~明久side~
「―――
総合科目
二年一組 吉井 明久 A 3767点
B 3767点
「さあ、いくよ!」
新たに現れた、もう一体の僕の分身たる召喚獣とすでにいた召喚獣、合計2体を目の前にいる音ノ木坂生たちに向ける。
「っ!全員、攻撃開始!ここで明久を撃破するのです!」
『『『『『おおーーーっ!』』』』』
海未の号令に廊下にいる音ノ木坂の女の子たちは声を上げ、召喚していた召喚獣を僕に向けてきた。
「甘いよ!」
一直線に突っ込んできた二体の召喚獣を軽く横にかわして避け、そのままカウンターアタックで二体の急所に剣を突き刺して点数をゼロにする。
「そんな!」
「うそ!」
点数をゼロにされ戦闘不能になった召喚獣の操作者が声をあげる。
「一気に突破してやる!」
時間を確認して、僕はそう口走った。
「この人数を突破できるとでも!」
「突破できるとでもじゃないよ海未。―――突破するんだ!」
海未にそう言うと2体の召喚獣を巧みに操作して次々と戦死者の召喚獣を出す。遠距離からの攻撃を横に避けたり、弾く、また切り裂いて対処し、目の前の敵をそれぞれ相手させる。
「いったいどうやって2体の召喚獣を操作してるの!?」
絵里の声が廊下に響き渡る中、僕は意識の半分を召喚獣操作に向けていた。
「(やっぱり数が多い!《事象改変》の全解放はここでは使いたくないし・・・・・・)」
恵衣菜との戦闘もある以上、奥の手はここでは使いたくなかった。まあ、希にはやむ終えなく使ったけど。
僕は意識のもう半分で考えながら対策を取る。
「(残りの音ノ木坂生は海未たちも入れて約25人。時間もあまり残ってないし・・・・・・短期決戦で行かないと)」
この試験召喚戦争には一応時間制現がある、それは今日の午後3時まで、ということだ。時間制現を越えた場合、その勝利は恵衣菜たちになる。僕の勝利条件はただ一つ、恵衣菜を撃破することのみ。
そう思いながら2体の召喚獣を操作してると。
「っ!」
「さすがですね明久。ですが、2体の召喚獣を同時操作は未経験なのでしょう。動きが鈍っていますよ!」
海未の召喚獣が僕の召喚獣に的確に急所を狙ってきた。
しかも今の弱点も見透かされた。
海未の言うとおり、この腕輪。"白銀の腕輪"を起動させたのは今日が始めてだ。以前、≪清涼祭≫の召喚大会で優勝したときの商品の一つで、この腕輪は以前不具合があり暴走する危険性があり、僕と恵衣菜は優勝商品の腕輪を一旦開発者の学園長であるお祖母ちゃんに渡し、僕の腕輪はこの試験召喚戦争が始まる前に渡された物だ。
お祖母ちゃん曰く、この白銀の腕輪―――同時召喚は調整はしたが現状使えるのが僕だけらしい。理由は脳の過度の行使に他の人は耐え切れられないのと、2体の召喚獣を同時操作するのは難しい、とのことかららしい。しかし僕の場合は脳の過度の行使は、《事象改変》の全解放などで耐性が付き、同時操作に関しては思考操作速度と観察処分者としての召喚獣の操作技術随一だからそうだ。
もっとも、同時操作とは一つの脳で複数のことを考えなければならなく始めて使った僕も操作が難しいと感じていた。その証拠に、わずかだが召喚獣の動きにブレがある。しかしこのブレもほんの僅かなもので普通なら分からないほどだ。だが、しかし、召喚獣と言うのは自分の分身。昔から、幼い頃からずっと一緒だった幼馴染みには分かってしまうのだ。そう、今海未が言ったように。
「絵里!真姫!左の、Bの明久の召喚獣をお願いします!私はもう片方の方を仕留めます!」
「わかったわ!」
「まかせて!」
「ことり、後方から支援をお願いします!」
「うん!」
「穂乃果は明久の召喚獣の足止めを!」
「やってみるよ!」
「他の人も、少しずつ明久の召喚獣にダメージをお願いします!」
「了解!」
「オッケー!」
「わかりました!」
海未の指示により、現状の音ノ木坂生の戦力の半分、絵里や真姫の召喚獣が僕の召喚獣のBの方に、海未や穂乃果、ことりたちの召喚獣はAの召喚獣の方に攻撃をしてきた。
「くっ!まずい!」
さすがに不馴れなため、単一ではなく複数の指示を2体の召喚獣にそれぞれ個別にするのは難しく、まさに籠の中の鳥のような感じだった。
「(まずいね・・・・・・)」
2体の召喚獣をそれぞれ背中合わせにして武器を構える。
「(・・・・・・まてよ。なにもそれぞれ個別に指示を出す必要は無いよね・・・・・・。なら・・・・・・一か八かやってみるか!)」
とっさに奇策を思いつき一か八かやってみることにした。
「どうしました?動きを止めたと言うとは観念したと言うことでしょうか?」
「ううん。僕は諦めないよ海未。最後の最後まで足掻いて足掻いて、足掻き続ける!この試召戦争に負けようが勝とうがそんなことどうでも良いけど、僕は最後の最後まで絶対に、諦めない!」
「ふふ。あなたらしいですね。では―――」
海未のその声に僕の召喚獣2体を囲む、音ノ木坂生の召喚獣は構えをとった。
「―――覚悟です、明久!」
海未の声に合わせて放たれた海未の召喚獣の矢が一直線に、僕の召喚獣の急所を狙ってきた。そしてそれと同時に遠距離からの攻撃の雨が降り注いできた。
海未たちの召喚獣の攻撃が僕の召喚獣に当た―――
「なっ!?」
「そんなっ!」
「アリエナイ!」
―――
「ふぅ。一か八かやってみたけど―――最初からこうすれば良かったね」
僕の2体の召喚獣は降り注ぐ遠距離からの攻撃をひたすら避け続けていた。紙一重で避けることもあるが、脚は止まってなかった。
「なんで当たらないの!?」
「どういうこと!?」
「だ、誰か吉井君のもう一体の召喚獣を操作してるんじゃないの!?」
「そ、そんなはずないわ!あの動きはどう見たって私たちには無理な動きよ!」
驚きと戸惑いの声が上がりながらも、遠距離からだけでなく近接戦闘も含まれる召喚獣との戦闘をただひたすら僕の2体の召喚獣は避け続ける。
僕が召喚獣に出している命令はただ一つ。"攻撃を躱し続けろ"と言うことだけだ。実にシンプルで単調だ。
「くっ!各自、近くの人と協力してください!」
海未が慌てて指示を出すが。
「遅いよ海未!」
僕は召喚獣に新たな指示を出す。
指示を出すと。
「きゃあっ!」
「そんなぁ!」
「うそでしょ!」
「いつの間に接近されていたの!?」
「え!?うそ!?」
近くにいた召喚獣を次々と攻撃して戦闘不能にさせる。
「にゃあ!?」
「り、凛ちゃん!」
「花陽、危ない!」
「え!?」
「花陽!・・・くっ!ここまで実力が違うというの?!」
「っ!絵里、後ろよ!」
「にこ!」
それは一方的な蹂躙とも言えるだろう。
凜の召喚獣を一刀両断で切り裂いて点数をゼロにしてその後ろにいた花陽の召喚獣を横凪ぎに切り払って点数をゼロに。もう一体の召喚獣には絵里の召喚獣に攻撃するが、間髪入れずに、にこの召喚獣が間に入り、召喚獣の剣を受け止める。
「残り8人・・・・・・」
僕が召喚獣に出した指示は簡単だ。
"目の前の敵を撃破せよ"。ただそれだけを指示した、細かい動作は観察処分者としての操作技術のお陰でなんとかなってた。
「そんな・・・・・・ここには残りの音ノ木坂生三十人弱いたんですよ!?しかもほとんどの人が高得点持ちなのに!」
一気に人数が減ったことに信じられないものでも見たのか海未はそう口走った。
「まあ、それは経験の差ってことで」
「それを言われると納得してしまうのですが・・・・・・」
「確かに・・・・・・」
「反論できないわね・・・・・・・」
「なんとも言えないね・・・・・・」
僕の言葉に海未、絵里、真姫、ことりらが納得したようにうなずいて答える。周囲の音ノ木坂生も、あ~って感じで納得していた。
て言うか経験の差でも流石にこれは僕だからできたことだと思うけど。
「海未たちの召喚獣の攻撃をかわせた理由は単純だよ。ただ、一つだけ指示を出しただけ」
「指示を一つだけ出しただけ、ですか?」
「うん」
僕の言葉に、海未は考え込むようにしながら僕の言葉の意味を探る。
僕の言葉の意味に答えたのは。
「なるほど、指示を単純化しただけ。・・・・・というわけね」
「正解だよ絵里」
「どういう意味絵里?」
「海未ちゃん・・・・・・?」
「・・・・・・なるほど。そういうことですか」
「海未もわかった?」
「はい。明久は2体の召喚獣に同じ指示を出したんですね」
「同じ指示?」
「ええ。さっきの私たちの攻撃を、明久は2体の召喚獣にただ躱すことだけを指示したのよ。反撃とかそんなの考えないでただ避けるだけ」
「その通り。そもそも2体の召喚獣を一人で操作するなんて難しいんだ。さっきまで僕は2体の召喚獣それぞれに個別の指示を出していたけど、さっきの行動はただ避けるだけ。目的を集中すれば、召喚獣は僕の指示通りに動いてくれる」
基本、人間が一つの脳で二つのことを同時に行うと必ずどこがブレる。それは単純に脳から発する指示のパルスが行き渡ってないから。極限の集中力があれば可能だろうけど、それは難しい。そして、召喚獣は僕の分身の通り、指示は脳から行う。2体の召喚獣でそれぞれに指示を出すから頭が混乱し、十全なパフォーマンスが発揮されない。正直、今始めて2体の召喚獣を同時に使っているため、慣れてないことゆえパフォーマンスが本来以下になる。
なら、それをただ一つのことに『集中』すればどうだろう?
結果は――――。
「これで、終わりかな?」
「「「なっ―――!?」」」
一瞬の出来事に、反応できなかった真姫と絵里、にこの召喚獣を撃破し、残りは4人。目の前にいる、ヒデコ、ことり、穂乃果、そして海未だけだ。
「いくよ、4人とも」
「っ!ことり援護を!」
「う、うん!」
2体の召喚獣を交互に、入れ替わり攻撃させ点数を減らしていく。
海未の声にことりが海未と穂乃果、ヒデコの援護をしてくるが。
「まずはことり!」
「え―――!?」
目の前にいた僕の召喚獣を踏み台にして、ことりの召喚獣の背後に回り込んで点数をゼロにする。
遠距離からの支援をまずは最初に潰す。
「ことりちゃん!」
「穂乃果、来るよ!」
「次は穂乃果!」
そして、点数が減っているとはいえ近接戦闘の穂乃果の召喚獣をことりの召喚獣を倒した召喚獣が踏み台にした召喚獣で倒す。
「っ!」
「驚いたよ・・・・・・まさか受け止めるなんて」
しかし、その攻撃は微妙に勘のいい穂乃果の召喚獣の剣の腹で受け止められた。
「明久くんの動きはわかってるんだから!」
「うん。それは僕もだよ穂乃果。・・・・・・でもね穂乃果、僕の召喚獣はもう一体いるよ!」
「うっ!」
「大丈夫だよ穂乃果!」
「ヒデコの言う通りです!もう一体の召喚獣は私とヒデコが相手します!」
「!お願い二人とも!」
どうやらもう一体の召喚獣はヒデコと海未が相手するようだ。
ヒデコの召喚獣の武装は刀、海未の召喚獣の武装は弓。遠近のコンビだ。
「勝負だよ明久くん!」
「いいよ!掛かってきて3人とも!」
総合科目
二年一組 吉井明久 A 3218点
VS
二年一組 高坂穂乃果 1545点
二年一組 吉井明久 B 3131点
VS
二年一組 園田海未 4198点
葉桜ヒデコ 3084点
それぞれの召喚獣の点数が頭上に表示された。
「いくよ!」
「行きます!」
「行け!」
穂乃果たち3人の召喚獣は同時に動き出した。
穂乃果の召喚獣は剣を右上段からの袈裟斬りを、ヒデコの召喚獣は刀を両手で持ち横薙ぎに切り払ってきて、海未の召喚獣はヒデコの召喚獣を援護するかのように連続で僕の召喚獣の逃げ場をなくしてくる射撃をしてくる。
「はあっ!」
対する僕は穂乃果の相手をしている召喚獣に、左の剣で受け止め、足払いからの斬りを指示し、ヒデコと海未の相手をしている召喚獣には海未の召喚獣の矢を躱し、ヒデコの召喚獣の刀をステップで避ける指示を出す。
「やあっ!」
穂乃果の召喚獣は僕の召喚獣の足払いからの斬りをスクールアイドルとしての感覚か、リズムよくジャンプして躱し、横からの斬りをしゃがんでやり過ごす。
「やるね穂乃果!」
「へへん。これくらいならなんとかなるよ!」
穂乃果のなんとかなるよ、という言葉に少々呆れながらも攻撃の手を緩めない。正直、あのコンボをすべて防ぐというのは初心者にしては有り得ないことだ。まあ、さすがスクールアイドルμ'sということか。そう思いながら穂乃果の召喚獣の攻撃を避けていくが、少しずつ僕の召喚獣にもダメージを与えてきていた。
「なら、もっと早くいくよ!」
そういうと否や、穂乃果の召喚獣と相手している僕の召喚獣に立て続けに指示を出す。右横薙ぎからの返し、左上からの逆袈裟斬りからの切り上げ、足払いしてからの右突き。
「うわっ!」
対する穂乃果の召喚獣はギリギリのところで避けていくが、足払いのタイミングをミスしバランスが崩れ右突きの単発を受ける。そしてその後ろには。
「穂乃果!?」
もう一体の僕の召喚獣を相手していたヒデコの召喚獣の姿があった。
「ごめん!あれ、明久くんの召喚獣は!?」
ヒデコの召喚獣とぶつかり、床に倒れるがなんとか起き上がったところで僕の召喚獣がいないことに気づいて当たりを見渡す。
「穂乃果、上です!」
「上・・・・・・?」
海未の声に穂乃果と穂乃果の召喚獣が上を見上げると。
「ぜりゃあ!」
「うそ!?」
剣を振り下ろす状態で降りてきた僕の召喚獣に一刀両断され穂乃果の召喚獣は点数をゼロになった。
「穂乃果の弱点は周りに眼が往かないことだからね」
「うう~~」
戦場でのとっさの判断が生死を分ける。古来から戦場において伝わる言葉だ。当たりを見渡すだけじゃなくて、五感すべてを通じて感じ取ればこの攻撃は穂乃果にも避けられたと思う。
総合科目
二年一組 吉井明久 A 2843点
VS
二年一組 高坂穂乃果 0点
「残りは2人」
そう呟いて、残った2人。ヒデコと海未を見る。
「海未ちゃん、勝算はある?」
「この状態ですと、さすがに私たちが勝つ確率は30%もないかと」
総合科目
二年一組 吉井明久 B 2789点
VS
二年一組 園田海未 3561点
葉桜ヒデコ 2198点
そう表示されている三体の召喚獣のところに、穂乃果の召喚獣を撃破した僕の召喚獣も入れる。
点数が思った以上に減っているため、これ以上の減少は避けたいところだった。
「(合わせて5672点・・・・・・半分も減ってる。恵衣菜との対戦がやりにくいね)」
合計点数を暗算で処理し、恵衣菜との戦いを思案する。
「さて・・・・・・まだやる?二人とも」
「当然です」
「もちろん」
「明久が最後の最後まで絶対に諦めないのなら!」
「私たちだって足掻いて足掻いて足掻きまくってやるわ!」
息のあった2人の台詞にクスッと笑いを浮かべて。
「じゃあ・・・・・・やろうか!」
すぐさま僕の2体の召喚獣をそれぞれヒデコと海未の召喚獣に突撃させた。
「ヒデコ、援護します!」
「お願い海未ちゃん!」
ヒデコの召喚獣が刀の刀身の先を下に向けて地面すれすれに走りよってくる。
ヒデコの召喚獣が迫り来る僕の召喚獣は剣の鞘を腰に直して、鞘に剣を納め居合いの構えをとる。
「この一撃で決める!」
「受けてたつよ!」
「「はあああああっ!」」
互いの召喚獣が交差する瞬間に。
「「一閃っ!!」」
僕とヒデコの声が重なった。
剣の軌跡が一筋の軌跡となって輝いた。
一閃の軌跡が輝いたそのあと、片方の召喚獣が地面に付した。
「あ~あ。やっぱり負けちゃったか」
立っていたのは剣を抜刀した状態でいる僕の召喚獣だった。
総合科目
二年一組 吉井明久 A 2417点
VS
二年一組 葉桜ヒデコ 0点
「ナイスファイトだったよヒデコ」
ヒデコにそう言い、残った海未に視線を向ける。
「海未、いくよ!」
「くっ!」
ヒデコの召喚獣を斬り伏せた召喚獣とは別の、もう一体の僕の召喚獣が海未の召喚獣に迫っていく。
「このっ!」
矢を連続で射ってくる海未の召喚獣に向けて、ジグザグに動きながら躱していく。
ステップでリズムよく避け、高機動で動く。
海未の召喚獣も僕の召喚獣を近づけさせないように、動きつつ距離を取りながら射抜くがその距離が少しずつ縮まっていった。ちなみに、ヒデコの召喚獣を倒した僕の召喚獣はその場から動いてないです。
「まだです!」
海未の召喚獣は銃弾をばら撒くのと同じ様に矢を連射してくる。さらに海未にしては珍しく照準を合わせるのも省略して一本一本ではなく複数の矢を同時につがえて射ってくる。
「はあああああっ!」
雨あられのように降り注いでくる矢を僕の召喚獣は剣で裂きながら海未の召喚獣が剣の間合いに入るように接近し。
「っ!」
海未の召喚獣の構える矢が僕の召喚獣が接近しすぎて射貫けなくなったところに、僕の召喚獣が右肩から斜めに切り裂いた。
総合科目
二年一組 吉井明久 B 2283点
VS
二年一組 園田海未 0点
「ふぅ・・・・・・。
その場にいた音ノ木坂生全員を倒したことを確認し、僕は召喚獣の
「残った点数は4700点か・・・・・・。予想以上に減ったね」
まさかの5000点を下回り僕は苦笑した。そこへ。
「参りました明久」
「海未」
「勝てると思ったんだけどな~」
「やっぱり明久にはまだ勝てないということね」
「まさかこの場にいた音ノ木坂生全員を倒すなんてね」
「て言うか明久くん、音ノ木坂の生徒全員を倒したんじゃない!?」
「確かに・・・・・・」
「言われてみれば・・・・・・」
「やっぱり明久君は異常ってことね」
「ねぇ~」
「まったく歯が立たなかったもん」
海未をはじめとした、その場にいたことりや穂乃果、絵里たちがそれぞれ思ったことを言った。
「さて。恵衣菜はこの先よ明久」
「どっちが勝つのか楽しみにしてますね」
「うん。ありがとう、絵里、海未」
絵里たちに見送られて、召喚獣を消した僕は中央階段を目指して歩いた。
この時点で時刻は14時時30分。
中央階段にたどり着き、屋上を目指して階段を上る。
「・・・・・・・・・・」
階段の屋上へと続く扉を開け、初夏の掛かり掛けの夕陽が屋上を照らす。屋上に足を踏み入れ屋上を見渡すと、奥に
ゆっくりと、足音を立てて恵衣菜に近づく。恵衣菜との距離が10メートルを切ったところで。
「ついに来たね―――――明久くん!」
目を開け、空を見上げていた顔を僕に移す。
「お待たせ恵衣菜。約束通り・・・・・・来たよ」
「うん。・・・・・・明久くんなら来ると分かっていたよ。穂乃果ちゃんたちを倒したってことは明久くん、音ノ木坂学院の生徒全員を倒したってことだね。さすがだね」
「あはは・・・・・・」
「それじゃ・・・・・・・」
「うん・・・・・・やろう」
恵衣菜との戦闘前の会話を終わらせて僕と恵衣菜の間に火花が飛び散る。それは、最大の
「「―――
総合科目
二年一組 吉井明久 4700点
VS
二年一組 姫宮恵衣菜 11589点
点数差実に、約2.5倍。
圧倒的に不利な、試召戦争が始まる前の僕の点数に匹敵する程の点数に僕は冷や汗を掻く。
「いくよ、明久くん!」
「うん。いくよ、恵衣菜!」
召喚獣の点数を見て、僕と恵衣菜はそう言い合い。
「「はあああああああああっ!」」
それぞれの武装を構えて僕と恵衣菜の召喚獣は二人のいる真ん中の中央を目指して翔ていった。
ついに、この試験召喚戦争の最後の戦いが始まった!
次回 『決着