バカとテストと召喚獣 奏で繋ぐ物語   作:ソーナ

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第Ⅲ問 一難去ってまた一難!?

~前回の奏で繋ぐ物語~

 

雄二)ついに俺たち二年と常夏コンビ率いる三年の学年対抗肝試し大会が幕を開けた。三年の巧みな作戦に失格者が多く出るがまあ、それがあってこその肝試しだろう。そんな、肝試しを楽しく盛り上がっていたのだが、突然現れた常夏コンビの一人、夏川こと坊主センパイの気持ち悪い下劣で卑劣な姿によって俺たちの仲間。久保をはじめとした多くの二年が気絶や失神によって倒れた。そこで俺たちはムッツリーニと工藤を投入することにした!さあて、あのクソ坊主に目にもの見せてやる!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~明久side~

 

 

 

ムッツリーニこと、康太と工藤さんのペアがお化け屋敷の中に入ってしばらくすると、あの気色悪い常夏コンビ先輩の片割れ、坊主頭の夏川先輩がいる場所にまで来た。

 

「みんな!眼を瞑るんだ!特に女子は見てはダメだ!」

 

あの気持ち悪い、ゴシックロリータを着た先輩が映る前に、僕はみんなに聞こえるように声を高くして忠告する。そんな僕の両脇には。

 

「お、お兄ちゃん・・・・・・」

 

「あ、明久くん、土屋君と愛子ちゃん大丈夫かな・・・・・・」

 

眼をギュっと瞑った妹の零華と不安げに言う幼馴染みの恵衣菜が抱き付いていた。というか、さっきからずっとこの体勢だ。雄二たちもそれぞれ自分の恋人を不安がらせないようにしている。

そこに。

 

「よ、吉井君。土屋君と工藤さんで大丈夫なのかい?」

 

よれよれ状態・・・・・・というより、瀕死状態の久保くんが聞いてきた。隣には平賀くんがいる。

あれの犠牲になった人は葵姉さん率いる一部の三年生が連れてきてくれた。その時に謝罪もされたけど。どうやら三年生側でも同じような現象が起きてるらしい。との葵姉さん談。

 

「(そう言えば葵姉さん、こっちに着たときなんかマントみたいなのを羽織って服を隠してたけど・・・・・・・なんでだろ?)」

 

そんな疑問がふと過りつつも。

 

「あの坊主頭の先輩に勝つためには康太と工藤さんに任せるしかないと思う」

 

久保くんと平賀くんに言う。

 

「そう言えば土屋君はなにかを持って行っていたね」

 

「そういえばそうだな。確か・・・・・・鏡だったか?」

 

「鏡?」

 

康太が何故鏡を持っていったの分から・・・・・・・・・・・・・・・分かってしまった。

 

「ああ。なんとなく分かった気がするよ」

 

「?」

 

「どういうことだい吉井君?」

 

「たぶん康太は――――――するつもりなんだよ」

 

「「ああ・・・・・・」」

 

僕の説明に久保くんと平賀くんは理解したみたいだ。

そんな話をしているうちに康太と工藤さんは坊主頭の夏川先輩の近くまで来ていた。

 

 

《ムッツリーニ君、この先だよね?あの気色悪い面白い人がいるのって》

 

《・・・・・・ああ。準備はできてる。やるぞ愛子》

 

《りょ~か~い》

 

 

そんな会話が聞こえてきた。

そして。

 

 

《ヒャッハアアァァァ・・・・・・・・!!?》

 

 

奇声を上げて康太と工藤さんを驚すために出てきた坊主先輩は途中で声が止まった。何故かというと。

 

 

《・・・・・・・・・・・・ブハッ!ケポォ!!》

 

 

康太が持っていった等身大の鏡で己の姿を見たからだ。

そして案の定坊主先輩は・・・・・・・・嘔吐した。

 

『『『『『うおおぉぉぉぉぉぉぉ!!』』』』』

 

僕らは康太と工藤さんが旨くやったことに歓声をあげる。

その声はクラス中から沸き上がった。

 

 

《て、てめぇ!なんてもんを見せやがる!思わず吐いちまったじゃねぇか!》

 

《・・・・・・吐いたことは恥じゃない。それは人として当然のこと》

 

《くそっ。想像を絶する気持ち悪さに自分で驚いたぜ・・・・・・。どうりで常村や着付けをやった連中が頑なに鏡を見せてくれねぇワケだ・・・・・・》

 

《・・・・・・当たり前。その姿は見ていてあまり気分が良いものじゃない》

 

《確かにねぇ。着付けをやった先輩たちにちょっと同情するかも。ね、ムッツリーニ君》

 

《・・・・・・工藤に同意。これはあまりにも一部の三年生が可哀想すぎる》

 

《なにサラッと俺のことディスってやがんだ!?》

 

《それにしてもムッツリーニ君。この先輩、ほんの少しだけ面白いね。来々世でなら知り合いになってあげてもいいかもって思っちゃうよ》

 

《・・・・・・・止めておけ工藤。それは来々世のお前が可哀想だ》

 

《無視すんな!って、ちょっと待てお前ら!お前ら俺の現世を全面否定してねぇか!?つうか来々世って生まれ変わってからまた生まれ変わりじゃねぇか!完全に別人だろうが!?しかも来々世でも知り合いどまりかよ!》

 

《あ。ごめんなさい。あまり悪気はなかったんです変態女装趣味の坊主先輩》

 

《純粋どころかドス黒い悪意しか見られねぇのは気のせいか!?しかもなんだその変態女装趣味は!好きでこんな格好してるわけじゃねぇよ!って待てやコラ!てめぇナニ人のこんな格好を撮ってやがるんだ!?》

 

《・・・・・・・ネットに配信し拡散させる。さらに海外のホンモノサイトにUPする》

 

《じょ、冗談じゃねぇ!覚えてやがれぇぇっ!!》

 

《バイバーイ!》

 

 

逃げ去るように走っていく坊主先輩こと夏川先輩を見て僕らは安堵した。これで、あのおぞましい驚異は去った。

 

「それにしても工藤さんがあんなこと言うなんてね」

 

工藤さんが誰かをああいう風に罵倒したりするのを見たことない僕はそう呟いた。

 

「そう言えば入る前、根本君と友香ちゃんに何か聞いていたような・・・・・・」

 

零華が思い出すようにいうと。

 

「ああ。それはさっき工藤に相談されてな」

 

「思ったことをそのまま口にすれば良いってアドバイスしたのよ」

 

「恭二、友香さん」

 

丁度いいタイミングで恭二と友香さんのペアが来た。

確かに、恭二と友香さんらしいアドバイスに僕は納得した。

 

「ところで二人はあの映像大丈夫だった?」

 

僕が二人に訪ねると。

 

「うっ・・・・・・・」

 

「友香はもちろんのこと、さすがの俺も無理だった」

 

「ええ。今日は悪夢に出るかもしれないわ」

 

さすがの恭二と友香さんも耐えられなかったらしい。まあ、当然といやそうなんだが。

 

「そういうわけで恭二、今日家に泊まりに来てくれるかしら」

 

「わ、分かった。さすがの俺もあれを見た夜は怖い」

 

何故かトントン拍子で恭二は友香さんの家にお泊まりにいくことが決まっていた。早いね。

二人の会話に僕がそう思っていると。

 

「あ、二人がチェックポイントに着いたみたいだよ」

 

恵衣菜が画面を観て言った。

恵衣菜の声につられて画面を見ると、画面にはチェックポイントにいる三年生と三年生と対峙する康太と工藤さんが映っていた。

 

 

《ようやく来たか》

 

《さっそく始めようぜ》

 

《 《試獣召喚(サモン)!》 》

 

 

 

 

 

 保健体育

 

 

 

 

 三年Aクラス 市原両次郎 303点

        名波健一  301点

 

 

 

 

 

 

 

「あ、ここのチェックポイントの科目は保健体育なんだ」

 

画面に映る科目を見て僕はそう口に出した。

 

「これは――――」

 

「土屋君と愛子ちゃんの勝ちかな?」

 

「かもね」

 

僕らが画面を見つつそう言うと、画面の中の康太と工藤さんも召喚獣を呼び始めていた。

 

 

《 《試獣召喚(サモン)!》 》

 

 

康太の召喚獣はタキシード姿で、顔色が悪かった。多分あれは――――。

 

「あれ、吸血鬼かな?」

 

僕が康太の召喚獣がなんのお化けか言ってみると。

 

「あはは。確かに、土屋君のイメージが出てるね」

 

「土屋君はいつも血を欲してるイメージが強いからかなお兄ちゃん?」

 

「多分ね」

 

「土屋君の召喚獣が吸血鬼なのは分かるけど、愛子ちゃんの召喚獣。あれって・・・のっぺらぼう・・・・・・?」

 

恵衣菜の言葉の通り、工藤さんの召喚獣は顔がないお化け、いわゆるのっぺらぼうだった。

 

「工藤さんの召喚獣がのっぺらぼうなのはどうしてだろう?」

 

「さあ?」

 

「なんでかな?」

 

僕たちがそんな疑問を抱きながら画面を見ると。

 

 

《ムッツリーニ君。先輩たちの召喚獣、なんだか強そうだね。召喚獣の操作だってボクたちより一年も長くやってるし。結構危ないかな?》

 

《・・・・・・・確かに、強い。だが―――――》

 

 

そういうと康太と工藤さんの召喚獣は素早い動きで三年生の召喚獣を翻弄し。

 

 

《―――――俺たちの敵じゃない》

 

《確かに、ね》

 

 

一瞬の、瞬きすら許さないような刹那の後、三年生の召喚獣であるミイラ男とフランケンは地に臥した。しかも、康太と工藤さんの召喚獣と一度も組み合うこともなく、一瞬のうちに決まった。

やがて康太と工藤さんの召喚獣の点数が表示された。表示された二人の点数はそれぞれ。

 

 

 

 

 

 保健体育

 

 

 

 

 二年Fクラス 土屋康太 876点

 二年Aクラス 工藤愛子 743点

 

 

 

 

 

 

と、表記されていた。

 

「うわぁ、相変わらずすごい点数」

 

二人の700点超えの点数を見て思わず僕はそう声に出した。僕でも保健体育ではあんな点数は取れない。まあ、日本史とかならいけるけど・・・・・・。とまあ、それはおいといて。

 

「雄二、今の攻防、何があったか見えた?」

 

僕はすぐ傍で霧島さんの隣で腕組みして立っている雄二に今の攻防について訪ねる。

 

「ハッキリと見えた訳じゃないが、ヴァンパイアの方は一瞬で狼に変身して相手を切り裂いてもとの姿に戻っていた」

 

「へぇー。のっぺらぼうの方は?」

 

「のっぺらぼうの方は一瞬のうちに着物を脱いで全裸になり、相手をボコボコにしてまた着物を着ていた」

 

「なんで脱ぐ必要があるのじゃ・・・・・・」

 

「ふむふむ」

 

「そして、その一瞬のうちにムッツリーニは出血・止血・輸血を終わらせていた」

 

「あ、さすが康太。そこにはちゃんと反応するんだね」

 

「だな。つうかおまえも視れただろうが」

 

雄二がそう少し呆れたように言うと秀吉が。

 

「今のを見れるなど普通はできぬはずなのじゃが、何故だれもツッコまないのじゃ・・・・・・」

 

秀吉がなにか言っているが僕と雄二は聞こえない振りをした。

まあ、僕も雄二が言ったような映像を見えていたんだけど。

 

「これで次はCクラスだね。このまま康太と工藤さんのペアが全部クリアしていってくれるといいんだけど・・・・・・」

 

「まあ、そう巧くは行かねえだろうな」

 

「だろうね」

 

僕と雄二がその康太と工藤さんの快進撃ながらの進み具合を観ていると。

 

「え・・・・・・・」

 

「あれ・・・・・・・」

 

「へ・・・・・・・」

 

僕と恵衣菜、零華は思わずすっとんきょうな声をあげた。

なぜなら、画面に映り康太と工藤さんの目の前にいたのは――――――。

 

 

 

 

 

 

 

《ようこそ、ここまでいらっしゃいました。土屋君と工藤さん》

 

 

 

 

 

 

 

 

長い髪を結い上げ、色っぽい仕草で淡い紫の着物を上手く着崩して着ている葵姉さんの姿があった。

 

「葵姉さんっ!??」

 

「葵お姉ちゃん!?」

 

「葵さん!?」

 

予想外というかなんというか、驚きがかなりある僕らは揃って声をあげた。

 

「え!?ちょっ!?なんで葵姉さんがいるの!?」

 

「お姉ちゃんは三年生だから脅かし役なのは分かるけどそれはなんか違うよ!?」

 

「ていうかこれって色仕掛けだよね!?」

 

僕らは声を早く捲し上げて言う。

ていうか葵姉さんが相手となると、いくら康太でもこれはアウトだ。何故ならば――――――。

 

 

《・・・・・・っ!》

 

《こ、康太くん!しっかり!》

 

《・・・・・・な、なんの、これしき・・・・・・》

 

《ふふふ。頑張りますわね土屋君》

 

《・・・・・・・こんなところで・・・・・・負ける・・・・・・わけには・・・・・・・!》

 

《そう言う割にはものすごい鼻血の量だよ康太くん?!》

 

 

工藤さんの言う通り、康太の足元にはおびただしい量の血があった。それはすべて、康太の鼻血である。というか――――

 

「毎回毎回思うけど、康太ってなんであんなに鼻血出してるのに生きてるんだろう?」

 

何時も不思議に思っていたことを口にした。

 

「なんでだろうね雄二――――って、あれ?」

 

隣を見ると、そこに雄二の姿はなく。

 

「・・・・・・・雄二、見ちゃダメ。雄二には早すぎる」

 

「あれが早すぎるならこの状況はいいのか!?つうかそろそろ息苦しいんだが翔子!?」

 

「・・・・・・・でも、嬉しいでしょ?」

 

「ノーコメントだ!」

 

「・・・・・・何時も柔らかいって言ってくれるのに」

 

「それを今この場でいうなあぁぁっ!!」

 

霧島さんの胸に顔を埋めている変態(雄二)の姿があった――――――じゃなかった。画面を見ないように顔を霧島さんの胸に抱擁されてジタバタしている親友(雄二)のすがたがあった。

ていうか今の霧島さんの言葉って―――――。

 

「明久くん、翔子ちゃんと坂本君の方はスルーしようか」

 

「お兄ちゃん、今のは何も見なかった、聞かなかったってことにしようね」

 

恵衣菜と零華に言われ僕はすぐに首を縦に振ってうなずいた。

ウン、ボクハナニモキカナカッタ、ミナカッタヨ。ハイ。

そう言いながら画面を再び見る。

 

 

《それと、(わたくし)もう一着ユニフォームを着ておりますの》

 

《もう一着!?》

 

 

葵姉さんの言葉に僕は姉さんの所属している部活をおもいだす。

 

「(葵姉さんの所属している部活って確か茶道部と・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ!!)」

 

僕が思い出すのと同時に画面では。

 

 

《実は、私――――――!》

 

 

一瞬で、秀吉と同等の速さで着替えたのかな?着物姿から葵姉さんのもう一着のユニフォーム。

 

 

《―――新体操部にも、所属しておりますの!》

 

 

露出度高めのレオタードを着た葵姉さんが新体操に使うリボンを持って、そこに現れた。

そして葵姉さんのその露出度高めのレオタードを見た康太は。

 

 

《・・・・・・・・・・・・!!!!!》

 

《康太くん!!?》

 

 

鼻血を物凄い勢いで噴出していた。

 

 

《ち、血が止まらないぃぃ!!》

 

 

工藤さんも慌てて康太の鼻血を止めようとするが。

 

《ブブー》

 

画面は康太の鼻血で真っ赤になり、鼻血の噴出音で許容音を突破して失格となった。

そしてさらに。

 

『『『今助けにいくぞ土屋!』』』

 

『『『うおおおお~~!!』』』

 

『『『新体操!新体操!新体操!新体操!新体操!新体操!』』』

 

葵姉さんのあの扇情的な姿に、殆どの男子生徒が中に突入もとい、突っ込んで行った。・・・・・・・変な声を上げ、入ると同時に失格になって。

そんなことより僕は。

 

「なにやってるの葵姉さぁぁん!!」

 

葵姉さんにそう言うのが先だった。

 

「お姉ちゃん、さすがにそれはないよ!!?」

 

「ていうか完全に色仕掛けだよ!男子特効の!!」

 

「葵姉さん、微妙に天然だけど今回のはないよ!」

 

「少しは自分のプロポーションを理解してぇ!」

 

僕たちは葵姉さんに全力でツッコミを入れたのだった。

葵姉さんのプロポーションは、同姓の恵衣菜や零華、穂乃果たちから見ても見惚れる程なのだ。ましてや、出るところは出て、引き締まっているところは引き締まっているという体型に絵里や希とは別種の、年上の女性という色香が出ているのだ。ましてやそれが異性である男なら尚更だ。葵姉さんのあんな色っぽい姿を見て興奮・・・・・・・なのかな?というのをしないのは無理というものがある。あ、僕は昔からああいうのに慣れてるから大丈夫だよ。理由は・・・・・・・・何時か話すときが来ると思う。

そうしてる間にも、葵姉さんの周りには突入していった男子の鼻血の池が出来上がっていた。

それを見て、いつの間にか立ち直った雄二が。

 

「向こうがそうならこっちは、秀吉と天野のペアを突入させるぞ!」

 

秀吉と天野さんを見てそう言った。

そこに秀吉が。

 

「何故儂らなのじゃ雄二?」

 

と質問した。

 

「秀吉と天野なら小暮先輩の色仕掛けにも突破できるだろ」

 

「そうか・・・・・・。では行くとするかの麗子よ」

 

「そうね秀吉くん」

 

微妙に納得した秀吉は、天野さんとともに教室から出て迷路の中に入っていった。

秀吉と天野さんペアが入ってしばらくすると、葵姉さんのいる場所に辿り着いた。

 

 

《あら?今度は木下君と天野さんですか》

 

《うむ。すまぬが通らせてもらうぞ小暮先輩よ》

 

《ええ、構いませんよ》

 

《え、いいのですか?》

 

《はい。私に言われたのは土屋君たちを止めることでしたので》

 

《なるほどのお。じゃが、その姿はさすがに刺激が強すぎるぞい》

 

《あら、そうですか?クラスメイトからはこれを着たら一発でアウト間違いなしだと言われたのですが》

 

《いえ、アウトなのはそうなんですけど・・・・・・》

 

《小暮先輩はもしや天然なのじゃろうか・・・・・・》

 

《???では、どうぞお通りくださいませ》

 

《どうもじゃ》

 

《ありがとうございますわ》

 

 

軽く会話をして、葵姉さんの傍を通り過ぎた秀吉と天野さんのペアさんのペアに僕らは無言で見る。

理由は・・・・・・・・・・なんとも言えないからだ。

 

「明久」

 

「なに雄二」

 

「小暮先輩、天然過ぎないか?」

 

「なにも言わないで。なにも」

 

葵姉さんの天然さに僕は、雄二にただそう言うだけしか出来なかった。

そうこうしてさらに秀吉と天野さんペアが進んでいってしばらくすると。

 

 

《待てよ、木下秀吉》

 

 

突如、そんな声が秀吉と天野さんの持つカメラから聞こえてきた。

画面を見ると、そこには常夏コンビの片割れ、モヒカン頭の先輩こと、常村先輩が立っていた。

だが。

 

「なんだろ?とっても嫌な予感がする」

 

僕はその常村先輩の雰囲気を見てそう感じた。

そう感じながら、僕らは画面を静かに見守る。

 

 

《木下秀吉、お前が来るのを待っていた》

 

《秀吉くんを?》

 

《一体なにようじゃ。すまぬが麗子、少々待ってくれぬか》

 

《ええ。わかったわ》

 

《ありがとうなのじゃ。それで、なにようじゃ?》

 

《用件だけ言う》

 

《一体・・・・・・なんじゃ?》

 

《木下秀吉、俺は・・・・・・》

 

 

モヒカン(常村)先輩の言葉の続きを、僕らは固唾を飲んで見守る。そして。

 

 

《お前のことが――――――好きなんだ!》

 

《―――――――――――――!!!!》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日、僕らははじめて、秀吉の悲鳴を聞いた・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「す、すまぬ。あんなみっともない悲鳴をあげてしまうとは」

 

失格となり、戻ってきた秀吉は天野さんの介抱を受けながらそう言った。

 

「気にするな秀吉」

 

「そうだよ秀吉。あれで悲鳴を上げるなって言う方が無理だし」

 

そう。さすがにあれは悲鳴を上げるなって言う方が誰しも無理だ。

 

「・・・・・・まさか、あやつ。自作のポエムをも読み出すとは」

 

「・・・・・・僕も意識が遠退いたよ・・・・・・」

 

『『『『『うん、うん』』』』』

 

秀吉の言葉に僕が言うと、周りの生徒ら全員同時に首を縦に振った。ここにいる全員同じ気持ちなのだ。

 

「しかし、そろそろ・・・・・・手を打たないとな」

 

雄二が次々と失格と表示される画面を見てそう言うと、突然画面にノイズが走った。

 

「な、なんだ!?」

 

「これは・・・・・・・!」

 

雄二と僕が驚きながらそう言うと。

 

 

《おい!見ているか負け犬ども?》

 

 

突然、画面に二人の男子生徒が現れた。というかその男子生徒は常夏コンビだった。しかも坊主頭の夏川先輩は、あの気持ち悪いメイクしたままの顔だ。いきなり現れた気色悪いものに、僕たちはまた悲鳴を上げた。

 

『『『『『うわああぁぁああああ!!』』』』』

 

「あ、あいつら!」

 

 

 

《悔しかったら、さっさとここまで来てみろよ!おい、常村も何か言ってやれ》

 

《ふっふふふ・・・・・・。木下、俺は――――》

 

 

夏川先輩から常村先輩に変わったかと思うと、夏川先輩が慌てて何かをしたようでまた画面にノイズが走った。

 

『『『『『・・・・・・・・・・・・・・・・・』』』』』

 

その出来事に僕たちは呆然としているだけだった。

少しして。

 

 

《おい、吉井!坂本!聞いてんだろ?!》

 

「「!!」」

 

《いつまで待たせるんだ。さっさと来い!》

 

《せいぜい楽しませてくれよ?!》

 

《 《あーはははははは!!》 》

 

 

そう言うと画面に再度ノイズが走しった。

 

「あの野郎!上等だ!」

 

「眼にもの見せてやる!」

 

「ああ!」

 

常夏コンビの台詞を聞いた僕と雄二はそう声を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 










次回 『バカ(明久)たちの反撃』 Let GO to The Next BAKALiVE!
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