ、それはそうですが」

 

「もぉ、とにかく・・・・・・・私は大丈夫だから、明久くんは病院に戻ってゆっくりして」

 

「でも・・・・・・」

 

「大丈夫だよ。お母さんもいるし、それに隣には零華ちゃんもいるから」

 

「うぅ・・・・・・」

 

「明日病院に行くから、ね♪」

 

「うん・・・・・・」

 

僕はしぶしぶ、恵衣菜にそう返事をした。

すると、恵衣菜が小悪魔めいた笑みを浮かべながら僕の耳元に近寄ると。

 

「元気になったら、またヤろうね」

 

そう小声で言ってきた。

 

「え?!ちょっ!え、恵衣菜さん!?な、なにを言っているんですか?!」

 

「フフフ」

 

慌て狼狽える僕に、恵衣菜は面白そうにクスクスと笑った。

そして、それを見ていた母さんたちはなぜか遠い眼をしていた。何故!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

 

 

あのあと姫宮家から西木野病院の僕の病室に戻った僕は、西木野先生から簡易的な検査を受け、明日の予定を聞かされ、五日ぶりに食べる夕飯を食べ床についた。

午前中はMRI検査やら運動検査、知能検査やらをして終わり、午後は病室でゆっくりと過ごしていた。

その時間も過ぎ、午後16時近くになると、零華や恵衣菜、穂乃果、海未、ことり、つばさが制服姿でお見舞いに来てくれた。恵衣菜は今日は学校は休み私服だ。だが、明日からは普通に登校するそうだ。

そんなこんなで楽しく今日あったことやらを話しているその最中。

 

"トントン"

 

病室の扉がノックされた。

 

「誰だろう?」

 

「坂本くんたちは今日は来れないって言っていたけど・・・・・・」

 

「じゃあ絵里たちでしょうか?ですが絵里たちなら私たちと来るはずですが・・・・・・・」

 

「あんじゅと英玲奈は予定あるって言っていたわよ?」

 

西木野先生やこの病院の関係者ならノックしてなにか言ってくるはずだが、今されたノックのあとにはなにも聞こえない。母さんたちならノックしたら普通に入ってくるし、零華たちも思い当たる人物がないそうだ。

考えていると、再度扉がノックされた。

僕は少し考えたあと。

 

「どうぞ」

 

入室を許可した。

 

「失礼します」

 

声とともに入ってきたのは一組の大人の男女だった。

思い当たる人物がなく悩みながら恵衣菜たちを見ると、恵衣菜たちも首をかしげていた。

どうやら恵衣菜たちの知り合いではなさそうだ。

入ってきた男女に警戒心を出しながら尋ねた。

 

「あなた方はどちら様ですか?ここの病院関係者・・・・・・ではないですよね」

 

警戒しながら聞くと。

 

「私たちは清水三春の・・・・・・母と父です」

 

女の人がそう畏まったように言ってきた。

 

「は?」

 

今言った言葉に僕はつい声に出してしまった。

恵衣菜たちも、は?って感じだった。唯一つ、つばさは清水三春がどんな人間なのか知らないため首をかしげていた。

 

「それでその清水さんのご両親がなんのようでしょうか?」

 

「此度のことについて謝罪に参りました」

 

「謝罪?」

 

「はい」

 

「謝罪の前に聞きたいことがあるんだけど」

 

「な、なんでしょうか」

 

「なんで僕が入院している病院が分かったんです?」

 

「そ、それは、聞いたので」

 

「誰から?」

 

「そ、その、文月学園の学園長から」

 

「・・・・・・零華、お祖母ちゃんに電話して」

 

「うん」

 

僕は零華にお祖母ちゃんに裏付け確認を取るため、連絡をするように言った。

その5分後、零華は僕にお祖母ちゃんから聞いたことを教えてくれた。

 

「ふうん。ありがとう、零華」

 

「ううん、大丈夫だよお兄ちゃん」

 

「さて、今学園長に確認をとりましたが、あなた方には教えてない、そうらしいですけど。どういうことですか」

 

「そ、その、それは・・・・・・」

 

おどおどしている清水三春の母親は顔を青ざめていた。そこに、母親の隣に立ちさっきから腕を組んで黙っていた清水三春の父親が喋った。

 

「ふん、貴様が吉井明久か・・・・・・・なるほど、観察処分者らしいバカなヤツだな」

 

「「「「「「は?」」」」」」

 

「・・・・・・・・・・どういう意味ですか」

 

「ふ。言葉の意味通りだ。貴様はバカだなと言うことだ」

 

汚物を視るような視線で清水三春の父親は僕をみてきた。やがて、その視線は恵衣菜たちに向いた。

 

「なんですか、人をジロジロと見てきて」

 

僕は嫌悪感を示しながら聞く。

 

「貴様に答える義理はない」

 

「は?」

 

清水三春の父親の言葉に僕は冷たい声を発した。

恵衣菜たちも清水三春の父親を睨み付けていた。

 

「そもそも、わたしたちの娘がああなったのは貴様らのせいだろ。それはどうするつもりだ?」

 

「なにをいってるんです?」

 

正直この人がなにを言っているのかわからない。

それは僕もだし恵衣菜たちもだ。つばさも理解できないって感じだ。

 

「貴様のせいで三春はああなってしまったんだ、貴様さえいなければな!」

 

「あ、あなた、それは・・・・・・・」

 

隣にいる清水三春の母親が宥めるが清水三春の父親は聞く耳を持たない。

 

「なぜ、わたしたちが貴様のために医療費などを出さねばならないのだ。むしろこっちが被害者だろう」

 

もうなに言ってるのかわからない。というか迷惑極まりないんだけど。そう思っていると。

 

「ちょっと待ってください」

 

「なんだ」

 

海未が険しい顔をしていた。

っていうか、海未だけじゃなくて零華に恵衣菜も穂乃果もことり、つばさもしているし。

 

「なにあなた方が被害者ぶってるんですか?被害者は明久ですよ」

 

「しるかそんなの。自業自得ではないか」

 

そう言う清水三春の父親。

そんなところへ。

 

「へぇー。明久くんが刺されたのは自業自得なんだ~」

 

冷たい、よく響く声が扉から聞こえてきた。

 

「母さん?」

 

そこには母さんが能面のような顔をして立っていた。そしてその後ろには西木野先生がいつもの優しい顔ではなく、険しくきびしい表情をして立っていた。

 

「お母さんから聞いたときはなんの冗談かと思ったけど、まさか本当にいるなんてね~。しかも、私がいないのをいい気に子供たちを罵倒するなんて・・・・・・随分なことだね~~」

 

「「っ!」」

 

その瞬間、母さんから清水三春の両親に向かって絶対零度や地獄の最下層コキュートスを彷彿させる、純粋な氷の殺気が送られたのを感じた。

 

「あんたたちの会話はすべて録音済みです。僕は明久君の主治医として今言わせてもらいますけど、明久君は刺された場所があと数ミリ外れていたら死んでいたかも知れなかったんですよ?それを自業自得とは・・・・・・あなたは最低ですね」

 

今聞かされた衝撃の言葉に、僕たちは言葉を失った。ただ、母さんは知っていたらしく、さらに表情を怖くした。

 

「さて、今回のことで私たちはあなた方を訴えます。まあ、あなた方に勝ち目はありませんけど無駄な足掻きをしたらどうですか?言っときますけど、あなた方の娘のことも含まれてますから。私たちを怒らせてこれで済むとは思わないことね」

 

母さんは般若の面を被ったかのようにニコォ、と笑った。その姿に西木野先生は苦笑いを浮かべ、清水三春の両親はガタガタと震えていた。

けど、これで僕は許せるほど人間できてないんだよね。

 

「母さん、ちょっといい?」

 

「なあに明久くん?」

 

「この人たちに言いたいことあってね。最初は謝罪に来たとか言ってたけど、謝罪もなにもないし。それにこの人たち、零華たちを侮辱した」

 

そう言うと同時に、僕は母さんが出した殺気に劣らないほど濃密な殺気を出した。

 

「僕の大切な妹と幼馴染みを・・・・・・大好きなみんなを侮辱して、許せると思う?」

 

雰囲気の違う感じに気付いたのか清水三春の父親は脂汗を掻いていた。

 

「しかも人のことジロジロと見てきて・・・・・・正直、鬱陶しいんだよね。それに、どうせ零華たちの後を着けてここに来たんでしょ?それに、清水三春に関しては僕は全く関係ないんだよね。向こうからやって来たんだし。それで被害者ぶるなんて・・・・・・・・・・調子に乗るなよテメェら」

 

口調が荒くなるほど僕は今ぶちギレていた。

 

「いい大人がこうも醜いとはね。子は親に似るって言うけど本当だね。まあ、僕から言いたいのは・・・・・・さっさと出ていけ。二度と顔を見せに来るなし僕らに関わるな」

 

そう言うと僕は殺気を収め、母さんに視線を見やる。

 

「あとのことお願い母さん」

 

「ええ。それじゃ、真吾くんお願いしてもいいかしら?」

 

「ええ。それに丁度来たようですしね」

 

病室の外から来た男性職員が清水三春の両親を囲むと、そのまま引っ張って連れていった。

 

「じゃあ私たちは失礼するわね。みんなも遅くならないうちに帰るのよ」

 

そう言うと母さんは先生と一緒に病室から出ていった。

 

「ふぅ。あれが清水三春の両親なら清水三春のあの性格も納得できるかな?」

 

母さんたちが出ていったあと、僕は今の人たちのことを思い出してそう呟いた。

そう思っていると恵衣菜が声をかけてきた。

 

「あ、あのね、明久くん」

 

「なに恵衣菜?」

 

なんだろう、恵衣菜だけじゃなくて穂乃果たちも顔が赤いけど?

 

「あ、明久くん、い、今から言うことちゃんと聞いてね」

 

「あ、うん」

 

なんだろうと首をかしげていると。

 

「えっと、私、高坂穂乃果は明久くんのことが異性として大好きです!」

 

穂乃果が急にそう言ってきた。

 

「へ?」

 

理解できずについ間抜けな声を出していると。

 

「お、同じく、わ、私、園田海未も明久のことが異性として、だ、だだだ、大好きです!」

 

「私も!南ことりも異性として明久くんのこと大好きです!」

 

「わ、私も。綺羅つばさもみんなと同じで異性として明久くんのこと大好きよ!」

 

立て続けに海未、ことり、つばさがそう言ってきた。

え、これって告白?一体どういう状況!?

そう脳裏に思い悩ましていると。

 

「あ、あのねお兄ちゃん。私も異性としてお兄ちゃんのこと大好きです!」

 

零華かまでも言ってきた。

 

「へ?え?えっ!?えええっ!?」

 

恵衣菜を見てようやく理解できた僕は、院内中に響き渡るのではないかと言うほどの驚きの声を上げたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 










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