そして試召戦争へ繋がる話。
それではどうぞ!
"ガラッ!"
古ぼけた扉を開け教室の中に入ると、
「よお、明久」
目の前の教卓に一人の男子生徒が立っていた。
赤髪でツンツン立っている髪の毛の持ち主だ。
「・・・・・・・雄二、何やってんの?」
そして僕たちの友人でもある。
教卓に立っている男子生徒の名は坂本雄二。まあ、僕の悪友だ。そして第二学年序列第五位の成績の持ち主でもある。
「ん?一応、俺がこのクラスの代表らしいからな」
「へぇー」
「あれ、坂本くん?どうしてここにいるの?Aクラスじゃないの?」
「おお、姫宮か。風邪はもう治ったのか?」
「ええ。明久くんに看病して貰ったから」
「ほーう。明久に、ねー」
「うっ//////」
「あはは・・・・・・」
「それより雄二、霧島さんには話したの?」
「ああ。翔子には、やりたいことがある、って言って納得してもらった」
「え?それだけ」
「ああ。だけど後で慰めたりするのが大変だったけどな」
「あー・・・・・・・・お疲れ様」
「サンキュー明久」
「ところで坂本くん。私たちは何処に座ったら良いのかな?」
「ん。ああ。別に席は決まってないから好きなところに座っていいみたいだぞ」
「そうなんだ。ありがとう坂本くん」
僕と恵衣菜はまだ人の少ない教室に入り後ろの窓際近くに座った。恵衣菜が窓際で僕がその右隣だ。
「おお、明久。お主もFクラスじゃったのじゃな」
席に着くと前の席の生徒が振り返って見てきた。
「あ、秀吉おはよう」
振り返って見てきた生徒は雄二と同じく僕たちの友人。木下秀吉だった。
双子の姉に木下優子さんがいるが、二人は鏡に写したかのようにそっくりだ。
そして秀吉は男子である。よく女子と間違われるが間違いなく男子だ。
「木下くんおはようございます」
「うむ。おはようじゃ姫宮」
「秀吉もFクラスだったんだね」
「うむ。演劇ばかりやっておったからの。勉学の方は余りしておらんかったのが仇となったの」
「ふふ。木下くんらしいですね」
「ところで何故お主らはFクラスなのじゃ?」
「ああ、実は・・・・・・」
僕は振り分け試験での事を説明した。
「なるほどのう。それでFクラス」
「うん。そういうわけなんだ」
「二人は災難じゃったの。特に姫宮はそうじゃろうな」
「ううん。私より明久くんの方が災難だよ。私のせいでAクラスにいけなかったんだから」
「もお。恵衣菜はまたそれを言って。恵衣菜、僕は恵衣菜一人でFクラスに行くなら僕もついて行くからね」
「明久くん」
「・・・・・・おほん。二人ともここでそういうのはちょっとやめてほしいのじゃ」
「ご、ごめん」
「ごめんなさい」
その後秀吉を交えて話しているとあっという間に時間が過ぎHRの時間になった。
「えー、HRを始めます。設備を確認します。茶舞台と座布団。その他不備がある際は申し出てください」
「先生、俺の座布団に棉が入って無いんですけど?」
「我慢してください」
「先生、隙間風が吹いて寒いんですけど?」
「我慢してください」
「先生、卓袱台の足が折れたんですけど?」
「我慢してください」
「「いや、無理でしょ!」」
他生徒が不備を申し出るなか「我慢してください」の連続の先生の言葉につい、恵衣菜と突っ込んでしまった。
「ハハハ、冗談ですよ、後で木工用ボンドを支給しますので自分で直しといて下さい」
「さ、流石Fクラスだね。明久くん」
「う、うん。学園長、流石にこれは酷すぎますよ」
後でFクラスについて聞いておこう。
「えー、私がFクラス担任の・・・・・・・福原慎です、これからよろしく」
チョークすらないのかよ!
そう突っ込むと、
"バキィッ バラバラバラ・・・・・・"
教卓が崩れ壊れた。
「「・・・・・・・・・・」」
「替えを持ってきます。それまでの間みなさん自習をしていてください」
そう言うと福原先生は教室から出ていった。
「ここは学校だよね、恵衣菜」
「明久くん、現実から目を背けたい気もわかるけど・・・・・ここは学校よ」
「「ハァー・・・・・・不安だ(ね)」」
僕と恵衣菜がそう思っていると福原先生が新たな教卓を持って戻ってきた。
「えー、それでは廊下側から自己紹介をお願いします」
廊下側からどんどん自己紹介が始まって言った。
クラスメイトの中には須川くんや横溝くんの姿があった。あの二人とは中学からの知り合いだ。
「・・・・・・・土屋康太」
今度も僕の友人の1人、土屋康太だ。
彼はムッツリーニと言う二つなで有名だ。
「ーーーーーです。趣味は・・・・・・」
ん?こ、この声は・・・・
「趣味は吉井明久を殴ることです☆」
声の発生元を見ると一人の女子生徒がいた。
やっぱり島田さんか。彼女の名は島田美波、ドイツ帰りの帰国子女だ。1年時仲はそれなりに良かったがいつの頃からか僕によく暴力をして来るようになり、僕が苦手な人の一人だ。正直余り話したくない。
隣を見ると恵衣菜がやや殺気を出していた。
「ハロハロー吉井♪」
「・・・・・・・・」
「ちょ、吉井!無視するな!」
何か言っているが今は恵衣菜を宥めるのが先だ。
「木下秀吉じゃ。演劇部に所属しておる。よろしく頼むぞい。言っておくがワシは男じゃ!」
あ、このパターンは・・・・・
「恵衣菜、耳塞いだほうがいいよ」
「わかった」
僕と恵衣菜が同時に耳を塞ぐと、その瞬間。
『『『『な、なに~~~!?』』』』
クラスメイトたちが騒いだ。
よく見ると雄二や康太、須川くん、横溝くんも耳を塞いでいた。
その後何か言っているが耳を塞いでいるために聞こえない。と言うか大体言っていることが分かるので無視をしている。
そして恵衣菜の番がやって来た。
「姫宮恵衣菜です。よろしくお願いします。後、明久くんに何かしたら・・・・・・・・本気で叩き潰すのでそのつもりで♪」
「ちょ、恵衣菜!」
何故か恵衣菜はクラスメイトの連中に(一部を除く)殺気を軽く飛ばして言った。
「だって・・・・・」
「っ・・・・・わ、わかったから。ありがとう恵衣菜」
「えへへへへ//////」
「ちょっと吉井!なんでそんな女の頭なんか撫でてるのよ!」
島田さんが騒ぎ立てるがこれもまた無視する。
恵衣菜が終わり次は僕の番だ。
「吉井明久です、よろしくお願いします。後、僕の身内に何か手を出したら・・・・・・・・全力で潰すから」
と、僕もクラスメイト(一部を除く)に殺気を飛ばして挨拶した。
これじゃあ僕も恵衣菜の事言えないね。
「ありがとうございます。それでは次に・・・・・・・「あの、すいま、せん、遅れ、ました」・・・・・・・ちょうどいい所に来ましたね。貴女もそのまま自己紹介をしてください」
「は、はい」
突如入ってきた女子生徒もこれまた僕の知ってる人で苦手な人だ。
「姫路瑞希です。よろしくお願いします」
そう、彼女の名は姫路瑞希。僕が苦手としている人の一人だ。理由は、よく僕に島田さんとともにオシオキと称して暴力を振ってきたりするからだ。昔はそこまで苦手では無かったんだけどね。
「あのー、質問いいですか?」
「あ、はいなんでしょうか?」
「何でここにいるんんですか?」
「えっと、試験の日に熱が出てしまって・・・・・」
クラスメイトからの当然の質問に彼女は普通に返した。
熱が出てしまいテストに受けられなかった=無得点=Fクラス配属。となったらしい。
「ハアー、鬱だ」
「だ、大丈夫明久くん?」
「うん。なんとか」
「無理しないでね」
「ありがとう恵衣菜」
若干鬱になっていた僕に恵衣菜が気遣いをしてくれたお陰でなんとか治った。
正直恵衣菜がいなかったら倒れていたかもしれない。
ちなみに今はまた自己紹介が止まっている。
何故なら、また教卓が壊れたためだ。
教卓壊れるの速すぎでしょ!としか言えない。
その間、秀吉と康太は廊下で雄二と話していた。
そしてまたまた新しい教卓を持って戻ってきた福原先生と同時に教室に入ってきた。
「それでは坂本くん、君が最後です。確か坂本くんはFクラス代表でしたね」
そう言うと福原先生は雄二に教卓の前で挨拶するように言った。
「クラス代表の坂本雄二だ。まあ好きなように呼んでくれ。ところで諸君、AクラスとFクラスを比べた上で質問だが・・・・・・・不満はないか?」
あ、また嫌な予感。
「恵衣菜、また耳塞いだほうがいいよ」
「え?わかった」
そして耳を塞ぐと同時に。
『『『『『『『『『おおありじゃあ!!!!』』』』』』』』』
クラスメイトの絶叫が響き渡った。
絶叫が響き終わると、僕と恵衣菜は手で塞いでいた耳を離した。
「だろう。俺も代表として問題視している」
「そうだそうだ!」
「いくら学費が安いからと言って、この設備はあんまりだ!改善を要求する!」
「そもそもAクラスだって同じ学費だろ?あまりに差が大きすぎる」
堰を切ったかのように次々と不満の声が上がる。
まあ、僕もこの設備はどうかなと思うけどね。
「みんなの意見はもっともだ。そこで・・・・・・・我らFクラスはAクラスに『試験召喚戦争』を仕掛けようと思う!」
雄二の言葉にクラスメイトの殆どが、
『勝てるわけない』
『これ以上設備を落とされるなんて嫌だ』
『姫路さんや姫宮さんがいたら何もいらない』
『愛してます姫宮さん』
と予想通りの反応を返していた。
て言うか誰だ最後の台詞言ったの!見つけたら後でしばく!
ここで『試験召喚戦争』通称『試召戦争』について説明しよう。
『試験召喚戦争』とは『召喚獣』を用いたクラス単位の戦争だ。科目は数学、英語、化学、物理、古典、現代国語、保健体育、現代社会、家庭科、日本史、生物、世界史、地学そして総合科目の全14科目によって行われ、テストの点数に応じた強さを持つ『召喚獣』を教師の立ち会いのもと呼び出すことが出来る。
点数の補充は回復試験を受けることにより可能。ただし点数が0点になった場合は戦死とし補修室にて戦争終結まで補修を受ける義務がある。
なお、戦争勝利クラスは互いの設備を交換することが出来る。ただし、逆に負ければ3ヶ月間の『試召戦争』の申し込み権の剥奪、上位クラスに負けた場合これに加え設備が1ランク下がる。下位クラスに負けた場合は設備を交換させられる。ただし設備交換は勝利クラスの任意で行われる。
以上がざっと説明した『試召戦争』のルールだね。
と、話を戻そう。
「落ち着け、俺が勝たせてみせる」
『何を馬鹿なことを』
『出来るわけないだろう』
『何の根拠があってそんなことを』
「根拠ならあるさ。このクラスには試験召喚戦争で勝つことの出来る要素が揃っている。その勝算を今から説明してやる。・・・・・・・・・おい康太、姫路と姫宮のスカートを覗いてないでこっちにこい」
「・・・・・・!!(ブンブン)」
「は、はわっ」
「え、ちょっ」
ほうほう。康太は恵衣菜のスカートの中を覗いていたんだ。
「康太、お話があるんだけどいいかな?」
「・・・・・・・・!!(ブンブン)」
「これに懲りたらあまり人のスカートの中を覗かないようにね」
「・・・・・・・・!!(コクコク)」
取り敢えず分かったようなので今日は見逃しておくことにしてあげた。
「あ、明久くんになら別に私は・・・・・」
「ケホッ!え、恵衣菜!?いきなり何言ってるの!?」
「よーーーしーーーい!!」
「吉井くん!!」
何処ぞの二人が騒いでいるが無視する。
「さてと、こいつがかの有名なムッツリーニだ。そして保健体育ではトップクラスの点数の持ち主だ」
「・・・・・・・!!(ブンブン)」
『ムッツリーニだと・・・・・・?』
『馬鹿な、ヤツがそうだと言うのか・・・・・・?』
『だか見ろ。あそこまで明らかな覗きの証拠を未だに隠そうとしているぞ・・・・・・』
『ああ。ムッツリの名に恥じない姿だ・・・・・・』
見ているこっちが突っ込み疲れた。
「姫路については言うまでもないだろう」
「えっ?わ、私ですかっ?」
「ああ、うちの主戦力だ。期待している」
『そうだ、俺達には姫路さんがついてる』
『彼女ならAクラスにも引けを取らない』
「さらに姫宮もいる!」
「わ、私ですか?」
「ああ。姫宮の実力はAクラスレベルだ」
『おおー』
『すごい、これなら』
『姫宮さん愛してます』
だから誰だ!さっきから恵衣菜にそんなこと言ってるヤツは!
「木下秀吉だっているし島田美波もだ。秀吉は演劇部のホープだ。そして島田は数学に関してはBクラス並のレベルを持つ」
『おおー』
『これなら行けるかもしれない』
『ああ。行けるぜ』
「当然俺も全力をだす」
『坂本って確か小学校のころ神童って呼ばれてたよな?』
『ってことはAクラスレベルの人が結構いるってことかよ』
『スゲー』
「それに吉井明久だっている!」
・・・・・・・シン――――
雄二の言葉にクラス全体の時が停滞した。
『誰だ吉井って?』
『そんなやついたかこのクラスに?』
先ほど自己紹介したばかりなのにもう忘れるとは。ある意味すごい、としか言えない。
クラスメイトの言葉にまたしても恵衣菜が暴走しそうになったため僕は恵衣菜の手を繋ぎ落ち着かせてあげた。
端から見たらいちゃつくカップルに見えるだろう。
実際姫路さんと島田さんはすごい顔で僕を睨んでいた。
「いいか、吉井明久は『観察処分者』だ。そのため明久の操作技術は教師と同レベル。いや、それ以上の強さを持っている!」
『おおー。これは行けるぞ!絶対にいける!』
『ああ。もしかしたらAクラスに勝てるかもしれない』
「そうだ!これだけの戦力が揃っているんだ、Aクラスを倒すぞ!」
『『『『『『おおーーっ!!』』』』』』
「我々は馬鹿だ!学年の最低位だ!」
『『『『『『おおーーっ!!』』』』』』
「とんでもないクズの集まりだ!」
『『『『『『おおーーっ!!』』』』』』
「つまりそれは、もう何も失うものは無いと言うことだ!」
『『『『『『おおーーっ』』』』』』
「全員筆を執れ!出陣の準備だ!」
『『『『『『おおーーっ!!』』』』』』
「俺達に必要なのは卓袱台ではない!Aクラスのシステムデスクだ!」
『『『『『『うおおーーっ!!』』』』』』
「お、おー」
姫路さんもこれのノリになんとかついていってるみたいだ。
正直雄二の統率力はすさまじいと思う。
「やれやれ」
「アハハ」
「まず手始めに1つ上のEクラスを倒す。明久、Fクラス大使としてEクラスに宣戦布告を頼む」
「ん。わかった」
「あ、明久くん。私も一緒に行きます」
僕と恵衣菜は宣戦布告の為隣のEクラスに向かった。
幸いにも雄二の話に夢中になっているのかあの二人から特に言われることはなかった。
Eクラス
「失礼します。Fクラスからの大使としてEクラス代表に伝えることがある。Eクラス代表はいるかな?」
「代表はわたしよ」
Eクラスの生徒の中から1人の女子生徒が出てきた。
「あ、 中林さんだったんだ」
「宏美ちゃん、Eクラスだったんだね」
「ん?って、明久君に恵衣菜じゃない。どうしたの?・・・・・って、ちょっと待って、今Fクラスって言った?」
「「うん」」
「二人ともなんでFクラスなの!?」
「あー、実は・・・・・・・」
〈事情説明中〉
「なるほどね。それでFクラスに」
「うん」
「それでFクラス大使として来たって言ったけど、何か用だったの?」
「えーと、じゃあ改めて。・・・・・・・我々FクラスはEクラスに『試験召喚戦争』を申し込む!」
「・・・・・・・・・マジかしら?」
「マジでだよ宏美ちゃん」
「・・・・・・・わかったわ。開戦時刻は何時からかしら?」
「午後1時からでいいかな?」
「わかったわ。お互い正々堂々と戦いましょ」
「もちろん」
「うん」
宣戦布告を終えFクラスに帰ろうとしたとき、
「おい待て!」
Eクラスの生徒に呼び止められた。
「え~と、何かな?」
「下位クラスの癖に調子にのるんじゃねぇ!」
どうやらFクラス=馬鹿の癖に試験召喚戦争を申し込まれたことがうざいらしい。
「・・・・・・ごめんなさい明久君。ちょっと相手してあげて」
「まあ、予想していたことだしね」
僕は中林さんに苦笑いを浮かべて返し恵衣菜を守るようにして立つ。
取り敢えず手っ取り早く終わらせて戻るとしますか。
Fクラス
「戻ったか明久」
「うん。まあ、色々あったけどね」
「まあ、お疲れ様。それで、開戦時刻は何時にした?」
「今日の午後1時から。その方がいいでしょ?」
「まあな。よぉし、おい、お前達!Eクラス戦は午後1時からだ!それまでの時間それぞれ思うように過ごしてくれ!以上!」
雄二はそう言うと教卓から降り自分の席でノートに何か書き込み始めた。
「あ。後で学園長のところに行かないと。恵衣菜も行く?」
「そうね。明久くんのこと心配だし、私も着いていくよ」
「うん」
こうして新学期早々第2学年の試験召喚戦争が始まった。
次回:Fクラス対Eクラス
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