~前回の奏で繋ぐ物語~
明久)ついにこの肝試し大会も終盤を迎え。
雄二)俺たちはお化け屋敷の中に入る。
明久)けど、三年生の分断作戦により、僕と雄二はそれぞれのパートナーである恵衣菜と零華、そして霧島さんとはぐれてしまった。
雄二)幸いにも、俺は明久と。翔子は姫宮と吉井妹と合流し、そのままチェックポイントにむかった。
明久)しかし、そこで待ち受けていた常夏コンビの言葉が恵衣菜、零華、霧島さんの怒りに触れる。
雄二)だが、三人は吉井妹の涙声やらで無念にも失格になってしまう。
明久)残ったのは僕と雄二のみ。
雄二)この肝試し大会の結末。そして、常夏コンビへの聖戦の始まりだ
明久)さあ、行こうか雄二。
雄二)そうだな、明久。
明久、雄二)ここから先は本気だクソ野郎!!
~明久side~
恵衣菜たちの失格のブザーが聞こえなくなり、辺りに気配を感じなくなった僕と雄二は隠れていた場所から出て、三人を泣かせた犯人。常夏コンビの待っているであろうチェックポイントへと視線を向ける。
「さてと、下準備はこれでいいか。な、明久?」
「そうだね。単一科目じゃなくてすべてを合わせて叩き潰そうか」
「ああ。んじゃ、いくか」
「了解、雄二」
僕と雄二は口角を上げて歩き出した。
さあ、始めようか。雄二は霧島さんの、僕は恵衣菜と零華のための報復を。声に出さずにそう言って、僕と雄二は常夏コンビの元へと向かっていった。
最終チェックポイント
「よお。待たせたなセンパイ方?」
チェックポイントに足を踏み入れた僕と雄二は、奥にいる常夏コンビに声をかける。けど、その声には待たせたことへの謝罪の気持ちなんて、言った雄二は微塵も思ってない。それはもちろん、僕もだ。この二人に僕と雄二が謝る必要性なんてない。今の僕と雄二は、表面上は冷静をかいてるけど、内面ではこの二人を全力でぶちのめしたいのだ。
そんな僕らの心情をしらない常夏コンビは。
「やっとかよ」
「随分と遅かったじゃねえか、吉井に坂本よ」
「すみませんでしたねセンパイ方」
「ああ、そうだな。悪かったなセンパイ?」
そう言う僕と雄二に、常夏コンビは顔の表情を歪ませていた。
「んじゃ、さっさと始めるか」
「おっと、その前に罰ゲームを決めないか?」
モヒカン頭の常村先輩の言葉を遮って、雄二が常夏コンビに提案する。
「あ?罰ゲームだ?」
「オマエら、なに企んでるんだ?」
雄二の罰ゲームという言葉に、さすがの常夏コンビも何かあるのでは無いかと怪しんでいる。なるほど、頭はそれなりに回るみたいだ。
「別になにも。そもそも罰ゲームを先に言い出したのはセンパイ方の方だぜ?」
「ええ。それに、この罰ゲームは僕と雄二、そしてセンパイ方二人だけの私的な罰ゲームです」
雄二と僕の言葉に、常夏コンビの二人はしばし互いの顔を見合わせ。
「へっ。いいだろう乗ってやる」
「そんで、罰ゲームってのはなんだ?」
余裕満々、余裕綽々という感じに表情をニヤけて聞いてきた。
「勝った方が負けた相手になんでも命令できる、でどうです」
「いいだろう」
「んじゃ、いくぜ!」
「「
物理
三年Aクラス 常村勇作 562点
夏川俊平 558点
「「
物理
二年Fクラス 吉井明久 681点
坂本雄二 634点
僕と雄二、そして常夏コンビの召喚獣が現れ、それぞれの点数が表示される。
「なっ!」
「ろ、600点オーバーだと!?」
常夏コンビの二人は僕と雄二の点数を見て驚いていた。
けど、まだ甘い。
「それじゃあ雄二、いくよ」
「ああ、明久」
少しずつ後ろに下がり。
「「ダッシュ!!」」
勢いよくその場から駆け出した。
「あ!待てこら!」
「逃げんな!」
後ろから遅れて追い掛けてくる常夏コンビとその召喚獣。僕と雄二は、自分の召喚獣とともに目的の場所まで二人を誘導させる。そして、それと同時に。
「あれ、センパイ方以外に足遅いですね~」
常夏コンビがちゃんと追いかけて来るように挑発をする。
「そう言うなって明久。失礼だろ常夏コンビに」
「いや~。だって女子である葵姉さんより遅いし。それに、絵里たちに比べたらね」
「あのなぁ。小暮先輩は新体操部にも入ってるんだろ?ならあの二人より運動が出来て当然じゃないか。それに、後者は日頃、毎日ダンスの特訓をしてるんだから当たり前だろ」
「あ~、其れもそうだね」
ちなみにこの教室にいるのは僕と雄二、そして常夏コンビのみだ。あとは、教師が一人。
「さっきから好き勝手言いやがって!」
「どこだ!吉井!坂本!出て来やがれ!」
挑発が効いたのか常夏コンビは僕らを血眼になって捜していた。
そこに僕が影から少し出て。
「ほらほらセンパイ方、こっちですよ」
「いたぞ夏川!」
僕の方に来させ。
またある時は。
「俺達はここにいるぞ~」
「向こうの通路だ!」
雄二が声を響かせて常夏コンビを誘導する。
そんな鬼ごっこのようなことをして数分。
「くそっ!どこにいやがる吉井!坂本!」
「正々堂々勝負しろ!」
少し開けた場所で常夏コンビがそう声を響かせた。
そこに。
「自慢の頭を使って見つけてみろよ」
「そろそろ隠れるの飽きたなあ」
「まだ見つけられねえのかよ」
それは近くの墓石から聞こえてくる。それに気付いたらしい常夏コンビも。
「ふっ。お前らのすることなんてなあ―――」
「―――お見通しなんだよ!」
ニタニタといやらしい笑みを浮かべてそれぞれの召喚獣に指示を出した。指示を受けた常夏コンビの召喚獣は一直線にその墓石にせまる。しかし―――。
「消えた!?」
「物理のフィールドを越えたのか?!」
常夏コンビの召喚獣はフィールド外に出たため消え、墓石に当たることは無かった。まさかの事に常夏コンビは驚愕していた。そのまま二人は、
『残念だったな。―――これは囮じゃ』
『お見通しなのはこっち』
その画面には秀吉と康太が映っている。
そう、ここでわかったと思うけどさっきから発していた声は、全部秀吉の声真似なのだ。罠にハマったのは自分たちだと悟った常夏コンビは目を見開いていた。
それじゃあ、肝心の僕と雄二はどこにいるのかと言うと―――。
「―――西村先生、総合科目による召喚許可、お願いします!」
「うむ!承認する!」
「「試験召喚獣、
総合科目
二年Fクラス 吉井明久 ―――
坂本雄二 ―――
「ここはもう総合科目のフィールドだ!おまえらお得意の物理では戦えないぜ!」
召喚獣を出した僕と雄二は、それぞれの召喚獣を傍らに立たせてまんまと罠に引っかかった常夏コンビを見る。
僕と雄二は物理のフィールドからここまで常夏コンビを誘導し、予めクラスでこの映像を観ている秀吉たちに作戦を伝えた声真似をしてもらったのだ。そして、ここに居る教師は西村先生。総合科目は各学年主任か、全科目のフィールドを展開することの出来る補習教師である西村先生のみが構築できる。つまり、西村先生いるこの場は物理のフィールドではなく、総合科目のフィールドなのだ。
常夏コンビは呆気に取られていた。やがて事態を把握したのか。
「汚ぇぞ!こらァ!」
憤怒の表情で突っかかってきた。
けど。
「チェックポイントの教科を変えてはならないっていうルールはありませんよ」
そう、予め決めておいたルールの10ヶ条のどこにも、【チェックポイントの科目を変えてはならない】という文はないのだ。
つまり、物理から総合科目に教科を変えてもなんの問題もない。
「それとも物理とか理数科目以外では怖くて戦えないんすかセンパイ?」
「バァロ!ふざけんな!俺達は三年の序列七位と八位だぞ!バカのお前たちに負ける訳ながないだろうがぁ!」
「「
総合科目
三年Aクラス 常村勇作 5408点
夏川俊平 5635点
常夏コンビの総合科目の点数を見て。
「(へえ。三年生の序列上位ってのはあながちホントみたい)」
そう思った。
しかし。
二年Fクラス 吉井明久 13749点
坂本雄二 9547点
「「なんだとぉ!!」」
二年生の序列一位と五位である僕と雄二には到底及ばない。
僕が言うのもなんだけど、今年度の二年生の序列十位から上位は正直化け物クラスだと思う。この文月学園は進学校のためそれなりに勉強は難しい。だが、それでもこうしてポンポンと5000点オーバークラスが多数いる。特に、上位五位以上の僕らは10000点近く保持しているのだ。もっとも、三年生になったらどうなるか分からないけど。
「い、10000点オーバーだと!?」
「バカな!バカのお前たちにそんな点数取れるわけ・・・・・・!」
「センパイ、自慢じゃねえが俺は二年の序列五位。そんで明久は俺ら二年の序列一位だぜ?本来なら明久が首席なんだけどな」
「あはは。まあね・・・・・・」
雄二の言葉に僕は苦笑いを返すしか無かった。
まあ、振り分け試験の時に恵衣菜を保健室に連れて行って退室したからFクラスになったんだし。でもまあ、後悔はしてない。
「でも、後悔はしてないよ雄二?雄二たちがいるんだから。それに恵衣菜もね」
そう、Fクラスには雄二や秀吉、康太、須川君、横溝君、そして恵衣菜がいる。それに零華には毎日会ってるから寂しくない。他にも、恭二や平賀君、久保君などいろんな人と友達だから。
「(それに、音ノ木坂で穂乃果たちの他にも知り合えたからね)」
最後の方を心に出して言い。
「それじゃあ始めましょうかセンパイ?」
常夏コンビの方を向いて、そう告げる。
「くっそぉ!」
「ふざけやがって!」
突っ込んで来た常夏コンビの召喚獣。
僕の召喚獣は、甚だ理由が理由で不穏位だがデュラハン。雄二の召喚獣は狼男だ。それぞれ武器は大剣と素手。召喚獣の大きさは違っていつもより操作が難しい。だけど。
「いけ!」
「くらえ!」
「「なにっ!?」」
僕の召喚獣の大剣は坊主先輩の馬頭の
「どういうことだ!?」
「なぜ召喚獣をそんなに使いこなしてんだ!?」
常夏コンビの戸惑いは最もだ。普通、いきなり大きさの違うものを扱ったら戸惑うし、上手く操作は出来ない。しかし。
「コイツらは俺たちの分身だ。なら、動作などすべて自分に置き換えればいい」
「例え、大きさは変わっても召喚獣は召喚獣です。脳で操作する。それを自分の身体と同一化すればなんでことありませんよ」
「つまりだ。アンタらは努力を怠ってるんだよ」
「「はあっ!?」」
「アンタらの動きに召喚獣自身が付いて行ってねえ。どうせ、いつもの召喚獣と同じように動かしてんだろ」
召喚獣は脳から発せられた指示によって動く。脳から発せられた電気信号による指令。人間の筋肉やらはすべてその脳から発せられた電気信号によって動く。何時もの小さな召喚獣もしかり、召喚獣は言わばもう一人の自分だ。僕らは召喚獣を操作する時、常に周りの状況や相手の間合いや様子、そして自身の召喚獣の運動操作を思考している。つまり、今の状態の召喚獣を僕らと同じ、ヒトと同じように立ち振る舞わせれば、なんのことない。結果は。
「なっ!?」
「んな、バカな!」
「今更足掻いても遅いんだよ」
僕と雄二の召喚獣の前には、僕と雄二の召喚獣によって吹き飛ばされた常夏コンビの召喚獣、牛頭と馬頭が倒れていた。
有り得ないと言うような二人に雄二が。
「なあ、センパイ方よ。バカと言うのは面白いと思わないか?」
そう訪ねた。
それと同時に、再び常夏コンビの召喚獣と僕と雄二の召喚獣がぶつかり合う。
「あ?」
「なんだと?」
「一つのことに夢中になると、とんでもない集中力を発揮しやがる。空手バカとか柔道バカとか呼ばれるヤツがいるが、それは物事に集中するっている褒め言葉だ!」
「何が言いてぇんだよ!」
「これだけ言ってもわからねぇのかよ?いいか、よく聞けよ」
雄二は面白いとでも言うように告げた。
「アンタらが明久の妹を泣かせた瞬間から、明久のシスコンっていうバカのスイッチが入ったってことだ!」
「はあ!?」
「何言ってやがんだ?」
訳が分からないと言うかのような声を上げる常夏コンビ。
確かにコイツらには訳が分からないだろう。けど。
「僕は大切な妹を泣かせるヤツは絶対に許さないって決めてんだ!お前らは僕の、そして雄二の逆鱗に触れたんだよ!」
僕と雄二には、コイツらをぶっ飛ばす権利がある。
「どういう意味だ!」
「意味わかんねぇんだよ!」
「「さっさとくたばれや!!」」
「要するにだ―――」
愚直に真っ直ぐに突っ込んで来た常夏コンビの召喚獣に、僕と雄二の召喚獣は、カウンターで突っ込んで来た勢いをそのまま返して。
「零華と恵衣菜を泣かせたお前らを僕は―――」
「翔子を泣かせたアンタらを俺は―――」
常夏コンビの召喚獣を滅多叩きにして倒した。
「絶対に許さないってことだ!」
「絶てぇに許さねぇってことだ!」
そう言い放ち終えると同時に、常夏コンビの召喚獣がこの場から消え去った。
「な、なんで―――」
「俺たちが―――」
「「―――こんなバカ共に・・・・・・?」」
負けたのが有り得ないのか、呆然と力が無くなった感じでその場に膝をつく常夏コンビに僕と雄二は召喚獣を戻して近づいていく。約束の罰ゲームを実行するためだ。
「僕たちの勝ちです。約束、覚えてますよね」
「へ、俺たちに何をやらせようってんだ?」
「そんなの、決まってる」
忌々しげに訊く常夏コンビに、僕と雄二は。
「零華と恵衣菜に―――」
「翔子に―――」
「「―――謝れ」」
そう命令した。
そう命令し終えると。
「あとは西村先生、お願いします」
見届け人である西村先生に視線を向けて言った。
僕らの戦いを腕を組んで見届けていた西村先生は。
「うむ。さて、三年の問題児ども。お前らにはこれから道徳の補習が待ってる。いや、それより先に吉井妹たちに謝罪だな。その次は小暮たちが話をしたいみたいだからそれだな。そして最後にみっちりと道徳の補習授業だ」
地獄スケジュールのような事を言った。
それを聞いた常夏コンビは顔を真っ青にして力なく項垂れた。
そんな常夏コンビを見て、僕と雄二はみんなの待つFクラスへと戻って行った。
放課後
「~~~♪」
「フフ~~~♪」
「あ、あははは・・・・・・」
あの後、
「はぁ~。なんかブラックコーヒーが飲みたくなったわ」
「私も」
音ノ木坂学院の〈アイドル研究部〉の部室で今日の肝試し大会のことを話し終えると、にこと真姫が疲れたように言った。周りの絵里達も同様に苦笑いを浮かべていた。
「なるほど、それでさっきからずっと二人は明久に抱きついているんですね」
「うん♪」
「そうだよ♪」
海未の言葉に零華と恵衣菜は僕の両腕に抱き着いたままそう返す。
「いいなぁ~」
「あ、あははは」
羨ましそうに零華と恵衣菜を見る穂乃果に、苦笑いを浮かべて見ることり。そこに。
「あ!なあ、明久くん」
「なに、希」
「確か文月学園のお化け屋敷って再来週までやってるんやったよな」
「えーと・・・・・・あ、うん、そうだけど」
希の問いに、お化け屋敷の公開日時を思い出す。確か、明後日からオープンして再来週の末まで公開しているはずだ。
「なら、今度みんなでそのお化け屋敷に行かん?」
「え!?」
そう言った希の言葉に一番反応したのは隣に座っている絵里だ。
「面白そうにゃー!」
「そ、そうかな・・・・・・?」
「わ、わたしは別に、どっちでも良いわ」
「にこも、行ってみたいかも」
「あー!確かに楽しそうだね!」
「穂乃果!?」
「穂乃果ちゃん!?」
「エリちはどうする?」
「え、えーと・・・・・・」
何故か悪戯している時の表情を浮かべる希に、絵里は戸惑う。
結局、穂乃果たちに押し切られた絵里は後日、妹の亜里沙と穂乃果の妹の雪穂も一緒に文月学園のお化け屋敷に行った。ちなみに、僕たちも一緒に行ったけど、なんと言うか、僕たちの時のようなお化けが出てこなくて幸いだった。まあ、絵里は半泣き顔だったけど。
次回 『玲襲来』 Let GO to The Next BAKALiVE!