バカとテストと召喚獣 奏で繋ぐ物語   作:ソーナ

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第Ⅱ問 吉井玲

 

~明久side~

 

 

 

「久しぶりですねアキくん。元気そうでなによりです」

 

母さんとの通話中にインターホンが鳴り、嫌な予感がしつつも開けるとそこには、我が吉井家の長女にして、僕と零華の姉。吉井玲の姿があった。───何故かバスローブ姿で。

 

「ね、ねねねね、姉さんんんんっっっ!!?」

 

「はい。姉さんです」

 

僕はすぐに玄関の扉を閉めて鍵を掛けて通話中の母さんに聞く。

 

「母さん!どういうこと!?」

 

『あら?玲ちゃん、今来た感じ?』

 

「そうだよ!」

 

『あらら。もう少し早く言っておけば良かったかしら』

 

「出来ればそうして欲しかったよ!」

 

まあ、母さんは今海外にいるから時差とか色々あるんだろうけど、出来ればもう少し早く伝えて欲しかった!そう思っていると。

 

『あ、ごめん明久君、お母さんこれからお仕事だから』

 

母さんの慌てた声が聞こえてきた。

 

「えっ!?って、ちょっ、母さん!?」

 

『それじゃあ暫く玲ちゃんのことお願いね。零華ちゃんにも伝えといてね』

 

そう言う母さんの後ろから、マネージャーの人の声が聞こえることから何かあったのだろう。そう思いながらも返事を返そうとするが。

 

「───切れてる」

 

スマホの通話が切られていた。

どうやら母さんが切ったみたいだ。そこに。

 

 

『もしもし、アキくん聞こえてますか?姉さんを家の中に入れてくれませんか?』

 

 

姉さんの声が玄関扉越しに聞こえてきた。

その声が聞こえたのか、もしくは僕のさっきの声が聞こえたのか零華たちがやって来た。

 

「お、お兄ちゃん、外にいるのってもしかして・・・・・・」

 

「───姉さん」

 

「「「「「「っ!?」」」」」」

 

僕の一言に、零華、恵衣菜、穂乃果、海未、ことり、雪穂ちゃんが息を飲んだ。

 

「ねえねえ雪穂。なんで明久さん外にいる二人のお姉ちゃん居れないの?」

 

「そ、それはね亜里沙・・・・・・」

 

訊いてくる亜里沙ちゃんに雪穂は戸惑い口淀む。

そんなところに。

 

 

『もしかして姉さんの格好が気に入らないのでしょうか?』

 

 

姉さんのそんな声が聞こえてくる。

さらに。

 

 

『分かりました。では恵衣菜ちゃんに頼んでメイド服を貸してもらうことにしましょう』

 

 

そう言う声が聞こえてきた。それが聞こえるや。

 

「普通の家庭にメイド服なんで常備されてるわけないでしょうがあぁ!!!」

 

「普通の家にメイド服は無いよお姉ちゃんんんっ!!!」

 

耐えきれなくなった僕と零華は同時に玄関扉を開けて、そこにいる姉さんに思いっきりツッコんだ。

 

「あら?そんなに私のメイド服が見たくないのですか?」

 

「いやいやいやいや!お姉ちゃんのメイド服が見たいとかそういうのじゃなくて!って言うか、なんでお姉ちゃんバスローブ姿なのっ!?」

 

「ああ、これはですね」

 

零華の言葉に姉さんは説明してきた。

 

「今日はとても暑く汗をかいたので、着替えたんです」

 

「「はい、アウトォォォォーーーッ!」」

 

姉さんの説明とも言わぬ説明に絶叫をあげる。

 

「なんでそこでタオルで拭くという選択肢が出なかったのかな!?」

 

「普通そっちを出すよね!?」

 

「なにを言っているのですかアキくん、レイちゃん。塩化ナトリウムの他にマグネシウムやカリウム、カルシウムなどの不純物を多少は含むものの、汗の主成分は水です。このバスローブの素材である綿は通気性や吸収性に優れているのですから、姉さんの意図したとおり汗を吸収しているはずです」

 

「いや・・・・・・。確かに汗は引いているかもしれないけどさ・・・・・・」

 

「汗が引けばどんな格好でもまともに見えるってわけじゃないんだけどなあ・・・・・・」

 

僕と零華がそう呟くように言うが、姉さんには聞こえてなかったみたいだ。

 

「取り敢えず中に入らせてもらいますね───あら?」

 

僕と零華を半ば無視して家に入った姉さんは、玄関に恵衣菜たちがいるのを見て驚いたような表情をする。

 

「お久しぶりですね、恵衣菜ちゃん、穂乃果ちゃん、雪穂ちゃん、海未ちゃん、ことりちゃん。みんな可愛くなりましたね」

 

「あ、ありがとうございます玲お姉さん」

 

「ど、どうも」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「あ、ありがとうございます玲さん」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「そして・・・・・・アキくん、レイちゃん、こちらの女性たちは何方ですか?」

 

姉さんが絵里たちを見てそう聞いてきた。

 

「は、初めまして、綾瀬絵里と申します。こっちは妹の亜里沙です」

 

「は、初めまして!明久さんと零華さんのお姉さん!」

 

「ウチは、東條希です」

 

「矢澤にこです」

 

「西木野真姫、です」

 

「え、えっと、小泉花陽です」

 

「星空凛です」

 

それそれ戸惑いつつも自己紹介する絵里たち。名前で思い出したのか姉さんは、ああという表情をして。

 

「あ、μ'sの皆さんでしたか」

 

と言った。

さすがの姉さんもμ'sのことは知っていたみたいだ。じゃなくて!

 

「姉さんは早く普通の服に着替えて!」

 

僕は姉さんに言う。その当の姉さんはというと。

 

「何故ですかアキくん?」

 

不思議な表情をしていた。

 

「零華!」

 

「うん!」

 

僕は零華と瞬時に意思疎通をして。

 

「お姉ちゃん!とにかく部屋で着替えてね!」

 

「なんですかレイちゃん?」

 

零華は姉さんを無理やり自室に連れていった。

これで取り敢えず大丈夫なはずだ。───と、そう思った時もありました。

 

「あ、明久、さっきの人は・・・・・・」

 

姉さんを知らない人たち代表として絵里が引き気味に聞いてきた。

僕は絵里たちの方を向いて。

 

「僕と零華の姉さんです・・・・・・」

 

と、やつれた表情で告げた。

それを聞いた絵里たちはと言うと。

 

『『『ええぇぇぇぇぇぇぇっ!!??』』』

 

その瞬間、亜里沙ちゃんを除いた6人の声が響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後

 

 

 

姉さんのことを任している零華を除いた僕たち全員、さっきまで勉強していたリビングに戻っていた。

 

「そ、それで明久。あなた達のお姉さんって・・・・・・」

 

「僕と零華の姉さんは、頭は良いんだけど、一般常識が少しだけ欠けてるんだ」

 

『『『少し?』』』

 

さすがにさっきあれを見て少しではいかないみたいだ。そこに。

 

「お兄ちゃん、戻ったよ・・・・・・」

 

「着替えてきましたよアキくん」

 

疲れた表情の零華と、バスローブ姿から私服姿に戻った姉さんがリビングに入ってきた。

 

「お、お疲れ零華」

 

「うん・・・・・・」

 

「零華、お茶をどうぞ」

 

「ありがとう海未ちゃん」

 

「玲さんもどうぞ」

 

「ありがとうございますことりちゃん」

 

「いえ~」

 

海未とことりの渡した冷たいお茶を飲む零華と姉さん。その動作は姉妹そっくりだ。

 

「あ、改めて、はじめまして。吉井玲です。何時も弟と妹のアキくんとレイちゃんがお世話になっています」

 

『『『と、どうも・・・・・・』』』

 

姉さんの改めての自己紹介に絵里たちは戸惑いながら返す。まあ、無理もないけど。

 

「それで姉さん」

 

お茶を飲み終えた姉さんに僕は訊ねる。

 

「はい。なんでしょう?」

 

「姉さん、何時まで日本(こっち)にいるの?」

 

「そうですね・・・・・・どのくらいになるか、具体的には分かりませんが、少なくても半年は日本(こちら)にいるかと」

 

「そ、そう・・・・・・」

 

つまり、姉さんは少なくても半年はここに居るということになる。そう思うと僕と零華は頭が痛くなった。何故頭が痛くなったのかと言うと。

 

「一応言っておくけど、姉さんは台所立ち入り禁止だからね!」

 

「何故ですかアキくん?」

 

「だってお姉ちゃん、前料理した時鍋溶かしちゃったじゃん!」

 

そう、姉さんはなんでか知らないけど料理は枯らしきダメなのだ。どのようにダメかと言うと。

 

「失礼ですねレイちゃん。私だって料理ぐらい出来ますよ」

 

「・・・・・・お米はどうやって研ぐか知ってる?」

 

「もちろん知ってますよ」

 

僕の質問に姉さんは自信満々に、胸を張って答えた。

 

「クレンザ───くしゅん!」

 

「ちょっと待って!今クレンザって言わなかった!?まさかクレンザーの事じゃないよね!?」

 

「そんな訳ないじゃないですか」

 

「なんでそこで胸を張るの!?」

 

という訳で、姉さんは料理に関しては全くダメなのである。我が家では、姉さんを台所に入れてはならないという不文律があるだ。ちなみにこの事は恵衣菜たちも知っている。

 

「アキくん、騒がしいですよ?」

 

「姉さんのせいだよっ!」

 

姉さんはどこか抜けてるから疲れる。高橋先生と同じで。

 

「ちなみにお姉ちゃん。海胆とタワシ、見分けられるようになった?」

 

「はい。ついに見分けられるようになりました」

 

「そ、そう、よかったね」

 

姉さんのやり切った、達成感溢れる表情に僕と零華は若干ホッとした。そんなところに小声でにこが。

 

「ね、ねえ、明久。あなたたちのお姉さんって今まで海胆とタワシを見分けられなかったわけ?」

 

と、嘘でしょとでも言うような表情で訊いてきた。

 

「そうなんだよ・・・・・・。たぶん、ピーマンとパプリカはまだ見分けられてないと思う」

 

「はあ?」

 

僕の言葉を聞いたにこは目を見開き、マジでと目で訴えてきた。そしてその隣にいる絵里も驚いていた。

 

「一応、これでも姉さん頭はいいんだよ?」

 

「え、そうなんですかお姉さん」

 

「はい。日本ではなくアメリカのボストンにある大学に通ってました。大学の教育課程は昨年終了しています」

 

「ぼ、ボストンの大学・・・・・・・!?」

 

「そ、それってもしかして、世界に名高いハーバード大学じゃ───」

 

「はい。その通りです」

 

『『『えぇぇっ!?』』』

 

先程の姉さんの奇行を見た後でこう言ったら驚かれるのは当然だね。ちなみに、恵衣菜たちは姉さんが向こうの大学に行っていたことは知ってる。なにせ、それを言ったら『え!?』とかなり驚かれたから。姉さんは僕や零華よりも頭が良く、それこそボストンの大学を現役で楽々入ることが出来るのだ。その分、

 

「(姉さんの一般常識がかなりおかしいんだけどね!)」

 

「(お姉ちゃんの一般常識がかなりおかしいんだけど!)」

 

僕と零華は同時に姉さんを見てそう心に出した。

そう心に出した時、姉さんが時計を見て。

 

「あら。もうこんな時間なんですね」

 

と言った。

時計を見ると、時間は18時前を指していた。

 

「あ、ホントだ。みんな、夕飯食べていかない?」

 

時間も遅くなっているため僕はみんなにそう提案した。

 

「え、でも・・・・・・」

 

僕の言葉に絵里が姉さんを見る。

 

「よろしかったらどうぞ。私もみなさんにアキくんやレイちゃんのこと聞きたいので」

 

「それなら・・・・・・」

 

「決まりだね。あ、恵衣菜と海未ちょっと手伝ってくれる?」

 

「あ、うん」

 

「分かりました」

 

助っ人に僕は恵衣菜と海未を呼んで、台所に向かった。

台所に入り、姉さんの視覚から外れた僕ははぁっ、と息を大きく吐いた。姉さんがいると常にツッコミをしないといけないから疲れるのだ。

 

「だ、大丈夫明久くん」

 

「だ、大丈夫ですか明久」

 

「ああ、うん。何とか」

 

心配そうに声をかけてくる恵衣菜と海未に若干やつれた表情で返す。

 

「にしても玲さんが帰ってくるとは思いませんでしたね」

 

「だね。私も驚いてるよ」

 

「ほんと、帰ってきて早々ツッコミを入れるとは思わなかったよ」

 

アメリカに行く前はもう少しまともだったのに、何故帰ってきてああなるのか。いったい向こうで過ごしている間に何があったというのさ姉さん・・・・・・。

そう思いながら冷蔵庫の中身を見る。姉さんも含めて15人だからかなりの量が必要になる。

 

「・・・・・・なににしよう」

 

「15人ですからね・・・・・・ここは鍋ですかね?」

 

「うーん・・・・・・カレーは、今の季節残しておけないし・・・・・・」

 

「でも、15人もいるなら食べ切れるかも?」

 

冷蔵庫の中身を吟味して3人で献立を考える。

 

「あ、パエリア・・・・・・は、ダメか」

 

「なんで・・・・・・あ、凛ちゃん」

 

そう凛は魚介系が苦手なのだ。パエリアにはエビやムール貝など魚介系が入っているためダメだ。

 

「やっぱりカレーかな・・・・・・」

 

「ナスにジャガイモ、玉ねぎ、ニンジン・・・・・・あ、パイナップルとレーズンがありますね」

 

「ん~。じゃあ、フルーツカレーにする?」

 

「だね。あとは、生野菜のサラダにコンソメスープかな?」

 

「ですね」

 

メニューを決めた僕たちはすぐに調理に取り掛かった。

まずはお米を炊き、野菜を洗う。生野菜サラダにワカメを使うため、ワカメを水につけて戻し、野菜を切る。

深鍋に油を引き、一口サイズに切った玉ねぎ、ニンジン、ジャガイモを入れ炒め、牛肉とナスを入れる。十分に火が通ったら火を止め、水を入れて、再び火をつける。その間に、コンソメスープと生野菜サラダを作る。深鍋が沸騰しアクが出てきたらそれを取り除き、ジャガイモやニンジンが柔らかくなるまでし、柔らかくなったら火を止めてルーを入れて溶かして煮る。

一人でやったら一時間くらいはかかるのを、恵衣菜と海未が手伝ってくれたため一時間経たずに終わった。まあ、その作ってる最中に姉さんの声が聞こえてきたのにはツッコミを入れたけど。だって、人のアルバム。しかもいつ撮ったのか不思議な写真とかを見せてるんだもの!零華も疲れたのかグッスリと眠っていた。同情するしかない。

で、約一時間後。

 

「お待たせ~」

 

出来上がったものを持ってみんなのところに戻った。

 

「あ、ありがとう明久」

 

「大丈夫」

 

カレーと小皿にコンソメスープ、ドレッシング、水を持っていき、さすがに全員座れる訳では無いので分かれて座る。

ちなみに、花陽には白米とカレーと別々に分けている。理由は、以前あったからだ。

 

「ありがとうございます恵衣菜ちゃん、海未ちゃん」

 

「いえ、大丈夫です」

 

「うん、良く明久くんと作ってるから大丈夫だよ」

 

「そうですか。良かったです」

 

恵衣菜と海未が姉さんと話している間、僕はと言うと。

 

「零華、起きて。ご飯だよ」

 

グッスリと眠りについている零華を起こしていた。

 

「ん~~」

 

「(ヤバい、可愛すぎる)」

 

そう思うと同時に、僕は自然な動作でスマホを取り出しカメラを起動させて零華のあどけない寝姿を撮った。そして写真を撮り終えると再度零華を起こす。

 

「零華、ご飯だから起きて」

 

「んにゃ~。ほぇ?おにいひゃん、ごひゃん?」

 

「うん」

 

「はぁーい」

 

眠気眼を擦りつつ身体を伸ばして起きる。

 

「あ、今日はカレーなんだね」

 

「まあね」

 

零華を起こし、僕と零華は席に着く。

 

「それじゃ。いただきます」

 

『『『いただきます!』』』

 

僕の声に続いて言い、みんなご飯を食べ始めた。

 

「あら、このカレー、フルーツカレーなんですね」

 

「うん。あれ、姉さん嫌いなものあった?」

 

「いえ、ありませんよ。アキくんのカレーを食べるのはずいぶん久しぶりですから」

 

そう言うと姉さんは美味しそうに食べる。

僕と零華はその姉さんの姿にクスッと小さく微笑み、フルーツカレーを食べる。うん、美味しいね。

夕飯を食べたあと、時間も時間なためみんな帰ることになった。

 

「じゃあ、僕みんなを送ってくるから」

 

「うん」

 

「気をつけてね」

 

「わかりました。ですが、アキくん、くれぐれも変な気は起こさないように」

 

「するかっ!!」

 

零華と恵衣菜、姉さんに見送られながら僕は穂乃果たちを自宅にまで送り届けて行った。

近い順に行き、穂乃果、雪穂ちゃん、ことり、海未の家と行き、真姫、花陽と凛と行っていき。途中でにこと希と分かれ、最後に絵里と亜里沙ちゃんを送って行った。

みんなを送っていき、自宅に帰るなりまたひと騒動起きるが、まあ、それはまた別の機会に語るとしよう。

 

 

 

 

 











次回 『夏合宿へ行こう!!』 Let GO to The Next Baka Live!
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