バカとテストと召喚獣 奏で繋ぐ物語   作:ソーナ

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AFTER STORY ⅡStory
第Ⅰ問 玲襲来


 

~明久side~

 

どうも、皆さんこんにちは。主人公の吉井明久です。今、僕らは家で夏休みの課題に取り掛かっています。

メンバーは。

 

「あっつぅい~」

 

「穂乃果ちゃん、もう少し温度下げる?」

 

「その心配には及びませんよ恵衣菜。今のままでも十分涼しいですから」

 

「ま、まあ、昼間の炎天下よりはね」

 

「あはは。ほら、頑張ろう穂乃果ちゃん。凛ちゃんとにこちゃんも」

 

「そう言ってもにゃー」

 

「なんで夏休みの宿題なんかあるのよ」

 

「まあまあ、凛ちゃん、にこちゃん。あと少しで終わるから、ね」

 

「そうそう。早くせんと、後でかなり苦労するで~」

 

「あれ?真姫ちゃんは?」

 

「私はさっき終わったから」

 

「さすが~」

 

「ねえ、ねえ、雪穂、雪穂。ここどうやるの?」

 

「亜里沙、ここはね・・・・・・」

 

僕と恵衣菜、零華、穂乃果、海未、ことり、絵里、希、にこ、花陽、凛、真姫、雪穂ちゃんと亜里沙ちゃんの十四人です。

雄二たちはそれぞれ、つばさは葵姉さんとあんじゅ、英玲奈と一緒にやるそうだ。時刻は十五時を過ぎているけどまだ少し暑い。

どうして家で宿題をやっているのかと言うと―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間前

 

 

音ノ木坂学院屋上

 

 

昼前なのに夏真っ盛りの暑さの中、僕たちは音ノ木坂学院の屋上で練習をしていた。

 

「穂乃果、少し遅れてるわよ。凛はもう少しだけステップを遅くね」

 

「うん!」

 

「分かったにゃ!」

 

絵里の指導の元、曲の振り付けの練習が行われている。恵衣菜と零華も一緒に体を動かしている。で、その頃僕はというと。

 

「うーん・・・・・・」

 

「中々いい歌詞が浮かびませんね」

 

海未とともに新曲の歌詞を考えていた。

 

「テーマは夏、だよね」

 

「はい」

 

新曲のテーマは夏なのだが、いい歌詞が浮かばないのだ。

海未と歌詞を悩んでいると。

 

「二人とも大丈夫?」

 

「難しい顔してるよ」

 

ことりと恵衣菜が心配そうに聞いてきた。

 

「大丈夫ですよ恵衣菜、ことり」

 

「そう?」

 

「はい。少し歌詞を考えていたので」

 

「なるほど~」

 

「あ、二人だったら、夏といったら何を思い浮かべる?」

 

「え、えっと~」

 

「うーん」

 

僕の質問に二人はしばしの間考え。

 

「夏っていったらやっぱり、夏祭り?」

 

「私は海かな?」

 

「海未は私ですが?」

 

「いや、『海未』ちゃんじゃなくて、『海』だよ」

 

海と言われたら海未という海未のお決まりの言葉に、僕とことりは苦笑いを浮かべた。

 

「海未ちゃんは夏っていったらなに?」

 

「私ですか?私でしたら・・・・・・やっぱり山ですね」

 

「「「山?」」」

 

「はい!汗水流して山に登る。その達成感が思い出になると思います!」

 

海未の言葉に僕たちは若干引いた。

そこで、僕は海未が隠れ登山マニアだということを思い出した。海未という名前なのに山が好きと、少し―――いや、まあ、個人個人だけど、変わってる。

そこに。

 

「四人とも何話していたの?」

 

「あ、絵里」

 

「にこ達も混ぜなさい。気になるから」

 

絵里達もやって来た。

 

「いや、夏っていったら、何を思い浮かべるかなって」

 

「夏ねえ」

 

「夏っていったら、お盆かしら?」

 

絵里のお盆と言葉に少しだけ驚いた。

絵里に続いて希が。

 

「ウチは肝試しやね」

 

と言った。

すると、すぐ近くに立っていた絵里の顔が少しずつ青ざめて行った。

 

「え、絵里、大丈夫?」

 

「え、ええ。だ、大丈夫よ。悪いんだけど明久、少し背中借りるわね」

 

「え、あ、うん。―――部室に戻る?」

 

絵里の顔色に、アイドル研究部部長のにこに訊く。

 

「仕方ないわね~。まあ、今日はもうこれで終わりだしいいけど」

 

「という事なので、部室に戻ろうか。絵里、歩ける?」

 

「ご、ごめんなさい。身体に力が・・・・・・」

 

どうやら希の肝試しという単語にこの間行った、文月学園のお化け屋敷での事を思い出したらしい。一緒に行った絵里の妹の亜里沙ちゃんは興味深そうに見て楽しんでいたけど、その一方絵里は暗いところが苦手プラスお化けが怖いという事もあって、『かしこい、かわいい、エリーチカ』通称、KKEではなく、『怖くて、かわいい、エリーチカ』のKKEとなってしまった。まあ、どうやら他のみんな、希以外にはお化けが怖かった見られているみたいだけど。

 

「えーと・・・・・・」

 

「お兄ちゃん、絵里ちゃんを連れてきてね」

 

そう言って、零華にしては珍しいなにか企んでいる時の表情を浮かべて穂乃果たち一緒に屋上から出ていってしまった。そのままトントン拍子で希たちも行ってしまい。

 

「「・・・・・・・・・・」」

 

僕と絵里は顔を見合わせた。

 

「あー、取り敢えず。ちょっと、失礼します」

 

「え、あ!きゃっ!」

 

絵里に一言申し入れ、僕は絵里をお姫様抱っこした。

絵里をお姫様抱っこした僕は、見た目以上に軽いと思った。まあ、声に出さないけど。女子に体重の関連事はタブーなのである。

 

「お、重くないかしら」

 

「え?あ、うん。大丈夫。絵里軽いから」

 

そう言って僕はそのまま恵衣菜たちのいるアイドル研究部に戻った。

部室に戻り、練習着からそれぞれの制服に着替えた僕らは室内で涼んでいた。

 

「あ~、疲れたぁ~」

 

「穂乃果ちゃん、お疲れ様」

 

「はい、レモンのはちみつ漬け」

 

「ありがとぉ~。んん~っ!酸っぱい!けど、美味しい!」

 

タッパーから取り出したレモンのはちみつ漬けを一切れ食べた穂乃果は目を軽く瞑って言った。

 

「あ、それ冷たい水に入れたらはちみつレモン水になるから、苦手だったらそっちでね」

 

「どれどれ・・・・・・」

 

僕の言葉に、にこが一切れレモンのはちみつ漬けを食べ、冷たい水の中にもう一切れレモンのはちみつ漬けを入れ、軽く混ぜて飲む。

 

「お、美味しい・・・・・・」

 

「口にあったようで良かったよ」

 

何処かがっかりしたようなにこにそう言って、僕も一切れ食べる。

うん、我ながらよく出来てると思う。

やはり、疲労回復にはこれがいいね。手早く補給できるし。

そう思ってると。

 

「あ、折角やから明久くんを占ってあげるな」

 

「え?僕?」

 

突然希がそう言ってきた。

 

「まあ、いいけど」

 

占ってもらっても特に無いはずだけど、とそう思いながら希の占いの結果を待つ。

少しして。

 

「明久くんの今日の運勢はこれや!」

 

(スター)の逆位置?」

 

希の持つタロットに僕は疑問符を浮かばせながら言う。

確か、星の逆位置は良くない事が起こるとかそんなだってはずだ。正直タロットカードの占いとかは詳しくない。

 

「なにか嫌な予感がするのは気のせいかな・・・・・・」

 

僕の言葉に部室の空気が固まったのはなんとも言えなかった。そして、その予感が的中するまで残り数時間だと、この時の僕らは知るよしもなかった。

 

「え、えっと。あ!そういえば夏休みの課題、終わりましたか?」

 

話題を変えようと、海未が喋った。

 

「あと少しかしらね」

 

「ウチもや」

 

「私も同じよ」

 

「わ、私もです」

 

「お兄ちゃんと私はもう終わったよ」

 

「早いね~二人とも。恵衣菜ちゃんは?」

 

「えっと、私はあと4ページくらい」

 

「そうなんだぁ~。ことりもあと少しかな」

 

「私もですね。ところで」

 

「「「(ビクッ!)」」」

 

海未のジト目に話に入ってこなかった、我らがμ'sの三バカ。穂乃果、凛、にこに視線が突き刺さった。

 

「そちらの三人はどうですか?まさか・・・・・・まだ手を付けてすらいないなんてことは、ありませんよね?」

 

「「「(ギクッ!)」」」

 

三人のあからさまな反応に僕たちは同時に心に一つの言葉が浮かんだ。

 

『『『(あ、三人ともやってないな)』』』

 

と。

すると、案の定。

 

「に、にこは問題ないわ!え、ええ!大丈夫だとも!」

 

「凛も大丈夫にゃ!」

 

「え、えーと、その~」

 

三人は口を淀んで言った。

まあ、にこと凛は少しはやってるみたいだけど、問題は―――

 

「穂乃果?」

 

「な、なに海未ちゃん?」

 

「まさかと思いますが」

 

「う、うん」

 

「一ページもやってない。なんてことありませんよね?」

 

「え、えーと」

 

海未の詰問に視線を逸らす穂乃果。

やがて、海未が僕に視線を向け。

 

「明久、雪穂に連絡して聞いてください」

 

「海未ちゃん!?」

 

「え、えーっと・・・・・・」

 

「早く」

 

「あ、はい」

 

海未の眼力に僕は抵抗すること虚しく。そもそも抵抗してない気がするけど。雪穂に連絡して穂乃果の宿題について聞いた。

 

「もしもし」

 

『もしもし?』

 

「あ、雪穂ちゃん。ちょっと聞きたいことがあるんだけどいいかな?」

 

『明久さん?どうしたんですか?』

 

「実は、穂乃果の夏休みの課題について聞きたいんだけど」

 

『お姉ちゃんのですか?』

 

「うん」

 

『お姉ちゃん、夏休みの課題全くというわけじゃないんですけど、あんまり手を付けてませんよ?精々、数ページ進んでるだけですかね』

 

雪穂ちゃんからの情報を海未に伝えると、海未は目に見えて目元をピクピク痙攣させていた。

 

「穂乃果」

 

「は、はい」

 

「今日はこの後勉強会をしましょう。ええ、今すぐしましょう!」

 

「う、海未ちゃん!?」

 

毎年、夏休みの終盤に泣き付いてくる穂乃果に海未が気迫を篭もった声で言う。さらに。

 

「明久、零華。この後二人の家で勉強会を開いても良いですか?」

 

「え?僕は別にいいけど」

 

「私もいいよ」

 

特に今日はこのあと予定がなかったので、僕と零華としては歓迎だ。だって、みんなとやった方が捗るしね。

 

「あ、海未。雪穂ちゃんも誘っていい?」

 

「ええ。構いませんよ」

 

「サンキュー。あ、雪穂ちゃん?」

 

『はい』

 

「良かったらこの後、家で勉強会しない?」

 

『明久くんと零華ちゃんの家でですか?』

 

「うん」

 

『いいですよ。あ、明久さん、亜里沙も誘っていいですか?』

 

「亜里沙ちゃん?別にいいけど」

 

『ありがとうございます。何時くらいに集合ですか?』

 

「うーん」

 

ちなみに現在の時刻は十二時前だ。

ここから帰ってお昼とかも食べるとすると―――。

 

「十三時半でいいかな?」

 

『はい!大丈夫です。お姉ちゃんも一緒に連れて行きますので安心してください!』

 

そんな雪穂ちゃんの声が聞こえたのか、穂乃果が「雪穂!?」と叫んだ声が聞こえた。

 

「あはは。じゃあ、よろしくね」

 

『はい!任せてください!』

 

そう言って、僕は雪穂ちゃんとの通話を終え、「雪穂の裏切り者~」と言っている穂乃果を見る海未を見た。

 

「ってことみたいだけどいいかな?」

 

「はい。私も雪穂と一緒に穂乃果を連れて行きますので」

 

もはや逃げ場なしの穂乃果に少し同情してしまうが、日頃の海未の苦労(穂乃果限定)に比べらたらまあ、いいのか・・・・・・な?

そう思っていると。

 

「明久、亜里沙も参加するのかしら?」

 

回復した絵里が訊いてきた。

 

「みたいだよ?」

 

「なら、私も行っていいかしら?」

 

「別にいいよ。ね、零華?」

 

「うん」

 

「ありがとう二人とも。せっかくだから午後はみんなで夏休みの課題を終わらせちゃいましょう」

 

「賛成やね。そうでもしないと、にこっちは逃げそうやし」

 

「ちょっと、希!?」

 

「ま、いいんじゃない?どうせ、凛に教えるには変わりないんだし」

 

「真姫ちゃん!?かよちんも何か言って!」

 

「えーと・・・・・・課題、頑張ろう凛ちゃん」

 

「決まりみたいだね。じゃあ、午後は明久くんと零華ちゃんの家で夏休みの課題をやるということで」

 

「はい。各自勉強道具を持って二人の家に集合ですね」

 

こうして、僕らはこの後僕と零華の家で夏休みの課題を消化するための勉強会を開くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在

 

 

みんなが集まって勉強会を始めたのが十三時半過ぎ、そして現在は十六時半少し前と、約三時間勉強をぶっ続けでやっていた事になる。まあ、途中休憩も挟んだけど。

 

「終わったぁ~!」

 

「穂乃果ちゃん、お疲れ様」

 

「うう~っ。づかれたぁ~」

 

「もお、だらしないよお姉ちゃん?」

 

「だぁってぇ~」

 

「まったく、普段からコツコツしていれば苦労しないんですけどね」

 

「あはは。今更だよ海未ちゃん」

 

「わかってますよ恵衣菜」

 

穂乃果にほぼ付きっきりで勉強を見ていた海未の諦めた感じの言葉に、冷たいデザートを零華と一緒に作っていた僕は苦笑した。

他のところでも。

 

「お疲れにこっち」

 

「ええ。疲れたわ」

 

「終わったにゃー」

 

「凛ちゃん、お疲れさま」

 

「はぁ。なんで私まで・・・・・・」

 

「亜里沙、そろそろ終わりにしましょうか」

 

「うん!お姉ちゃん!」

 

勉強道具を片付けてのんびりしている姿が見えた。

それと同時に。

 

「お疲れさま、はい。冷たいデザート」

 

よく冷えて、疲れた体に丁度いい冷たいデザート、ミルクプリンを渡した。

 

「ありがとう明久」

 

「うん」

 

ミルクプリンをみんなに配り、自分と零華の分も取って食べようとした瞬間。

 

「ん?」

 

ポケットに入れていたスマホから着信音が鳴り響いた。

 

「誰だろ?」

 

スマホの画面を見ると、画面には母の文字が出ていた。

 

「母さん?」

 

「え、お母さん?」

 

「うん。もしもし?」

 

母さんからの電話を開くと。

 

『あ、明久くん?』

 

「どうしたの母さん。何かあったの?」

 

『何かあったの?っていうか、これからあるって言った方がいいのかしら』

 

「は?」

 

『実はね、玲ちゃんがそっちに行くことになったからよろしくお願いね』

 

「へ?」

 

母さんの言葉に僕は間の抜けた変な声を返した。

その僕の言葉に反応したのか、恵衣菜たちも僕を見てきた。

 

「ごめん、もう一度お願い」

 

『玲ちゃんがそっちに行くことになったの』

 

「―――はいっ!?」

 

うん、聞き間違いじゃなかった。

 

「ね、姉さんがこっちに来るの!?」

 

僕のその声に。

 

「お、お姉ちゃんが帰ってくるの!?」

 

零華も驚きの声を上げた。

さらに。

 

「玲お姉ちゃん帰ってくるの!?」

 

「玲さん帰ってくるんですか!?」

 

「うそっ!?」

 

「ええっ!?」

 

「ホントなの!?」

 

姉さんを知ってる恵衣菜、海未、ことり、穂乃果、雪穂の順に声が上がる。

一方、姉さんのことを知らない絵里たちはと言うと、誰?と言うように首をかしげていた。

 

「姉さんが帰ってくるって、なんでまたいきなり」

 

『えっとね~。玲ちゃん、和揮くんのお仕事手伝ってるでしょ?』

 

「え?ああ、そう言えば父さんの会社手伝ってるんだっけ?」

 

『そうそう。それでね、仕事の都合でしばらく日本(そっち)に帰ることになったの』

 

「な、なるほど。それで、姉さんいつ来るの?」

 

『あら、言ってなかったかしら?今日よ』

 

「今日!?」

 

僕がそう叫ぶと。

 

 

 

ピンポーン♪

 

 

 

 

インターホンが鳴った。

 

「え?まさか・・・・・・」

 

僕は嫌な予感がしつつも、玄関に行き扉を開ける。

するとそこには。

 

 

 

「久しぶりですねアキくん。元気そうでなによりです」

 

「ね、ねねねね、姉さんんんんっっっ!!?」

 

 

 

 

吉井家の長女にして、僕と零華の姉さん。

吉井玲がキャリーケースを持った姿でいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何故かバスローブの姿で

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





些細なことでも構わないので、感想などお願いします!





次回 『吉井玲』 Let GO to The Next Baka Live!

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