~前回の奏で繋ぐ物語~
明久)ついに目覚めた僕!まさか五日も経っているなんて驚いたよ。まあ、みんながお見舞いに来てくれたのは嬉しかったね。けど、まさかあの清水三春の両親もああなんて・・・・・・母さんがいてくれて助かったよ。それに、零華、穂乃果、海未、ことり、つばさに告白されるなんて・・・・・・。いったいどうすればいいの!!?
~明久side~
「・・・・・・・・・・」
「おーい、明久?」
「もしも~し、起きてますか~?」
「ハッ!あ、ごめん絵里、希。ちょっともの更けていたよ」
絵里と希の心配する声に、ようやく僕は自分が音ノ木坂学院の生徒会室に二人といることを思い出した。
「大丈夫なの?まだ無理しない方が・・・・・・」
「大丈夫だよ。それにあと少ししかここに通えないからね。残りの時間を無駄にはできないよ」
そう、僕と恵衣菜は本来は文月学園所属。音ノ木坂学院には限定的で、今学期が終わるまでという条件で通っているのだ。そしてその期限終了までもう二週間を切っていた。
「それにしても今日は大変だったわね」
「あはは、大変ごとは慣れているつもりだったんだけどね・・・・・・」
目覚めてから僅か3日で退院し、その翌週の月曜。今日から再び登校したのだが、学校につくなりクラスメイトだけでなく音ノ木坂学院の生徒ほぼ全員から心配されたのだ。今は放課後で一息つけるが、放課後になるまではそれは大変だったのだ。
「それだけ明久くんがみんなから心配されてるって事やん」
「あはは。まさか一ヶ月ちょっとしかここで過ごしてないのにみんなから心配されるって思わなかったからね」
「まあ、明久はμ'sの一員、ってことで音ノ木坂の生徒間で有名だから」
「それに文月学園の二年生序列一位やし、恵衣菜ちゃんや零華ちゃんで目立ってるしなぁ」
「そ、それを言われると何も言い返せないよ」
希の面白そうなものを見つけた表情で言う言葉に苦笑を浮かべながら返した。
「それにしても復帰して早々大変ね」
僕の手元にある書類を見て絵里は同情するように言った。
「まあ、お祖母ちゃん・・・学園長から頼まれたことだし。これやらないと音ノ木坂学院で学んだことにならないからね」
僕の手元にある書類は音ノ木坂学院での試験召喚システムに対するレポートなどだ。これにより、僕と恵衣菜の音ノ木坂学院での生活が文月学園に単位として認定されるのだ。あとは、これからのシステム面についても兼ねてある。
「藤堂カヲル学園長先生ね・・・・・・」
「そう言えばエリチ、藤堂学園長に何か言われてへんかった?」
「え?・・・・・・ああ、あれね」
「?お祖母ちゃんになにか言われたの?」
「なにか言われたの、って言うか聞かれた、って言った方が良いかしらね」
「?聞かれた?」
「ええ。どうやら藤堂学園長は私のお祖母様とお知り合いらしいの」
「えっ!?そうなの!?」
「ええ。私も気になってお祖母様に聞いてみたの。そしたらお祖母様が音ノ木坂学院に通っていた頃の古くからの友人だって仰ってたわ」
絵里の言葉に驚きながらお祖母ちゃんが音ノ木坂学院出身だと言うことを思い出す。
そう思い出していると。
「それで、明久くんはなにを悩んでるん?」
「え?」
希がタロットカードの背を見せて言ってきた。
「カードが告げてるんや。明久くんはなにか悩んでる、ってな」
「さ、さすが希と希のスピリチュアルパワー・・・・・・」
希の的確な悩んでいるという言葉に唖然としながら返す。
「もしかして穂乃果たちの様子がおかしいのもなにか関係あるのかしら」
「あ~、え~と、その~・・・・・・」
僕は絵里の言葉に穂乃果たちに告白されたと言うことを二人に相談するべきか否か悩んでいた。
「まぁ、明久くんがはなしとおないのやら無理には聞かんよ」
「それもそうね」
さすがμ'sのお姉さん係二人だと思った。
「さすがμ'sのお姉さん係二人・・・・・・」
「お、お姉さん・・・・・・!?///」
「きゅ、急にそんなこと言われても・・・・・・///」
「あ、あれ・・・・・・?」
希と絵里の顔が赤いことに疑問を持ちながら見て、思い返す。
「も、もしかして声に出していた・・・・・・?」
「「・・・・・・」」
恐る恐る二人に聞くと、二人はコクりとうなずいた。
「~~っ///!」
絵里と希の返しに思いっきり気恥ずかしくなった僕は、無言の悶絶状態になった。
するとそこへ。
「明久くん、提出する書類の方終わりそう・・・・・・・って、どうしたの?」
「あ、恵衣菜ちゃん」
書類を片手に恵衣菜が部屋に入ってきた。
「希ちゃん絵里ちゃん、これ一体どういう状況?」
「あー、なんていうか」
「あはは」
「???」
一人悶絶している僕に恵衣菜は不思議そうに見て、絵里と希に尋ねた。
「ところで恵衣菜は明久が何悩んでるか知ってるのかしら?」
「え、ええと、一応知っているよ」
「あ、やっぱり恵衣菜に関係することなのね」
「いや~、私だけじゃなくて、穂乃果ちゃんたちもなんだよね」
「どういうことなん?」
「いや~、なんといいますか~、まあいろいろあるんだよ」
恵衣菜は僕の隣に座りながら、僕の背中を擦って苦笑いを浮かべて返した。
「「???」」
絵里と希は相変わらず頭にハテナを浮かべて僕と恵衣菜を見てきたのだった。
「恵衣菜~、どうしたらいいの~」
今は音ノ木坂学院から穂乃果たちを家まで送ったあと恵衣菜と二人、家に帰ってる最中だ。二人だけなか僕は恵衣菜にそう聞いていた。
「いやいや、私に聞かないでよ明久くん」
「だって僕は恵衣菜と付き合ってるんだよ。それに零華のあれはアウト過ぎる気がするよ!」
「愛に兄妹とか関係無くないかな」
「そうじゃないよ~!」
僕は絶賛、穂乃果、海未、ことり、つばさ、そして零華からの告白に悩んでいたのだった。
「明久くんは零華ちゃんや穂乃果ちゃんたちのこと好きじゃないの?」
「いや、好きだけどさ。穂乃果たちも付き合うとなると六股になっちゃうじゃん!」
「私は別にいいよ?」
「いいの?!」
恵衣菜の即答に僕はついすっとんきょうな声で返した。
まさか恵衣菜公認とは思わなかったのだ。
「いや恵衣菜が良くても、母さんたちが何て言うか」
「あー、お母さんたちなら多分だけどオッケー、ってノリで言うんじゃないかな・・・・・・」
「な、なんだろう、母さんたちなら確かに言いそうかも・・・・・・」
母さんたちの性格を思い出して、僕は冷や汗を出しながら恵衣菜の言葉に肯定した。
というか絶対言いそう。
「あー、いや、でも・・・・・・あーー!僕はどうしたらいいの!」
僕は堪らず声を荒げた。正直こんな予測不能なこと処理できないよ。
「もう、いっそのことみんなと付き合っちゃえば?」
「え、恵衣菜がそれでいいならいいけど・・・・・・」
「って、それは私じゃなくて明久くん自身が決めないとダメだよ?ちゃんと、自分の意思で。もしかしたら絵里ちゃんや希ちゃん、真姫ちゃんも明久くんのこと好きかもしれないよ?」
「いや、さすがにそれは無いんじゃないかな?」
恵衣菜の言葉に真顔で答えると。
「はぁ。この天然フラグ落としで鈍感、朴念仁の明久くんめ・・・・・・」
恵衣菜が小さな声でボソボソ言っていた。
何か失礼なこと言われた気がするけど気のせいかな?
「ねえ、明久くん」
「なに恵衣菜?」
「明久くんは私が明久くんに告白した時のこと覚えてる?」
「そりゃあ、あんな告白忘れるということの方が無理だよ」
「あはは。そうだよね」
「うん。あのときは驚いたよ」
そう言って僕は過去を。恵衣菜が僕に告白してきた時の事を思い返した。
四年前 冬
「ゲホッ、ゲホッ!」
「だ、大丈夫、明久くん!?」
「うん、なんとかね」
冬の休日のある日。僕は妹の零華と一緒におらず途中で出会った恵衣菜と公園にいた。そして僕は恵衣菜の膝を借りて横になっていた。
「恵衣菜は大丈夫?怪我してない?」
「私は大丈夫だよ。明久くんが助けてくれたから」
「よかった」
僕が横になっている理由は、恵衣菜が複数の男からナンパ?されていたのを助けた際、男の攻撃を喰らったからだ。
「ごめんなさい明久くん。私のせいで・・・・・・」
「恵衣菜のせいじゃないよ。悪いのは向こうなんだから」
「でも・・・・・・。明久くんから貰ったこれも壊れちゃったし」
恵衣菜が恐る恐る見せたのは白銀と黒金の二色が交差する腕に着けるアクセサリー。リング型のブレスレットだった。だが、それは簡単には壊れないはずなのだが目の前にあるそれは所々歪んでいたり傷があったりした。そして、それは付け根の部分から二つに裂けていた。
「ホントだ・・・・・・」
「ごめんね。明久くんから貰った大切なブレスレットなのに」
僕はこのブレスレットを恵衣菜だけでなくて零華や穂乃果、海未、ことり、ツバサの幼馴染みたちにも渡していた。正確には幼馴染みの。僕たちの絆の証しとして、小学校のころに写真が入るペンダントと一緒にあげたものだ。まあ、母さんに協力してもらったものだけど。
「大丈夫だよ」
僕はそう言うと利き手の左腕に着けていた亜麻色と銀の入った恵衣菜たちと同じブレスレットを外し、それを恵衣菜の右腕に着けた。
「あ、明久くん?!これは明久くんの・・・!」
「うん。でも、恵衣菜に持っていてほしいんだ」
「わ、私に?」
「うん」
そう言うと僕は恵衣菜の膝の上から起き上がり、横に座り並ぶ。
「僕たちの絆はこんな風になっても絶対に直せる。まあ、こんな風に。僕たちがバラバラになるなんてこと絶対にないんだけどね」
僕は恵衣菜のブレスレットをハンカチで優しく包み込んで苦笑いに浮かべながら言った。
「そう・・・・・・だね・・・・・・」
「うん」
僕はそう言うとベンチから立ち上がり軽く伸びをした。
「行こう恵衣菜。今日はお泊まり会の日でしょ?」
そう言うと僕は恵衣菜に手を差し出した。
「うん!」
恵衣菜は僕の差し出した右手を掴むとベンチから立ち上がった。
「急がないと海未に怒られるかも・・・・・・。今回はことりのおやつにされないといいな~」
そう苦笑ぎみに言いながら恵衣菜の手を握り歩きだそうとすると。
「明久くん」
「ん?なに?」
恵衣菜に呼ばれて振り返った。その瞬間。
「ん・・・・・・」
「んん・・・・・っ!!??」
恵衣菜が僕の口にキスをしてきた。
とっさのことに驚いていると。
「・・・・・・・・・・あのね明久くん。私、明久くんのことが好き!異性として・・・・・・一人の女の子として明久くんのことが大好きです!そ、その私で良かったから付き合ってくれるかな・・・・・・・・・・」
恵衣菜が顔を夕陽のように赤くして告白して。
「え、恵衣菜・・・・・・」
「あ、明久くんの迷惑だったら断ってくれても・・・・・・・・・・」
「ん・・・・・・」
「んっ・・・!」
恵衣菜の言葉を遮って、今度は僕から恵衣菜にキスをした。
「あ、明久くん・・・・・・」
「そ、その、恵衣菜が僕でいいなら・・・・・・」
「そんなことないよ、明久くんじゃないとダメなの・・・・・・!」
「えっと、その・・・・・・。僕も恵衣菜のこと好きです。僕で良かったら付き合ってくれませんか・・・・・・?」
「~///!はい!喜んで!」
今
「あの時から僕と恵衣菜は恋人になったんだよね」
4年前の冬の出来事を思い出してそう呟いた。
あの時の壊れたブレスレットは大半は僕が直したけど、フレームとかは母さんと父さんが直してくれたお陰で今は僕の部屋の机の上に置いてある。幼馴染みで出掛けるときに付けていっている。
「うん。あの時明久くんが承けてくれるか不安だったんだ。私のこと嫌いじゃないか心配で・・・・・・。女の子として見てくれてないんじゃないかって思ってたんだ」
「僕が恵衣菜のこと嫌いなわけないじゃないか。幼い頃からずっと一緒に居たんだから」
「そう言ってくれると嬉しいな。それにね、あの時明久くんに告白したのにはねもう一つ理由があったんだ」
「理由?」
「うん。明久くんが周りの人に盗られないようにするためなんだ」
「?どういう意味?」
「ふふ。明久くんを私は独占する気はないって言ったでしょ?」
「うん」
「だから、私がいれば穂乃果ちゃんたちも一緒にいられるから。私は自分の意思で明久くんのことを好きになったし、自分の意思で穂乃果ちゃんたちにも明久くんと付き合ってほしいんだ」
「・・・・・・・・・」
「もしかして怒っちゃったかな」
「ううん。恵衣菜の考えに驚いただけだよ。そんなので怒らないよ」
少し驚きはしたが、恵衣菜の瞳が真剣だったから僕は微笑んで返した。
「だから、私個人としてはみんなと付き合ってもいいよ。むしろ、付き合ってほしい。みんな私と同じくらい明久くんの事が好きだから」
「恵衣菜・・・・・・」
「決めるのは・・・・・・」
そう言うと恵衣菜は僕の前に立ち止まって言った。
「―――明久くん自身だよ」
「僕自身・・・・・・」
「そう。私の意見や周りの人の意見じゃなくて明久くん自身の意思」
「・・・・・・・・・・」
「周りの人がなんだって言うの?法律とかそんなのに人を・・・・・・大好きな人を愛するのにルールなんて。規則なんて知らない。どうだっていい!すべてを無視しても、信じるのはただ一つ、自分の想いだけ。それだけには嘘をつかないでほしい・・・・・・。私はそう思うんだ」
恵衣菜の言葉に返す言葉もなく、僕はただ呆然と立ち尽くす。
頭の中で思い出すのは、零華、穂乃果、海未、ことり、ツバサ。僕にまっすぐに告白してきた妹と幼馴染みだ。
今までの時間が走馬灯のように思い上がってくる。そして、それと同時に自分の気持ちも。
「ああ・・・・・・そっか。そうだよね」
「明久くん?」
「ありがとう恵衣菜。決めたよ。僕の・・・・・・僕自身の出した零華たちへの答えを」
「そっか・・・・・・」
「うん。もう僕は自分に嘘をつかないし抑えない。僕は恵衣菜も・・・・・・零華も穂乃果も海未もことりもツバサもみんな好きなんだ。この気持ちの好きはLIKEじゃない、LOVE・・・・・・。恵衣菜と同じことなんだ」
そう静かに呟くと、僕は目の前に立つ恵衣菜を見る。
「ありがとう恵衣菜。恵衣菜に言われなかったらずっと答えを見いだせなかった。本心になれなかった」
「どういたしましてかな?決めたのは私じゃなくて明久くんなんだから」
「そうだね」
僕は恵衣菜の目を見てそう返すと、今までの揺らいだ瞳じゃなく決意の。今までの瞳に戻した。
「帰ろ恵衣菜。今は僕たちの家に」
「ええ!」
そう言って僕は恵衣菜と手を繋いで、夕陽を背中に頭上にはチラチラと星が覗く空の中家に帰った。
その夜、僕は零華、穂乃果、海未、ことり、ツバサにメールを送った。一緒に住んでいる零華にも口頭ではなくメールで伝えたのはその方がいいと思ったからだ。
メールにはこう書いて送信した。
『明日の放課後、僕らの思い出の公園に来てほしい。みんなへの答えを決めたから』
と。
次回 『The Answer』 GO to The Next LoveLive!